仮面ライダー ハーメルンジェンレーションズ アクト×デイナ Almost Human   作:志村琴音

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第2話です。
ちょっとした小ネタを言うと、今作のタイトルは東京塩麹の「Almost Human」という楽曲が元ネタとなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=u0pnw7DoROM
感想や読了報告等くださると筆者の励みになります故、何卒宜しくお願いいたします。


CHAPTER.02

2022.05.30 12:53 東京都 港区 かもめショッピングモール

「「「ん?」」」

「「【え?】」」

 

 変身した互いの姿を見て、一同は様々な考えを巡らせ始めた。

 

「あれ、何? 鎧みたいなの付いてるけど……」

【それに角も付いてるわね……】

「クワガタのファッジ……にしてはちょっと違うな……」

「だとしたら、ファッジじゃない別の何か?」

「うん。そう考えるしか無いね」

 

 デイナとルーナは現れた3人の戦士たちを見て、まず鍬形虫をモチーフとしてファッジではないかという考えが頭を過ぎり始めた。

 それを妨害したのは、彼らの持っている知識と長年の経験であった。

 

 鍬形虫には、木の中や隙間で生活出来るように進化した平べったい身体に、雌や餌場を獲得するために必要不可欠な大きな大顎がある。

 けれども彼らの身体は別に平たいわけではないし、且つ頭部に付いた角はそこまで使い物になりそうもない。

 他のファッジの可能性は拭えないが、あくまでも低い可能性だ。

 

 一方、

 

「あの人たち、別にフォルクローじゃないよね」

「もうフォルクローは俺らと零号を含めて4体しかいないからな」

「じゃあ、あれはそうじゃない別の何か、ってことか……!」

 

 アクトたちが戦うフォルクローは全165体に加え、春樹や碧といったそれ以外の個体も存在する。彼らもそのうちに数えられる者たちではないのか。

 そう考えたが今残っているフォルクローは、椎名春樹、椎名碧、アール、そして「零号」と呼ばれる始祖のパラレインの、計4体しか残っていない。

 そのため、彼らが自身らと戦っている者たちとは別物であることはすぐに判った。

 

 

 

 ──じゃあ、アイツら一体何なんだ?

 

 その疑問を解決する前に、目の前に立ちはだかっているソルダートBが向かって来た。

 

「一旦アイツらを何とかしよう!」

「うん! 真矢、お願い。──任せて!」

 

『DISPEL CRASHER』

『Summon mine!』

「俺たちも行くぞ!」

「「オッケー!」」

 

 それぞれが向かって来る大群へと走り出した。

 

 デイナと真矢が主導権を握ったルーナはソルダートBたちを殴り飛ばす。一体一体の力はどうやら弱いらしく、たった一撃を食らっただけで紫色の液体となって消えてしまう。

 顔や肩、胸部に腹部を殴って雑魚共を蹴散らしていくが、何せ相手が大量だ。あっという間に取り囲まれてしまう。

 別に相手をすること自体は困難ではないのだが、これだけの数を一体ずつ倒していくのは骨が折れる。

 

「流石に、結構キツいわね……」

 

 キックボクシングを嗜んでいることから、この手の戦いにかなり自信のある真矢でも、こんな大群に襲い掛かられてはたまったものではない。

 

「そうだね。じゃあ一気に倒そうか」

 

 するとデイナはドライバーからベクターカートリッジを取り外し、別のカートリッジを挿し込んだ。

 

『SHARK + HEDGEHOG Evolution』

「ゲノムチェンジ!」

『Congrats! Birth of new life, KAGEWANI. Open the door』

 

 レバーを引いたデイナの前に、今度は黒色と灰色が交差した二重螺旋が現れる。それに右の拳を食らわせると、デイナの姿は全く別のものになっていた。

 黒いアンダースーツの上に灰色の鎧を付けた彼の下半身には無数の棘が、両腕には鰭のようなカッターが付いている。

 それは、出雲地方に生息していると伝えられる、影鰐(かげわに)という怪魚の姿を借りた、仮面ライダーデイナ カゲワニライフであった。

 

