ウルトラマンX -怪獣のキズナ-   作:ライフォギア

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第1話 3つの世界

 とある世界、市街地。

 その一角では戦闘が繰り広げられていた。

 

 

「メガトンテールッ!!」

 

「この……ォ!!」

 

 

 2人の女の子が飛び跳ね、尻尾や頭突きで黒い影のような不気味な物体を倒していくという光景。

 既に民間人は避難しており周囲には彼女達と黒い影しかいない。

 彼女達は『怪獣娘』。

 かつてこの世界に現れた怪獣の魂──『カイジューソウル』を宿し、その力を使って黒い影──『シャドウ』という敵と戦う女の子達だ。

 勇壮な掛け声で尻尾を叩きつけた女の子は『ゴモラ』の魂を宿した『黒田 ミカヅキ』。

 物静かな声とは裏腹に、豪快に走って頭突きをかます女の子は『アギラ』の魂を宿した『宮下 アキ』。

 

 こうなった経緯は非常に簡単。

 彼女達は2人で遊びに町へ繰り出していたところシャドウの出現に鉢合い、退治する為に戦いを始めたのだ。

 

 

「ふいー、これでちっこいのは全部?」

 

「そうだね。後は……」

 

 

 小さな、ナメクジのようにうねうねとしている個体を片付けた2人。

 それが基本的なシャドウ。幾つかのタイプがあるが小型で、複数体湧いてくる、所謂雑魚。

 そして一方、アキが目を向けた巨大な個体。

 彼女達の2倍以上の背丈を持ち、大きな口と尻尾、短い前足と、絵に描いたような怪獣のフォルムをしていた。

 これが『シャドウビースト』。

 シャドウの中でも強力な個体で、これまた幾つかのタイプがあるが、共通しているのは相当に強いという事。

 

 

「ゴモたんがいてくれてよかった。ボク1人じゃ、まだ倒せないと思うから」

 

「いやいや、アギちゃんだって強くなったじゃん! 

 それに私も1人だったら大苦戦だし、こっちの台詞って奴だねー、それ」

 

 

 怪獣娘はお互いを怪獣の名前、ないしそこからもじったあだ名で呼び合う事が多い。

 だからアキは『アギちゃん』だし、ミカヅキは『ゴモたん』になるわけだ。

 怪獣娘になった日数で言えばミカヅキはアキの先輩に当たり、それは即ち戦闘経験の長さにも通じる。

 はっきり言ってミカヅキはアキよりもずっと強い。

 アキも当初よりは強くなっているが、未だ差はあると言い切れる程度には。

 そのミカヅキですら苦戦するのがシャドウビーストという個体だ。

 そんな中でアキの助力があるのとないのとでは全く違う。

 ミカヅキの言葉は事実にして本心であった。

 

 獣型のシャドウビーストが吠えた。

 巨大な見た目通りの巨大な声だが、2人は怯まずに対峙する。

 

 

「んじゃ、アギちゃんとのデートも再開したいし、なるはやでいくよーッ!!」

 

「何言ってるの……。ん……?」

 

 

 冗談を飛ばす様な言い方で2人でのお出かけをデートと称するミカヅキに呆れるアキは、同時に異変に気付いた。

 いや、『異変』というよりは『気配』。

 シャドウでも怪獣娘でもない『何か』が、シャドウビーストの近くを高速で横切った。

 

 

「おっ、ちょっ、何事ッ!?」

 

 

 跳び出さんとしていたミカヅキは出鼻を挫かれ、ややオーバーリアクション気味に片足でおっとっととふらついて見せる。

 アキはそんなミカヅキを一瞥しつつ、その『何か』を目で追った。

 

 『何か』が再びシャドウビーストを横切る。

 瞬間、シャドウビーストは何かの攻撃を受けたように怯んでいた。

 攻撃を仕掛けたのは横切った『何か』である事は明白。

 その『何か』は、近くの電灯の上に立ち、動きを停止した事で、初めてその姿を露わにする。

 

 

「成程……効かない、か。怪獣の力を宿した娘の力でないと倒せないというのは、本当らしい」

 

 

 その姿は明らかに人間ではなかった。

 怪獣娘は怪獣の面影が残る鎧こそ装着しているが、見た目はほぼ普通に女の子である。

 しかし姿を現した『何か』は違った。

 顔も、体も、手も、足も、何もかもが人間ではない。

 そう、それはバルタン星人テナタスの姿だった。

 

 テナタスの言葉通り、シャドウビーストは怯みこそすれ、傷1つ付いていない。

 それもその筈。『シャドウはどういうわけか怪獣娘にしか倒せない』のだ。

 だからこそシャドウ出現の際に警察や軍隊は出撃せず、怪獣娘が対処を行っているのである。

 

 突如現れるシャドウ以外の完全な人外の姿に戸惑うアキとミカヅキ。

 一方、それには目もくれず、テナタスは小さな容器を──『カプセル』を取り出した。

 

 

「だからこそ、このケダモノの力がいる。貰うぞ、お前の力」

 

 

 彼はそのカプセルを掲げた。

 するとミカヅキ達にとって信じられない事に、シャドウビーストがカプセルに吸い寄せられるように宙に浮いたのだ。

 さらにその巨体はみるみるうちに小さくなり、最終的には手のひらサイズのカプセルに完全に吸収されてしまった。

 無地だったカプセルには黒と紫で描かれた絵柄が、シャドウビーストの絵が浮かび上がっている。

 

 これは『ウルトラカプセル』。

 ライザーと同じく、ジードの宇宙に存在している代物。

 元はM78星雲の存在する宇宙のウルトラマンが開発した物だが、紆余曲折を経て、現在は

 ジードの世界に存在しているのである。

 カプセルは内部にウルトラマンの力を宿しており、それをライザーで解放する事でジードはその力を行使しているのだ。

 

 そしてもう1つ、ベリアルの陣営が開発した『怪獣カプセル』が存在する。

 これはウルトラカプセルを模造したもので、ウルトラマンではなく怪獣や宇宙人の力を宿したカプセルである。

 テナタスが掲げたカプセルは怪獣カプセルだった。

 彼はそのカプセルの中にシャドウビーストを取り込んだのだ。

 

 

「ちょいちょい、貴方! 一体何者!?」

 

 

 ミカヅキが臆せずにテナタスへ、人差し指をビシッと向けながら問う。

 彼はゆっくりとミカヅキとアキの方へ振り向くと、電灯からゆったりとした挙動で降りてきた。

 

 

「ゴモラにアギラ……これが怪獣娘か」

 

 

 ミカヅキの問いかけには答えず、冷静に観察するような物言いだった。

 敵意や殺意のような物騒なものは感じないが、アキはそれでも顔を顰めた。

 

 

(何だろう……良い人、には思えない。確証もないけど……暗い感じがする……)

 

 

 彼女が感じた『暗さ』というのは性格的なものではなく、何かもっと『闇』のようなものだと感じた。

 何も敵対行動をとってきてはいない相手だが、警戒が一切緩められない。

 元々アキは気配に敏感なところがある。その彼女が、そう感じていた。

 

 

「安心するといい、お前達に危害を加えるつもりは無い。目的は果たした」

 

 

 彼はそう言ってカプセルをしまいこんだ。

 それと入れ替わりで時空を超える銃を取り出して、背後を向いて撃ちだす。

 銃の効力によりテナタスの背後の空間に時空の穴が開いた。

 突然開いた不思議な穴に、そして次々と起こる怪現象を前にして戸惑いを隠せない2人の怪獣娘。

 そんな2人を余所にテナタスは穴へと入っていく。

 そうしてテナタスが完全に穴の中へ消失し、穴自体も徐々に閉じようとしていた。

 

 

「ちょ、名前も名乗らず!? おまけにシャドウビーストをどうしたのかも分かんないし!」

 

「ゴモたん、どうする……!?」

 

「うー……こうなれば!!」

 

 

 ミカヅキは常人離れした速度でその穴へ近づいた。

 今にも閉じようとする穴の間近で静止すると、彼女はアキの方へ振り向く。

 

 

「アギちゃんはこの事をみんなに伝えて!」

 

「ゴモたんは!?」

 

「私はあの人を追ってみる! ま、心配しないでね。いってきまーす!!」

 

「待ってゴモたん! 無茶だよ!! ねぇ!?」

 

 

 無茶だよ、という言葉の時点でミカヅキは既に穴の中へ突入してしまっていた。

 思わず後を追おうと走り出すアキ。

 速度を上げて手を伸ばすも、閉じようとしていた時空の穴は完全に消失し、アキの手は虚空に空振りするばかりだった。

 

 あまりにも呆気なく、ただ何処かへお出かけするくらいの軽さで、ミカヅキは行った。

 何が起こったのか、何処へ行ったのか、そもそも帰って来れる算段はあるのか。

 色んな考えと想いが一挙に去来し、自分も怪獣娘という常識外れな存在なのに、そのあまりにも日常とかけ離れた事態にアキは混乱している。

 

 

「ゴモ……たん……?」

 

 

 現実味が無さすぎるその別れに思考が追いつかないアキは、わけもわからずその場に立ち尽くすしかなかった。

 

 

 

 

 

 怪獣娘が存在している世界とも、ジードのいる世界とも違う世界。

 此処はウルトラマンゼロの故郷、M78星雲・光の国がある世界。

 そのとある星で相対する2匹の怪獣がいた。

 

 1体は『凶暴怪獣 アーストロン』。

 そしてもう1体は『古代怪獣 ゴモラ』。

 

