仮面ライダー ハーメルンジェンレーションズ アクト×デイナ Almost Human 作:志村琴音
黒服さんのご好意で、このコラボで一番やりたかったことをやらせていただきました!
感想や読了報告等くださると筆者の励みになります故、何卒宜しくお願いいたします。
2022.05.31 16:22 東京都 新宿区 SOUP
「まさか春樹さん達がやられるだなんて……」
「全くだな。相当手強いな、奴は……」
室内には重たい空気が流れる、と言うよりも、流れる前に床に沈んで彼らの足元を引っ張り出す。おかげで全員がその場を離れることが出来ない。
深月と森田の言う通り、先程の戦いで春樹と碧は負傷してしまった。爆発によって起こった衝撃波によって吹き飛ばされ、全身を打って意識を失った。さらには炎で気管支や全身に火傷を負っているため、はっきり言って危険な状況である。
不幸中の幸いであったのは、彼らがフォルクローであったことだ。優れた自己修復能力を持った彼らであれば死ぬことは無く、医務室で適切な治療を受ければ回復するのだが、それでもどれだけの時間がかかることか──。
「それに、まさか仁君達のドライバーが壊れるだなんて……」
「えぇ……。今、八雲さんに修理をお願いしているところです」
おまけに最悪なことに、仁と亜矢の使っていたデイナドライバーは、キラーソのミサイルによって破壊されてしまったのだ。
粉々というわけではないために修復自体は可能だ。
けれどもそれ以上に心配なのは、今戦える人間が一人もいないことだ。
伊福部が使用したカードによって、後1日半程で世界が滅びてしまうかもしれない。何とかして止めなければならないことは分かっているのだが、八方塞がりというのが現状であった。
全員が頭を悩ませていたその時、
「あの……」
亜矢が口火を切った。
「私達が春樹さんと碧さんの端末を使うことって、出来ないですか……?」
彼女の質問に、森田は考える。
「無理だな。あれは使用時に有害な毒物が体内に注入される。使えば10分足らずで死に至るぞ」
「……いや。新人類は高すぎる環境適応能力を持っているから、耐えることは出来る筈……」
仁の言葉によって、まさか突破口に開かれるとは思っていなかったメンバー達が再度考え始めた。
絶望に満ちた顔ではなく、希望を見出して前に進もうとする真っ直ぐとした目を持つ顔で。
「問題はカードですね。春樹さんみたいにオリジナルのカードは作れないですから……」
「普通のメモリアルカードを使うしかないですね。後は端末を使うためのカード……」
深月と薫の発言の後、全員は圭吾の方を見た。
理由は言わずもがな、八雲が様々なアイテムを修理している今、そのカードを開発出来るのは圭吾しかいない。彼が言わば最後の希望なのだ。
だが、
「いや。ライダーシステムの認証をするためのカードを作るのって結構難しいんですよ。なのでどのくらい掛かるか……」
その発言で全員が振り出しに戻ったような感覚に襲われる。
もう駄目なのかもしれない。
全員がそう思った──
次の瞬間、扉が大きな音を立てて開かれ、高らかな笑い声を上げながらアイツが笑顔で入って来た。
「やったぞ! 遂にネクスチェンジャーの修理が完了したぁぁっ!」
そう。唯一この状況を打破出来るかもしれないナルシストである。
「デイナドライバーに関しては今他の研究員が修理しているから、世界滅亡のギリギリで完了じゃぁぁっ!」
何とも喜ばしい報告であるが、全員の顔は真顔のまま変わらない。
お疲れ、とだけ言った仁の表情を見て、八雲の顔から笑みは消え失せ、不安になってくる。
戸惑う八雲に対し、真矢は満面の笑みを浮かべた。それに八雲はさらに怖くなってしまう。
「……え、何?」
「いやぁ、ちょっと、ね」
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2022.06.02 11:33 東京都 新宿区 東京競技場
快晴の競技場のスタジアムにて、コーゾとコールヴォは立っていた。コーゾは手脚を伸ばして準備運動をし、コールヴォはスマートフォンで株価のチャートを確認している。
二人の後ろには2メートル程の四角い大きな箱があり、それはスタジアムの大半を覆い尽くしている。
思い思いのことをしていたその時、
丸腰の仁と亜矢、ネクスチェンジャーを付けた八雲は、二人の戦士から少し離れたところで立ち止まる。
「おいおい。何しに来たんだよ?」
「勿論、貴方達を倒すためですよ」
亜矢の発言に、コーゾは薄笑いをする。
「無駄だ無駄だ。後1時間くらいで世界は終わるんだよ。何やってもどうにもならないって」
「それはやってみないと判らないでしょ」