「じゃあ亜矢、後はお願い。──うん。任せて……!」

 

 一方のルーナは両脚の太ももに付いた銃剣──リプレッサーショットⅡを取り出すと、カッターを使うデイナと共に敵を斬り裂いていき、さらに銃弾を発射して撃ち抜いていった。

 周囲に紫色の液体が飛び散って、次々と兵士たちは消滅していく。

 結果として、彼ら二人は先程よりも速く処理することに成功したのである。

 

「え!? あの人も姿変えられるの!?」

「マジか……」

「良いなぁ。アイツらもか……」

 

 敵を殴り飛ばすアクトに、ディスペルクラッシャー ソードモードで斬り裂くリベード、インディペンデントショッカー スタンガンモードで電撃を食らわせるネクスパイ。

 三人は形態を変えたデイナに驚いていた。一人、姿を変えられないネクスパイは羨んでいるだけであったのだが。

 

「じゃあ、私たちも!」

 

 アクトとリベードはトランスフォンを取り外すと、それぞれ別のカードを装填した。

 

『"HIBIKI" LOADING』

『"GHOST" LOADING』

 

 電源ボタンを押し、ドライバーに再び挿し込んだ。

 

『『Here we go!』』

 

 鎧の無い素体となったアクトとリベードに、上のゲートから現れた紫色の鬼と黒い幽霊がそれぞれ装着されていく。

 

『Training, Exorcise, Make the music! It’s your amazing beat! DRUMMING HIBIKI! If it’s not enough to train, only to train.』

『Dying, Revive, Inherit! I believe myself! WEARING GHOST! I’ll burn my life.』

 

 仮面ライダーアクト 響鬼シェープと、仮面ライダーリベード ゴーストシェープの登場である。

 

【ねぇ亜矢! あっちもなんか仁君みたいに変わったんだけど!?」

「う、うん……。あっちも仁くんみたいな感じなんだね……」

 

 デイナが姿を変えてアクトたちが驚いたように、ルーナもアクトとリベードの変化に驚いている。

 それだけ余裕が生まれたということだ。

 

「一気に決めるよ!」

 

 別にその言葉を聞いていたわけではないのだが、アクトとリベードはドライバーのプレートを端末の方へと押し、ネクスパイはネクスチェンジャーにあったカードをスタンガンのスロットへと挿し込んだ。

 

『『『Are you ready?』』』

 

 デイナとルーナはドライバーのレバーを再度引く。

 一方のアクトとリベードは端末を下の方へと、ネクスパイはスタンガンのボタンを押し込んだ。

 

『『ATP Burst』』

『OKAY. "HIBIKI" DISPEL STRIKE!』

『OKAY. "GHOST" DISPEL STRIKE!』

『OKAY. "NEX-SPY" DISPEL HIT!』

 

「「ハァァッ!」」

 

 デイナは両腕のカッターを伸ばすと、時計回りに一回転をして周囲の敵に斬りつける。

 ソルダートBたちがたった一撃で満身創痍になったところへ、ルーナが上へと銃口を向けて引き金を引き、銃弾を発射した。その弾は宙空で分散し兵士たちへ一気に当たって、彼らを一気に倒した。

 

「「「おりゃああっ!」」」

 

 さらにアクトの取り出した2本の棍棒と、ネクスパイのスタンガンの電極で地面を叩くと、その衝撃と電撃によってソルダートBたちは動けなくなる。

 そこへリベードが、剣からオレンジ色の斬撃を放って周りから敵は完全に消滅した。

 

 これにて一件落着。

 戦士たちは次に対応をしなければならない相手の方を向き合った。

 倒すのか、それとも何か別の手があるのか。

 今のところは判断が出来ないが、その判断に繋がるものを見つけるために、彼らは一歩ずつ足を進めようとした──。

 

 

 

 

 

 するとその時、何処かから乾いた音が聞こえた。

 だが決して乾き切った音ではない。薄らと湿り気を孕んだ音であった。

 