 怪獣同士の戦い。

 しかしそれは縄張り争いのような野生同士の戦いではなかった。

 ゴモラの近くには1人の青年が、青と金を基調とした2本角を思わせる意匠の特徴的な機械を手にしながら立っていた。

 

 

「行け、ゴモラ!!」

 

 

 青と金の機械──『ネオバトルナイザー』を掲げ、その青年、『レイ』が声高に叫ぶ。

 そう、ネオバトルナイザーを使うレイは『怪獣使い』、またの名を『レイオニクス』。

 彼は『ZAP SPACY』の『スペースペンドラゴン』という艦に所属し、その仲間達と共に輸送任務でこの星に立ち寄った。

 そこに偶然発生した野生の怪獣・アーストロンが着陸していたスペースペンドラゴンを襲おうとしたので、彼はゴモラと共に防衛の為に戦っているのだ。

 

 ゴモラとアーストロンの戦いは圧倒的にゴモラ優勢だった。

 勿論ゴモラという怪獣が強力である事は確かだ。

 だが、アーストロンも決して弱い怪獣ではない。

 それでもゴモラが圧倒的なのは、レイというレイオニクスの力で強化されているから。

 しかも多数存在しているレイオニクスの中でもレイは『最強』の名を持っている。

 そんな彼が相棒として連れているゴモラもまた、ある種の最強と言える。

 野良怪獣に負けるはずが無かった。

 

 圧倒的なゴモラの力を前にアーストロンもこれは敵わないと見たのか、その巨体を翻し、どたどたと惑星の奥地へ逃げていく。

 

 

「もういい、ゴモラ。よくやったな、戻ってくれ」

 

 

 ネオバトルナイザーを掲げると、ゴモラがみるみるうちに小さな光となってネオバトルナイザーの中に格納されていく。

 追撃もできたが、わざわざ逃げる相手を倒すような真似はしない。

 それはZAP SPACYという組織が、スペースペンドラゴンという艦が、あくまでも輸送を目的にしている戦闘部隊ではないという彼等のプライドだ。

 

 一先ず、着陸していたスペースペンドラゴンを襲おうとしていた怪獣は追い払った。

 そこに『ヒュウガ』──通称、『ボス』からの通信が入る。

 

 

『レイ、よくやったな。この星で必要な物資は回収した。

 引き上げるから、ペンドラゴンに戻れ』

 

「了解だ、ボス」

 

 

 ボスの声は微笑んでいるのであろうか、男らしさを感じさせつつも柔らかな声色だった。

 対するレイも短い返答の後、ネオバトルナイザーをしまい、ペンドラゴンへ足を向ける。

 

 ──────その瞬間、風が通り抜けた。

 

 

「ッ!?」

 

 

 咄嗟に身構え、両手をクロスさせて防御姿勢を取るレイ。

 突然吹き付けた突風は人を吹き飛ばしかねない程のもの。

 自然な風には思えない。いや、そもそも、風とすら思えない程のものだった。

 

 

(何だ……!? 風じゃない、何かが高速で通り抜けた!?)

 

 

 風の行く先、自分の背後へ咄嗟に振り返った。

 そこにいたのは1人の宇宙人の後ろ姿。バルタン星人テナタスだった。

 彼は右手のハサミの先端に赤い液体──血を滴らせていた。

 それを見たレイは右手の甲に走る痛みを認識し、目を向ける。

 見れば切り傷のようなものがついて、そこからは血が流れていた。

 

 怪我そのものは何てことは無い。

 が、怪我をさせてきたという事は明確に悪意を持っている事と受け取れる。

 敵意を感じ取ったレイの目つきは鋭くテナタスを捉えていた。

 

 

「何者だ!!」

 

「貴様が最強のレイオニクス、『レイモン』だな。

 ……先程の戦闘、見させてもらった。流石に強力なゴモラだ。

 光の国のウルトラマンと比べても遜色ないと言えるほどの力を感じたぞ」

 

「質問に答えろ! 貴様は何者だ! ……まさか、レイオニクスの生き残りか!?」

 

 

 レイモン。それはレイの本名であり、同時にテナタスはレイがレイオニクスである事も知っているようだった。

 悠々と語るテナタスは苛立ちを見せるレイを気にも留めず試験管のようなものを取り出した。

 蓋を開け、その中にハサミについた血液を入れて、再び蓋を閉じる。

 まるで血液を採取するかのような行動を見せたテナタスは、そこで漸くレイの方を向いた。

 

 

「質問に答えよう。私の名はバルタン星人テナタス」

 

「バルタン星人、テナタス……?」

 

「私はレイオニクスではない。……『これ』は持っているがな」

 

 

 言いつつ、彼はボトルと入れ替える形で四角い形のデバイスを取り出した。

 3つの画面に分けられた直方体のそれ。

 レイはそれに見覚えがある。いや、かつてそれを所有していた。

 それこそは『バトルナイザー』。怪獣使いの証である。

 ネオバトルナイザーはバトルナイザーの進化形であり、レイも以前はその形状のバトルナイザーを使用していたのだ。

 

 

「バトルナイザー……!?」

 

「ある惑星で手に入れた。尤も、貴様には関係ないが。

 ……話は終わりだ。さらばだ、レイモン」

 

「おい待て!!」

 

 

 テナタスはバトルナイザーをしまい、さらにまた入れ替わりで時空を超える銃を取り出し、背後へ向けて銃を撃った。

 時空の穴が開いてテナタスはその中へ消えていく。

 追おうとするレイは反射的に駆けだそうとしてしてしまうが、それを止めるかのように背後から彼の名前を呼ぶ声が聞こえた。

 

 

「レーイ!!」

 

「ッ、ボス!!」

 

「レイ! どうした、何があった!? 妙な宇宙人と話しているのは見えたが……」

 

「……話は後でする! バトルナイザーを持っている奴が、俺の前に現れた!」

 

「何だと! レイオニクスの生き残りなのか!?」

 

「いや、どうやら違うらしい。だけど、何か妙な事を企てているようだ。

 レイオニクスの……レイブラッドの力を悪用しようとしているなら、見過ごせない! 

 俺は奴を追う。説教も後で必ず受ける! だからボス、すまない!!」

 

 

 早口でまくし立てたかと思えばレイは閉じかけている時空の穴へと駆けだし、飛び込んだ。

 テナタスが空けた時空の穴との距離はそれなりにあったが、レイオニクスには通常の人間以上の身体能力がある為、易々とその距離を駆け抜けて見せたのだ。

 だが当然、状況を飲み込めていないボスは駆けだす事も間に合わず、閉じる時空の穴を見送る事しかできなかった。

 

 

「レーイ!! ……くっ、レイ、応答しろ!!」

 

 

 手にした通信機で交信を試みるが一切の応答が無い。

 今しがた現場に来たボスでは時空を超えたなどと判別できるはずもないが、ただ通信も届かぬ遥か遠くに、あるいは異空間に飛んだのであろうという事はボス自身の経験則からも容易に想像がついた。

 

 

(レイ、無事でいてくれ……!!)

 

 

 一先ずはスペースペンドラゴンに戻る他ない。

 レイの捜索を考えるにしても自分1人でできる事には限界もある。

 仲間の協力を仰ぐため、何がしかのきっかけを掴めればとボスは自分の船へとひた走った。

 

 

 

 

 

 とある世界の日中、明かりの薄い廃工場内に、3つの時空の穴が開いた。

 内部より現れるのは3人のバルタン星人。

 そのどれもが同じ姿、そのどれもがテナタスだった。

 

 3人の同一人物は顔を見合わせると頷きあい、影と影が重なり合い、1つのテナタスへと戻った。

 

 

(バトルナイザー、ライザーの残骸、シャドウのカプセル、レイオニクスの血液……)

 

 

 1つの本体と2つの分身で回収に回っていた、今の彼に必要な要素。

 確かに獲得したそれらをしまいこんだ上で、虚空に向けて彼は呟く。

 

 

「あと、1つ……」

 

 

 誰にともなく呟く彼の真意は、彼以外に知る由は無い。

 廃工場の中に消えた言葉の後、テナタスは後方に開いた時空の扉に無感情な目を向ける。

 

 

「……追ってきたか」

 

 

 後ろにはテナタスの分身達が抜けてきた時空の穴が2つ。

 それぞれが別々の世界に通じている。

 穴から駆け込んできた2つの影は、奇しくも同時にテナタスの前に姿を現した。

 

 

「追いついたぞ、テナタス!」

 

「ちょいちょい! やぁ〜っと出てこれたんだけどこの穴なに!?」

 

 

 片や、青年。

 片や、少女。

 青年は灰色と青色を基調とした制服に身を包み、少女は角やら尻尾やらコスプレもかくやという格好をしている。

 

 

「……!? 君は?」

 

「えっ、ど、どちら様っ!?」

 

 

 同時に、2人は全くの初対面であった。

 青年ことレイ、少女ことミカヅキ。

 共にテナタスを追いかけ、同じような経緯で時空の穴に突入し、今この状況に放り出された。

 彼等の事情を完全に把握しているのはテナタス1人だが、彼はただ無機質な瞳で2人を驚くでもなく見るだけだった。

 

 

「あの中を追いかけてくるとは、恐れず渦中に身を投じるか。

 好奇心は猫を殺す……地球の『セイヨウ』という場所にそんな言葉があったと記憶しているが」

 

「あらぁ、こりゃまた言葉が達者で……」

 

 

