いのち、イノチ、命   作:㐂眼翔

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人は環境で人格などがほぼ決まるもの。

人は親を選べない。

人は一人で生きていけない。

人は変われる。

人は…。


『人間とは

 

 

生物中の一類としての人間。 二足歩行で直立歩行を行い、手で道具など活用して繁栄をしてきた生き物。 人間が誕生してから幾多の歴史を刻み、西暦まで長く生き続けてきた。

 

呪術師とは

 

日本の平安時代まで遡り、その時代から呪いと言われる現象が発生されていたと言われている。 陰陽師とは違い呪術師は人から生まれた呪いである怪物を『呪霊』と言われた存在を祓う。 陰陽師は全ての事象が陰陽と木・火・土・金・水の五行を組み合わせにより術として発現することができる。

変わって呪術師は毒は毒で制するように呪いを呪いで解決する為に呪術を作り上げ、現代まで『呪霊』を祓い続けてきたと言われている。 しかし、呪術師とは違い普通の人間を非術師と呼び彼らは『呪霊』などは見えず認識が取れない。 その為社会秩序の遵守、ひいては非術師の心の安寧を保つ為に公には姿を表さず暗躍している。

呪術師にも歴史があり、千年前から名のある一族が存在していた。 それが御三家である五条家・加茂家・禪院家である。 この三つの家門が呪術師の社会において長い歴史と権力を持っていた。

 

その中で禪院甚爾である俺は禪院家に生まれてしまった。 それぞれの一族で代々血筋によって伝わる相伝と言われた『術式』を受け継いできている。 『術式』とは簡単に説明すれば特殊能力と言えば分かりやすいだろう。 

その家系では術式を受け継げなかった者や呪術師としての才能がない者は冷遇される。 

 

俺、禪院甚爾は術式を持てず呪術師としての才能が無く呪霊すら見えない存在だった。

 

そんな俺は禪院家ではあらゆるイビリなどを受け続けて、同じ人間とは思えない生活をしてきた。 幼い頃は訳も分からず泣き叫びながら助けを求めていたが周りは俺を存在しない形として無視されてきた。 少しずつと心が擦り減り、イビリなどがあっても表面上は反応して心の中では早く終わらないかと思っていた。 そんな生活している中で俺は他の人間とは違う何かを持っていると理解するまで時間が掛かった。

俺の身体は呪術師が必要不可欠である呪力が一切無い代わりに身体能力が普通の人間より格段と高いことが分かった。 これを天与呪縛と言われ、生まれながら肉体に強制された『縛り』の為俺の呪力と引き換えに身体能力の向上を得たのであった。

禪院家での生活を過ごしている中、ある日五条家で特殊な眼である六眼と五条家の相伝術式である『無下限呪術』をもった子供が産まれたと禪院家の人間達が話していた。 

 

「あの五条家に抱き合わせが産まれたって本当か? 数百年ぶりなんだろ、なんと羨ましい」

 

「それに比べて禪院家《うち》は、何も持たない出来損ないだからな」

 

勝手に期待をしていて…勝手に失望して俺を都合の良いストレスの吐口にされている。 そんな真逆である五条家の奴と何が違うのか、同じ人間であるにも関わらず生まれた所が非術師と呪術師で天と地である。

そんな所に禪院家当主の子供が生まれたと一族の中で大騒ぎが起こっていた。 その時俺は我関せずにいた。

その後、当主の息子が5歳ぐらいになった時に術式が判明して現当主である禪院直毘人が持つ『投射呪法』の術式を受け継いだらしい。 

その息子は禪院直哉、次期当主とも約束されているとの事。 そんな直哉は何かと俺に絡んでくる。 どこか憧れるような瞳で俺を見つめ、楽しそうに話しかけてくる。 だが、家の者は俺との接触を良しとしないのが当たり前。

次期当主と落ちこぼれの俺では比べるのも烏滸がましいのか、家の奴らは直哉を俺には近寄らせないようにしていた。 が、直哉は家の奴らの目を盗んで俺に飯や金を持って会いにくる。

 

「甚爾くーん、ご飯持ってきたでー」

 

「…俺の所に来ると家の奴らが煩えぞ、ただでさえ身分ちげぇんだからよ」

 

「そんなの関係あらへん、俺は俺のやりたいようにやるんや」

 

俺には何故こんなにもコイツに絡んでくるのが分からないが悪い気はしなかった。 そして直哉が言った通り、やりたいことをやるのが1番だと俺は決断した。 いつまでもこんな家にいないで外に出れば、何か俺でも変われるかもしれないと…。

