いのち、イノチ、命   作:㐂眼翔

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点と点がぶつかる

線と線が結ばれる

縁は縁を引き合う




えにし、エニシ、縁 中

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白鳥 双葉(ふたば)。 それが生前の私の名前。 父の白鳥 (みのる)と母の灰原 (さき)が出会い、結婚してから初めての子供である。 聞いた話では両親は元々親戚らしい。 父の白鳥家では平安時代の天安から貞観の天皇である清和天皇の下に働いていた武器商人だったそうだ。 貞観5年に富士山が噴火したらしく、それが貞観大噴火と言われている。 その際に色々な偶然が重なったらしく、白鳥家の祖先である武器商人の初代様が噴火した富士山の近くで固まった溶岩流から特殊な物質を発見。 その特殊な物質には、縁神威(ふちかむい)と名が付けられた。

それを見つけた初代様は、縁神威を加工を試みたが時には堅くなり時には脆く武器にするには不都合と思ったのか記念物として保管する事に決めた。 月日は流れ最初の縁神威での武器製造が基礎になったのか、様々な武器などが製造されていく。

後に血は引き継がれていき戦国期から江戸時代にかけて、紀州雑賀衆が結成されたと言われいる。 その当主である雑賀 孫一を裏で支えていたのが白鳥家の祖先と言われていたらしい。 

時代は流れ、祖先は二つに分かれて白鳥家は商売家系になり灰原家は生産家系に分かれた。 それから何年何十年何百年と時代が流れて、それぞれに生きていた中で再び元は同じ一族の末裔が出会い結ばれたのが私の両親と言う訳だ。

 

そんな運命的な両親の間に最初に生まれた私は外れ枠なのだろう。 病弱でまともに動けない私の後に生まれた双子の弟である一樹(かずき)は才能に満ち溢れ何をするにしても難なくこなしてしまえるのは神童と言われても当然の事である。 一度は家族に恨みや憎しみなどを持ったことなどあった。 しかし、何も出来ない私に家族としての愛を教えてくれてからはそう簡単には芽生えることは無かった。 だけど…私は思ったことがある。

 

私が白鳥家で生まれなければ、家族はもっと自由に暮らせたのではないかと。

 

私の存在がいなければ、父は出世コースから自ら外し生活のレベルを下げなくても大丈夫な位で維持する必要もなかったであろう。

母も家事と一樹の育児だけで済み、時間に余裕があれば色々な事ができた筈。

一樹も私が居なければ様々な事を取り入れて、好きな道を歩めたであろう。

 

この3人を縛り付けたのは…完全にハズレである私が存在した所為。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それが今は伏黒 命として生まれた私の前には、呪術廻戦(創作された世界)で存在してはいけない家族が目の前にいる。

 

 

 

「へぇ〜、恵君は動物が好きなんだ。 俺も動物全般好きなんだ、カッコいいのも可愛いのもいるし」

 

「うんうん!」

 

どうも、命です。 私は今凄く感情がめちゃくちゃで、表に出さないように両手を限界まで握りしめて表情を笑顔で固定をしています。 それもその筈、先程(前の回)旅行できて泊まろうとしていた旅館でこの世界(呪術廻戦)にいる筈が無い生前である白鳥 双葉の家族である3人と出会ったのだから。 それが何を意味しているのかはわからない。 だけど、私には余りにも酷い仕打ちとも言えるだろう。 

 

私は生前、今の歳である3歳近くで一樹と両親に私は酷い事をしたのだ。 その時は余りにも辛くまともに動けない私とは違い、一樹は病のやも無くとっても健康な男の子。 

 

なぜ私だけ辛い思いをしなくちゃいけないのか? 同じ双子である一樹は何も辛いことも苦しい事もない。 羨ましい、悔しい、悲しい、苦しい。 様々な感情が幼い私を駆り立てていた。 

私は変わらない病室の中で苦しんで、変わって一樹は元気いっぱいに外で遊べて楽しそうに。 そんなある日、私はいつも通りにお見舞いに来てくれた両親と一樹が来てくれた。 3人からは大丈夫か?と聞かれたがいつもいつも変わらない身体の不調に苛立ちが走りながらも嘘であるが大丈夫と答えた。 それを鵜呑みにした一樹は幼いながらも私がいつか退院できると無邪気に言ってきた。 

