私は寺生まれのT子さんだ。
自称・弟子の二暮堂と一緒に開運スポットや霊的パワーを増大させるという胡散臭い場所を巡りつつ、私の『破ぁっ!!』について教える。
……とはいえ。ほんとに感覚的な問題だし、ばっちゃいわく「霊丸はいつの間にか出来るようになっているものじゃて」だそうだ。
「師匠、此処は由緒正しい霊媒師の暮らしていたという場所で正しき心の持ち主の霊的パワーを引き出してくれるそうです!」
へぇ、そうなんだ。
私は二暮堂の解説に感心しながら祠の上に腰掛け、ニマニマと気色悪い笑みで女の子の参拝客の胸を凝視するオバケに向かって光弾を叩きつける。しかし、こんな変態のどこが由緒正しいのか。
イマイチ私にはわからない。そんなことを考えていると二暮堂が「師匠、このお社にお参りすれば霊力は上がるそうです!」と言ってキツネやタヌキ、イタチなど沢山の動物霊の並んだ小さなお社を指差す二暮堂に呆れる。
まあ、べつにいいか。と、あまり考えることなく二暮堂と一緒にお参りする。お賽銭は五十円くらい入れておけば問題ないかな?
「………は、破あぁーーーっ!!」
なにしてるの、二暮堂?
「い、いえ、お参りしたので」
あーっ、なるほど。確かにご利益はありそうな雰囲気だったけど。二暮堂の場合は霊力の集め方を覚えられればOKだから、あんまりお参りとかは関係ないんじゃないかな。
そう彼女に言いながら私はばっちゃに貰ってきた霊撃輪具を二暮堂に手渡す。ほんとは拳銃型の霊力貯蔵庫と併用して使うらしいけど、さすがに高校生にもなってオモチャを持ち歩くのはねえ?
私の言葉はとっくに聞こえていないのか。
二暮堂はキラキラとした目で指輪を見つめている。んーっ、まあ、喜んでくれてるし、そこまで深く考えるのはやめておこう。なんかめんどいし。
「えと、これはどうやって使うんですか?師匠みたいに『破ぁっ!!』ができるんですよね。その、もっと教えてもらえると、うれしいです」
そこまで難しくないわよ?
私はそう言うと霊撃輪具を右手の人差し指に嵌めた二暮堂の後ろに回り込み。彼女の右手に私の右手を重ねて、霊力的なヤツの流れを教える。
「こう、いや、こうかな?」
シュバッ!と指鉄砲を構える二暮堂。ちっちゃくてかわいいから警察の真似してるみたいですごくキュートだ。四谷たちにも見せてやろう。
そんなことを考えながらスマホを弄っていたとき、ふと二暮堂の方を見ると明らかに溜め込みすぎた霊力的なやつが周囲のオバケや幽霊を消し飛ばしながら膨れ上がり、なんか元気玉みたいになってた。
二暮堂、ぱねぇわ……。
〈霊撃輪具〉
補助霊具。
霊界探偵七つ道具。T子さんが二暮堂ユリアにプレゼントした霊丸を作るために必要な霊力的なヤツの流れをスムーズにするアイテム。ちなみにT子さんは一度も使ったことがない。