始祖鳥が羽ばたく時   作:クローサー

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懐かしのゲームの要素を使って何か書いてみたいなー、と。
取り敢えず助走を付ける。


秘匿名『始祖鳥』

先進11ヶ国会議。

神聖ミリシアル帝国の港町カルトアルパスにおいて、2年に1度開催される各文明圏の有力な文明国による国際会議であり、世界に多大な影響力を持つ大国が参加。参加国のみが今後の世界の流れを提案して議論し、決定することができる。

それは参加するだけでもこの世界では名誉なことであり、世界中から「大国」として認識される。

 

しかし中央暦1642年4月30日より開催された先進11ヶ国会議は、3つの事件を引き起こす。

 

一つは、エモール王国の「空間の占い(未来予知)」による古の古代帝国、ラヴァーナル帝国の復活の観測。

一つは、先進11ヵ国会議参加国として新たに招待されたグラ・バルカス帝国による全世界同時宣戦布告。

一つは、グラ・バルカス帝国艦隊襲来によるカルトアルパスへの攻撃(フォーク海峡海戦)

 

特にフォーク海峡海戦による結果は悲惨な物となる。カストアルパスはグラ・バルカス航空隊による空襲を受け、先進11ヶ国会議の為に集まっていた各国艦隊は完全に殲滅。更に海戦の生存者の中で非協力的な者達に対して、グラ・バルカス帝国は公開処刑を行なった。

 

列強及び文明国の各国はこれに対し完全に激怒。総力を結集し、グラ・バルカス帝国に対する懲罰を決定しようとしていた。

 

ここで少しばかりの出来事が、後の戦いの形相を完全に塗り替える事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中央暦1642年7月10日。

ミリシアル帝国帝都、ムーンポリス。

その中心地にあるアルビオン城の大会議場にて。

 

「余は、怒りを抑えきれぬ。この王宮を破壊し尽くしても尚、満足出来ない程の。筆舌に尽くしがたい程にな……!!」

 

最上席に座る現ミリシアル皇帝 ミリシアル8世が凍える程に冷たい声と、烈火の如く放たれている怒気に、緊急御前会議が開かれた大会議場の空気は支配されていた。

多くの出席者達はその空気に呑まれ、額や背中に湿りを感じ取る。

 

「愛すべき我が民を、神聖ミリシアル帝国の臣民を無差別に殺戮し、アルトカルパスを破壊し、世界の長たる神聖ミリシアル帝国を辱めた彼の国(グラ・バルカス帝国)は…随分と我等を見くびっているようだな…!異世界より出現したなどという言い訳など最早通用させぬ…!」

「余は世界の導き手たる帝国の長として、この世界と人類を侮辱したグラ・バルカス帝国に、神罰を下す事を宣言する!!」

 

彼は、普段の冷静沈着な佇まいから「賢王」として知られている。

だからこそ、ここまで感情を露わにし、賢王らしからぬ怒声と共に放たれるソレは、声量以上の威圧感を聞いた者に与えていた。

 

「世界の主力部隊を集結させて「世界連合軍」を組織し、第二文明圏から奴等を叩き出し、奴等の本土を焼き払うのだ!!」

「…では、会議を始めよ」

 

怒りの余りに戦闘宣言までしてしまったが、どちらにしろグラ・バルカス帝国との戦争は既定事項も同然。会議の進行が早くなったと考えれば寧ろ良い事だろう。

この会議には、国家運営の幹部達が顔を揃えている。特に軍事関係の者達が多く、対グラ・バルカス戦争計画の発表は順調に進んでいく。

 

戦略を簡単に纏めると、以下の通りとなる。

・まずは敵の兵站や増援を断つため、敵艦隊を撃滅する。

・出撃戦力は第1〜第3艦隊。フォーク海峡海戦前に勃発していたマグドラ沖海戦にて壊滅した第零式魔導艦隊は、物量差と航空支援が不足していた事が敗因。第1〜第3艦隊に配備している戦力なら、十分な物量及び航空戦力を保有している為、二の舞にはならない。

・今回の作戦に於いては、極遠距離による合流時間と戦力の問題から第三文明圏の戦力は除外する。但し、文明圏外に位置している日本国は十分な戦力を保有している事が考えられる為、例外的に打診を行う。(変わらず距離の問題がある為、打診のみ)

 

以上の事が決定し、緊急御前会議は終了。

敬礼の後にミリシアル8世を除く全員が退室し、静まり返った大会議室にて、彼は静かに呟いた。

 