 テナタスの言葉に感心するミカヅキだが、状況が一切飲み込めていないので目の前の言葉にレスポンスを返すのがやっと、というのが正直なところだ。

 一方でレイは周囲の廃工場を見渡したのち、テナタスを睨む。

 彼は彼の経験則を持って、ある程度状況を予測できたらしかった。

 

 

「テナタス! ここは俺のいた宇宙か!? それとも、別次元か!」

 

「お前は飲み込みが早いな、レイモン。お前達2人から見て別次元であることを肯定しよう。

 流石、過去にウルトラマンゼロと肩を並べているだけはある」

 

「やはりか……目的は!」

 

「口にしても問題はないが、幾分急いでいるのでな」

 

 

 それだけいうとテナタスはまるでスライドするかのように突然に高速移動を始めて廃工場から消えた。

 否、あくまでも常人の目で見たのなら『消えた』ように見えるだけである。

 この場にいるのはレイオニクスと怪獣娘。

 いずれも『常人』ではない。

 

 

「待てッ!!」

 

「あっ、ちょっ私も!!」

 

 

 レイを先頭に2人はテナタスが飛び出していった廃工場の出入り口へ向かう。

 外に出ると、青々とした空が広がり、暖かな日の光が周囲を照らしていた。

 開けた視界の先には青々とした木々、周囲には幾らかの坂がある。

 どうやら此処は山岳地帯の中腹ほどを開いて建築された工場であるらしい。

 

 自分達がどういう場所にいるのか、そして今が真昼間である事をこの瞬間に2人は認識するも、肝心のテナタスの姿は見えない。

 

 

「この星の名は『地球』だ」

 

 

 声が上から聞こえた。

 背後、出てきた廃工場のいかにも脆そうな屋根の上にテナタスが悠々と立っている。

 彼はただ、2人を高所より見下ろして淡々と語る。

 

 

「先にも言った通り此処はお前達がいた次元ではなく、別の地球に該当する。

 だが、文明も、生態系も、それはお前達の知る地球と然程変わりはないだろう」

 

 

 言いつつ、彼は右手に当たるハサミを人型の手に変化させ、ウルトラカプセルとは異なる錠剤のような形のカプセルを3つ取り出し、天高く放り投げた。

 

 瞬間、閃光が走る。

 あまりの眩しさに咄嗟に目を覆うレイとミカヅキ。

 放られたカプセルから放たれた光が収まると、天より降ってきたのはカプセルなどでは無かった。

 

 

「故に、此処にも人間が生息している。地球の言葉で言えば、この場所の名は『ニッポン』」

 

 

 地響きと共に3体の巨体が降り立った。

 青い人型をした一つ目のロボット。

 黒を基調としつつも金の色彩が散見される、右手そのものが大きな銃となっているロボット。

 三本角を持ち、どこか生物的なフォルムをしながらも手や足が鋼に覆われたロボット。

 

 50m級の巨体がずらりと並ぶ光景にミカヅキが怯む中、レイは鋭く3体のロボットを睨みつけた。

 

 

「『キングジョーブラック』に、『メカゴモラ』……!!」

 

 

 レイには3体中2体とは交戦経験がある。

 ただ1体、初めて見るロボット怪獣が紛れているが、それには律儀にもテナタスが答えた。

 

 

「もう1体は『ヘルズキング』だ。それぞれペダン星人、サロメ星人、ベリル星人の作り上げた侵略兵器達」

 

「何故そんなものを!」

 

「兵器により成り立つビジネスもある。それは宇宙でも変わらない……という事だ。マーケットに出回っているものを強奪した」

 

「何をするつもりだ!」

 

「武力でする事は争いか破壊。今回ならば……破壊だ」

 

 

 言葉の後、沈黙していた3体のロボット怪獣達は駆動音と共に前進を開始した。

 この3体が向かう方向にレイやミカヅキはいない。

 進撃を開始した方角にあるものは、レイとミカヅキにも判別ができた。

 少々遠方ではあるが、ビルを始めとした背の高い建物が幾らか見られる。

 それはそこに、人々の生活があるという事に他ならない。

 

 

「街に向かわせる気か!?」

 

「放っておけば誰かが死ぬぞ」

 

「待てッ!!」

 

 

 再び超スピードにてテナタスはその場から消えた。

 もう一度追おうとするレイだが、3体の怪獣が歩く度に発生している地響きが彼の足音を物理的にも心理的にも止める。

 『放っておけば誰かが死ぬぞ』。

 言葉通り、このままこの3体を放置すればビルや家屋は倒壊し、人々のありとあらゆるものが破壊されるだろう。

 物も、命も。

 

 

「あ、あのあのっ! 私、全然状況分かんないんですけどッ!? 何が一体どうなってるんですか!?」

 

 

 この手の怪獣に慣れているレイとは違い、ミカヅキは半分パニック状態だった。

 怪獣娘とはかつて彼女の世界にいた怪獣の魂が転生した存在──らしいのだが、故にこそ彼女達は怪獣を『実物』として見たことはない。

 彼女等が少女として生を受けた時、既に怪獣は過去のものとなっていたからだ。

 別世界に来てしまったという事1つ取ってもレイは経験値が豊富だが、ミカヅキにはそんな経験は一切ない。

 総じて、パニックになるのはあまりにも当然だった。

 

 

「……君は逃げてくれ! 俺は、アイツらを止める!!」

 

「え、ええっ!!? 無茶過ぎません!? あの、お兄さん、怪獣娘とかそういうのじゃないんですよね!?」

 

「怪獣娘……? 何のことか分からないが、少なくとも俺には、仲間がいる」

 

 

 仲間? と首を傾げるミカヅキに、レイは自身の懐から取り出したデバイスを見せた。

 青い角のような衣装を持つ、ネオバトルナイザー。

 無論、ミカヅキにはそれが何なのかは分からない。

 

 ────分からない、筈なのだが。

 

 

(何……? 変な感じがする。あの機械から……『何か』感じる……!!)

 

 

 自分の中の心が、怪獣の魂──カイジューソウルが湧き立つような感覚。

 

 

(何だろう、何かに似てる。こんな風に感じた事が……)

 

 

 しかし、何処か知っている感覚。

 謎めいた自分の中の感情に気づくのに、そう時間はかからなかった。

 

 

(そうだ、この感じ……『友達と会えた時』に似てるんだ)

 

 

 会えて嬉しい。遊べて嬉しい。

 そんな友人との触れ合いによる高揚感に近いものを彼女は感じていた。

 ワクワク、ドキドキ。胸が高鳴る音。

 だがそれは同時に彼女へ疑問を抱かせる。

 機械を見ただけで何故、と。

 

 レイはミカヅキに背を向け、ネオバトルナイザーを天高く掲げる。

 直後に彼が叫んだ言葉は、様々な驚愕の中で混乱していたミカヅキの思考を吹き飛ばすにはあまりにも十分すぎるものだった。

 

 何故ならその言葉は。

 その『名前』は。

 

 

「行けッ! 『ゴモラ』ァァァァッ!!」

 

 

 ミカヅキもよく知る、怪獣の名前だったのだから。

 

 

 

 

 

 この世界の地球には『スパークドールズ』と呼ばれるオーパーツが存在している。

 見た目は怪獣のフィギュアだが、実は紛れもない本物の怪獣だ。

 普段は人が片手で掴める程度の大きさだが、何らかのきっかけがあれば50mを超える怪獣の姿へと実体化する。

 ある時、その『きっかけ』──異常な太陽フレア、『ウルトラフレア』が発生したために世界各地でスパークドールズが怪獣の姿へと戻り、怪獣の活動が活発化してしまった。

 『地球防衛機構UNVER』はそれらの調査・回収・怪獣被害の防衛等を受け持つ国際組織。

 そして『特捜チーム Xio』は怪獣や犯罪を行う宇宙人への防衛を行う為にUNVERによって結成された精鋭組織だ。

 

 ここはXioの日本支部。

 その研究室には、まるでジオラマのように山や海の風景が再現されているケースが幾つもある。

 ケースの中にはスパークドールズが置かれているが、これは別に人形遊びをしているというわけではない。

 怪獣ごとの本来の生息域に近しい環境を再現する事で、怪獣達の感情が安定するからである。

 

 

「ゴモラ、今日も元気そうだな」

 

 

 山を再現したケースの中に鎮座するゴモラのスパークドールズに微笑みかけ、軽く撫でている白衣の青年が1人。

 彼の名前は『大空 大地』。

 Xioの研究班の1人だが、同時に前線に出る特捜班でもある『怪獣との共存』を夢に掲げている。

 

 彼にはとある秘密──Xioには既に周知の事実なのだが──がある。

 それは彼が、『ウルトラマンエックス』である事だ。

 大地本人はまごうことなき地球人だが、ウルトラマンエックス本人と一体化し、共に戦ってきたのだ。

 戦いの中でXioのメンバーには正体も明かしており、今となってはエックス本人もXioのメンバーと仲良く談笑する事もある。

 今も尚、エックスと一心同体の身なのだ。

 

 

「ッ!?」

 

 

 今日のスパークドールズ達の様子を観察している中、突如けたたましいアラートが鳴り響いた。

 特捜メンバーに招集がかかる非常事態を告げるものだ。

 急ぎ大地は白衣を脱ぎ、その下に纏う赤と黒を基調としたXioの隊服で司令室へとかけていった。

 

 

 

 

 大地が司令室に飛び込んだのは他の隊員達とほぼ同時だった。

 司令室内には隊長の『神木 正太郎』と副隊長の『橘 さゆり』の2名がメインモニターを鋭く睨んでいる。

 大地を含む隊員4名が横一列に整列したタイミングで神木が隊員達へ振り向いた。

 

