いのち、イノチ、命   作:㐂眼翔

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去年ぶりです

本編は…もう少しで出来るかな?

では、どうぞ


持つ力に重みを

 

 

 

 

 

この世には三種類の人間がいる。 呪力を持たない非術士、呪力を持つ呪術師、呪力を使って悪行を行う呪詛師。 

それらが世界に広がり世界が廻っている。 私は幼い頃から特別な力を持っていて、他の人には持ち得ない物に最初は驚きと恐怖があった。 他の人には見えない化け物『呪霊』は、様々な現象を起こし人の命を食べ物のように消費していく。 

毎年行方不明者が続出している原因の一つとも言われる呪霊を始末するのが、呪力を扱い術式を使い祓う呪術師。 困る人を救う為の立派な立ち位置の存在だと歳を重ね、呪術高専に入ってより一層実感していた。 

 

私は中学生の頃は、今思い出せば他の子より優れていたんだと思う。 勉強も運動もトップに立ち呪霊を取り込み呪霊を祓う日々が続く中、人生の分岐点とも言える出会いがあった。

それは高専から補助監督の人間が私の前に現れ、呪術界への誘いだった。 その人間から色々と話を聞いて私は自分の力が人を救う為の力だと思った。

 

中学を卒業して東京都立呪術高等専門学校に入学した時は最悪な出会いだった。 同級生が私入れて3人しかおらず、一人は白髪でサングラスをかけた奴と、もう一人は一見普通なショートヘアーな女子だったが堂々と教室で煙草をふかしてのを見てコイツもヤバい奴だと思った。

五条悟は呪術界では有名な家系らしく持っている才能(ちから)は特別で特殊な目に術式を持っているが、性格はひん曲がっていた。

家入硝子は彼とは違い希少な反転術式を持っており生粋のヒーラーである。

 

最初は喧嘩ばかりしていたけど、意外にも息が合う所やお互いに認め合える仲になっていく。 呪術高専に入ってからは任務が入り各地に周り呪霊を取り込み祓い、私達は青春をしていたと思う。 

 

実際に楽しかった。 あの頃までは…

 

少しずつと私の胸の奥には黒いナニカがモヤモヤと私を悩ませる事が多くなっていく。 私の術式は降伏させた呪霊を取り込みその力を自在に扱える呪霊操術。 素晴らしい術式(ちから)だけど欠点が一つあり吐瀉物を処理した雑巾のような味である。 何かを得るのに何かを失うのは等価交換だと言われるが、私は人々の為にこの力を使い救おうとしているが任務先の人間からは批判する奴もいる。

任務があるって事は、その現場で苦しむ人々がいて初めて依頼が発生し私達に届く仕組みなのだが現地の人間は大半使う言葉は同じだった。

 

 

何故、もっと早く来れなかったのか

 

 

中には感謝の言葉を送る人間もいるが少数。 私達呪術師は少数派であり限られた人材を使って任務に周れば、自然と対処のタイミングはバラバラになる。 呪術師も人間で批判されれば気分も悪くなるし場合によっては命を落とす事もある危険な立ち位置なのだ。 気がつけば私と悟で特級と言う立ち位置になっていた。

 

私はわからなくなっていた。

 

何のために呪霊を祓い取り込み、皆は知らない呪霊の味に私の心は少しずつと壊れていく音が聞こえてくる。 

 

誰のために? 

 

任務続きで疲労が溜まる中で悟は自分の術式を開花させて先に進む彼を思うと何も思わないのは嘘になる。 彼は変わり私は何も変わらず、世界が私を黒に染めるのは日に日に進んでいく。

 

 

 

 

 

猿め…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日《星漿体》の任務から不思議な縁を持つようになった伏黒命と高専で任務帰りに出会い、悟の言葉に伏黒甚爾が彼をボコボコにしているのを見て優越感を覚える私は小さい人間だなと思った。

その日からは偶に高専を訪れる彼女(伏黒命)と関わるようになった。

 

「あ、どうも。 夏油さん、お仕事お疲れ様です」

 

