推しの子 RTA 黒川あかねで「B小町の絶対的エース」取得 作:アクあか……いい……
特に話に関係のない設定ですが、興味のあるかたはどうぞ。
急に台本が白紙になり、私、黒川あかねが、普段と違ってステージアラウンドだし練習時間多めに欲しいなどと、かなちゃんと話をしていた時、
「そういや、ステージアラウンドって何?」
アクアくんが急にそんなことを言い出した。
「え、知らないで稽古していたの? 普通の舞台とかなり違うから知らないと認識もちょっとズレてきて、やりにくいと思うよ」
ステージアラウンドの舞台に出る役者が知らないのは、わりとダメだと思う。
「そんなに違うのか?」
「そうね。一度見に行った方がいいんじゃないかしら。ちょうど稽古も脚本が白紙に戻って休止になったことだし」
かなちゃんがどこか嬉しそうにそう提案する。
「そうだね。あれは体験してみるのが早いかも」
「チケット取れるかしら。いけると思いたいけど……」
かなちゃんは早速スマホをいじりだす。
「よし、2枚分、いけそうね」
「アイドルが男女ふたりはまずいから、私のもお願い」
「……それもそうね。あかねも加えて3枚と」
さすがにかなちゃんとアクアくん二人っきりは許せないよ?
「なんか勝手に話が進んでるが……そこまで言われると気になるってのも事実だ。見に行くか」
「よし。席は抑えたわ。アクアがステアラみてひっくり返るところ楽しみだわー」
「どこまでハードルあげるんだよ」
かなちゃんのいうひっくり返るは大げさとしても、ちょっとくらいは驚いてほしい。
私も舞台を多くやってきた役者だ。アクアくんにはもうちょっと舞台に興味持ってほしいって思いはある。
「それにしてもよかったわねぇ。あんたの無知が原因で、アイドル二人と一緒に舞台鑑賞よ。泣いて喜びなさい」
「ワー、ナンテシアワセナンダ」
「わざわざ棒読みしてんじゃないわよ」
***
「有馬はどうやって泣き演技をしてるんだ?」
脚本が再び決定した東京ブレイドの稽古中に、感情演技を求められたアクアくんが、かなちゃんに尋ねた。
「子役の世界でよく使われるのは……アクアくん、もしお母さんが死んじゃったらどうする?ってやつ、目の前のものを大切なものと思い込んで泣く手法ね! ま、今回の役の場合なら、求められるのは喜び、嬉しかったことを思い出しながら演技すればいいわけよ」
アクアくんは目をつぶり、何かを思い出しているのだろうか小さな笑みを浮かべた。と、その数瞬後、口を抑えふらつき崩れ落ちてしまう。
「アクア!?」
かなちゃんが駆け寄る。
「……大丈夫、ただの立ち眩みです、落ち着くまでちょっと休んできていいですか…」
金田一さんに断りながらフラフラとアクアくんは出ていくが、かなちゃんは大分そわそわしてる。
「心配なのか? そういえば、黒川と有馬は同じ苺プロだったか。少し様子を見てきてくれないか?」
「はい」
かなちゃんのそわそわ具合に気を利かせてか、金田一さんは見に行くように言ってくれた。
***
給湯室の壁に寄りかかって地べたに座るアクアくんがいた。
発汗とふらつき、パニック発作かな?
「ちょ、ちょっと顔真っ青じゃない! きゅ、救急車呼ぶ!?」
「有馬……落ち着け」
「救急車はともかく、ミヤコさんには来てもらった方が」
「やめろ、妹には知られたくない」
私の言葉はアクアくんに強い口調で遮られた。
「ちょ、あんた、そんなこといってる場合じゃ……」
「だったら監督を呼んでくれ」
監督?
「五反田監督ね、わかったわ」
***
五反田監督の所へアクアくんを送って、アクアくんが目を覚ますまで様子を見た後、五反田監督に後を任せて、戻る途中にかなちゃんが声をかけてきた。
「あかね、アクアについて気付いたこと、聞かせてくれない?」
どこまで喋ったものか、アイの隠し子ってこと喋ったら、絶対お母さんが死んだらどうする発言をした自分を責めるよね? アクアくん、パニック障害みたいだけど……。かなちゃんに喋って好転する? わからない。お茶を濁したほうがいいかもしれない。
周りに誰もいないことを確認してから私は、喋りだした。
「……色々、思い付きはするけど、あくまで想像で、確定じゃないから……。かなちゃんに話すと逆に悪影響があるかもしれない。アクアくん本人に聞いたほうがいいと思う。無理に聞き出すんじゃなくて「話したいことがあるなら付き合う」くらいで。もしかしたら本人も話して辛い記憶を思い出すのが嫌かもしれないから」
「……わかったわ。そうしてみる」
いい機会だし、ついでに言っておこうかな?