 

「F地区、廃工場のある山岳地帯付近にタイプMが3体出現した」

 

 

 現れた怪獣・異星人は種別ごとにタイプで呼称される。

 例えば怪獣ならばタイプG、異星人ならばタイプA、といった具合に。

 今回出現したタイプMはロボットを意味したものだ。

 メインモニターに映し出されたのはキングジョーブラック、メカゴモラ、ヘルズキングの3機。

 

 モニターに映るタイプM、それらの姿に女性隊員の『山瀬 アスナ』が反応を示した。

 

 

「知らないのが1体いるけど、他はメカゴモラにキングジョー。……なんかキングジョーは黒いけど」

 

 

 言葉の通り、この3体のうち2体とXioは交戦経験がある。

 特にメカゴモラは過去に撃退した際、アスナが『サイバーゴモラ』を用いて交戦した事もあり、彼女の記憶には鮮明だ。

 

 司令室後方には2人、オペレーターが控えている。

 1人は男性の『山岸 タケル』、もう1人は女性の『松戸 チアキ』。

 アスナの言葉に答えるように、タケルが声を上げる。

 

 

「メカゴモラは以前確認された個体と大きな変化は見受けられません。

 キングジョーは体色の変化以外にも、右腕部に重火器と思わしき兵装が追加されています。

 残りの1体についてはUNVER内、各地Xio支部にも情報無し。完全に未確認のロボットです」

 

「タイプMは出現後、市街地を目指して前進を続けています。このまま行けば、20分後には市街地に侵入する事になります。

 避難誘導を進めていますが、タイプMの到着までに全市民の避難完了は厳しいと、現地警察から」

 

 

 言葉を引き継ぎ、チアキがロボット怪獣達の進軍方向について説明を行った。

 人の住む地域に50m級の巨体がやってくればどうなるか。

 例え敵意がなくとも、武装を持たなくとも、ただその巨体が動くだけで大きな被害が予想される。

 まして今回は兵装を携えるロボット、おまけに3機。放っておけば甚大な被害が出るだろう事は想像に難くない。

 一刻も早く機能停止に追い込む必要があった。

 

 

「ハヤトはスカイマスケッティ、ワタルはスペースマスケッティで出動。大地とアスナは……」

 

「ッ、待ってください!」

 

 

 神木が隊員達へ指示を飛ばそうとする最中、タケルの声がそれを遮った。

 逼迫した声のそれに対し、その場の全員がタケルを注視する。

 

 

「新たにタイプGが出現! ……これって!?」

 

 

 現地をモニタリングしている映像内には確かにもう1体、巨体が出現していた。

 二足歩行を行い、茶色い体表に、三日月のような頭、長く伸びている尻尾。

 その姿はXioのメンバーがどの怪獣よりも慣れ親しんでいる怪獣。

 特に、大空大地という一個人にとっては、切っても切れない関係にある特別な怪獣だった。

 

 

「ゴ、ゴモラ……!!?」

 

 

 大地の動揺に満ちた声、その理由は大地を間近で見てきたXioメンバーにはよく理解できる。

 彼の生涯において最も長く連れ添ってきた、彼が怪獣共存を夢見た理由、彼の人生観に大きな影響を残し、今なお共に生き続けている。

 それが先程のスパークドールズ、つまり『ゴモラ』なのだ。

 

 

「……大地」

 

「隊長……」

 

「動揺するのは分かる。あれは別個体だな?」

 

「……はい。俺のゴモラは、さっき研究室で見てきたばかりです」

 

「出現した理由の推察はできるか?」

 

「タイプMの出現が刺激になったのかもしれないです。

 縄張りを荒らされたと思ったのかも……」

 

 

 明らかに衝撃を受けていた大地を冷静にさせつつ、神木が1つ1つ質問を投げかける。

 大地は怪獣の生態についてはXio、延いてはUNVER内でも指折りの知識を持つ。

 現れた怪獣に対しての作戦立案の指針に大地の進言が影響する事からも、それは伺える。

 

 モニターにはロボット怪獣と戦うゴモラの姿が映し出されていた。

 3体のロボット怪獣を相手取るゴモラは、機敏な動きで数の違いをものともせずに善戦している。

 しているのだが、それを見ていた副隊長の橘はどうにも違和感が拭えなかった。

 

 

「……妙ですね」

 

「どうした?」

 

「いえ、気になった事が。

 大地隊員。貴方の推察ならば、あのゴモラは縄張りを荒らされた事に怒っているのよね?」

 

「はい、野生動物と同じです。あの辺りは町外れで山岳地帯も近いですし、ゴモラ本来の生息域に環境が似ていると思われます」

 

「……だとしたら、ゴモラの動きはやはり妙よ」

 

「えっ……?」

 

 

 言われて、大地はモニター上のゴモラの戦いを注視する。

 3体のロボット怪獣を相手にするゴモラは、わざわざロボット怪獣達の前に立ち塞がり進路を塞ぐような素振りを見せていた。

 キングジョーブラックがゴモラを無視して進軍すれば、わざわざそれを捕まえて元の位置にまで引っ張ろうとする。

 その行動は外敵の排除とは異なり、むしろ────

 

 

「ゴモラは、『ロボットをその場に留めようとしている』……?」

 

「ええ。私にも、そう見えるの」

 

 

 縄張りから外敵を排除するのならば外へ追い返そうとするのが普通だ。

 わざわざ自分の縄張りの中に押し込めてまで完全に駆除、もしくは抹殺しようなどという動きをする怪獣は稀である。

 そのレベルで好戦的な怪獣は、それこそ『スペースビースト』と呼ばれる種族くらいだ。

 少なくとも大地の知るゴモラという怪獣の生態はそこまで凶暴なものではないはずであった。

 

 

「まさか……町を守ろうとしてんじゃねぇか?」

 

「馬鹿言え。大地のゴモラなら分かるが、野生のゴモラがそんな事しないだろ」

 

 

 最初に発言したのは『風間 ワタル』、その言動に淡々と指摘をいれたのが『貴島 ハヤト』だ。

 彼等の会話の通り、野生の怪獣が人間を守るような行動を取る事は滅多に無い。

 それこそ幼い頃からずっと時間を共にしていた大地とゴモラのような関係性なら話は別だが、そんな事例が幾つも転がっているとは考えにくいのである。

 

 とはいえ、相手は『ゴモラ』だ。

 奇妙な動きを見せている事も含め、大空大地という人間が黙っていられるはずも無く。

 

 

「隊長! 俺に、現地でゴモラの調査をさせてください!」

 

「ちょっ、大地、何言ってんの!」

 

 

 神木に進言する大地を諌めようとするアスナだが、大地はなおも隊長へ前のめりな姿勢を崩さない。

 

 

「少なくともあのゴモラの動きは、副隊長の言う通り奇妙です。

 突然現れたロボット怪獣に何か関連性がある可能性も十分に考えられます!」

 

「…………」

 

 

 どうしたものか、と神木は思案していた。

 怪獣共存を掲げる大地は、とりわけゴモラの事になると特に必死になる。

 彼にとっては家族同然の怪獣なのだから当然ではあり、別個体とはいえ目の色を変えるのは必然かも知れない。

 この『奇妙なゴモラ』について調査をしたがるのは、正直なところ私情によるところも多少あるだろうと神木は予想している。

 

 そしてその勘は当たっている。大地は今、少々感情的であった。

 もしあのゴモラの行動が本当に『人を守っている』のであれば、転じて『人と何らかの良好な繋がりを持つゴモラ』がいる事になる。

 大地のゴモラに続く2例目が現れた事になるのだ。

 怪獣共存を掲げる彼にとって、その存在は自分の理想に近い在り方。

 感情的になるのも仕方がない事ではあるだろう。

 

 それらを考え抜いた上で、神木が出した結論は。

 

 

「分かった。大地、お前は地上での調査だ。

 タイプMがいるという事は、ロボット内部、もしくは周辺にそれを操る者がいる可能性がある。

 それに加えて……あのゴモラの生態調査だ」

 

「……! 隊長、ありがとうございます!」

 

「アスナは大地に同行し、同様に調査を行ってくれ。また、状況によってはサイバーゴモラの使用を」

 

「了解」

 

 

 神木は大地を信頼していた。

 何より、ゴモラ、延いては怪獣に対しての知識も理解も大地に勝るものはこの場に誰もいない。

 さらに言えば大地が言っている『ロボット怪獣が現れた事と関係があるかもしれない』という言葉には一理ある。

 以上を持って、神木は大地の行動を許した。

 

 一方同行を命じられたアスナはというと、自分の役割について大地の横顔を見ながら考えていた。

 

 

(お目付け役、かな。全くもう、ゴモラの事になるとこうなんだから……)

 

 

 神木とてただただ甘いだけではない。

 アスナを同行者として付けたのはアスナ自身が想像している通りである。

 隣にいるハヤトとワタルも同様の事を思っていたようで、3人は顔を見合わせて苦笑した。

 

 

「ハヤトはスカイマスケッティ、ワタルはスペースマスケッティと先程伝えた通りだ。

 ────Xio、出撃!」

 

 

「「「「了解!!」」」」

 

 

 神木の号令の元、4人は足早に司令室から駆けだしていく。

 隊員達を見送った後、神木は今なおゴモラとロボットの戦闘が映し出されるモニターへと向き直った。

 

 

「隊長」

 

 

 その隣で、モニターを睨むような視線で見つめていた橘がしっかりと神木に顔を向けた上で声をかけた。

 