 一体何処から音がするのだろう。

 周囲を確認すると、彼らの前に3人の男女がいたのだった。

 

 左側に立つ筋肉質なタンクトップの男は、髪の毛を金髪のショートヘアにしている。

 右側の端正な顔立ちをした黒いロングヘアの少女は、自身の髪の毛と同じ澄んだ黒色をしているワンピースを着用している。

 そして真ん中に立つスーツの男を見た時、デイナとルーナは仮面の下で驚愕していた。

 

「傘木……雄成……!?」

 

 それは嘗て、彼らが戦っていた諸悪の根源であった。彼は既に自らの手で葬り去った筈なのに──。

 

「傘木? あんな奴と一緒にしないでいただきたい」

 

 スーツの男はデイナの呟きに不本意だと態度で示す。

 

 彼の様子を見たデイナは少し安堵した。

 雄成は確かに自身らと敵対をした仲であった。だがそれと同時に、超万能細胞という福音を生み出した彼に尊敬の念を抱いていた。

 自らが尊敬に値する人物と同じ顔を持つ男は、瓜二つであったがただの他人だ。

 他人の空似だということにこれ程まで有り難いと思ったことは無い。

 

 いや、そんなことは今はどうでも良い。

 その場にいる全員、彼らの姿を見た時から身体が上手く動かないのだ。ありふれた者が絶対に出せないような稀有な気配を感じて、恐怖のあまりに足がすくんでしまったのだ。

 

「一体、何者だ? お前ら」

「俺らは()()()()()()()だよ。めんどくせぇからあんまり語らないけどな。な?」

「……うん。コイツらには、話さない。……だって、みんな私たちが殺すんだもん」

 

 タンクトップの男は快活に、ワンピースの少女は途切れ途切れに言った。

 

「──それじゃあ、お願いしますよ」

 

 スーツの男に唆されたタンクトップの男は、じっと前方のリベードとルーナを見つめる。

 そしてニヤリと笑みを浮かべた。

 

「いやぁ。やっぱスタイルの良い女は良いよなぁ。見てるだけで幸せになれる」

 

 紛いも無いセクハラであった。発言の対象であったリベードとルーナは、不快感よりも先に彼から放たれる得体の知れない恐怖に襲われる。

 

「でも傷つけなきゃいけない命令だからな。しょうがないか」

 

 すると男は左手を挙げた。その左手首に八雲と同じ黒い腕輪をしているのを、アクトたちは見逃さなかった。

 どうしてそれを、と腕輪の開発者本人であるネクスパイが驚く前で、男は1枚のカードを取り出した。「KAMEN RIDER ROZO」と大きい文字の下には白く「SACHIO YAMADA」と印字されている。

 そのカードを腕輪にかざした。

 

『NEX CHANGER』

 

 腕輪がネクスチェンジャーに変化したことを確認した男は、さらにもう1枚のカードを手に取った。

 優雅な薔薇園の様子が描かれていて、下部には「KAMEN RIDER ROZO」と印字されているそのカードを、ネクスチェンジャーのスロットに装填した。

 

『"ROZO" LOADING』

 

 ダイヤルを回してオレンジ色の面に合わせた。

 

『CHANGE』

 

 男の上に現れたゲートが開くと、全く似合っていない美しい銀色の薔薇が付いた銀色の茎が大量に飛び出して来た。

 それと一緒に黒色の枠の中に入れられた男は、ハキハキと言葉を放ってダイヤルを押した。

 

「変身!」

『Let's go!』

 

 枠の中に煙が充満し中身が見えなくなるが、枠が破壊されて彼の姿がようやく見えるようになった。

 

 迷彩柄のインナースーツに銀色の鎧が装着された大柄の戦士には、その鎧はまるで大量の大きな薔薇が付いた蔓が身体に巻きついているように見える。

 さらに両腕には緑色の長い刃物が2本ずつ付いていて、閉じた状態の鋏のようだ。

 そして赤色の楕円形の複眼を持つ頭部には2本の角があり、透明な黒い仮面が装着されていた。

 