「あ、でもこれだけは言っておくよ。アクアくん、アイがストーカーに殺された一件について引きずってて、アイドルの交際とかストーカーが発生するようなことって過剰に避けてる傾向があるよね」
「……たしかに、「今ガチ」の時は、そこまでするか、とは思ったわね」
「私たちもアイドルとしてちょっとずつ名前が売れ始めている。そんなかなちゃんが彼と二人っきりで出かけるとかは、彼にとって割と地雷かもしれない。話をするときの状況は気を付けたほうがいいと思う」
「ん……。そうね。事務所で二人の時とかにしてみるわ。アドバイスありがと」
「かなちゃんの役に立てたならよかったよ」
アクアくんにかなちゃん取られちゃうのイヤって面はあるのは事実だけど、アクアくんのためっていうのも事実だ。別にこういうアドバイスは、問題ないだろう。
***
「アクア、何か、話したいことがあるなら聞くくらいはするけど?」
苺プロの事務所でようやく私、有馬かなとアクアが二人っきりになれたからそう切り出してみた。
「は? いきなりなんだよ?」
……。うん。いきなり過ぎたわね。
「あんた、稽古の時、私が声かけた後、ぶっ倒れたじゃない? まぁ、変なこと言ったわけじゃないし、私が悪いわけじゃないけど? 優しい私は、あんたが泣き言の一つでも吐きたいなら付き合ってあげようって思ったわけよ」
「別に、あの時倒れたのはタダの立ちくらみだし、有馬は関係ない。話すこともない」
私に目を合わせず言い切りやがった。このやろう。イラッとするわね。
「そうね。カントクのところであんたが寝ていた時、寝言でアイとか言ってうなされてなかったら、その言葉を信じて上げてもよかったんだけどね」
「な……」
こっちを見て口を開けるアクアの驚きっぷりに少しは溜飲が下がった。……いやいや、アクアのために話をしてるんでしょ、私がスッキリしてどうするのよ。
「その……悪かったわね。あんたが「アイお姉ちゃん」を引きずってること知ってたし、もう少し言葉を選ぶべきだったわ」
「有馬の言葉は倒れたのとは関係ない。それに別に俺はアイのことを引きずっていない」
「あんた、「今ガチ」で泣いたシーン、ここで流して欲しいの?」
アクアは無言で視線を外した。
まったく、強がるのもいい加減にしなさいよね。
「私もあんたほどじゃないけど、大切な人が自分から離れていく辛さは分かってるつもりよ。天才子役って言われてた時は周りに人がいたけど、人気が落ちていく度に一人また一人と人が離れていったのよね。今でも思い出すと震えちゃうくらい」
「……少なくともあかねは、ずっと引っ付いてそうだけどな」
「……そうね。周りに誰もいなくなったと思ったときにあの子が笑ってくれてどれだけ嬉しかったか……」
って、アクアにフォローされてどうするのよ。アクアをフォローしに来たんでしょうが。
「あんたには「今日あま」でストーカー役やってもらったからね。あんたの泣き言や愚痴くらいは聞いてあげてもいいわよ。私は、あんたが意外と繊細で、弱い所もある人間ってわかってるからね。別に、今すぐ言えってわけじゃないし、泣き言を言いたくなったら思い出しなさい」
「……わかったよ。覚えておく」
本当なら無理にでも聞き出したいところだけど、こいつ、絶対嘘つくだろう……。ちょっともどかしいけど、仕方がない。
「さて、じゃあ、暇つぶしに「【今ガチ】アクアのイケメンムーブまとめ」って動画でも見ようかしら?」
「おい、繊細とか評した男に、いきなり喧嘩売ってんじゃねーよ」
***
アクアくんは演技中倒れることもなくなっているが、うまく感情が出た演技ができているとは言えない。
私、黒川あかねも、東京ブレイドの演技のほうが順調だが、別件では順調とは言えない。
かなちゃんのキラキラした演技の真似がどうやっても上手くいかない。完璧に真似ているはずなのに、かなちゃんほどの魅力がでない。
もちろん、かなちゃんと私は顔や体格が全然違う人間だ。同じ動きをしたって見え方が違う。かなちゃんのキラキラがなぜ起こるかを推測して、言語化して私の体でキラキラして見えるように動く。
たしかに、それらしくはなる。けど、足りない。
かなちゃんは承認欲求が強い。今の私を見てほしいという思いがある。その感情も含めて、再現しているつもりだ。
けれども、どうしても足りない。
