ワタクシの友達が露出で捕まったらしい   作:えんどう豆TW

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マシュマロ作りました

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感想欄に書きづらい感想とか、質問とかあったらここに送ってください
Xで反応するかもしれません(ストーリーのネタバレとかはしないので安心して送っていただいて大丈夫です)


さっちゃんとか、サクとかでしょうか

 

 

 

「先生、貴方がついていながらこれはどういうことですの?」

 

 任務から戻った僕を待ち受けていたのは、夜に遊びに出かけたなどというふざけた報告。

 あのさ、一応勉強合宿なんだよね?旅行に来てるわけじゃないんだよね?なんで僕がいない時にそんな楽しそうなことするわけ?

 

「この件に関してワタクシはサクラコ様にどう報告すればいいのです?」

「"それはもう、全て私の責任で彼女たちは行動を起こしたと伝えてくれればいいよ"」

「まあ、それであの人が納得するのであればワタクシは構いませんが」

 

 ちらりとマリーの方を見ると、困ったような笑みを返された。

 

「はぁ……ま、試験に合格出来ればケチつけられるようなこともないでしょうし。引き続き皆さんのご武運をお祈りしておりますわ」

 

 実を言うと僕もサクラコという人物を測りかねている節がある。

 冷静沈着、文武両道、そして物事を広く見通す眼の持ち主なのは間違いない。今回の監督補佐の命も何か考えがあっての事だろう。じゃなければ報告なんていちいち必要ないはずだし。

 では、その真意はどこにあるのか。この部活を気にかける理由は。そしてどこから情報を仕入れたのか。謎多き女性は魅力的だなんてどこかで聞いたが、謎の塊みたいな人においては魅力よりも底知れない怖さが勝る気もする。

 

 そもそもなぜ彼女は僕のことをシスターフッドに引き入れたのか。

 彼女の目には僕が大して信心深くもないことくらいお見通しだろうに、今でも在籍を許している理由もわからない。そもそも大したこともしてないし、役に立ってることといえば古代語を翻訳する時に頼られる時があるとかそんな程度かな。別に僕以外にもできる人はいそうだけど。

 

「サクラコさんは普段、どのような様子で報告を聞いているのですか?」

 

 ハナコの疑問に少し考える。うーん、特別なにかありそうなことも無いなぁ。

 

「んー、特に何かあるわけではないですわね。『そうですか。ありがとうございました、引き続きよろしくお願いします』が8割で、定期的に御加護があらんことをが付きますわね」

「"残りの2割は?"」

「今日のようなイレギュラーが発生した時には多少深掘りされますわね。特にお小言を貰ったことはありませんが」

 

 僕とマリーのいない間のことなので余計に報告しづらい。というかそういうことらしい、としか言えないものを報告と呼ぶかすら怪しい。

 

「まあまあ、雑談はこの辺にして今日の試験対策を始めますわよ。ワタクシとしても不合格の報告をする方が気が引けますし」

「つ、次こそは合格するんだから!」

「はいはい、頑張ってくださいまし」

 

 コハルはやる気十分みたいだ。まあやる気の有無はどうでもいいんだけど、なんとなく能力の限界値が見えつつあるこの子が一番心配かな。

 アズサは……まだ余力がありそうだけど時間が足りるかはわからない。

 ヒフミについては問題なさそうだし、ハナコは言わずもがな。一旦は様子見ってところだけど、うーむ。

 

「ま、なんとかなるでしょう」

 

 とはいえ僕が考えても仕方がない。今は上手くいくことを祈るしかないよね。それこそ修道女みたいに。

 

「御加護があらんことをってやつですわね、マリーさん」

「え?は、はい!」

 

 急に話を振られて慌てるマリーだった。

 

 

 

 ──────────────

 

 

 

 今日の監督業務も終わり礼拝堂に。別にこんな遅くに報告に行く必要も無いし、それならば明日に回してしまえばいいのにと自分でも思う。それでもここに来るのは彼女がいると知っているからだ。

 

「ただいま戻りましたわ」

 

 そこにいるのは数人のシスター、どの顔も馴染みがある。

 うん、お祈り中だったかな。

 

「おかえりなさい、シスター・クララ。今日もお疲れ様でした」

 

