仮面ライダー ハーメルンジェンレーションズ アクト×デイナ Almost Human 作:志村琴音
後少しで今作も完結でございます。結構長かった……!
感想や読了報告等くださると筆者の励みになります故、何卒宜しくお願いいたします。
2022.06.02 11:35 東京都 新宿区 東京競技場
「おぉっ……! 変身出来た……!」
「やった! 成功した!」
【えぇ。思った通りね】
いつも使っているものとは全く違うアイテムを使うことに、はっきり言って不安を覚えてはいたのだが、何とか変身に成功したことに喜びを覚えた。
そんな彼らに対して、コーゾとコールヴォが襲い掛かる。戦いの幕が上がったのだ。
コールヴォと対峙するのは、ネクスパイだ。
戦闘をしながらスタジアムから移動し、会場内の広い場所を戦場とする。
コールヴォが目にも留まらぬ足技を繰り出す。何発か食らってしまったネクスパイであったが、少し体が蹌踉めくだけだったことから、ダメージはほんの少しだけだということが判る。
だがこれ以上まともに受けるのは不味いと思い、自身の武器──アンブレラブレイカー ボウガンモードを取り出すと、露先から自らを覆い隠す程の膜を張り、バリアのようにしてコールヴォの足技を防いだ。
全くの手応えが無いままひたすらに攻撃を繰り出すコールヴォ。パンチやキックをしたとしても、相手に一切届くことの無い。
次の攻撃をしようとした一瞬の隙をついて、中棒にあるポンプを先の方へと押し出し、グリップを中棒に垂直になるようにした。すると親骨が開いて一つの束となり、ロッドモードが完成する。
その先をコールヴォの胸部に押し付けた。
「ハァッ!」
「ッ!」
強い電気を帯びた攻撃を受けて、コールヴォはその勢いによって吹き飛ばされてしまった。
「これで終わりだ……!」
ネクスパイは武器を後ろに投げ捨てると、腕輪のダイヤルを回して赤色の面に合わせる。
『Are you ready?』
ダイヤルとボタンを同時に押すと、コールヴォが白い膜で覆われて身動きの取れない状態になり、ネクスパイの右足が赤色に光る。
『OKAY. UPGRADED DISPEL BREAK!』
そして跳び上がると、後ろに現れた放水機から勢い良く放たれる茶色い液体によって猛スピードで全身。出した右足で強烈なキックを繰り出した。
「おらぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
ネクスパイが着地をした瞬間、身体を貫かれたコールヴォは断末魔を上げること無く、爆発に巻き込まれて姿を消した。
振り向かずにその場でガッツポーズをした彼は、爆炎が上がったところで何かを考え始め、そして呟いた。
「後は、
一方のデイナとルーナはコーゾとの戦闘を繰り広げていた。
コーゾの両腕に装備されている鋭利な刃物が二人を襲う。
それをルーナは後退することによって避け、デイナは右手で受け止めて自身の懐に収めると、体勢を崩した敵を左足で蹴り飛ばした。そこにルーナが取り出したディスペルクラッシャー ガンモードで銃撃をする。
「ッ!」
想像以上の力を持った攻撃に戸惑うコーゾ。
お構い無しにデイナは次々と彼の胸部にパンチを入れ、それをルーナが後方から援護射撃する。
けれどもこれでやられるようなコーゾではないのだ。
彼は一瞬の隙をついてデイナを斬りつける。やはり威力は絶大で、火花を散らしてデイナは後に退いてしまう。
「グァッ……!」
さらにはルーナが撃ってきた銃弾を斬り刻み、逆に赤色の斬撃を放ってお見舞いした。
「ガァッ……!」
並び合うデイナとルーナ。
新たな力を得た二人はコーゾと同等の戦闘力を持っているのであるが、それでもやはり相手は手強い。
「どうするの仁くん?」
「そうだね……。俺に考えがあるんだ。とどめは任せるよ、亜矢さん」
「うん……!」
するとデイナは右の掌をコーゾの方へと向けた。
一体何が行われるのかと彼が身構えたその時、地中から緑色の触手が何本も飛び出して来た。