それから月日は経ち、直哉がもってくる金がある程度貯まった際に行動を起こす。 今まで俺を下に見ていた奴らを全員ボコして家を出た。 この家でただ一人、俺に良くしてくれた直哉には被害が及ばないようにアイツがいない時に事を起こした。

 

いつかまた会えた時は、感謝の言葉一つ言っとかねぇとな

 

 

 

 

 

あのクソな家から出て数年、俺はこの顔もあってか女受けが良いことにヒモ生活をしていた。 様々な女を捕まえては家に泊まり、肉体関係に持っていき金など貰い生きてきた。 最初の方はチョロいな思い生きてきたが、何処か物足りないと思っていた俺がいた。 

そんな中で俺はギャンブルの味を知り、より金を求めるようになった際にある仕事に就くことにした。

 

それが呪術師狩りだ

 

裏での世界では、呪術師から堕ちた呪詛師が色々な事に犯罪など起こす際に呪術師が邪魔になる。 それを狩るのが俺の仕事となる。 まぁ、俺には善も悪も関係は無いし金がくれる方の味方である。 そんな所にアイツとの出会いがあった。

 

『孔時雨』

 

ある依頼を受け、仕事場に向かった先に呪詛師と一悶着あって殺されそうになった時に何故かその日は気まぐれにアイツを助けてしまった。 

助けられたアイツは俺に何か言おうとしていたが、仕事がある為にその場を離れた。

俺の中ではアイツを助けた事など忘れかけた時に、再び出会う事になった。

 

「よう、この前はありがとうな。 俺の名前は孔時雨。 訳があってこの世界に入った。 アンタの名は?」

 

「…禪院……甚爾」

 

「禪院か、よろしくな」

 

「…俺の名を聞いて何もねぇのかよ」

 

「? あぁ、禪院って呪術界ではビックネームだったけか。 まだまだ俺は日が浅いからそんな気にならなかったわ」

 

今まででは裏の仕事をやる時には呪いのように家の名が引っ張ってきたが、コイツは知らないのもあるが俺を差別するような事は無く普通に接してくる。 何処かそれが悪い気にはならなかった。

それからはアイツとのコンビで仕事をするのが基本となり稼いではギャンブルして溶かしの繰り返す生活だった。

 

そんなある日、俺が生まれて初めて心から愛した女との出会いがあった。

 

ある夜に前の女と別れ新しい女を探している所、ある一人の女が酔っ払いの男に絡まれていた。 それを見た俺は微笑み、その女をターゲットに近寄り酔っ払いを掴み後ろに引っ張りゴミの集積所に投げ飛ばした。

 

「大丈夫ですか?」

 

「…え、えぇ」

 

突然の事に驚いている女に警戒を解く為に笑顔で対応を取ろうとしたが、投げ飛ばした男が激情に駆られているのか集積所にあった大瓶を投げてきたのだ。 本来であれば簡単に受け止められるのだが避けずにマトモに貰い少しの傷でも出来れば女も警戒が解けるであろうと思い飛んでくる大瓶を頭で受ける。

俺の身体が特殊な物でぶつかったダメージは無く、割れた破片が皮膚を切り多少の出血を流した。 それを見ていた野次馬達が携帯で警察に通報した時に酔っ払いの男も事の状況に酔いが醒めたのか一目散で逃げていく。

 

「だ…大丈夫ですか!? 頭から血が!」

 

「大丈夫ですよ、かすり傷です」

 

「そんな訳! 救急車を!」

 

もう傷は塞がってきたのに救急車など呼ばれたら面倒だと思い、その場を離れようとしたが女は俺の腕をしっかりと掴み逃がそうとしなかった。 それを見た俺は力付くでやれば女が傷つく為にため息を吐き素直に従う事にした。

 

それからはアイツとの関係が始まった。

 

アイツの名前が伏黒真理子と分かり、流れに流れて真理子と俺は男女との付き合いまで発展していく。 アイツは元々田舎暮らしで関東に上京してきたらしく、俺も元々は関西生まれの為か話が盛り上がり東京などで様々な食べ所に足を向けていた。 

アイツは明るく素直で善人である良い女である。 困った人がいれば助け、禪院家では虫のような扱いしていた俺に対して暖かみを与えるほどに。 最初は頭が緩い女だと思って近寄ったが、芯がある女で俺に色々と教えてくれる。

 