『This is RIDER SYSTEM of next generation! I’m KAMEN RIDER ROZO! Presented by KASAGI CORPORATION.』

 

 仮面ライダーコーゾに変身をした男はアクトにリベード、ネクスパイの三人に狙いを定めて走り出した。

 

 アクトたちに加勢しようと向かうデイナとルーナ。

 だがワンピースを着た少女が飛び蹴りを食らわせて襲い掛かり、行手を阻む。

 

「ここから先は、行かせない。それが、私の仕事……」

 

 見ると少女もネクスパイやコーゾと同じ黒い腕輪を付けている。

 胸の前まで挙げた腕輪に、「KAMEN RIDER KORVO」とポップな文字で書かれ、その下に「REINA IZUMI」と白く印字されたカードをかざす。

 

『NEX CHANGER』

 

 腕輪をネクスチェンジャーに変化させると、もう1枚のカードを取り出した。

 大量のゴミ袋を烏が占拠している様子が描かれており、下部には「KAMEN RIDER KORVO」と書かれている。

 

 そのカードをネクスチェンジャーのスロットに装填した。

 

『"KORVO" LOADING』

 

 ダイヤルをオレンジ色の面は正面に来るように回す。

 

『CHANGE』

 

 銀色の烏がゲートから出現する。大きく羽を羽ばたかせる烏と共に黒い枠の中に閉じ込められた彼女は、胸の前でダイヤルを押し込んだ。

 

「変身!」

『Let's go!』

 

 白い煙が立ち込めた後、枠が壊れて変化した彼女の姿が明らかとなった。

 

 迷彩柄のインナースーツや頭部は殆どコーゾと同じであるが、複眼の色は青色になっている他、口元には鋭い嘴が付けられ、両耳は羽毛のような形状の銀色のものである。また、付けられている銀色の鎧は羽毛のように柔らかい印象を持たせていて、さらに背中や両腕に羽根のような銀色のパーツがあった。

 

『This is RIDER SYSTEM of next generation! I'm KAMEN RIDER KORVO! Presented by KASAGI CORPORATION.』

 

 少女の変身した仮面ライダーコールヴォは、颯爽とデイナとルーナに向かって襲いかかって行った。

 その動きはかなり素早く、気が付いた時にはデイナとルーナの前にいたのだ。

 

 そして次々と足技を繰り出していった。

 能力によって敵の次の動きを予測出来るデイナであっても、一体何を繰り出そうとしてくるのか一切の検討がつかない。検討がついた時には次の、さらにまた次の攻撃が浴びせられてしまうのだ。

 

 左足の強烈なキックによって退かざるをえないデイナ。彼は蹴られた胸部を右手で押さえている。

 

「仁くん!」

 

 ルーナが反撃をしようと、銃剣を縦に振り下ろした。

 だがコールヴォはそれを横に回転しながら二つとも蹴り飛ばし、さらにもう一回転しながら彼女の顔を蹴って飛ばした。

 

「ッ……!」

「彼女は……烏だね、きっと」

 

 烏の威嚇には幾つかの段階が存在する。

 第1段階は監視。第2段階は周囲の枝や電柱を突く。第3段階は大声で鳴きながら小枝や葉を落とす。そして第4段階になると足で蹴ってくるのだ。

 この巧みな足技は、彼女が烏の特性を使っていると思えば納得がいく。

 

「格闘タイプには、格闘タイプだね」

「うん……。真矢、代わってもらっても良い? ──勿論」

 

 ルーナの中身は亜矢から真矢に代わり、デイナはドライバーに別のカートリッジを挿し込んだ。

 

『HAWK + LEON Evolution』

「ゲノムチェンジ!」

 

 レバーを引いて、登場した茶色と金色の混合されている二重螺旋を叩くと、彼の身体は三度別のものへと変化をした。

 金色のインナースーツの上から茶色い鎧を身に纏った彼の目には、角や突起の代わりに鷹の嘴を模したバイザーが装着されている。

 

『Congrats! Birth of new life, GRIFFIN. Open the door』

 