アイ特有の引き寄せられる目だって、本人と比べたら幾分劣化したとは思うが再現できた。見たら、確かにアイの目だ、と言える程度の再現度はあるつもりだ。
けれども、かなちゃんの真似をしたはずのコレをみて、かなちゃんの真似だとはどうしても言えなかった。
「あかね。あんたもなんか悩んでるの? 話程度なら付き合うわよ」
ある日の二人きりの稽古の時、かなちゃんにそう声を掛けられた。
「そうだね、かなちゃんに見せるのは恥ではあるけど、見てもらったほうがいいかな」
不出来な推しの物真似を推しに見せる。避けたいことではあるけど、本人にアドバイスを貰えれば、あるいは……。
すっと目を閉じ、没入する。
「『待った! 彼が教室に戻ってきたのは3時でしょう。それでは、同時に2カ所に彼が存在したことになるわ!』」
苺プロでの初の役者の仕事。私とかなちゃんの共演の時の、かなちゃんを今の私に可能なかぎりの出来で真似てみた。
「……私の真似?」
少し震えた声でかなちゃんがいう。下手な演技で怒らせちゃったかな。
「そうだけど、どれだけやってもかなちゃんを大幅に劣化させたものしかならないんだ。アドバイスが欲しいの。どうやったらかなちゃんみたいに太陽みたいな演技ができるのか」
「……もう一度、見せてくれる?」
私は頷いて、もう一度同じ演技を見せる。
「なるほど……。そうね……足りないものは「我」よ。どういえばいいんだろ。私を見ろ!って感情って言えばいいかしら。それが感じられないわ」
「役の人物を見ろって注目を集める演技が足りない? やってるつもりなんだけどなぁ……」
「ちょっと違うわね。役の演技をやりつつ、要所では私を、「有馬かな」を見ろって思って演技してるの。その部分がない」
「そんな……役になりきりながら、「黒川あかね」を見ろって思いを表現するの? そんなのどうしたら……」
役に没入するといっても自分の思考がなくなるわけではない。ないけど、役を演じながら私を出せば、ノイズになり、没入してる役がぐちゃぐちゃになるだろう。
「諦めていいんじゃない。私の真似なんて。あんたが演技の時に使うようになった目、あれがあれば私の真似なんてしなくていいでしょうに」
「私、子供のころ見た、かなちゃんみたいになりたかったの。自身が眩しく輝く太陽みたいな演技をしてみたかったの」
ずっと憧れてきたあの演技を私がするのは無理なんだって思って、気付いたら、涙が出ていた。
止めようとしても止まらない。舞台ならすぐ止まるのに。
そんな私を見て、かなちゃんが鼻で笑って、話し始めた。
「偶然ね。私はあんたみたいになりたかったわよ。自分を消して役になりきる。どんな役もこなせる。しかも、あんた私の演技の技術、片っ端から見て盗んでいくタチの悪さを発揮したでしょ。その観察眼と器用さにどれだけ嫉妬したか、あんた分かってる?」
かなちゃんが、私みたいになりたかった? 私に嫉妬していた?
「結局のところ、隣の芝は青いって奴なんでしょ。正直、私は私自身のこと大したことがないって思ってた。けど、あんたみたいな天才が憧れて、真似しようと思っても真似できないのが私の演技。だったら私の演技も捨てたもんじゃないんでしょうよ」
そういって、かなちゃんは私の目を見る。キラキラと太陽みたいに輝きながら。
「あかね! あんたも自分に少しは自信を持ちなさい。あんたは私の憧れた天才なんだから!」
「うん。うん。わがっだよ」
涙が溢れるまま、出てくるままに答えた。
「ああ、もう泣くんじゃないわよ」
「だっで、うれじいんだもん」
きっと、明日からは、もっといい演技ができるようになると思う。
だって、私は推しの憧れなんだから。
・あかね
重曹ちゃんとアクアが二人っきりになるのを阻止したり、
アイドルやってる時に付き合うのは地雷だよと吹き込んだり
理由は用意しているけど、割と推しと男を引っ付くのをがんばって阻止してる。
推しからあなたは憧れの人だよって言われたら
そりゃ、情緒のひとつやふたつ壊れるよね。
・重曹ちゃん
アクアのことが気になるが、配役的にかかわりにくい。
泣きながら、あかねから自分の演技できないって言われて
あの天才が悔しくて泣いてるって衝撃と
自分があの天才役者に勝ってるんだって喜びやらで
色々感情オーバーフローしつつも、
口は勝手にファンを励ましてた。
おまけ、覚醒スキル没ネタ
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