その時の私は、病院の先生と両親が話している所を鉢合わせて話を完全には理解していなかったが私の身体は普通の生活は出来ないと話しているのを聞いていたのだ。 そんな所に悪意も無くそんな事を言われて、私はその日を最初で最後の黒い感情を吐き出した。 

 

今思えば本当に申し訳ないと…

 

あの日、私は家族3人に不満を爆発させて酷い言葉を吐き出した。 自分の環境、状況、同じ双子なのに自分だけ、泣きながら叫びながら出せる言葉を捻り出して目の前の3人にぶつけた。 そうしてベットの上で叫び疲れ息を切らして呼吸が整う前に顔を上げると3人の顔を見て後悔した。

お父ちゃんは歯を食いしばり申し訳なさそうに顔を歪め、お母ちゃんは手で口を隠し溢れる涙を流して、一樹に至っては最初理解が出来ていなかったが少しずつと飲み込めたのか病室から逃げるように出ていった。 3人もこんな私の事を思っていたにも関わらず、私は3人を悲しませてしまった。

全部吐き出して3人の事を見て尽かさず謝るが、逆に謝れてしまった。 お父ちゃんは私の手を握りごめんなと謝り、お母ちゃんは私の所為で双葉を辛い思いさせてしまってと言われ、一樹は両親から本当の事を聞き私に泣きながら謝ってきた。 そんな3人を見て私はなんて酷い事をしてしまったのか。 自分でしてしまった事だがその事が1番の心の傷になってしまったのだ。

 

 

 

 

 

「命ちゃんも動物好きなの?」

 

「う…うん、私も恵と一緒で動物好きだよ」

 

「やっぱり双子のこともあって似てるね!」

 

辛い…余りにも辛い。 病弱な私がいない白鳥家で縛られるものがない為、家族旅行が出来て一樹の笑顔を見るのは余りにも惨い。 これが本来、白鳥家が迎えなくてはならない未来だったのだろう。 やはり私は居てはならない存在なのだと此処でハッキリと理解出来てしまったのだ。 今にも溢れ出しそうな涙を必死に堪えながら、不自然にならない様に笑顔を作ろうとするが自分でも分かるぐらいに不細工な表情になっている事に。

 

「ごめん、トイレ行ってくるね」

 

一樹と恵の言葉を待たずに私はその場を離れ、旅館の女性専用トイレに逃げ込んだ。 尽かさず洗面所に栓をして水を溜めていくが既に涙腺は崩壊していた。 外に聞こえるのは不味いので声は出さず只々涙を流し続け、生前の3人に心の中で謝り続けた。 

少し時間が立ち、余りにもトイレに篭るのも怪しまれるので3人の懺悔を終わらせて涙でクシャクシャになった顔を鏡で写されて此れでは不味いと思い溜めた水で顔を洗い流す。 泣き続けた所為で腫れぼった目を反転術式で治療して、両手で頬を叩き気を取り直した。

 

その後、一樹と恵の所に戻ると一樹の両親が私達の両親に一言謝りたいと言ってきたが私は気にしていないと言ったのだが折れてくれず、仕方なく二人を呼びに行く事にした。

 

「本当に申し訳ございません、私達の不注意で息子がそちらの娘さんを怪我を負わせてしまいそうに」

 

「大丈夫ですよ、命も怪我がなかったんで。 仕方ないですよ、息子さんも旅行で舞い上がった事でしょう」

 

「命、本当に怪我はしてないか?」

 

「ぶつかった痛みはあったけど怪我はないよ、ちゃんと謝ってくれたし」

 

こんな感じで生前の両親と今の両親で会話している光景には私には不思議で仕方なかった。 それからは、生前の両親は人との関わりを大事にする人の為か初めて旅行にきた私の家族を観光の手助けがしたいと言ってきたのだ。 生前の両親は何回かこの地に来ていて一樹を連れて旅行にきたとの事。 お母ちゃんはお父ちゃんに初めての旅行だから、案内してもらいましょうと言った。 

 