刃物で斬ろうとしたコーゾであったのだが、何本斬ったとしてもしつこく生えてくるそれによって全身を束縛されてしまう。
さらには、
「ガァァァッ……!」
触手から電気が流れ、全身を痺れと激しい痛みが襲うがために何も出来なくなってしまう。
その間に、ルーナはドライバーからトランスフォンを取り出し、ディスペルクラッシャーにかざした。
『Are you ready?』
再び端末をドライバーに戻して、銃口を縛られたコーゾの方へと向ける。
胸部のアーマーに描かれた太陽を模した赤いマークが輝き、次々と銃口に赤色のエネルギーが溜まって砲弾を作り上げる。
『OKAY. "IXA" CONNECTION SHOT!』
「ハッ!」
引き金を引くと、砲弾は勢い良く発射されてコーゾに命中。纏われている炎で彼の全身を縛っている触手ごと焼いた。
「グァァァァッ!」
断末魔を上げた姿が、二人の見たコーゾの最後であった。
それ以降は爆発によって見えなくなり、さらに倒されたがために姿が消えてしまっている。
これで自体は収束に一歩近付いたのだろう。
けれどもこれで終わりというわけではない。
「じゃあ、この中に飛び込みましょうか」
真矢の言葉にサムズアップを見せるデイナ。
二人が視線を向けている場所は勿論、グラウンドの人工芝の上に不自然に置かれている、大きな白い建物であった。
コーゾとコールヴォが前方で守るように立っていたことから、もしかしたら内部に伊福部がいるのではないか。
そう予想をしたデイナとルーナは、壁を思いきり蹴り飛ばした。
素材は硬いものであったのだが、彼らの力を持ってしてみればクッションを蹴り飛ばすに等しい。
内部は晴天の外とは違って非常に暗かった。
広い室内には、何かが大量に置かれた大きな棚が両端に設置されている。目を凝らして見ると、置かれている物はどうやら仁達が使っているようなベクターカートリッジらしい。
そして奥の方ではデイナとルーナに背中を向けた伊福部がいた。彼らの方に振り向くと、腹部にクラックボックスが付いたドライバーが装着されているのが目に見える。
「来たのか。でも無駄だよ。後もう少しで僕の計画は成功する……! そうすれば、僕は究極の生命体になれるんだ……!」
「そんなことさせないですよ。──そうそう今の私達、結構強いし」
「それに、お前を倒せば全部終わるんだから、結構コスパの良い仕事だよね」
意外と余裕そうな二人の姿に、伊福部は苛立ちを覚えながら、トランスフォンにカードを装填した。
「だったら、僕がどれだけ強いのかを改めて教えてあげるよ。変身!」
『Here we go!』
伊福部の姿がキラーソに変化する。
それが、戦いの開始を意味していたのだ。
相手の方へ走り出すデイナとルーナに、キラーソは身体中からミサイルを出し、彼らに向けて発射をした。
直撃しては不味いと思った二人は上手く避け、キラーソの前まで行こうとするのだが、無数にやって来るミサイルは一切の容赦をしてくれない。
なので、デイナは状況を打破しようと身体を赤く発光させた。
すると内部の床から先程の触手とは違う、大きな硬い棘が次々と吹き出し、ミサイルを貫いて自爆させるのだ。
それらはキラーソの方にも襲いかかって来る。ミサイルを発射するなり、己の拳で割るなりして対応するのだが、時既に遅し。完全に術中に嵌まっていたのだ。
「うりゃっ!」
デイナが正面から顔面に正拳突きを食らわせてきた。唐突な攻撃に体勢を崩しながら後退するキラーソ。
追い討ちをかけるように、ルーナがデイナの後方で次々と銃弾を発射し、目標に銃撃する。
「ッ……! ガッ……!」
けれどもやはり奴は手強い。
いきなり前進したかと思いきや、強烈な威力を秘めた右の拳をデイナの腹部にお見舞いした。
「グッ……!」
怯んだデイナに次々とパンチをし、最終的には左足でルーナの方へと蹴り飛ばした。
「グハァッ……!」
「仁くんっ!」
心配するルーナ。そんな暇は無いのだと言い聞かせるように、キラーソは彼女に向けて、両腕から大量のミサイルを発射。見事に全弾を命中させた。