そうして一年の時が過ぎて、俺はアイツと同棲する仲まで発展していた。 アイツは俺が寂しがりの猫に見えていたらしく付き合っていく内に一緒に居たいと思ったらしい。 他には俺は人一倍に痛みを知っているから優しく、頼もしそうにも見えたらしい。 

俺自身にはそんな感じなのかと不思議に思っていたが、アイツの笑顔を見て行くうちにどうでもよくなった。

 

2002年、この年に俺は父親になった。

 

俺はアイツとやる事やっていたら、アイツが妊娠した事が発覚。 最初は頭が真っ白になり、その後は実家のクソッタレな記憶が呼び起こされた。 しかし、アイツは慈愛に満ちた顔で自分の腹を撫でながら嬉しそうに笑いかけてくる。

 

「やったよ、甚爾さん。 私達に子供が出来たよ」

 

そんな顔を見て俺の冷たい記憶は、あっさりと消えていった。 自然と俺はアイツの腹に手を伸ばしていた。

 

「…子供にはお前の苗字にしてくれないか? 俺の苗字だと面倒い事になるからよ…」

 

「うーん…なら! 結婚して甚爾さんが伏黒になってくれる? うん、良い考え!! 甚爾さん、貴方をください。 必ず私は貴方を幸せにして差し上げます」

 

「お前…逆だろ」

 

「あっ、甚爾さん。 照れてる? 珍しいのもあるけど可愛い!」

 

まったく俺は天与呪縛をもってそこら辺の呪術師には勝てても、愛する人間には勝てないと実感した。 だけど…それは悪い気持ちにはなれなかった。

 

「真理子、お前を愛してる」

 

 

 

 

 

2002年12月22日に俺と真理子の子供が生まれた。 双子の男と女の兄妹であった。 禪院では双子は忌子だと言われているが、最早俺は禪院では無いと自覚している為気にはしなかった。 初めての自分の子に右も左も分からないでいたが腹を痛めながら産んでくれたアイツは、家族の意味を教えてくれた。

俺は恐る恐ると自分の子供に手を伸ばすと、小さな手で俺の右手人差し指を掴んできた。 すると赤ん坊にも関わらず力強いものを感じた。

 

この時に俺は真理子とコイツらを守って行く事を心の中で決心できた。

 

俺は真理子と共に育児して行く中で、下の子の命に違和感を感じていた。 初めてと言え子供の世話をしてて思うのが、恵と命の違いである。 雑誌とかで情報を得て子供の飼育をしてると基本泣き叫ぶのが赤ん坊の仕事とも書かれていた。

恵の方は基本情報通りの行動をとっているが、命の方は異常なほど手間がかからない。 決して命の方も手間が掛かって欲しいわけでは無いが…こんなに違いが出るものかと不思議に思っていた。

 

仕事終わりで深夜に帰宅した俺は、アイツを起こさない為にも静かに家に入り飯や風呂も終わらせて布団に入る。 寝室では真ん中に恵と命を設置してアイツは右側で眠っていた。 俺は左側にある自分が寝る布団に入り、命の寝顔を眺めていた。

スヤスヤと眠る命に右頬を突く俺は、少しながらでも仕事の疲れが取れる感覚に襲われていた。 これを恵にやると起きて泣き叫んでしまう為絶対にできない。

すると命は眠りながらも右手で俺の指を捕まえると、何処か大切そうに自分の胸に持っていき両手で掴んでいた。 自然と手のひらが命の胸に当たりコイツの心音を感じれた。 

 

トクン…トクン…トクン

 

小さな心音でも逞しく感じる振動に俺は眠気に襲われ気がついたら眠っていた。

 

 

 

 

子供の成長は早いと聞くが本当だと実感した。 大変な時期もあったが、ある程度成長して話せるぐらいなると子供達の行動には予測不能と言えるだろう。 だが、そんな子供達を抱え笑顔を見る度に仕事に力を入れるのは俗に言う親バカと言うのだろうか。

 

ある一軒の大きな仕事が入ったと時雨から連絡が来た。

呪術界を支えている天元と言われている存在を信仰と崇拝している宗教団体である盤星教『時の器の会』からの依頼が入ったらしい。 話の内容は天元って奴が星漿体の同化を阻止する為に星漿体を抹殺との事。 その仕事には五条家の抱き合わせもいるらしい。 まぁ、実戦経験が少ない坊ちゃんには隙をつけば楽勝だろう。

 

