私は四谷みこ、見えるようになった人だ。
オバケや幽霊は信じてなかったし、そういうのはいないと思っていた。突然、私はそういうのが見えるようになってしまった。グロいし、汚いし、臭いし、うるさいし。兎に角、ほんとに困っていたときに寺生まれで幽霊が見えるというセンパイのことを思い出した。
無我夢中で帰ろうとしているセンパイを呼び止めて、なんとか私にくっついていたオバケは祓ってもらえた。………あれをお祓いと呼んでいいのかは疑問だけど。学校にいるときはセンパイのおかげでオバケは寄ってこないし、わりと強い?魔除けグッズも貰えた。
「みこ、どしたのそれ!?」
「おはよ、ハナ」
私は後ろから抱きついてきた百合川ハナの柔らかな弾力に少しだけ嫉妬しながら立ち上がり、ふと窓の外を見るとセンパイに蹴り出されたオバケとは別のオバケがいた。
「そういえば昨日の夕方にね。寺生まれのセンパイが『破ぁっ!!』ってやってたんだ。いやぁーっ、やっぱり本物は違うね、ビーム見えたもん」
「へ、へぇ、そうなんだ(いやいやいやいや、センパイの出したあのビームが見えるのになんでオバケや幽霊が見えないの!?えっ、ハナってそんなに鈍いの!?それともホントに私が変なのに好かれて……めっっっちゃ怖いのいる)」
私とハナの間を通り抜けようとするオバケの頭に、どこからともなく現れた御札つきの爪楊枝が突き刺さり、そのまま「破あぁっ!!」の声とともに御札も爪楊枝もオバケと一緒に消えてしまった。
今のは見えたよね。と、私はハナを見上げると恥ずかしそうに身体をくねらせながら頭を振っていた。なんでなの!?とさっきまで話してたのに、どうして肝心なところだけ……。
そんなことを考えているとセンパイが見えた。3年生の教室は校舎の反対側だから、あとでお礼と今日もお守りになってもらおう。
「ところでさ、みこ。私の見間違いじゃなければ梵字のタトゥーいれてる?」
「えっ、いや、違う違う。これはテレビでやってた開運のおまじないの真似だから、すぐに水で洗えば消えるやつだよ」
「そうなんだ。よかったぁ…」
そう言ってまたハナはメロンパンを頬張り、私と一緒に教室に入っていく。ちらりとセンパイのいたところを見れば
もうセンパイはいなかった。
たぶん、教室に行ったんだろう。
「みこ、行くよ?」
「あ、うん」
さっきの御札と爪楊枝も私がオバケや幽霊に気付かれないように気遣ってくれたのかな?と私は改めて「寺生まれってすごいなあ」と思った。
〈百合川ハナ〉
女子高生。
めちゃくちゃ膨大で強大な生命パワーを持っている女の子。みこちゃんの親友で「開運の梵字(オバケ対策)」を一緒にやってくれたりする。みこちゃんに寺生まれのT子さんで幽霊を見えるという噂を教えたのは彼女だそうだ。