 

「隊長はあのゴモラを、どのようにお考えですか?」

 

「分からん。君と大地の見え方が正しいのであれば、市街地から遠ざけようとしている、となるのかもしれないが」

 

「そうですね。私も最初にそう思いました」

 

 

 橘は一呼吸置くと、再度モニターの中のゴモラを見やる。

 

 

「ただそれは、『そうあって欲しい』という私の中の願いだったのかもしれません」

 

「……願い、か」

 

「Xioの隊員達はゴモラという一怪獣に対して、バイアスがかかっていると私は思っています。私も含めて」

 

「つまり、『ゴモラを特別扱いしてしまう』、か」

 

「はい、特に大地隊員は。隊長はそれでもなお彼を行かせた。何故ですか?」

 

 

 それは責めているわけではなく、ごく単純な疑問だった。

 Xioのメンバーはほぼ全員、ゴモラに対して『良い怪獣』という印象を抱いている。

 ゴモラの行動を見たハヤトが『町を守ろうとしている』と即座に想像した辺りからもそれは顕著だ。

 それは大地と大地のゴモラの影響であり、何よりも大地自身がそうであった。

 

 

「確かにな。だが、同時に大地は誰よりもゴモラの事を知っている。

 単純な好意だけではなく、生態も含めたあらゆる意味でゴモラを知り尽くしているのは、大地だけだ」

 

「適材適所。そういう事ですか」

 

「ああ。ただ……」

 

 

 神木は普段の真面目な顔を少しだけ崩し、困ったような顔を浮かべた。

 

 

「『あのゴモラが良い怪獣であればいい』……そう考えている自分がいる事は、否定できないな」

 

「困ったものですね。……これも私も含めて、ですが」

 

 

 あくまでも彼等は怪獣対応についてのプロだ。判断を誤る事は殆どない。

 神木にせよ、橘にせよ、いざという時に非情な判断を下せるだけの分別はある。

 

 だが、それでも。

 

 町を守ろうとしているように見える行動をするゴモラに対して甘い考えが浮かぶ。

 プロとしてその私情は持ち込んではならないと、2人は揃って自分の考えを戒める。

 いつの間にかこんなにも絆されていたのかと、心中で苦笑しながら。

 

 

 

 

 

 大地とアスナはトラックタイプの専用車両ジオポルトスを用い、山岳地帯、廃工場近辺に現着した。

 少し離れたところでゴモラとロボット怪獣3機が未だ轟音と共に戦闘を続けている。

 一方、ハヤトとワタルもそれぞれの機体を駆り、既に現地上空に到着していた。

 

 

「大地。分かってると思うけど、まずはロボットの調査からよ」

 

「大丈夫、優先しなきゃいけない事を見失ったりしないよ」

 

 

 彼等がまずすべき事はロボットを止める方法を探る事。

 神木の指令通り、ロボットを操っている何者かがいないかの調査からである。

 このまま放っておけばいずれ市街地に到達し、甚大な被害をもたらす事は必至だ。

 如何にゴモラの件があるとは、大地もそこの切り分けは出来ている。

 

 と、此処で大地が腰に装着しているXioの通信機、エクスデバイザーが声を出した。

 

 

『大地。周辺を軽く探知してみたが、怪しげな電波や通信の類は感知できない。

 恐らく、遠隔で操っているわけではないんだろう』

 

「ありがとうエックス。となると、内部で操縦してるか、自律稼働……」

 

 

 ウルトラマンエックスは普段、このエクスデバイザーの中に存在し、いざとなると大地と『ユナイト』し実体化する。

 本来ならばXioの通信機はジオデバイザーと呼ばれるデバイスなのだが、大地の物だけはエックスが内部にいる影響で銀色の装飾が金色に、より正確に言えば地球外の金属に切り替わったエクスデバイザーとなっているのだ。

 現在はエックスもXioの仕事のサポート等に尽力してくれている。

 

 さて、ロボットが遠隔操縦されているのであれば逆探知して容易に黒幕の居場所が割り出せたのだが、そうもいかないらしい。

 内部操縦であれ自律稼働であれ、ロボットが自然発生などするはずもなく、そこに『何者かの思惑』があるという可能性が高いのだが。

 

 

「……! ねぇ大地! あそこ!」

 

 

 アスナの指差す方向は廃工場の側、若干高台のようにになっている一角からゴモラとロボット怪獣の戦いへ視線を向ける青年が1人。

 手には何らかの機械と思わしきものを持っており、服装はまるでどこかの隊服のようであった。

 何か言葉を発しているように見えるが、やや距離が遠いせいか何を言っているかまでは正確に判別できない。

 何者かは分からないし逃げ遅れた人なのかもしれないが、いずれにしても大地達には話しかける以外の選択肢は無かった。

 

 急ぎ、走りながら近づく2人の耳には青年の言葉がだんだんはっきりと聞こえてきた。

 

 

「ゴモラッ! 1体1体確実に止めるんだ!!」

 

 

 聞こえた瞬間、大地はあまりの驚きにその場で急ブレーキをかけた。

 その声が意味するところはゴモラへの呼びかけ、明らかにゴモラに対して意思疎通を図っているそれ。

 ゴモラへの想いで突き動かされていた大地を動揺させるには十分すぎる。

 

 大地の目が驚愕の色で染まる中、アスナも一定の動揺を見せつつも大地に比べれば冷静に、ジオデバイザーを手にした。

 

 

「こちらアスナです! あのゴモラと意思疎通を行っていると思わしき人物を発見!」

 

『……! 分かった、接触を図ってみてくれ。ただし、警戒は怠るな』

 

 

 司令室にいる神木も想定していなかったわけではない。

 ゴモラが何らかの理由で市街地を守ろうとしているのであれば、周囲にその指示をしている存在がいるのではないか、と。

 実際に『いた』という報告は流石に驚きを隠せないようだが、それでも神木の指示は冷静だった。

 了解、という言葉と共に一旦通信を切り、アスナと大地は顔を見合わせて頷いた後、全力の警戒を持って青年の下へ駆けた。

 

 青年に近づくまでの僅かな間にアスナと大地は拳銃型の携行火器『ジオブラスター』を手にした。

 設定を攻撃用のブラスターモードから麻酔用のパラライザーモードに変更の上、構える。

 

 

「動かないで!」

 

「!?」

 

 

 青年のいる廃工場近く、高台にまで接近したアスナと大地。

 2人の警告と共に構えられた銃を見て青年は怯んだ様子を見せていた。

 

 

「君達は……?」

 

「僕達はXioの隊員です」

 

「Xio? ……ZAP SPACYみたいなものなのか」

 

 

 恐らくは組織名と思わしき言葉を呟く青年。

 その組織名に聞き覚えこそないものの、大地とアスナはデジャヴを覚えていた。

 過去に『杉田 アリサ』という女性と邂逅した時の事。

 このアリサという女性は見慣れない制服に身を包み、聞き慣れない組織名を話し、最終的には『別次元の人間』だった事が判明したのだが、その時の事が思い返される。

 

 何よりXioという組織名に聞き覚えが無さそうな空気感を出しているが、それがそもそも妙なのだ。

 Xioは国際的な組織。詳細はともかく、名前としての知名度は抜群である。

 それを知らない、尚且つ全く知らない組織名を口走る青年の様子は正にアリサと出会った時のそれだ。

 

 

「大地、この人もしかして……」

 

「うん。UPGのアリサさんの時みたいだ……」

 

 

 青年が着ている何処かの組織と思わしき見慣れない制服、聞き慣れない組織名。

 まるであの時のようだと、2人の考えは合致していた。

 2人は再び頷きあい、ジオブラスターを構えたままアスナが青年へと質問をぶつけた。

 

 

「貴方、別次元から来た、とか……?」

 

「ッ! それを理解してくれるのか!」

 

 

 青年──レイもこの状況に際して何から説明するべきなのかを考えていた。

 別次元、怪獣使い、何から話せば理解してくれるだろうか、どこまで状況を把握できるのだろうか、と。

 そもそも他世界との交流や渡航、来訪経験が無い世界だと『別次元から来た』という話から納得させなくてはいけなくなる。

 だが、その心配はなさそうだと、銃を向けられている中ではあるがレイは一先ず胸を撫で下ろした。

 一方で大地とアスナもレイの反応から、どうやら推測がドンピシャであった事を理解する。

 

 

「だったら話は早い。俺はレイ。この世界にはバルタン星人テナタスを追ってきた。

 あのロボット達はテナタスが呼びだしたものだ」

 

 

 簡単な成り行きと自己紹介を行うレイ。

 次に右手のデバイス、ネオバトルナイザーを2人に見せつつ、未だ戦闘を行うゴモラを見上げながら言葉を続けた。

 

 

「そして、俺はレイオニクスだ。あのゴモラと一緒に戦っている」

 

「レイオ……ニクス?」

 

 

 これまた聞き慣れない単語が出てきた大地は首を傾げるが、その言葉に反応したのはエクスデバイザー内のエックスだった。

 

 

『レイオニクス……詳しくはないが聞いた事がある。確か、怪獣使いの名前だ」

 

「ああ、その通りだ。……? 誰の声だ?」

 

「あ! いや! 通信先の司令室の声です!」

 

 

 突然話し出したエックスの事を誤魔化しつつ、大地は腰に備えられたエクスデバイザーを片手で小突いた。

 『痛い!』と小さく声を出したエックスを無視しつつ話を再開する3人。

 

 