しかし、抹殺対象の写真を時雨から渡されて俺は固まってしまった。 中学生の女を見て俺は命がこの先成長して、抹殺対象である『天内理子』と命を被らせてしまった。 俺は決して世間からは許されないであろう人間ではあるが、娘である命を幸せにすると決意した為か同じ未来がある『天内理子』を殺すのを俺の中の何かが止めようとしていた。

 

「おい、時雨。 この仕事よ、高専側から金って取れるか?」

 

「はぁ? 何言ってんだ。 仕事依頼先は盤星教からだぞ、何故高専の話になる」

 

「…五条家の抱き合わせに相手にするのに、金額が釣り合ってねぇよ。 変わって逆に『天内理子』を守ればリスクは少ねぇだろうよ」

 

「だがよ、五条家の抱き合わせに呪霊操術の奴もいるそうだ。 お前の助けなんかいらねぇだろうよ」

 

「なら、ソイツらから奪って守り切れば報酬は貰える形にすればいい。 高専も万が一の保険は欲しいはずだ」

 

「うーん、掛け合ってみるが期待はすんなよ」

 

後は俺がやれる仕事をするだけだ。

 

 

 

 

 

呪詛師集団の『Q』と盤星教と高専がやり合ってる中、俺は時雨と仕事の準備を行っていた。

 

「お前も人の親になったんだな、禪院」

 

「あ? なんだよ、いきなり」

 

「今回は命ちゃんがかぶったから依頼先を変えたんだろ? 前なんか何でも受けてたのに」

 

「…うるせぇ」

 

「揶揄いすぎると痛い目あうからこれぐらいにするが…俺は稼げればいいんだ。 頑張ってくれよ」

 

「あぁ」

 

そして、機会を伺っていた。 都立呪術高専筵山麓に『天内理子』と残り四人が現れた。 アレが五条家の抱き合わせ、アイツが無下限呪術を解いた瞬間が鍵だ。 沖縄まで行って常に無下限呪術を酷使している坊ちゃんなら疲弊しているから難易度は低いがな。

 

そして時は来た。

 

無下限呪術を解いた坊ちゃんに後ろから臓器を損傷ない場所にドスリ。 

 

「…アンタ。どっかで会ったか?」

 

「会ってはいねぇが聞いてはいる」

 

坊ちゃんの術式で俺の身体は宙に投げられ、呪霊操術の呪霊に丸呑みされた。 だが、格納呪霊から釈魂刀を取り出して腹を掻っ捌いて外に脱出。 すると、対処者は既に避難させたのか姿が見えなかった。

 

「天内の懸賞金はもう取り下げられたぞ、マヌケ」

 

「俺が取り下げたんだよ、痩せ我慢」

 

まぁ、長々と説明するのも面倒からな。 ちゃっちゃと仕事を…

 

「あっそ」

 

ズズズズズズ

 

凄まじい力で俺の身体が坊ちゃんの術式で引っ張られる。 だが、素早く脱出して釈魂刀をしまい天逆鉾を取り出して急速接近していくが再び術式で吹き飛ばされる。 坊ちゃんの目には俺の動きには2割も追えてない。 ならば、翻弄していけば接近できるな。

蠅頭(ようとう)を撒き散らして警戒させて無下限術式を展開させれば、自慢の防御術式に心の隙を突く。 坊ちゃんの後ろに回り込み、坊ちゃんが俺に気づくが天逆鉾は発動中の術式強制解除の為に左脇腹を差し込めて一声。

 

「あっ!!!」

 

俺の声帯と腹式呼吸で最大限デカい声を坊ちゃんの左耳に叫んだ。 すると坊ちゃんの鼓膜が破れ意識が一瞬途切れた瞬間に背後に周り、左腕で坊ちゃんの首に回しチョークスリーパーを決めて両腕を封じる為に両足で絡ませる。

坊ちゃんはなすすべなく系動脈を絞められ意識を飛ばすと前のりに倒れていく。 無敵の無下限術式も攻略できれば…こんなものか。 意識の無い坊ちゃんから天逆鉾を抜き、格納呪霊からある程度の治療品を取り出して止血。 

終わり次第で携帯を取り出して時雨に電話して、高専に回収させる手筈を取らせる。 残りは…

 

 

 

 

 

薨星宮本殿に侵入できた俺は、呪霊操術の奴と対処者である天内理子が呑気に話している所を見つけた。 俺は天内理子の後ろ側に回り込み、拳銃を取り出して後頭部に一発の銃弾をプレゼント。

 

「はい、おつかれ。 解散解散」

 

「なんで…オマエがここにいる」

 