「命ちゃん、ありがとうね。 今日は何のようで高専に?」

 

彼女は小さいながらも良く出来た子で、本当にあの男(伏黒甚爾)の娘なのかと疑うほど。

礼儀正しく可愛らしい容姿で、あの悟と私では太刀打ちできなかったあの男を正座させて説教している姿は何処か面白いと思った。 人間が全員彼女のような人なら私はこの気持ちを持たなかったであろう。 

 

「いつも通りにお父ちゃんと一緒に来て、高専を見学させてもらってます」

 

「そうか…なら、高専を案内しよう。 命ちゃん」

 

「いいんですか? お仕事帰りで疲れてませんか、休んでいたほうがよろしいのでは」

 

ただただ彼女と話していて心配されるだけでも、少し安らぐのは彼女だからなのか。 それとも最近は心配される暇も無く任務に出ている所為なのか。

 

「大丈夫だよ。 案内するだけなら簡単だし」

 

「…うーん、ならお話しましょう」

 

「お話…?」

 

「はい、案内だと色々と歩いて回らなくてはなりませんが地図を見ながら夏油さんが説明して頂ければ楽になると思って。 それに夏油さんの事も聞けるし」

 

本当に気が利く子だ。 私の内面を他の人間に気づかれないように仮面を被って話しているといえ、少ない睡眠に過酷な任務の量に参っている私を気遣ってくれている。 思わず彼女に近づき目線を合わせる為にしゃがみ頭を優しく撫でてしまった。 無意識の行動に私は何をしているのだろうと手を引こうとしたが、彼女は照れくさそうに微笑んでいた。

その顔を見て私の心にあった黒いナニカは小さくなっていくのが感じ取れる。 

 

 

そうか…私は笑顔が見たかったのかもしれない

 

 

今まで無意識に作った仮面が取れて、今は自然と頬が上がるのを感じ取れた。 その後、職員室に向かい高専の地図を貰い自動販売機がある場所に向かう。

 

「命ちゃんは何を飲む?」

 

「えっ…いいんですか?」

 

「うん、好きなの飲みな。 遠慮する事ないよ」

 

「ありがとうございます、なら甘くない紅茶で」

 

命ちゃんに紅茶を買ってあげて、私も吊られて紅茶を買い二人でベンチに座り一息つく。 それからは約束通り、彼女に高専の説明を地図見ながらしてある程度説明が終わると私の事を聞いて緩やかに時間が過ぎていく。 

この時に彼女とは地図を使っての説明してる時から、自然に彼女と密着する形になってる際にどこか大自然の中にいるような感覚を感じていた。 私の周りが木々で覆われ呼吸がしやすく居心地が良く、柔らかく暖かなモノで包まれている感覚に今までの疲れが後押ししていたのか気づかず意識が失っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キンコンカンコーン

 

私は聞き慣れたチャイムの音で意識が戻り、目を覚ませば命ちゃんの顔を下から見る光景があった。

 

「あっ起きました? やっぱり疲れていたんですね、夏油さん」

 

「ご!? ごめん! 寝ちゃって」

 

横になっていた私は尽かさず体を起こし、彼女に謝った。 高校生の私が小学生の命ちゃんの膝枕、これは酷い絵面になるし悟と硝子に知られれば面倒くさい事になる。 時間を確認してみると2時間も経っていなかったが、ふと気づいた事がある。 

寝る前にあった疲れが無くなっていることに。

どんだけ時間を見つけて睡眠をとってもとれなかった疲れが見事に消えている。 それも2時間も寝ていないのに。

そんな驚いている私を見てクスクスと笑う命ちゃん。 私は彼女の姿に恥ずかしくなる。

 

「命ちゃん、笑わないでくれ。 歳上に恥をかかせないで」

 

「ふふっ、いや夏油さん可愛いなぁと思って」

 

「私が可愛い?」

 

「はい。 頑張ってお仕事して帰ってきて私の為に時間を割いて色々とお話してくれましたけど、寝ちゃって最初は固いお顔で寝てましたが時間が経つにつれ柔らかくなって起きたら顔を真っ赤にして謝る夏油さんが可愛くて」