「じゃあ……レイ、さん。貴方はその怪獣使いで、ゴモラを操り、ロボットと戦ってくれているんですか?」

 

「向こうに市街地がある事は俺も認識している。テナタスの目的は分からないが、好きにさせるわけにはいかない」

 

 

 それと、と一息おいた後、レイは続けた。

 

 

「ゴモラを操ってるのとは少し違う。俺とゴモラは……相棒だ。一緒に戦う、仲間なんだ」

 

「……仲間」

 

 

 言葉を聞き、大地はジオブラスターをゆっくりと下ろした。

 『怪獣を操る』という言葉に対し、わざわざ明確な反論をぶつけ、あまつさえ『相棒』、『仲間』と断じる。

 その姿勢が怪獣共存を掲げる大地には酷く眩しく見えて、その言葉は信頼したいと感じさせるには十分だった。

 

 と、此処で戦闘状況に変化が起きる。

 スカイマスケッティとスペースマスケッティは一旦ゴモラを無視しつつロボット怪獣達への攻撃を続けている。

 怯みこそすれ破壊にまでは至らず、ゴモラも懸命に戦ってはいるものの数の違いから苦戦を強いられていた。

 

 

「ッ! ヤッベェ!」

 

 

 そう声を漏らすのはスペースマスケッティのワタル。

 敵ロボット達の内、キングジョーブラックの腕にある銃口とヘルズキングが両腕に隠していた砲塔を向けてきていた。

 いずれも威力・連射能力共に優れているビーム攻撃が、運が悪い事に同時にスペースマスケッティへ放たれた。

 

 急加速と旋回で何とか回避し続けるワタルではあるものの、合計3つの砲門から放たれる攻撃に否応なく追い詰められていく。

 そして、遂に一発がスペースマスケッティへ無慈悲にも着弾────

 

 

「くっ……! …………?」

 

 

 ────しなかった。

 

 攻撃が衝突する寸前に思わず目を瞑ってしまったワタルだが、しばらくしても衝撃の1つも発生しない。

 ゆっくりと目を開いた時、眼前に映ったのは茶色い皮膚──ゴモラの尻尾だった。

 

 

「守って、くれたのか?」

 

 

 外部から見ていた大地とアスナにはしっかりと今の状況が確認できていた。

 攻撃が当たる寸前、ゴモラがギリギリで尻尾を滑り込ませて盾にしたのである。

 そのままゴモラは尻尾をキングジョーブラックの銃に向かって振り下ろし、ゴモラ本体はヘルズキングへと突進した。

 まるでこれ以上の攻撃をさせないという意思を見せるかのように。

 

 

「……アスナ、少し待ってて」

 

「大地?」

 

 

 一部始終を見ていた大地はエクスデバイザーをゴモラに向かって掲げた。

 ジオデバイザーにはガオディクションと呼ばれる機能が搭載されている。

 スパークドールズや怪獣の感情を解析する事のできる機能であり、エックスが宿るエクスデバイザーも勿論それは問題なく使用できる。

 ガオディクションの起動アナウンスの後、しばらくして戦闘を行うゴモラの感情解析が完了する。

 

 

「……『守る』、『戦う』」

 

 

 ゴモラからは幾つかの感情が読み取れた。

 それは市街地を、この場にいる者を『守る』という感情。

 守る為に『戦う』という感情。

 そして、何よりも強い感情は。

 

 

「『信頼』……」

 

 

 レイを『信頼』する感情。

 これはただ操られた怪獣からは間違いなく検知できない、想いだ。

 レイとゴモラの間にある絶対的な『絆』を意味している。

 

 総合的に全てを考えた上で、大地は1つの結論を出した。

 

 

「司令室、大地です。……彼とゴモラは信頼できると思います」

 

 

 エクスデバイザーを通信モードに切り替え、大地は自らの結論を伝えた。

 その結論の上で、隊長達の判断を仰ぐために。

 大地の言葉には神木の声が答える。

 

 

『根拠は?』

 

「あのゴモラからはレイさんに対しての強い信頼の感情が読み取れます。

 機械で操られているような痕跡も、マインドコントロールのような精神的な乱れも検知はできませんでした。

 純粋な絆で繋がっていると判断します」

 

『…………』

 

「まずはロボット達を止めるのが先決です。俺もエックスと行きます! 

 今はレイさんとゴモラを信じてもいいと判断しました。隊長!」

 

 

 語気を強める大地の言葉は確固たる意志と確信を持っている事が通信越しでも伝わった。

 そして、神木も司令室でゴモラがスペースマスケッティを庇う瞬間を見ている。

 その上で、神木が出す結論。

 慎重な判断を下さなければならない立場、同時に、部下を信頼する彼が出す指示は。

 

 神木は通信を全隊員のジオデバイザーへ繋いだ。

 

 

『あのゴモラを援護する』

 

 

 大地の判断を、そして隊員を庇ってくれたゴモラを、自分が見たものを信じる。

 それが神木の出した答えだった。

 

 

「了解ッ! へへっ、そうこなくっちゃ!」

 

 

 いの一番に反応を示したのはワタルだ。

 あのゴモラに守られたという一点からワタルは今の指示に誰よりも乗り気である。

 一度庇われただけで調子が良すぎるとも言えるが、現にあのゴモラは命の恩人、いや恩怪獣だ。

 スペースマスケッティは先程までと同じくロボット怪獣を攻撃するが、その動きは独自に怪獣を倒そうとするそれではなく、ゴモラのフォローに回るような動きだった。

 

 

「了解! その方が気乗りするな……!」

 

 

 一方でハヤトが駆るスカイマスケッティも同様にゴモラを援護する動きに切り替えていた。

 2機共に、ゴモラの死角から攻撃をしようとする敵を迎撃し、ゴモラが取っ組み合う怪獣を背中から射撃して隙を作る。

 エックスと共に戦ってきた彼等にとって、『巨大な仲間を援護する動き』は慣れたものだ。

 

 Xioのメンバーは橘の言う通りゴモラに対してプラスのバイアスがかかっている。

 自覚の有る無しという差はあるが、共通して『ゴモラに攻撃をしたくない』という想いはあっただろう。

 ハヤトの言葉はそういう事だった。

 

 そしてレイと大地とアスナ。

 アスナは既にジオブラスターを下ろしていた。

 大地はレイに向き直り、自らの判断を、そしてXioの総意を伝える。

 

 

「貴方と貴方のゴモラを信じます」

 

「……! 見ず知らずの俺を……ありがとう。一緒に戦おう!」

 

 

 強く頷く大地は、続けてエクスデバイザーを構えた。

 彼はエックスに呼びかけつつ戦場に顔を向ける。

 

 

「エックス、俺達も行こう!」

 

『大地、正体を隠さなくていいのか?』

 

「ああ。レイさんはヒカルさん達みたいに別世界の人だし……大丈夫だと思う」

 

『……じゃあさっき叩かないでくれよ』

 

「いやそれは……ゴメン」

 

 

 何とも締まらないやり取りである。

 隣でジオデバイザーとサイバーゴモラのサイバーカードを取り出すアスナも呆れ顔だ。

 

 

「とにかく行くぞエックス、『ユナイト』だ!!」

 

『よぉし、行くぞ!!』

 

 

 左手でエクスデバイザーを正面に構え、上部のスイッチを押す。

 瞬間、エクスデバイザーがX字に展開し、データよりウルトラマンエックスのスパークドールズが生成。

 エックスのスパークドールズを握り締めた大地はエクスデバイザーにそれを読み込ませた。

 

 

 ────ウルトラマンエックスと、ユナイトします────

 

 

 エクスデバイザーから流れるガイド音声の後、大地はデバイザーを天高く掲げ声高に叫ぶ。

 彼と相棒の名前、彼等が『ユナイト』する為の合図。

 

 

「エックスゥゥゥゥゥ!!」

 

 ────エックス、ユナイテッド────

 

 

 迸る閃光、何処か電子的な輝きが天から降り立つ。

 着地の衝撃と共に巻き上がる粉塵が収まった頃に見えるのは、出現に際して発生した輝きの残光と赤と銀、胸のX字の青が輝く巨人の姿。

 

 今一度語ろう、彼の名前は『ウルトラマンエックス』。

 この世界を守る光の巨人(ウルトラマン)の姿だ。

 

 

 

 

 

 光の巨人の出現を見たレイは、その姿を見て思わず呟く。

 

 

「ウルトラマン……」

 

 

 彼の中に幾人かの、出会った事のある光の巨人達の姿が浮かぶ。

 エックスというウルトラマンは初めて見るものの、彼の姿にはその巨人達の面影が確かにある。

 一方、アスナはその呟きを聞き逃さなかった。

 

 

「ウルトラマンを知ってるの?」

 

「一緒に戦った事がある。以前もゼロというウルトラマンと……」

 

「ゼロ!? ウルトラマンゼロの事も知ってるの!?」

 

「あ、ああ……もしかして、この次元に来ていたのか?」

 

 

 コクリと頷くアスナに、レイはそうか、と微笑んだ。

 まるで見知らぬ土地に放り込まれた状態の中だと思っていたが、よく知るウルトラマンが繋がりを紡いでくれていた。

 異なる次元に共通の知り合い、天文学的確率というのも微温湯いその共通項をレイは手繰り寄せたらしい。

 

 

「だったら、俺達は既に繋がりがあったようだ」

 

「そうみたいね。色々説明が省けて助かるわ」

 

 

 言いつつ、アスナはジオデバイザーにサイバーゴモラのカードを装填、そのデータをロードした。

 

 