まさか、この旅行で生前の3人との交えた旅行になるとは私には思いもしなかった。 

その後はお昼ご飯を一緒に食べる事になり、生前の両親が紹介してくれた伊豆でも有名なお店に入店する事に。 店名は国民アニメでも有名な猫型ロボットに似た動物が由来で、店内も昔ながらの風景でとても居心地が良い。 お父ちゃんとお母ちゃんは鯵のたたき定食で、私と恵は二人で豚肉生姜焼定食を頼んだ。 生前の両親はうどんで一樹は茶そばと渋い注文していた。

生前では外食はあり得ない事で、毎日が病院食で味などは栄養管理があって基本は薄い物ばかりだった。 それが今世では健康な身体を持ったおかげで今まではお母ちゃんのご飯を食べていたが、今回は初めての外食になる。 

普通の定食だと多いので恵と私で分ければ丁度いい量になり、初めての外食はとても美味しかった。

 

昼食が終わってからは、伊豆アニマルキングダムに観光しに向かった。 私も恵も動物好きなので実に良い場所に来れたと思った。 色々な動物が触れられる事が出来て私達子供組は気儘に動物園を周り、大人組はゆっくりと観光していた。 

 

生前で私が病弱でなければ有り得た人生が、命として体験している事に悲しさと嬉しさが混じって表現しずらい感情が胸の中で渦巻いていた。

動物園の観光が終わり、白鳥家と別れ夕飯は旅館ですましてお風呂も入り私達伏黒家は初めての旅行でもあって早めの就寝をとる事に。 恵はお母ちゃんと一緒の布団で、私はお父ちゃんと一緒の布団で寝る事になった。

 

21時ぐらいから家族全員で就寝していたが私は時計の天辺に2本の秒針が重なっても寝れないでいた。 生前の事と今の人生との二つの事で、頭の中を埋め尽くし考えれば考えるほど寝れなかった。 生前で家族達と一緒に暮らせなかった悔しさ、この世界で伏黒家として何故生まれたのか…やはり私は本当は存在してはいけない人間では無いのかと思えて仕方なかった。

布団の中でそんな事を悩んでいる私に、お父ちゃんが恵とお母ちゃんが起きないように小さな声で私に話しかけてきた。

 

「…命、どうした? 寝れねぇのか」

 

「!? …う、うん。 ちょっと考え事してたの…」

 

お父ちゃんは私の横で寝ていて、私がお父ちゃんに背を向けるようにしていたが感覚が鋭く私が起きている事に気づいていた。 

やはりお父ちゃんは作中でも屈指のフィジカルギフテッド持ちである。 考えてみれば、私は生前で一樹のお陰で伏黒甚爾を知る事が出来て彼の人生に不満を覚えて病気で若くして死んで…どんな輪廻か今は彼の娘として転生する事になった。 そんな中で物語としては私の存在はいなくて当たり前。 いや、不要と言えるだろう。 私の中でそんな結論に気づいてしまった。

 

「ねぇ…お父ちゃん」

 

「なんだ?」

 

私はお父ちゃんの方に寝返りをして、長い時間暗闇の中で起きていたお陰か夜目になりお父ちゃんの顔と向き合った。

 

「もしだけど私が病弱に生まれて今も病院暮らしでしか生きれない子供だったら…いらない子だった?」

 

お父ちゃんは暗い中で私の顔を見ながら、突然の言葉に驚いたのか固まっていた。

 

「私と恵が一緒に生まれてきて、私だけが難病持ちで恵は今も変わらず健康な子供。 そんな中で私の所為で3人は好きな事が出来ない環境なら私はやっぱりいらない子なのかな? 無駄に費用が掛かって看病しながら恵を子守して…こうして旅行が出来ない状況なの。

もし私がそうなっていたら3人には申し訳無くて…」

 

この世界にifである私の存在が生前と一緒だった場合を考えると恐怖でしかない。 偶々で転生した今の私が健康であるが、生前と変わらなかったら3人は白鳥家と同じ苦労を負わせてしまっていたかもしれない。

そんなお荷物とも言える存在など不要と言えるだろう。

 

「そんな私がいたら死んだ方がマシ…」

 

ぽん

 

「なに言ってるんだ?」

 

お父ちゃんは私の頭に右手をのせてきた。

 

「突然何を言い始めると思ったら、命が病弱だったら? 自分が死んだ方が良い? どうした、何か悪い事でもあったのか」

 

髪を痛めないように壊れ物でも触るような優しい撫で方をするお父ちゃん。

 