「キャァァッ……!」
崩れた体勢で並び合うデイナとルーナ。
形勢が逆転して嬉しそうな敵を見ながら、二人は話し合う。
「結構不味い状態よね。──えぇ。そうね。さて、どうしようかしら……」
亜矢と真矢が話し込む中、デイナは必死に何かを考え出す。
そして一つの結論に至った。
「あのさ」
「?」
「すごく無謀な作戦なんだけど、良いかな」
デイナの口からそんなことが出るとは思ってもいなかった。彼がそんなことを言うのだとすれば、相当なものなのだろう。
けれども、これまで数多くの戦いで寄り添って来たのだ。何があったとしても大丈夫。そう思い、ルーナはデイナの言葉に耳を傾けた。
「──っていうのなんだけど、どうかな?」
「うん。良いと思う。じゃあ真矢、後はお願いね。──オッケー、任せて!」
真矢に主導権が渡ったルーナと共に、デイナは立って標的を再び睨む。
「何度やっても同じさ。君達は僕に勝てない!」
キラーソは嘲笑うかのように、彼らに向けて大量のミサイルを発射した。
一直線で対象へと進んで行くそれらを、デイナとルーナはただひたすら前に進むことによって避けて行く。
そしてあまりの炎と白煙によって、キラーソ自身も前方が確認出来なくなった。最早事切れているのか否かは不明であるが、念のためにと発射の準備をし始めた──
その時だった。
『『Are you ready?』』
煙の中に2つの黒い影が薄らと見えた。
まさかと思い、急いで発射をしようとするがその時にはもう、デイナとルーナはキラーソの目の前にいた。
『OKAY. "HEART" DISPEL STRIKE!』
『OKAY. "IXA" DISPEL STRIKE!』
「「ハァァァッ!」」
それぞれ赤色と白色のオーラを纏った拳がキラーソに激突する。かなりの威力を持つその攻撃によって、キラーソは吹き飛ばされてしまった。
「グァァァァッ!」
これが、彼らの作戦であったのだ。
キラーソはミサイルを発射しようとする際、発射態勢に入るためか一瞬だけ隙が生まれる。
無防備になるその一瞬に攻撃を仕掛けるという、かなり難易度の高い作戦であった。
あの二人だから出来た作戦ということだ。
転がり、両手を地に付けて何とか立ち上がるキラーソ。
これでもう事は終わる。そう思ったのだが、
「まだだ……! まだ僕は負けてない……!」
どうやらまだ諦めていないらしい。
「往生際が悪いわね。もう諦めなさい」
【待って真矢。絶対何かある……!】
真矢の言う通り、ただ諦めの悪いだけと言われればそうなのだが、亜矢の言葉でこれより先に何かがありそうな気がしてならなくなってきた。
「まだ僕には、これがある……!」
するとキラーソはドライバーに付けられたクラックボックスを、端末の方へと押した。
『Are you ready?』
端末を下へと押し込んだ瞬間、棚の中に入ったベクターカートリッジが発光を始め、棚を飛び出して宙空に浮かび上がる。
「──まさか……!」
デイナとルーナは次に起こることに、大方の予想はついていた。
傘木雄成との最終決戦の際、追い詰められた彼は大量のベクターカートリッジを摂取。本来であれば細胞の変化に耐えられず息絶えるところであったのだが、レトロウイルスによって全く未知の生命体へと変異を遂げたのだ。
もしもキラーソが同じことをするとなると、一体何が起こるのか全く検討がつかない。
一刻も早く止めなければならない……!
「止めろぉっ!」
『OKAY. CRACKED DISPEL EXPLOSION!』
デイナの忠告を聞くこと無く、キラーソは己の体内に全てのベクターカートリッジを取り込んだ。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛! ガァァァァッ! ギャァァァァァァッ!」
この世のものとは思えない唸り声を上げながら、キラーソの身体が膨れ上がっていく。
──不味い。爆発する……!