 

どうも私は悟のように彼女には敵わないようだ。 体の疲れと心の重みが無くなって、自然と彼女の隣に座り問いかけた。

 

「私はね、幼い頃から術式(ちから)を持っててね。 他の人が見えない呪霊に怯えて育ってきたんだ。 少しずつと自分のモノを理解して、これが人々の為に使う力だと思ってきた。 だけど、最近はわからなくなってしまってね…

私はどうしたらいいと思う?」

 

私は彼女に何て答えて欲しいのか。 自分の事だけど分からず、彼女の帰ってくる言葉に期待していた。

 

「えっ? 簡単です、自分の大切な人を守ればいいんですよ」

 

彼女の答えは簡単なものだった。

 

「私が思うに自分の持つ物は、自分で管理して人様に迷惑かけず大切な人に使えばいいと思います」

 

「だが、呪術師は非術師を助けなくてはならない」

 

「はい、その考えは間違ってはいません。 しかし…夏油さん、天秤に赤の他人と大切な人だとどちらに傾きます? 私は迷わず大切な人です。 結局赤の他人より大切な人ほど勝るものは無いと思います。 私の場合だと家族ですけど。

人を助けられるのは自分の体一つです。 届く範囲で助けて、助けられなかった時は次に活かせば良いと私は思います」

 

彼女の芯のある答えに私は何処か間違えていたと自覚した。 

 

そうだ、私も人間だ。 ヒーローではない。 

 

私は何もかも救わなくてはならないと思っていた。 どんな醜悪な人間でも。 だが、それは烏滸がましいこと。 神でもなく人一人である私には、出来る限りに人々を救う事をこれからも続けていこう。 それを決心していると命ちゃんが一言。

 

「そういえば、夏油さんの術式ってどんなモノなんですか?」

 

「あぁ…私の術式は呪霊操術と言って降伏させた呪霊を玉にして身に取り込み、その呪霊の力を扱う事が出来るんだ」

 

私は前の任務で捉えた呪霊玉を命ちゃんに見せる。

 

「それって貸してもらえます?」

 

「いいよ、はい」

 

彼女は呪霊玉を受け取るとまじまじと眺めていた。 その後、私は予想もしなかった事を彼女は行った。

 

「これを身に取り込んで自分の力にするんですね。 う〜ん、いただきまーす」

 

「えっ?」

 

彼女は小さい口をできる限り開けて呪霊玉に齧り付いた。 本来、呪霊とは非術師の死に際の強い思いが具現化したモノで基本負の感情で生成されており人間には毒になるモノ。 私の術式は特別でその毒には関与はしない代わりにあの味だと思っている。 それが呪霊操術を持たない彼女が呪霊玉を食べれば、万が一死に至る可能性だってある。 私は彼女から呪霊玉を奪い取り、口に入れた呪霊玉を吐き出させようとする。

 

「命ちゃん! 吐き出すんだ!」

 

齧り付いた彼女は踞り体を震わせていた。 最悪な事態が頭に過った私は、彼女を抱えて硝子の所に向かおうとする。

 

「まじゅーい!」

 

彼女の顔は途轍もなく顰めていた。 まるで酸っぱい辛い苦いを一度に経験した人間の顔のように。 

あの味を知ってる私とは違う反応に、困りながら唾液を口の両端からダラダラと垂らしてる彼女の顔を見たら不本意にも私は笑ってしまった。

 

「あははははっ! 命ちゃん、ごめん! 今笑う所じゃないのは…ぶふっ!! わかってるんだけど…はははっ!! ゲホッゲホッ!」

 

「…そんなに面白いでしゅか?」

 

顔がしおしおになってる命ちゃんに、余計に笑う事を止める事はできなかった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんとか笑いながらも後処理をして、落ち着いて再び隣に座る私と命ちゃん。 あんなに笑ったのはいつ以来だったかな。 身体は疲労が無くなり、心は相談を受け気が軽くなり腹を痛めるほど笑ったお陰か胸の黒いナニカは無くなっていた。