 僕の声を聞いてシスターのうちの1人が振り返る。

 この辺りがよく分からない。お祈りって中断してもいいものなのかな。

 

 と、そんなことを気にする様子もなく、件のシスターはこちらの言葉を待っている。

 歌住サクラコ───────現シスターフッドのリーダーであり、僕をシスターフッドに引き入れた人物だ。

 

「サクラコ様、本日の活動報告ですわ」

「はい。あ、そうでした」

 

 いつもの調子で終わるかと思いきや、サクラコが思い出したかのように両手を合わせた。こういう時にパンッと音が鳴らないのがお嬢様なのかもしれない、などとどうでもいい事が頭に浮かぶ。

 

「とても美味しいお菓子をいただいたのです。どうでしょう、活動報告のついでに遅めのティータイムにしませんか?」

 

 それはとても嬉しい誘いだった。よく見ると横にいるシスターも見慣れた顔じゃないか。

 

「ええ、ぜひ喜んで」

 

 このやり取りだけを切り取り、無理やりお嬢様をしていた頃の自分に見せてやりたい。人間って成長するもんだね。

 

 

 

 

 

 

 

「改めまして、本日もお疲れ様でした」

「そんな疲れることでもありませんわ」

「クララさん、そこは素直に受けとっておくところですよ」

「そうだよー」

 

 4人でテーブルを囲む。全員が修道服というのは少し異質な気もするけど、それもまたトリニティならではなのかも。シスターなんて質素な生活をするもんだとばかり思っていたけど、まあそんな生活をしてるから何と言われれば口を閉じるしかないだろうし。

 大事なのは祈りの心です、とは誰の言葉だったか。祈りの心がない僕はどうなってしまうことやら。

 

 それはそうと、2人と話すのは久しぶりな気がする。

 

「声フェチさんもアタシちゃんさんもお久しぶりですわ」

「「ちょっと待って!?」」

 

 なんて綺麗なハモリだろう。言われた通りに待つことにした。

 

「…………」

「「…………」」

「…………」

「あ、これアタシ達がなんか言わないと一生『ちょっと待って状態』だ」

「律儀な方ですねホント!」

 

 はあぁと深いため息をつき、声フェチが絞り出すように言葉を整える。

 

「その、ええと、声フェチ……は。ちなみにですよ?声フェチさんはどっちのことですか?」

「もちろん貴女ですわ」

「何故!?私そんな癖を抱えたつもりはありませんけど!?」

「……こ、声フェチて……!んぐっ、たっ確かにオタクではあるけど……んふふっ」

「レン!!!お黙りなさい!!!!!」

 

 キッと僕を睨む声フェチ。

 

「良いですかクララさん。私は誇り高き声優オタクであり、間違っても声フェチなどではありません」

「はぁ」

「そして私には半田メリーという名があります。間違っても声フェチさんではないのです」

「そういえば初めて名前を知りましたわね」

「たしかに名乗った覚えはありませんが……」

 

 アタシちゃんが声フェチ……じゃなくて声優オタク……じゃなかった、メリーの肩を叩く。

 

「まあまあ、どっちでもいいじゃん。アタシは『アタシちゃん』呼び好きだよ」

「貴女はそりゃそうでしょうね!……ちなみに彼女は鵜飼レンですわ」

「ちょっと、自己紹介の機会を奪わないでよ」

「このまましないつもりだったでしょうに」

「そんなことないけどなー」

 

 と、ここで違和感を覚える。

 

「アタシちゃんさん、そんな話し方でしたっけ?」

「アタシちゃん"さん"ヤバ。敬語やめたんだよね、クララちゃん見てたらなんか無理しなくてもいいかなって」

「私がせっかく教えてあげましたのに」

「向き不向きってあるよ」

 

 やっぱり僕も無理してやる必要なかったんじゃないか。まあ今更か、アタシちゃんもスタートラインは同じわけだし。

 

「"ちゃん"と"さん"が同居してるの中々面白いけど、結構呼びにくくない?アタシちゃんでいいよ」

「アタシちゃん」

「そうそう!」

「オタクちゃん」

「そうそ……お、おぉ、うーん……」

「葛藤してるね」

 

 数秒悩んだ末にメリーはふぅと息を吐いた。

 

「これがオタクに優しいギャルさんですか……」

「ウケんね」

「でしょうね」

 

 何を言ってるかはわからなかったが気に入って貰えたようだ。

 

 

 

「───────それで」

 

 それまで静かだったサクラコが口を開いた。

 

「私は、どうでしょうか」

「……?」

 

 ……………………?

