犬剣士   作:zaq2

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参:怪我ァないか?坊主

「出せ!だせ!出せ!」

「逃げろ!逃げろ!逃げろ!」

「いいから出して!!はやく!はやく!!」

「いそげ!はやく!」

「なんなんだよ!?クソッ!しっかり捕まってろよ!!」

 

 

 先ほどまで、宝探しへと意気込んでいたチームメンバーが、急に後部座席に滑り込む様に乗り込んできたかと思えば、すぐに出せという指示の元、待機させていた車両のアクセルを大きく踏み込んでは急発進をし、さらに加速をつけて走り出す。

 

 六輪の駆動によって道なき道を走る様になっている車両は、砂ぼこりを上げて移動をしていた。

 

 後方を移すモニターには、その自分たちの車両を追いかけるかのように、大きな何かが地を走りながら迫ってきていた。

 

 

「なんなんだよ!あれは!」

「知らねーよ!」

「リーダーの馬鹿が、不用意にコンソールさわったからじゃない!」

「まさか、生きてるとは思って」

「くるぞ!!」

「ちっ!下手に喋るなよ!舌噛むぞ!」

 

 

 車体を左右にスラロームさせては、相手から飛び出してきた飛来物をよける。

 着弾した矢先に爆破とともに衝撃が車体を揺らす。

 

 

「何か手立てはないのかよ!」

「知るか!今は逃げの一手だ!」

 

 

 その何かに追いつかれまいと、大きな丘陵を登り切って飛び出したその先に、白い筋が見えた

 

 

「みえた!"白道"だ!!乗れ乗れ乗れ!」

「わぁってるよ!しっかり捕まってろよ!!」

 

 

 だが、モニターに映し出されていたソレは、車体に迫っていた。

 "白道"に乗りさえすれば、外部エネルギー供給量が増えるがために、車体をさらに加速させて移動する事が可能になる。

 

 そうすれば、振り切れるのは確実である。

 だが、そう思った矢先、ガクンと強い衝撃が車体を襲った。

 

 否、後方のモニターには黒い影しか移していないという事は……

 

 

「ちぃ、取り付かれた!」

「撃て、撃て、撃て!!」

 

 

 後方ハッチに空いてある銃座から手持ちの射撃武器で攻撃をしかけたが、それでどうにかなる様な相手では……

 だが、捕まっている状況を少しでも打破できればと、逃げおおせれる事が可能であるためならばと、やらないよりはやるべきであると理解する。

 

 

「アクセル踏み込め!」

「やってる!べた踏みだ!」

「他に何かないの?!」

「ふと思った事やる、みんな何かにしがみ付け!」

「何するの!?」

 

 

 今まで前進だったのを、全力で後退させるために、操作を切り替える。

 すると、車体が大きくゆれては追ってきた奴との押し問答が始まる。

 

 そのタイミングを見計らっては、今度は全速前進へと切り替え……

 

 ガクンという強い衝撃を感じては、後部モニターには光が差し込んできた。

 

 

「よしっ!はなれ・・・」

 

 

 不意に、無重力的な感覚に見舞われたと思えば、急な横なぎの重力を感じては、しばらく回転ともいえる強い叩きつけを全身に受けた。

 

 

「うがっ」

「きゃ」

「ぐぶっ」

「いっ」

 

 

 各人が、各人ともにうめき声を出す中、すぐに起き上がっては扉をあける。

 相手は、見上げるようなほどの大きさを持つ"龍種の造形物"である。

 そいつが、こちらに首を向けていた。

 

 さらに、その開かれた口からは、先ほどから衝撃波を発していた何かしらの攻撃手段らしきものが向けられ

 

 

「逃げろ逃げろ逃げろ!」

「散開!散開!!」

「いやぁ!!」

「くそがっ!!」

 

 

 いわれるがままに、車両を乗り捨てては各人が蜘蛛の子を散らすように逃げだす。

 "龍種の造形物"から逃げ出したが、何かの遮蔽物にと思った矢先に躓く。

 

 しまった!と思った時に"龍種の造形物"が視界に入った。

 その首は車両ではなくこちらへ向けられており、何かが撃ち込まれようとしていた。

 

 

(終わった……)

 

 

 人は死ぬ間際に走馬灯をというが、実際に家族の思い出、兄妹の思い出思い出されては流れていく。

 

 最後に、先日に喧嘩別れした恋人の顔が出てきていた。

 

 

(すまん……)

 

 

 はっきりと分かる死が訪れようとしていた。

 のだが、目の前で自身が思っていた様な事が起こる気配が無くなった。

 

 なぜなら、"ヴォン!"という咆哮らしき音が聞こえたかと思えば、"龍種の造形物"の動きがピタリと止まったからだ。

 

 動きが止まったかと思った次の瞬間には、その"龍種の造形物"の首がズルリと目の前の地に落ちては地面を揺らし、砂ぼこりを巻き上げてはいた。

 

 突然訪れた状況に茫然としてしまったが、その砂ぼこりの中から一人のヒト影が"サムライブレード"らしきものを軽く振っては納刀しながらこちらにやってきていた。

 

 そして、指で帽子のツバを持ち上げてコチラを一瞥したかと思えば、

 

 

『怪我ァないか?坊主』

「あ、あぁ、助かっ……た」

 

 

 『立てるか?』と差し出されたその手は"ヒト種"とは異なる指。

 そしてはっきりと見えたその姿は、犬型のミュータント種そのモノの顔立ちをしていた。

 

 

 

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