 

「それにしても…夏油さん。 あれを食べ続けるなんて凄いですね。 私なんか一口すら食べられないのに」

 

「まぁ慣れって奴かな。 最初の頃はやっぱり食べる事すらできなかったし、食べれても戻したりしてたよ。 だけど…自分の身を守る為にも必要な事だとわかってからは無理矢理でも取り込んだけど」

 

そうこの世界(呪術)に入ってからは、この術式が自分と人を守るために必要な代償だと思っていた。 強者は弱者を守るのが義務だと思っていたが、強者もまた人間であると彼女が教えてくれた。

うん、一人で抱え込まずに周りの人に話すのもアリだな。

 

「あっ、そろそろ家に帰る時間。 今日はありがとうございます、夏油さん」

 

「いやいや、こちらこそ。 命ちゃんのお陰で悩んでた事が解消できたから。 正門まで送るよ」

 

あの時に彼女と話していなければ、私は違う未来を見ていたのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この世は理不尽に包まれている。

 

私達、人間は非術師と呪術師で分かれて様々な不幸が降り注ぐ。

 

「あれはなんてことのない2級呪霊の討伐任務の筈だった! クソッ!! 産土神信仰…アレは土地神でした。 どうみても1級案件の筈だ」

 

任務に駆り出された後輩の七海が悔しそうにしていた。 私の前には意識のない息を引き取る間際の灰原が治療室のベットに寝かされていた。 彼らは命からがらになりながらも、1級案件の任務から逃走を図るが灰原は七海を庇い重傷を負う事に。 七海がどうにか応援に来た悟と合流して、高専まで移動したが今硝子は他の任務に駆り出されており不在だった。

今にも死にそうな灰原に何もできないでいる自分の無力さに、身体の奥から溢れ出そうな黒いナニカが込み上がってくる。

 

「……夏油…さん」

 

「っ! 灰原、気がついたか! 大丈夫だ! もうすぐで硝子がくる!!」

 

灰原は意識を取り戻したのか、弱々しくも目をうっすらと開けて私の名前を呼ぶ。 少しでも彼に希望を持たせる為にも私は嘘をつく事を選択した。

 

「……いま…まで………ありがと…ござ………いまし…た。 こ……れか………らもお…………きをつ………て……」

 

だが、現実は非常で灰原は最後の言葉を残し静かに目を閉じていき呼吸音は聞こえなくなってしまった。 私は灰原の右手を両手で包み、彼の死を認めたくなかったが少しずつ温もりが無くなっていくのが感じ取れてしまう。

 

私は自分が優れていると思っていたが、実際後輩一人救う事すら出来ない存在。 

何が特級なのか。 私の力は…何のために、何の意味があるのか。 

彼女から教えてもらった大切な後輩すらも守る事すら出来ない私は…

 

 

 

 

 

バンッ

 

 

 

 

 

治療室のドアが勢いよく開かれる音が鳴り響く。 その音に私と七海がドアの方に振り向くと其処には、悟と抱えられた命ちゃんがいた。

 

「患者は何処ですか!?」

 

抱えられた命ちゃんは悟が下ろし、私の事を見て状況を察したのかベットに近づいて登り灰原を跨り左手を胸に押し当てた。 

 

「夏油さん! 彼に声をかけ続けてください!! まだこの人助かります! いや…助けます! そこの座ってる人も一緒に!」

 

「傑と七海、まだ灰原の呪力が完全に消えてない!」

 

二人の言葉に私と七海は灰原の手を掴みながら、戻ってこいと叫び続けた。 私は人を癒す事は出来ない。 身近で可愛い後輩が死んで欲しくない。 だけど、彼女がいれば何とかなるかもしれない。 

 

だから、灰原…帰ってこい!