 ────サイバーゴモラ、ロードします────

 

 

 アスナのジオデバイザーから1体のスパークドールズがデータから組み上がり、実体化していく。

 紺と銀を基調にしたどことなく電子的な柄をした人形、そのシルエットはゴモラのそれによく似ている。

 これがサイバーゴモラ。大地のゴモラを解析し開発された『サイバー怪獣』である。

 続いてアスナはスパークドールズを手にし、それをジオデバイザーで読み取らせた。

 

 

 ────リアライズ────

 

 

 サイバーゴモラのスパークドールズが再度データに分解されるが、その代わり戦場に大きなデータが構築されていく。

 構築されたデータは実体化・巨大化を果たしたサイバーゴモラだ。

 メカ怪獣3体、ゴモラ、ウルトラマンエックスに続いて現れた巨大戦力。

 一部始終を見ていたレイはその様子に目を見張った。

 

 

「これは……ゴモラ、なのか……!?」

 

「サイバーゴモラ。私達の仲間よ」

 

 

 姿からそれがゴモラである事は理解するものの、メカゴモラとも異なる機械的なゴモラに驚きを隠せないレイ。

 サイバーゴモラはゴモラ本体ではないが、そこに宿る意思はゴモラ本体と同様のものが備わっている。

 つまりはゴモラの分身とでもいうべきそれは、Xioの頼もしい仲間の1体だ。

 

 

「行くわよ、ゴモラ!!」

 

 

 サイバーゴモラへの指示は召喚した者がサイバートレースシステムを介して脳波コントロールする事になる。

 文字通り、ゴモラと『繋がる』事でXioと息を合わせて戦うのだ。

 アスナが呼びかけ、咆哮と共に戦場へ向かうサイバーゴモラの姿。

 レイにはそのアスナとゴモラの姿は、自分のよく知る光景の様に映っていた。

 

 

「君は……君もレイオニクスなのか?」

 

「違うわよ。そのレイオニクスっていうのがイマイチまだ分からないけど、私はただの人間」

 

「なら、あのゴモラと君のその力は……」

 

「これは……そうね、地球の叡智、かしら?」

 

 

 Xioのサイバー怪獣を実体化させ、それを使役するシステムは純然たる地球の技術だ。

 そこには地球外の存在である『グルマン博士』という者からもたらされた知恵も含まれてはいるが、この技術が完成にこぎ着けたのは間違いなくこの地球、この人類の力の賜物である。

 レイからしてみれば、『科学力のみでレイオニクスのような境地に辿り着いている』ようなものだ。

 

 

(凄いな、この次元の地球は……)

 

 

 レイオニクスの力は『レイブラッド星人』と呼ばれる全宇宙を巻き込むレベルの事件を引き起こした宇宙人がルーツとなる力だ。

 そこに純粋な科学力のみで行き着いた、その事実にレイはただただ驚嘆するばかりだった。

 

 

 

 

 

 戦場はロボット怪獣が3体、ウルトラマンが1人、味方のゴモラが2体という3対3の状態になっていた。

 実際はスカイマスケッティとスペースマスケッティの援護がある分、数的優位はXioの側にあると言っていいだろう。

 

 

「「ゴモラ!」」

 

 

 レイとアスナの声が重なり、それぞれのゴモラが咆哮にて呼応する。

 サイバーゴモラはメカゴモラに、レイのゴモラはキングジョーブラックへと組みついた。

 取っ組み合いの中でお互いの腕や身体をぶつけながら競り合い、その一挙手一投足が地面を揺らす。

 土煙が舞う中、キングジョーブラックがゴモラの拘束を振り払うために身体を4つに分離させた。

 突然の分離にゴモラの腕は空を切り、一方で4つに分離したキングジョーブラックは四方八方に飛び回り、ゴモラを撹乱する。

 

 

「なら……行け、『リトラ』ッ!!」

 

 

 レイが再度ネオバトルナイザーを掲げると、眩い光と共にさらなる怪獣が中空に召喚された。

 翼を羽ばたかせる、翼竜を思わせる姿をした巨大な怪鳥。

 怪獣の名はリトラ。空中を主戦場とするレイのもう1体の相棒だ。

 

 リトラは恐るべきスピードで戦場を飛び回り、4機のキングジョーブラック分離形態の間をすり抜けていく。

 キングジョーブラックよりも上空にまで飛び、死角を取ったリトラは口より火球を発射。

 胸部と脚部に当たる部分にそれらが炸裂した事によりキングジョーブラック達は大きく動きを乱した。

 

 

「また怪獣……? こいつも味方なのか?」

 

「攻撃してこないって事はそうだって事だろ! 続くぜぇ!」

 

「おい! 全く……!」

 

 

 各マスケッティ内で通信を繋ぎつつ様子を見ていたハヤトとワタル。

 ハヤトは戸惑っているが、ワタルはそれがゴモラと同じく味方であると判断し、リトラに続くように己の機体を駆る。

 直情的な行動に難色を示すハヤトではあったが、ワタルの動きに強引に促される形でスカイマスケッティを動かした。

 狙いは攻撃を受けていないキングジョーブラックの腰部と頭部、一瞬の内に狙いを定め、躊躇いなく引き金は引かれる。

 

 

「ファントン光子砲!」

 

「ファントニックレーザー!」

 

「「発射!」」

 

 

 武装名を宣言しながらスカイマスケッティからファントン光子砲が、スペースマスケッティからはファントニックレーザーがそれぞれの狙いが定められたパーツ達に放たれる。

 ふらつきを見せる各パーツ達に2機のマスケッティとリトラの攻撃が続けざまに発射された。

 回避ができるパーツもあれば着弾しているパーツもあり、キングジョーブラック分離形態の隊列は乱れに乱れていく。

 攻撃から逃れるように地上へ降下した各パーツ達はたまらず再合体。

 1機でも機能不全に陥ればキングジョーブラックへの再合体が不可能になるからなのか、合体形態で攻撃に耐えるという防御的なAIが働いた結果なのかもしれない。

 いずれにせよ、キングジョーブラックは合体形態で地上に戻ってきた。

 

 

「ゴモラァッ!」

 

 

 そして着地点を伺っていたレイの命令から繰り出されたゴモラの尻尾による横薙ぎの一撃が、キングジョーブラックを吹き飛ばす。

 やや俗っぽい言い回しになるが、いわゆる着地狩りだ。

 追い詰められたキングジョーブラックの軌道を、戦場全体を見渡しているレイが確実に捕捉して攻撃を指示する。

 戦場を俯瞰する者と戦闘を行う怪獣が別々で存在し、それらがほぼノータイムでやり取りができる。

 これはレイオニクスの1つの強みだ。

 

 

「こっちも負けられないわね、ゴモラ!」

 

 

 一方、サイバーゴモラとメカゴモラはお互いに抱き合う様に組み合いながら力比べの真っ最中。

 取っ組み合う両者だが、その均衡はメカゴモラの右胸のランプより照射されたビームで終わりを迎える。

 突如発射されたそれに押される形でサイバーゴモラは後退し、じりじりとビームによるダメージを継続的に受ける事となってしまっていた。

 

 

「ッ、こ、んのぉっ!」

 

 

 サイバーゴモラとリンクしている隊員は脳波で繋がっており、ダメージまでもがフィードバックされる。

 アスナもサイバーゴモラと同じ痛みを抱える事になるのだが、それで怯むようなXio隊員ではない。

 サイバーゴモラはアスナの指示の下、両腕を前面に構える様な姿勢を取った。

 爪の伸びた屈強な両腕は、時として盾としても扱える程に分厚い装甲を持っている。

 ビームに割り込んだ両腕は盾の役割を果たし、メカゴモラの攻撃を見事に遮って見せた。

 

 しかしながらメカゴモラは尚もビームの照射を続ける。

 一点集中の攻撃で強引に突破するつもりなのか、はたまたAIが単調なのかは不明だが、ともあれその様子を見たアスナはサイバーゴモラを腕を盾にした状態のまま前進させた。

 攻撃をものともせず、サイバーゴモラは一歩を踏み出すごとに加速していく。

 ビームを胸から照射している関係で完全に無防備などてっぱらに、その盾の硬さと体重の全てを籠めた体当たりを見舞った。

 

 

「いよっし!」

 

 

 体当たりの衝撃に負けて崖に激突するメカゴモラは胸の辺りから火花を散らしており、間違いなくダメージが入っている。

 が、その衝撃で何らかの機器類に不具合でも起きたのか、メカゴモラは胴体や指からミサイルをめちゃくちゃに発射し始めた。

 ミサイルは狙いが付けられているわけでもなく、態勢を整えてから発射されたわけでもない、崖にもたれかかるその姿勢のままに乱雑に飛び交う。

 

 ミサイルの多くは周囲の地面や山肌を削るように着弾するが、一部はキングジョーブラックやレイのゴモラ、ヘルズキング、エックスの周辺にも着弾し、戦場全体をかき乱している。

 さらに、一部環境を吹き飛ばした影響で大小さまざまな岩が周囲に飛び散るが、1つの大岩があろう事かアスナ目掛けて飛んできてしまっていた。

 

 

「危ないッ!!」

 

 

 レイが状況に反応こそできているものの、アスナを助けるには岩のスピードが速すぎる。

 当人のアスナは命の危機を感じ、その場から退避しようと動き始めてはいるものの岩の大きさからして退避が間に合わないだろう。

 誰もがこの状況に手が届かない。そしてアスナは次の瞬間、宙を舞った。

 

 

「……え?」

 

 