 鷲の翼や上半身、獅子の下半身を持つ空想上の生物の力を持った、仮面ライダーデイナ グリフィンライフの参上だ。

 

「「ハァァァァッ!」」

 

 接近戦で有利に立つことが出来る形態となったデイナに、格闘技が得意な真矢が主導権を握るルーナ。

 コールヴォに最も有効な力を持ってして、二人は拳や蹴りを猛スピードで打ち込んでいく。反撃する暇も与えられないコールヴォは、彼らの攻撃を受け流す他出来ない。

 強いて言うなら、ネクスチェンジャーのダイヤルを赤い面に合わせられる暇くらいしか与えられなかった。

 

『Are you ready?』

 

 ここぞと言うタイミングで、コールヴォはデイナの左の拳とルーナの右の拳を受け止めた。

 そして押し返したその瞬間、ダイヤルを押し込んだ。

 

『OKAY. "KORVO" DISPEL BRAKE!』

 

 コールヴォは高くジャンプするとデイナに右足で、ルーナに左足でキックを繰り出し始めた。

 一撃一撃の威力が凄く、尚且つ凄まじいスピードで攻撃が放たれるため、二人は成す術が無い。

 そして思いっきり蹴り飛ばした。

 

「「グァァァァッ!」」

 

 転がるデイナとルーナは止まった先で変身が解除されてしまう。

 着地したコールヴォはその姿を見て、仮面の下でほくそ笑んだ。

 

 

 

 一方、少し離れたところで、向かって来たコーゾにアクトは拳を、リベードは剣を、ネクスパイはスタンガンの電極を当てた。

 だが、

 

「ッ! 硬い……!」

 

 あまりにも硬い。寧ろ攻撃をしたこちら側にダメージが与えられてしまう。

 何度攻撃をしても同じであった。まるでびくともしない。

 今度は三人にコーゾは両腕の鋏で斬りつけた。

 

「「「グッ……!」」」

 

 身体から火花を散らしながら後退をする。

 そこでネクスパイはコーゾの外見や能力から、ある一つの考えに至った。

 

「薔薇か……?」

 

 蔓薔薇には2つの種類がある。枝が堅くて曲げることが難しいものと、枝が柔らかくて曲げることが容易なものだ。

 前者の堅いものでは、今のコーゾのように大量の花を咲かせる種類に多い。

 もし彼がその手の力を持っているのであれば、この硬さにも納得がいく。

 

 コーゾはネクスチェンジャーのダイヤルを赤色の面が正面に来るようにした。

 

『Are you ready?』

 

 ダイヤルを押し込むと、彼の背中から緑色の長い蔓が大量に伸び始める。

 

『OKAY. "ROZO" DISPEL BRAKE!』

 

 それらがアクトたち三人を縛り、宙空へと持ち上げたその時、コーゾは両腕に装着された鋏を振り回し、斬撃を食らわせた。

 

「「「グァァァァッ!」」」

 

 変身を解除されてその場に倒れ込んでしまう三人。

 それだけでも大分不味いのだが、

 

「……あ!? 俺のネクスチェンジャーがぁっ!」

 

 八雲の腕に装着されているネクスチェンジャーに大量のヒビが入ってしまっているのだ。火花を散らすその様子は、現段階では使い物にならないことを表している。

 

 これで戦力はほぼゼロとなった。

 じりじりとコーゾとコールヴォが彼らに迫ろうとする。だが

 

「二人とも。一旦ここは退け」

 

 スーツの男が静止したため、二人はその場で足を止める。

 その間から姿を見せる彼は、ニヤリと笑って言葉を投げかけた。

 

「また来るよ。その時は、君たちが持っている()()をいただくから」

「……()()?」

「それじゃあ」

 

 三人を背後に現れた黒い穴が吸い込んだことによって、姿が見えなくなった。

 

 五人は先程まで標的がいた場所を見ながらゆっくりと立ち上がる。そして互いの姿を見合った。

 

「お前ら……何者だよ……」

「そう言うアンタらは何なの?」

 