危機を察したデイナとルーナは、入室する際の自身らが空けた穴から逃げ出そうとした。
が、
「「ッ!?」」
けたたましい音が轟くと共に背中に衝撃が走り、外へと押し出されてしまった。
結果的に脱出出来たのは良かったのだが、振り向いて見た光景は予想だにしないものであった。
「何なの、あれ……!?」
先の衝撃によって白い部屋は破壊され、代わりに姿を現したのは、巨大な化け物であった。
四足歩行のそれは、物語の世界に登場するドラゴンのような形状なのであるが、規則正しく配列された大量の穴は、それが絡繰りであろうことが推測出来る。
言うなれば、キラーソの怪人態のようなものなのであろうか。
「まさか、アイツも超越したって言うの!? 傘木雄成みたいに……」
「うん。アイツは新人類とフォルクローの力を兼ね備えているからね。正直何が起きてもおかしくはないんだけど、ここまでとはね……」
傘木雄成のした変異とは全くの別物であったがためか、一度同じ状況に遭遇した彼らであってもかなり戸惑ってしまう。
「ギャァァァァ!」
咆哮を上げながらキラーソは鋭い爪の付いた前脚で、ルーナを攻撃した。
「うぁぁぁぁっ!」
「亜矢さん! 真矢さんっ!」
心配したのも束の間、今度は横回転すると長く伸びた尻尾でデイナを吹き飛ばした。
「グァァッ!」
さらにそれだけではない。
キラーソは口を開いたかと思えば、口腔内を紫色に光らせて一筋のビームを勢い良く放出。デイナとルーナの前へ横文字に発射して、大きな爆発を起こした。
その衝撃から強制的に変身を解除され、その場に倒れ込んでしまう二人。
腹部からドライバーは消え、トランスフォンも遠くの方へと行ってしまう。
「諦めた方が良いのは君達だよ! もう後1時間だ。そこで僕がこの世で最も強い生物になるのを見ているといいよ!」
巨体から出される震えた声。
変身するための術が無い今、正に万事休すと言った状態になってしまった──。
いや、そうでもないらしい。
「何か、滅茶苦茶不味い状態になってるな」
「うん。これは寝てる場合じゃなかったね」
後ろでトランスフォンを拾いながら呟く二人の姿を見た時、仁と亜矢は勝利を確信した。
「来るのが遅いですよ。春樹さん、碧さん」
立ち上がりながら多少の不満を言う仁。
言うのは申し訳ないのと思ったのか、亜矢はただ頷くだけだった。
「これ。二人のドライバー」
「有り難うございます!」
仁と亜矢に渡されるそれは、彼らが常日頃使っているデイナドライバーであった。ここに渡っているということは、どうやら修理は終わったようだ。
「今更人数が増えたところで、何も変わらないよっ!」
「五月蝿ぇな。やってみないと分からないだろ」
「そう。じゃあ、行こう……!」
各々が腹部にドライバーを出現させる。
「さて、検証の時間だ」
仁は2本の白いベクターカートリッジを起動させ、ドライバーへと装填する。
亜矢はユナイトキャットにベクターカートリッジを挿し込んで、同じようにドライバーへと装填した。
春樹と碧は「サーバー」と通称される四角い物質にトランスフォンを装填。タッチパネルをなぞっていった。
『HUMAN + HUMAN Beyond evolution』
『CAT Unite』
『KUUGA! AGITO! RYUKI! FIZE! BLADE! HIBIKI! KABUTO! DEN-O! KIVA! DECADE! DOUBLE! OOO! FOURZE! WIZARD! GAIM! DRIVE! GHOST! EX-AID! BUILD! ZI-O!』
『G4! RYUGA! ORGA! GLAIVE! KABUKI! CAUCASUS! GAOH! ARK! DIEND! ETERNAL! POSEIDON! NADESHIKO! SORCERER! MARS! DARK DRIVE! DARK GHOST! FUMA! BLOOD! BARLCKXS!』
それぞれが多様なポーズを取った四人は、同時に同じ言葉を叫んだ。
この戦いに決着をつけるために必要な形態へ変化を遂げるための言葉を──。
「「「「変身!」」」」
『『Here we go!』』
『Open the door』
仁と亜矢の前に二重螺旋が現れる。
2つに分かれた螺旋が仁を取り囲み白く発光をすると、青色のアンダースーツに緑色の鎧が付けられ、2本のマフラーが靡く姿になる。
亜矢の方はと言うと、黒いアンダースーツの上から白い鎧が装着された、通常の形態になった。
一方の春樹と碧に、上から大量の生き物やオブジェが乗った金色の輪が降りて来る。それらが体内に吸収された瞬間、彼らの身体は何人もの戦士の絵が描かれた4本角の鎧へと変化。さらにそこへ黄金の鎧が装着された。
『Break down the wall of evolution. Reach the NEW GENERATION. Open the door』
『All twenty in this server! This is perfect for me to fight! I’m KAMEN RIDER ULTIMATE ACT! It’s the strongest.』
『All nineteen in this server! This is perfect for me to fight! I’m KAMEN RIDER ULTIMATE REVE-ED! It’s the sharpest.』
仮面ライダーデイナ ニュージェネレーションフォーム。
仮面ライダールーナ・ユナイト。
仮面ライダーアクト アルティメットシェープ。
仮面ライダーリベード アルティメットシェープ。
最強の力を発揮するための姿へとなった彼らは、ただ真っ直ぐに巨大な標的を睨む。奴の表情はまるで判らないが、そんなことは彼らにとってどうでも良い。何せ勝てば良い、ただそれだけの話なのであるから。
そして全てを終わらせるために、走り出して行った。
「「READY……GO!」」