「…場合によっては、か。一考の価値はあるな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから約6ヶ月後。

世界連合艦隊がマギカライヒ南東沖に集結、バルチスタ海域に向け西進を開始して数日が経過していた最中。

魔帝対策省古代兵器分析戦術運用部の部長を勤めるヒルカネ・パルメは、仮面を被った1人の女性の部下と共にアルビオン城に訪れていた。

 

その理由はミリシアル8世直々の呼び出しを受けて、である。

 

(一体何事なんだろう…しかも、私1人でなく…)

 

従者の案内によって皇帝の居室まで案内され、従者のノックを合図に扉が開く。

中にいた皇帝専属の従者に促され、2人は入室。部屋奥にテーブルと椅子が設置され、その一席にミリシアル8世が座って待っていた。

 

「かけるが良い。茶でも飲みながら話そう」

 

促されるまま用意された席に2人が座ると、従者がすかさずに用意された紅茶を注ぐ。

 

「あっ、ありがとうございます」

「ふっ…上司が部下よりも緊張していてどうする?まぁ飲め、美味いぞ」

 

ミリシアル8世の言葉に、チラリと彼が連れてきていた部下を見ると、皇帝の前にも関わらず緊張など欠片も無い様子で、優雅に紅茶を飲んでいる姿が、そこにあった。

ヒルカネも紅茶を飲むが、緊張のあまり味を感じ取る事ができなかった。

 

「…それで陛下、この度はどのようなご用件でしょうか?」

「余が君達を呼んだ理由、大体は想像付いているのであろう?」

「魔帝復活の兆候を掴んだのでしょうか?」

「いや、グラ・バルカス帝国の事だ」

「…」

 

ミリシアル8世の発言に、内心でヒルカネはずっこける。

たかが1文明外圏外国家の事で、自分と彼女が呼ばれた理由がヒルカネには理解出来なかった。

 

「はぁ…アルトカルパスを急襲した野蛮な民の国と聞いておりますが…」

「グラ・バルカス帝国に対する報復措置として、中央世界と第二文明圏の有力国から艦隊を募り、世界連合艦隊を組織した。我が国からは第1〜第3艦隊を派遣し、レイフォル沖合に展開するグラ・バルカス帝国艦隊を殲滅するために向かわせている」

「はぁ…」

(…部下と違って、察しが悪いな、この者は)

 

ヒルカネの察しの悪さに少し落胆し、しかしマイペースに紅茶を楽しんでいるように見える部下が見せた一瞬の反応(察しの良さ)に少し喜びながら、話を続ける。

 

「余は念には念を入れる主義でな…本大戦に於いて、一つ決断をした。グラ・バルカス帝国艦隊を殲滅する為に…」

 

そこで一度言葉を切り、次の言葉を放つ。

 

 

「『始祖鳥』を飛び立たせる事は、可能か?」

 

 

「なっ…!!?」

「…なるほど」

 

ヒルカネが絶句する中、部下(彼女)は静かにカップを置き、皇帝と目を合わせる。

 

「部長だけでなく私まで呼ばれた理由は、そういう事ですね」

「ああ、その通りだ。二つとない『始祖鳥』の管理責任を負っている君からも、直接話を聞きたかった」

「しかし、宜しいのですか?『始祖鳥』にはまだ技術解明出来ていない部分が多数存在しています。その上、パル・キマイラならば万が一損傷、撃沈されたとしてもまだ代わりは効く方ですが、『始祖鳥』となるとそれすらもありません。無論、その様な事態にならない様全力を尽くしますが…」

「分かっている、その上で聞いているのだ。可能か、それとも不可能かを」

「…それが陛下の御決断ならば。『始祖鳥』の力を以って、陛下の怒りの根源を沈めて(鎮めて)参りましょう」

 

彼女の言葉に、ミリシアル8世は満足そうに頷いた。

 

「頼んだぞ、「エメリア」。軍部には余が話しておこう。万が一撃墜の可能性があるならば、すぐに撤退せよ」

「かしこまりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、ミリシアル帝国山間部某所。

そこは半径20kmに渡って関係者以外立ち入り禁止措置が常時取られており、不法侵入者に対して無警告の殺害が許可される程に厳重な警戒が貼られている。

その目的はただ一つ。神聖ミリシアル帝国の切り札にして古の魔法帝国(ラヴァーナル帝国)の遺産が一つ、秘匿名『始祖鳥』を外部の諜報網から逃す為。

 