「命と恵にはまだ言ってなかったが、俺は実家では居ない存在にさせられては色々な嫌な事をされてきたんだ。 そんな中で生きてきて、家を出てアイツと出会ってお前と恵が生まれたんだ。 最初はな…俺が父親なんて出来ると思わなかった。 実家では何もしてもらわなかったから家族の意味を知らなかった。 

だがな、アイツがいてお前らが生まれて一緒に暮らして少しずつだが理解できるようになったんだ。 それがなんだ、命が病弱だったら? それでも俺もアイツも恵も命の事は必要な存在になっていただろう。 そんなつまらない事で悩んでいたのか?」

 

お父ちゃんは困り果てた顔をしながらも少し微笑み、私を包むように抱きしめる。

 

「余計な心配をするな。 命は好きな事をして生きていけばいい。 困った事があれば頼れ。 俺がお前らを守ってやるさ」

 

原作の伏黒甚爾では考えられない言葉に行動。 今は私が存在して原作とはかけ離れてるとは言え、彼が人と親の心を持つ事が出来たのは素直に嬉しい。 そして、病死した生前でも今でも私の存在を認めてもらえることに自然と目から涙が溢れてくる。

お父ちゃんは私の涙で胸が濡れていく中で、何も言わず背中をポンポンと優しく叩き慰めてくれる。 お父ちゃんの温かさと泣き続けて疲れたのかいつ間にか寝ていた。

 

「おはよう、命。 悩み事は無くなったか?」

 

カーテンから漏れる朝日の光がお父ちゃんの顔を照らし、元々整ってる顔に一段と良さが引きだてて私の頭を撫でてくる。

 

「…うん。 ありがとう、お父ちゃん」

 

私はこの世界に生まれる前は彼を勝手に可哀想なキャラだと思っていたが、このお父ちゃんは立派な父親である事を改めて思えるようになった。

その後、白鳥家とお昼過ぎまで一緒に行動して夕方にはお別れをする事に。

 

「白鳥さん、ありがとうございます。 色々とお世話になりました」

 

「いえいえ人生一期一会の中、伏黒さん達と一緒に楽しませて頂きこちらこそありがとうございます」

 

「命ちゃん、恵君。 楽しかったよ、また会えたら会おうね!」

 

「一樹君、またね」

 

「また遊ぼう」

 

伊豆スカイラインの巣雲山駐車場で白鳥家と別れた。 生前では関東に住んでいた白鳥家はこの世界では関西に住んでるらしく、私達は埼玉に住んでいる為もう会えるのは難しいと言えるだろう。 この先、(双葉)がいない白鳥家は新たな未来がまっているだろう。 ()は伏黒家の一人として生きていく。

巣雲山駐車場で私達と時雨さんとで夕焼けを眺めていた。 私はお父ちゃんに抱っこされていたが、やはり2度も一樹達とお別れをすると涙は止められなかった。

 

「どうした?」

 

お父ちゃんは私の様子にお母ちゃんと恵に心配させないように見えないようにしてくれた。 そんな小さな気遣いに感謝しながら、私は申し訳ないと思いながらお父ちゃんに嘘をついた。

 

「良い景色だなぁと思って」

 

「…そうか」

 

私がついた嘘に勘付いていたがお父ちゃんは、何も聞かず再び夕焼けを眺めてくれた。

 

 

 

じゃあね。 お父ちゃん、お母ちゃん、一樹。 幸せになってね。

(双葉)()で頑張っていくよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生前(未練)との別れ 

 

未来(呪術廻戦)への歩み

 

彼女に幸あれ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





出会いと別れ

死と転生

未練と未来

人間に正解などなく手探りで進む生きる物





大変お待たせしました。読んでくれてる方まだいますかね?
やっと投稿できました。 色々と忙しく、同時に他の作品も書いてるのもあって中々出せないでいました。
一つに絞れば早くなると思うのですが、自分はその時の勢いが大事で書いてるもんなんでバンバン投稿出来る方々には尊敬の一言。

この作品も折り返し地点にこれたかなと思います。

自分ながらの呪術廻戦を読んでいただければ幸いです。

では、サラダバー!ε=ε=ε=ε=ε=ε=┌( ̄◇ ̄)┘
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