余裕そうな仁の様子を見て、コーゾとコールヴォは何かあるのではないかと身構えてしまう。
「だったら、絶対に、私達が止める。お命、頂戴」
「上等だ。やってやろうじゃねぇか」
『AUTHORISE』
八雲は右手に持った細長いアイテム──アップグレードルーターのボタンを押し、ネクスチェンジャーに合体させると、スロットにカードを装填した。
『"NEX-SPY" LOADING』
ダイヤルを回し、オレンジ色の面に合わせる。
『SUPER CHANGE』
八雲がコーヒーメーカーに似た装置の中に入れられた瞬間、仁と亜矢は「ん?」と声を出してしまう。
完全に出遅れた……。と言うより、彼がただ単に出しゃばっているだけだ。
流石は自分大好きで協調性の無いナルシストと言ったところである。
そのナルシスト野郎は二人の目線を気にすること無く、ポーズを取って叫び、腕輪に付いたダイヤルとボタンを同時に押した。
「変身!」
『Let's go!』
上から茶色い液体が降り注ぎ、八雲の姿が見えなくなる。
そこから眩い光が幾つも飛び出して爆発。新たに赤い戦士の姿が露わになった。
『You can get stronger by using this device. Complete to upgrade! Get a kick out of my new invention.』
一足先に八雲は、仮面ライダーネクスパイ アップグレードシェープへと変化を遂げた。
「ちょっと! 抜け駆けしないでよっ!」
真矢は抜け駆けしたネクスパイに対して不満そうに言ったところで、仁と共に何かを取り出した。
一体何なのかとコーゾとコールヴォが目を凝らして見ると、それは春樹と碧が使っていたトランスフォンであった。どうして彼らがそれを持っているのかは分からないが、何かが起こると余計に身構える。
すると仁と亜矢はそれぞれ1枚ずつカードを左手に持った
白い円の中にポップな文字が書かれている。仁のものに「KAMEN RIDER DNA」と赤色で書かれて、下部には「JIN KADOMORI」と白く印字されている一方、亜矢のものには「KAMEN RIDER RNA」と白く書かれ、下部に「AYA KADOMORI/MAYA KADOMORI」と印字されている。
そのカードをトランスフォンの裏側にかざした。
『『ACT DRIVER』』
二人の腹部に春樹と碧が使っているのと同じドライバーが装着される。けれどもプレートに描かれた絵は、デイナとルーナのものとなっている。
さらに別のカードをそれぞれ取り出した。
仁のものには、心臓のような形をした鉛色の道路を数多くの赤いスポーツカーが走行している様子が描かれ、下部には「No.127 PAL HEART」と書かれている。
亜矢のものには、夕暮れの中で鎖の巻きついている十字架を着けた女性が祈りを捧げている様子があり、「No.069 CLERGYMAN IXA」と書かれている。
それらを端末のスロットに装填した。
『"HEART" LOADING』
『"IXA" LOADING』
電源ボタンを押すと、二人の上にゲートが出現。仁の上には心臓の形をした赤色のオブジェが、亜矢の上には白い十字架が現れる。
軽快な音楽の中で、仁は左腕を真っ直ぐ伸ばした後に左の掌を右肩の前で構える。亜矢は開いた左手を前に出した。
そして二人は叫んだ。
この場をやる過ごせる、仮初めの姿になるための言葉を──。
「「変身!」
端末をドライバーに挿し込んだ。
『『Here we go!』』
次の瞬間、通常は出現しない筈の二重螺旋が飛び出して来た。それを仁は殴り、亜矢が優しく包み込んだその時、二人を眩い光を包み込んだ。その一瞬の隙に宙空のオブジェが分解。鎧となって装着されると、新たな戦士が誕生をした。
そのカラーリングはデイナ ミノタウロスライフや、ルーナ・ユナイトと変わりは無い。
けれども形状が少し違っている。
鎧が若干違うこおとは勿論のこと、デイナの角はまるでハートを描くような黄土色になっている。一方のルーナは猫耳に似た2つアンテナに加え、十字架に似た金色のパーツが付いていた。
『Copy, Revival, Coalesce! We’re a new species! PAL HEART! You’re my best friends.』
『Break, Reform, Inherit! I’m always right! CLERGYMAN IXA! Return your life to the god.』
仮面ライダーデイナ ハートシェープ。
仮面ライダールーナ イクサシェープ。
別物の道具を使って変身を遂げた、新たなる形態の誕生である。