 え?

 何が?

 

「あー、これは……」

「なるほどね」

 

 え、なに?勝手に2人だけで納得しないで教えてよ。どういう状況なのこれ。

 

「レンさんは『アタシさん』」

「草」

 

「メリーさんは『オタクさん』」

「早くもその呼び方を許したことを後悔しそうですわ」

 

「では、私は?」

 

 ああ、そういうこと。

 

「サクラコ様ですわ」

「………………」

 

「まあそうなるよね」

「傍から見ると結構残酷ですわね」

 

 なんだよう。サクラコの呼び方はサクラコ様でいいでしょ。みんなそう呼んでるんだしさぁ。

 

「いわゆる、渾名というものでしょう。本来の名前とは異なる、特定の仲の人間の間で使われる呼称であると認識しております」

「はぁ、まあそうですわね」

「では、クララさんが私に渾名を付けるとしたら?」

「えぇ?サクラコ様の渾名……そもそも渾名で呼び合う仲ではないのでは?」

「ああ!流石に酷すぎます!」

「火の玉ストレートえぐー」

「ほら見てください!サクラコ様が笑顔で固まってしまいましたわよ!」

「こ、これワタクシが悪いんですの!?」

 

 なんだか僕が悪い雰囲気なので一旦弁解させてもらう。

 

「だって一応ワタクシ達のリーダーな訳ですし」

「一応て」

「一般的に上司などに礼節を欠く言動をすると良くないらしいですわよ。くだらないですわね、まるでその他の万人に対して礼節を欠く言動が認められているかのような言い草ですわ」

「すごい、常識がないようでめちゃ善人だ」

「教習所の試験みたいな話ですわね」

「メリー、それ伝わらないよ多分」

 

 何の話だろう。

 

「渾名という概念はワタクシも理解しております。関係の深い相手に対して親愛を示すための呼称、友達の証というわけですね」

「間違ってはいませんね」

「そんな硬い言い方になる?」

「つまるところ、友人ではなく上司と部下の関係であるサクラコ様とワタクシの間には存在しない概念となるわけです」

「2撃目ですわね」

「これはひどい」

 

 いや待てよ。

 

「なるほど!ワタクシ達シスターフッドはいわば秘密組織、その長であるサクラコ様の名前を無闇矢鱈に呼ぶなということですわね!」

「ちょ、ちょっと待ってください!」

「ええ、ええ!合点がいきましたわ!ではそうですわね……うん、これからは『ボス』とお呼びしますわ!!」

「いっいえそんな……くぅ、しかし……」

 

 サクラコの顔が険しくなる。

 

「あれどういう顔?」

「おそらく『ボス』が渾名にカウント出来るかどうかで葛藤してるんでしょう」

「ウケる、そんなに固執しなくてもいいでしょ」

「サクラコ様にとっては大事なことなのでしょう」

「難儀だ」

 

 

 

 その後数分の熟考の末、呼び方はおまかせということになった。そもそも指定されるものじゃない気もするけど、まあいいか。

 

「サクラコ様はぼっちなんだよね。純真でいい人なんだけどなんかこう、上手くいかないよね」

 

 と、解散後にアタシちゃんことレンがこっそり教えてくれた。

 

 いやでも友達になるのって上司部下の関係からは難しい気がする。

 うーん、サクラコの今後に幸あれってことで。

 

 

 ちなみに夜遊びに出かけたことは報告し忘れた。

 

 

 




そういえばクララの過去についてですが、そこそこにぼかしてハナコに伝えています。
ハナコ的には「早めに成人認定される国の出身。戦争の中家族や婚約者などの親しい人達も死んでいき、命からがら身一つでどうにか逃げ出してキヴォトスに来た」くらいの認識です。
ネタバレ防止で感想への返信はしないようにしていますが、全てしっかりと目を通してモチベにしてます。
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