主人公の日記。情緒不安定なため書いては消して書いては消して。
御機嫌よう、御機嫌よう、御機嫌よう。トリニティ総合学園では一般的とされる清楚挨拶が飛び交う。1度門を潜れば品行方正を求められるお嬢様学校、それがトリニティ総合学園だ。何時いかなる時でも決して醜い姿を人に見せず、かくあれかしと型作られた『お嬢様』であることをやめてはいけない。
僕はこのトリニティ自治区で育った人間ではないから、未だにこのトリニティの雰囲気に慣れないままでいた。社会に生きるということの難しさは僕の肌をフレ炎で炙るかのようにじわじわと精神を蝕んでいく。
いややめよう。どうせ日記なんだ、誰に見せるわけでもない、なら何もこんなところでまで取り繕うことないじゃないか。そんなストレスを少しでも発散したくて書き始めたんだから。
僕はなんでここにいる?いつから?僕の体の主はこれを見てくれているのかい?
いや、そうだね、多分僕が悪いんだろう。
魔法 世界 前世だ。僕は前世の人間だ。僕には前世の記憶がある。僕はこことは別の世界、あるいは遥か昔に宮廷魔術師をしていた。そして戦争が起きて、婚約した彼と王の使命の下戦場に向かい、どうして彼が 僕のせいで 2人とも命を落とした。僕の前世の記憶はここまでだ。それなりに優れた魔術師だったはずだ。
だが、次目を覚ました時にはこの姿になって、この世界の誰かとして目を覚ましてしまった。ある程度成長した人間であることから、また幼い頃の記憶がないことも加味して僕がこの体を乗っ取ってしまったのだと思う。ごめん。
目が覚めてから暫くは色々なことに恐怖し、絶望し、ちょっとかなり泣いた。魔術が使えない、場所がわからない、目的が、生きるすべがわからない。彼がいない。数日かけて落ち着きを取り戻し、これが神の定めた僕の道なのだと悟った。僕にはまだこの姿でやるべき事があるようだ。
色々なことを調べて、自分が学校に入学しようとしていたことを突き止めた。トリニティ総合学園だ。調べていくうちにどんな学校なのかもわかった。今思えば失敗だったか、いや僕なら上手くやれると思っていたんだ。そうして無事入学を終えたものの、学園生活は過酷なものだった。友人も作れず、右も左もわからず、オロオロするしかなかった僕は、きっとハナコが助けてくれなかったらそのまま学園を去っていたことだろう。
そういえばハナコはどうしているだろうか。クラスが別々になってからあまり連絡を取らなくなってしまった。僕からモモトークを送るにも用事がない。このまま疎遠になってしまうのは少しとても嫌だ。
そしてこの世界のことを探るべく、僕はシスターフッドに入った。このトリニティ総合学園、どうやら並々ならぬ歴史があるらしく、その歴史に触れることで或いは僕の現状をより良い方向に導いてくれることを期待したんだ。
古代文字が僕の前世で使われていた文字だったため、まさか未来に時渡りしてしまったのではないかと考えたが、少なくとも僕が知っているような事象は書物には記されていなかった。やはりここは違う世界なのだろう。
この日記を読み返している僕へ。どんなに気の迷いを起こしていたとしても古代文字の事は誰にも話してはいけない。もしこの事が知られたら僕の正体に気づく人間が現れるかもしれない。前世の記憶があるなんて知られたらどうなるかわかるだろう? 頼むよ。
うん、現状把握も兼ねてちょうどいいストレス発散になった。とにかく、まだ2年あるのだから気楽にいこう。時間はたっぷりある。
しかしこの体はいつになったら成長するんだ?もう1年も経つというのに、いや、ヒナタと比べるから良くないんだ。別にクラスでは身長だって真ん中の方だし、バストだって ああクソ、羨ましい。
主人公のなんちゃって説明回。