呪霊操術の奴は心底不思議そうな顔をしていた。

 

「なんでって…あぁ、そう言う意味ね。 五条悟は俺が始末した」

 

「そうか、死ね」

 

呪霊操術の奴は数種類の呪霊を取り出して襲いかかってくる。 俺は対処する為に術者を狙い銃弾を数発撃つが効かず、龍の形した呪霊が突撃してきたので躱していく。

 

「聞いておくが途中に女性が一人いた筈だ、彼女はどうした」

 

「ん? あぁあのメイドか。 一発かましといたら動かなくなったぞ?」

 

「そうか。 やはりオマエは死ね」

 

おぉ、怖い怖い。 良い顔してるね。 定時なんかねぇけど早く仕事終わらせるに限る。 さっきの龍みたいな奴を再び突撃させてきたので釈魂刀で2枚下ろしにしていく。 そして本体を始末しに行こうとしたが後ろから声をかけられた。

 

「ねぇ、わたワタわたし…きれい?」

 

仮想怨霊か、質問に答えるまでお互いに不可侵を強制する簡易領域か。 綺麗かだと? 綺麗なのはウチの嫁しかいねぇよ。

 

「あ〜、そうだな。 嫁を越えるほどじゃねえな」

 

俺の答えが出ると周囲にデケェ糸切りハサミが、俺を切り裂こうとしていたが天逆鉾で打ち落とす。 すると呪霊操術の奴は俺の後ろに回り込んでいたが把握していた。 余りにも無警戒に俺の間合いに入るとか張り合いが無さすぎる。

 

「終わりだな」

 

「オマエがな」

 

俺の格納呪霊を呪霊操術で取り込もうとするが、格納呪霊と俺の間に主従関係が成立している為に無効化させて最大の武器である呪霊操術が通用しなかったコイツは思考が追いついてないのか無防備。

尽かさず刀を取り出し抜刀、死なない程度に切り込み後ろ回し蹴りを放つ。 意識のなくなった呪術師を見て、今回の仕事が終わったことに一つため息をする。

 

「ふ〜…金稼ぐのって大変だなぁ」

 

 

 

 

 

そして、高専から家に帰ってきた時はやはり夜中になってしまった。 誰も起きていないであろう家に入ると玄関で靴を脱いでいると、奥から寝巻き姿の命が眠気眼でフラフラと歩いてきた。

 

「おとうちゃん…おかえり。 おしごとごくろうさま〜」

 

「あぁ、ただいま」

 

俺が靴を脱いで床に上がり命に視線合わせる為に身を低くして命の頭を優しく撫でる。 すると眠気に負けそうになりながらも俺に撫でられるのが嬉しいのかウンウンと唸っていた。 そんな愛くるしい姿に、俺は命を抱き抱えて聞いてみた。

 

「命、よく起きれたなぁ。 眠てぇだろ?」

 

「…だって、おとうちゃんはわたしたちのためにはたらいてきてくれたんでしょ? がんばったおとうちゃんをむかえてあげたいから…」

 

抱き抱えられた命はムニャムニャと喋りながら小さな手で俺の頬を撫ででくる。 そしてアイツとは違い俺の方に似た髪質である柔らかい髪を顔に押し付けるようにスリスリと命は顔を頬釣りしてきた。 

子供できるまでは興味もなかったが、恵と命が生まれてきて心底可愛いと思える日がくるとは俺には予想も出来なかった。 しかし、こうまで実家とは違い俺を愛してくれる妻に可愛い子供を持てた俺は今幸せと言えるだろう。

自然と笑える事は良いことなんだな。 なんか仕事の疲労感忘れちまった。 命を抱えて寝るかな、今日は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「甚爾さん、伊豆に旅行行こうよ。 せっかく命が当てたんだし〜」

 

仕事の疲労感は忘れたと言ったが、大きな仕事の後に旅行するのは少し面倒な…

 

 

 

 

 

 





オリ主だけではなく、パパ黒の話も挟むのもありかなと思ってかきました。

嫁と子供達が彼を変えていかせたい。

読者の方々には遅くなりましたが、やっと投稿できました。

本来であれば去年の8〜9月には終わらせる予定だったのですが、まさか年を跨ぐ事になるとは。

プロットの読み返し、色々と事情の数、少し感想がない事の寂しさ。

様々なものがありますが彼女(オリ主)と彼(パパ黒)のお話を読んでいただけると幸いです。

では、また次回で!

ε=ε=ε=ε=ε=ε=┌( ̄◇ ̄)┘
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