 見つめ合う春樹と仁。

 目の前の相手の全容がまるで判らないため、この間にも考えを巡らせていた。

 

 すると、

 

「ねぇ亜矢。意外とこの状況って不味くない? ──うん。だってこれだけの人数に囲まれたら……」

 

 亜矢と真矢の言う通り、五人は今機動隊員たちによって取り囲まれている。彼らが持つ銃が向かう先は、言うまでもなく仁たちだ。

 変身をし、尚且つ人間の姿にもなることが出来る。人間態になることが出来るフォルクローを散々見てきた彼らが疑うのも無理は無い。

 

「どうするのお兄ちゃん。もしこのまま連行したら……」

「……俺の、ネクスチェンジャーが……」

 

 得体の知れない者たちを心配する碧に対し、八雲は自身の手元にしか心配の矛先が行っていない。

 

 もしこのまま連行した場合、仁と亜矢は新型未確認生命体という扱いになる。そのまま連行したら、一体何をされるのか検討もつかない。

 そんなことを彼らの上司である森田や室長である岩田(いわた)将吾(しょうご)がさせるわけないのだが、彼の交渉が上手く行く保証も無い。

 

「俺たちが捕まったら、相当ヤバいことされる、ってこと?」

「そうならない方法なら一つだけあるぞ」

 

 目の前の男に賭けるしかない。

 意を決した仁と亜矢は春樹の言葉に耳を貸した。

 

「目を瞑って」

 

 言う通りに目を閉じる。

 

「右腕を真っ直ぐ挙げて。左腕も同じように。そのままゆっくりと降ろして」

 

 言われた通りに行動をすると、春樹に両手を差し出す形となった。

 一体何が行われるのかと思ったその時、

 

 ガチャリ。

 

「「?」」

 

 何やら聞き馴染みのあるような音がしたため、ゆっくりと目を開けて状況を確認すると、二人の手首はそれぞれ()()()()()()()()()()()()()()

 一度もそんな経験の無い仁だけではなく、傘木社にて人体実験を受けていた時に手錠で繋がれた経験のある亜矢でさえも、突然のことに驚いてしまう。

 

「え!? 何これ!?」

「これしか手が無いんだよ。我慢してくれ」

 

 変身をし、さらに手錠まで取り出したこの男が一体何なのか知りたくなり、真矢は思わず彼に訊いた。

 

「貴方……一体何者なの……?」

 

「……未確認物質解析班、及び警視庁公安部の椎名だ。現時刻を持って、公務執行妨害、並びに銃刀法違反で現行犯逮捕する」




【参考】
イソップ寓話集
(岩波書店, 中務哲郎 訳, 1999年)
理科好きな子に育つ ふしぎのお話365: 見てみよう、やってみよう、さわってみよう 体験型読み聞かせブック
(誠文堂新光社, 自然史学会連合 監修, 2015年)
図書館:クワガタムシについて|三春町公式ホームページ【福島県三春町】Miharu Town
https://www.town.miharu.fukushima.jp/soshiki/12/kuwa.html
磯撫で - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%e7%a3%af%e6%92%ab%e3%81%a7
カラス - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%e3%82%ab%e3%83%a9%e3%82%b9
カラスについて解説 松山市公式ホームページ PC サイト
https://www.city.matsuyama.ehime.jp/kurashi/kurashi/seikatsu/bika/karasukaisetu.html
カラスの基礎知識|自然環境|農林畜産業|仕事・産業|中標津市公式 WEB サイト
https://www.nakashibetsu.jp/sangyo/nourinchiku/shizenkankyo/crow/
グリフォン、鷲獅子(じゅじし)。鷲の翼を持つ巨大な獅子 - waqwaq
https://waqwaq-j.com/celtic/5420/
バラ科とは - 生態や形態の特徴解説 - ZUKAN(図鑑)
https://www.zukan.earth/descriptions/10/3775690
つるバラの誘引のしかた1<堅い枝のつるバラ編>|バラと小さなガーデンづくり
https://ivy-rose-love.com/yuuin-pierre/
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