 

 

 

 

 

「夏油さん、七海。 ただいまもどりました」

 

「「おかえり!」」

 

やはり彼女は凄い子だ。 

あの日、私と七海に灰原それに悟は縛りを結ぶ事になった。 彼女の反転術式を広めない為に。 今回悟は元々彼女が反転術式を持っている事を知っており、灰原を高専に運んでから伏黒家に行き命ちゃんに頼みに行ったそうだ。 

最初は伏黒甚爾が止めたようだが、彼女は救えるならと父親の制止すら聞こうとしなかったらしいが条件として彼女が反転術式を広めない為に縛る条件で高専に来てくれた。

そのおかげで灰原は助かる事に。 助かった灰原も公には言わないが、ひっそりと感謝していた。 助けた命ちゃんは笑い、助けられた灰原も笑っている。

 

 

 

 

 

やっぱり私は笑顔を見たい。 皆で笑って楽しく暮らしていきたい。 それを実現させたい!

 

 

 

 

 

だが、世界…いや人間には彼女のような人間は余りにも少ないと言えるだろう

 

 

 

 

2009年◾️◾️県◾️◾️市(旧◾️◾️村)

任務概要

村落内での神隠し、変死

その原因と思われる呪霊の祓徐

 

 

私の目の前に牢屋があり、その中に幼い少女が二人。 歳は命ちゃんと同じぐらいだろう。 それも暴行の後すらあり痛々しい傷が全身に見られる。 少女達は私と村人達を見て警戒するように、牢屋の中で身構えていた。 私の中のまだ残っていた黒いナニカかは密やかに渦を巻いていた。

 

「これはなんですか?」

 

「…? なにとは? この二人が一連の事件の原因でしょう?」

 

「違います」

 

「この二人は頭がおかしい。 不思議な力で村人を度々襲うのです」

 

「事件の原因は、もう私が取り除きました」

 

「私の孫もこの二人に殺されかけた事があります」

 

それに対して少女の一人が口を挟もうとする。

 

「それはあっちが」

 

「黙りなさい化け物め!! あなた達の親もそうだった! やはり赤子の内に殺しておくべきだった!」

 

最早聞くに耐えない。 ただ普通に生きていたい彼女達に、コイツらが邪魔であるのならば…排除すればいい。 まさに呪霊のような猿どもを。

 

(だ…だい、大丈夫)

 

呪霊操術で呪霊が見える彼女達にメッセージを送ると少し表情の力が抜けたのがわかった。

さて、猿どもの片付けをしなくては。

 

「少し外に出ましょう」

 

私は猿どもを屋敷から外に連れ出し、何も知らない猿どもに彼女達に使った暴力を私が暴力として返す。

 

「やれ…」

 

『夏油さん』

 

呪霊達に命令を出す瞬間、命ちゃんの顔が過った。 戸惑った私に呪霊達もどうすればいいのか分からず、猿どもの近くで待機していた。 

そうだ…私は、悟に硝子など高専にいる後輩達と笑い合いたいんだ。 ここで猿どもを殺せばもうそれは叶わない。 そして彼女…命ちゃんにも会えなくなるのか。 

 

それは嫌だなぁ…

 

私の心を染めていた怒りは少しずつと引いていき、それと同時に頭も冷えたのか理性が戻っていた。 とりあえず場を納める為に、彼女達は高専に保護する形になった。

最初は双子の少女達は高専では周りを警戒していて常にビクビクしていた。 暗い髪色の子が美々子、金髪の子が菜々子で何かを行動するには私が一緒にいないと動けないほど人間不信になっていた。 あの村での仕打ちを考えれば当然と言えるだろう。 

一時的に私が保護したといえ、彼女達をどうすれば良いのかがわからない。 私の家に養子として向かい入れる事も考えたが両親に迷惑かけたくないし、彼女達もいきなり私の両親を受け入れられないだろう。 色々と悩みながら過ごしていると私が任務中に命ちゃんが高専に来てくれていた。 

流石の命ちゃん、歳が同じで心優しい彼女は双子の心を和らげる事をしていた。 高専の中では誰にも近付く事なく、私が任務に駆り出されている時は部屋で籠る日々だったが任務から帰ってきた私の目の前にはこの前私がしてくれたように命ちゃんが二人を両サイドから膝枕して優しく頭を撫でていた。 