 宙を舞う、とはいえ吹き飛ばされたわけではない。

 何かに胴体と脚を抱かれた横抱きの姿勢、俗に言うお姫様抱っこと呼ばれる姿勢で空中にいた。

 つまりは、『誰かに抱えられている』。

 突然の事に大困惑のアスナは自分を抱える何者かの顔を見上げた。

 

 

「あ、どうも……危なかったのでつい……」

 

 

 たはは、と何故か困り顔の少女。そう、まさかの少女だったのだ。

 アスナの体重──はトップシークレットだが、少なくとも成人した女性を推定高校生くらいの少女が軽々と抱きかかえられるものではない。

 さらに、アスナは周囲を見て状況に驚愕した。

 今彼女達がいるのは地上から大分離れた空中。

 少女どころかどれだけ鍛え上げた人間でもこのレベルの跳躍は不可能であろう、という程度の。

 ついでに自分を抱きかかえている両腕は何故かゴツゴツとしており、少女の頭には両こめかみに三日月を思わせる角と額から一本の鋭利な角が生えている。

 

 纏めると、『謎のコスプレ少女がおよそ人間とは思えぬ身体能力で自分を助けてくれた』という状況なわけだが。

 

 重力に従って着地した少女はアスナをゆっくりとおろす。

 困惑しきっているアスナの下に駆け寄るレイもまた、少女に驚いたような顔を見せていた。

 

 

「君はさっきの……!」

 

「あはは、逃げろって言われても何処に逃げればいいのか分かんなくて……。

 ずっと隠れてたんですけど、流石に今のは危ないなーと思って出てきちゃいました!」

 

「……今の、人間業とは思えない。何者なんだ? 君もテナタスを追ってきたように見えたんだが」

 

「私も何からどう説明していいのか分かんなくて……怪獣なんてホンモノ見るの初めてですし……」

 

 

 後ろ髪を掻きながら苦笑いを浮かべる少女──ミカヅキはそれはもう本当に困っていた。

 妙な人を追ってきたかと思えば何処とも知れぬ工場に出て、やれ怪獣だ巨人だ戦闘機だがドンパチしている状況。

 おまけに彼女のいる世界では既に完全に過去のものになっていた怪獣が当たり前のように現実に出てきている。

 とりあえず怪獣娘として人助けをしたものの、何が何だか分からないのはむしろミカヅキの方であった。

 

 

「レイさん、この子は貴方の仲間……じゃないのね?」

 

「俺にも分からない。ただ、俺と同じ境遇だとは思う。反応を見るに別の次元の事も知らないんだろう」

 

「成程ね……」

 

 

 目の前の大人2人がミカヅキにはさっぱりな話をしていて、尚の事ミカヅキとしては困り顔である。

 一方でアスナはレイの話から、目の前の少女はレイのように状況に適応できてはいないのだろうと判断した。

 

 

「OK。とりあえず、貴女のお陰で助かったわ、ありがとう。

 後でこのレイさんと一緒に、私達の所に来てくれる? きっと力になれると思う」

 

 

 その言葉は状況不明なミカヅキにとっては渡りに船、天の助けであった。

 隣にいるレイという青年も頷いている。

 正直なところこの人達が良い人なのか悪い人なのかも分からないが、いずれにしても頼れる相手はこの人達しかいない。

 そして単純に『この人達は良い人そうだな』という直感から、ミカヅキはその提案に頷くのだった。

 

 頷くミカヅキを見てアスナは微笑みで返した後、戦場に向き直った。

 レイもまたネオバトルナイザーを構え直し、鋭い目つきで戦場を睨む。

 

 

「待たせたわね、行くわよ!」

 

「相手はキングジョーブラックだ、油断するな!」

 

「「ゴモラッ!!」」

 

 

 戦場を見つめ、ミカヅキは1人想う。

 

 

(『ゴモラ』……)

 

 

 自らのルーツ。正しい表現かは分からないが、彼女の前世。

 彼女のいた世界では記録上でしか見る事の叶わない『ゴモラ』から、彼女は目が離せなかった。

 

 

 

 

 他方、エックスはヘルズキングを相手に奮戦していた。

 ヘルズキングが両腕に備えたキャノン砲からビームが連射されるが、それを素早く避け続けるエックス。

 

 

『大地! 避け続けていても埒は明かないぞ!』

 

「ああ、遠距離戦じゃ不利だから装甲を利用して近づこう!」

 

 

 エックスと同化している大地は彼の内部、インナースペースと呼ばれる空間を介してエックスと共に戦っている。

 大地はエクスデバイザーを取り出すと、アスナ同様にサイバーゴモラのカードを装填。

 

 

 ────サイバーゴモラ、ロードします────

 

 ────サイバーゴモラアーマー、アクティブ────

 

 

 直後、エックスの上半身に水色を基調とした重厚な鎧が装着されていく。

 鎧にはサイバーゴモラ同様黄色いX字が刻まれており、両腕もこれまたサイバーゴモラ同様のクローが付いたプロテクターが装着された。

 これは怪獣の力を見に纏う『モンスアーマー』、その内の『ゴモラアーマー』と呼ばれる姿である。

 元々エックスが備えていた能力ではなく、Xioのサイバー怪獣技術がエックスに力を与える形で実現した地球の叡智だ。

 

 

「この装甲で押し切る!」

 

『まるでゴモラ祭りだな。ルイが見たら喜びそうだ!』

 

 

 依然としてヘルズキングはビームを発射し続けているが、エックスはアーマー装着後から回避行動を止めて前進を開始した。

 当然ビームは直撃するが、それらは全て鎧に弾かれてエックスにさしたるダメージを与えない。

 装甲以外の部分に向かってくるビームは全て両腕のプロテクターを構える事で防ぎ、エックスは悠々とヘルズキングとの距離を詰めていく。

 

 完全に近距離戦の間合いに入った時にはヘルズキングの側も砲台を引っ込め、格闘戦の構えにシフトした。

 エックスがクローを振るえば受け流す様に避けて来るものの、間髪入れずにもう片腕を振るってその大きな爪で見事に一撃を加えた。

 怯むヘルズキングに対してエックスも畳みかけるように連続攻撃を浴びせるが、相手側も攻撃の最中で腕や足を振るい反撃をしてくる様子を見せる。

 攻勢はかけられている。だが、その実に決め手には欠けているような状態だった。

 

 

『相手の装甲も硬いな……! ゴモラアーマーの爪も通りが悪いぞ!』

 

 

 大地に呼びかけるエックスの言葉通りであり、大地自身、正に感じているところだ。

 接近戦に持ち込めて初めて装甲に手を付けた事で分かったが、相手の装甲はかなり硬い。

 攻撃自体は効いてはいるものの、ヘルズキング側もある程度反撃できるだけの余裕を見せてきている。

 単純な攻撃だけでは決定打にはならない。

 

 

「外装から破壊するのは厳しいな……! 内部へのダメージで一気に決めよう!」

 

 

 ゴモラアーマーには内部ダメージを狙える一撃がある。

 エックスも大地の狙いを理解し、その言葉に『ああ!』と強く応えた。

 

 

 奇しくもこの時、レイはキングジョーブラックを、アスナはメカゴモラを、それぞれの『ゴモラ』と共に追い詰めていた。

 

 

 『ゴモラ』による止めの一撃。

 大地、アスナ、レイの3人は誰がタイミングを合わせたでもなく、それぞれのデバイスを掲げて必殺の名を叫ぶ。

 

 

「ゴモラ! 『超振動波』だッ!!」

 

 

 レイのゴモラが頭部の角をキングジョーブラックに突き立て、角より発生する強力な振動波を全力を持って流し込む。

 

 

「ゴモラ! 『サイバー超振動波』よ!」

 

 

 アスナのサイバーゴモラはメカゴモラを抱き付くように取りつき、角と両腕の爪より振動波を放つ。

 

 

「行くぞエックス! 『ゴモラ振動波』!」

 

 

 そしてエックスは両腕の爪を敵の装甲に全身全霊で突き立て、爪から放たれる振動波をヘルズキング内部へ炸裂させる。

 

 超振動波。

 それはゴモラが持つ固有の能力であり、ゴモラの切り札。

 ゴモラは元よりサイバーゴモラ、ゴモラアーマーのエックスも勿論その力が使える。

 

 今回の相手は全員ロボット怪獣。装甲は分厚く、生物と比べてその表面はあまりにも堅牢だ。

 だが、内部ならばどうか? ロボット怪獣の内部は精密機器の塊だ。

 どれだけ表面が硬かろうが、内部への攻撃は決定打となりうる。

 

 それぞれのゴモラによって内部を破壊しつくされた3機はほぼ同時に爆散。

 この場はウルトラマン、Xio、そして異邦人達の共同戦線の勝利となった。

 

 

 

 だが、これは開幕の狼煙に過ぎない。

 これより始まるバルタン星人との、激しい戦いの序章でしかなかった。




────大地の怪獣ラボ────

「『大地の怪獣ラボ!』」

「今回の怪獣はこれだ!」


────『ヘルズキング』、解析中────


「侵略変形メカ・ヘルズキング。元はベリル星人の侵略メカだけど、今回はバルタン星人テナタスが繰り出してきた。
 硬い装甲と両腕のビーム砲は強力だ」

『そして今回紹介するサイバーカードは、『バルタン星人』。
 我々の世界に侵入し、何かを企んでいるようだ。同族は過去にウルトラ戦士と激闘を繰り広げている。気を引き締めないとな』

「次回も」

「『見てくれよな!』」
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