大昔に山肌を削り取って作られた、『始祖鳥』専用の巨大ハンガー兼半地下研究施設。

ミリシアル8世から直々の特命を受けたエメリアは、巨大ハンガーにて長年眠り続けている『始祖鳥』を見上げていた。

普段ならば、『始祖鳥』に眠り続けている未解明技術をリバースエンジニアリングする為に張り付いている研究者達だが、現在は『始祖鳥』に接続、または入れ込んでいた研究設備を急いで引っ剥がしながら、出撃準備を進めている。

 

 

──その機体は、余りにも巨大で規格外だった。

エメリアが見上げても尚視界に入りきれぬ程の巨体に加え、胴体を2つにした所謂「双胴機」の形を成している。

 

──その武装は、余りにも巨大で規格外だった。

純粋な航空機でありながら、その巨体には戦艦クラスの艦砲が機体上部に2基4門、機体下部に3基6門も搭載されている。

それだけではなく、重巡洋艦クラスの艦砲が上部に10基20門、下部に4基8門。そして轟連式対空魔光砲…通称 アトラタテス砲が機体上下に12基ずつ搭載されている。最後に、機体下部の格納庫には多数の魔導爆弾をたっぷりと詰め込む事も可能。

その総火力は、単機で数個艦隊に匹敵するとすら言われている。

 

──その装甲は、余りにも重厚で規格外だった。

有り余る巨体、8基の魔光呪発式空気圧縮放射エンジン(ジェットエンジン)によって発揮される膨大な推力、これらの要素によって搭載を可能とした紅色の分厚い装甲は、戦艦の主砲すらも弾き返せる。

 

神聖ミリシアル帝国が開発運用している天の浮舟(航空機)。その技術開発の基礎となったのが、この機体。

全ての天の浮舟の母。故に『始祖鳥』という秘匿名(二つ名)を与えられた。

 

 

「まさか、私が生きている内に戦場に旅立たせる時が来るなんてね…」

「神聖ミリシアル帝国が貴女を手に入れてから、貴女自身が戦場に羽ばたいた事は今まで無かった」

「私達は、これから貴女の力を観測する先駆者となれる。そういう意味では私は幸運かも知れないわね」

 

空中戦艦 パル・キマイラの存在意義を今も尚揺るがし続ける、()()()()()()()()()()()の名は。

 

「貴女から見る戦場の光景は、どの様に見えるのかしら?」

 

 

重巡航戦略爆撃機 アルケオプテリクス。




重巡航戦略爆撃機 アルケオプテリクス
全長 288.7m
全幅 251m
全高 30m
最高速度 1080km/h
対36cm装甲、瞬間装甲強化シーケンス搭載

兵装
50口径30.5cm魔導連装砲 5基10門(機体上部に2基背負い式、機体下部に3基配置)
55口径20.3cm魔導連装砲 14基24門(上部10 基、下部4基)
アトラタテス砲12基(上下6基ずつ)
500kg魔導爆弾120発(機体下部2箇所に格納)
魔導電磁レーダー

機関
魔光呪発式空気圧縮放射エンジン8基
垂直離着陸用反重力魔導エンジン4基


概要
ラヴァーナル帝国が開発した超兵器。
現在では神聖ミリシアル帝国が保有している1機のみが現存及び運用を可能としており、リバースエンジニアリングが進められている。
航空機として間違いなく最大最強の性能を誇る本機は、規格外の双胴と巨体によるエンジン出力によって、航空機でありながら戦艦クラスの主砲を始めとした多数の砲台を搭載し、数個艦隊レベルの大火力を発揮可能。それに加えて「航空機」であるが故の圧倒的な機動力を持っているのにも関わらず、マーキュリー級魔導戦艦の主砲弾すら弾き飛ばす程の装甲を持っており、総合的な戦闘力はパル・キマイラを完全に凌駕している。

本機が発見された事をきっかけに不透明となったパル・キマイラの存在意義(建造目的)について、魔帝対策省古代兵器分析戦術運用部は長年議論を進めているが、未だに明確な結論は導き出せていない。


元ネタ
鋼鉄の咆哮シリーズに登場している超兵器「アルケオプテリクス」。
日本国召喚の世界観に合わせる為に性能は幾らか弱体化させてはいるが、それでも超兵器らしさを出す為にガッツリとした性能にはしている。
ついでに天の浮舟のマザーマシンにした為、天の浮舟全般の性能も幾らかマシになっている。
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