高専に来てから双子は夜寝ているとうなされていて満足に寝れておらず、日に日に顔が窶れていたが今は安らかに眠っていた。 どこか命ちゃんが幼いながらも聖母に見えてしまった。

そんな光景を見ていると命ちゃんは私に気付くとニッコリと笑う。

 

「おかえりなさい、夏油さん」

 

双子を気を使って小さな声で話す。

 

「うん、ただいま。 命ちゃん、ありがとうね。 二人の事」

 

「いえ。 今日初めてあって仲良くなれまして、彼女達がどんな境遇だったのか少し聞かせてもらいました。 …世の中何処かで残酷な事が起きているのを実感しました」

 

彼女の悲しそうな顔を見て私は顔を顰める事しか出来ないでいた。

 

「だけど、二人を助けたのは間違いなく夏油さんのお陰です。 でなければ今も彼女達は苦しんでいたんですから。 そんな顔をせず自信持って二人を守ってください」

 

本当に敵わない。 命ちゃんは揺らいでいる私の心をしっかりと支えてくれるのだから。

その後、双子が起きて命ちゃんが帰ろうとすると号泣しながら引き止めて大変だった。 それも当然と言えるだろう。 歳が同じで優しく暖かい彼女に双子は私と同じぐらいに心の拠り所になるのは。

段々と高専の人間は命ちゃんに首ったけとも言えるほど彼女の存在は大きくなっていた。 

 

 

 

 

まぁ、彼女は冥冥さんに首ったけだけど

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日の事、私は一級の任務に向かい呪霊を祓うと一人の人物と出会う。

 

「君が夏油傑くん?」

 

私の母親と同じか下ぐらいだと思われる女性が、任務先である山の中で出会うのは不自然と言える。 格好はジーパンに長袖のシャツにショートヘアー、1番印象なのは額に縫い目の後がある事。

 

「違います」

 

「いや違わないね。 君は呪霊操術の夏油傑だ。 間違いない。 では、長々と話すつもりもないので」

 

女性がズボンのポケットから何かを出そうとしたので阻止する為に、私は5体ほど呪霊を女性に向けて解き放つ。

 

「無駄だよ」

 

呪霊達が女性に接触する間際で地面に叩きつけられていた。 そしてポケットから出されたのは紅く卵のような形をして顔のパーツがバラバラに配置されていた。 それを見た私は悪寒を感じ、女性から距離を取ろうとしたが既に接近されており先程の呪霊達と同様に私も地面に叩きつけられた。

 

「ぐぐぐっ!!」

 

「さぁ、これを見て。 本当の君を見せるんだ」

 

何かに上から押し付けられている私は、目の前にさっきの卵のような物を見せられ先程とは違って顔のパーツが本来の位置に移動しており目が開き血の涙を流しながら叫び始めた。

 

「オオオオォォォォ!!」

 

それを見て私の意識は途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悟…私は漸く理解したよ。 この世は不完全で不条理で不平等だと。 その原因が猿である非術師だ。 能力のある私達は猿どもの生み出す呪霊を尻拭いで祓うだけの存在ではない! さぁ、非術師である猿のいない世界を作ろう。 そうすれば美々子も菜々子のような子供達もいなくなる。 ん? 不思議な事を言うね。 悟。 私は私だよ。 …私の言う事が間違っていると思うなら殺せばいい。 

そっか、殺せないか。 なら好きにさせてもらうよ。 美々子と菜々子の為にも本当は命ちゃんも誘いたかったけど彼女は来ないだろうと分かっていたよ。 じゃあね、悟」

 

では、始めよう。 私の計画を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本編を書いては消しての繰り返し

まだこの作品を見ている方々には申し訳ございません

本当にゴールまでのシナリオは出来ても文章に出来ないモヤモヤに悪戦苦闘

早めに本編だしたい!

では、次回作で!
(>人<;)
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