仮面ライダー ハーメルンジェンレーションズ アクト×デイナ Almost Human 作:志村琴音
今回が最終回となります。
感想や読了報告等くださると筆者の励みになります故、何卒宜しくお願いいたします。
イメージ主題歌
上原ひろみ - 上を向いて歩こう(「となりのチカラ」final episode)
(https://www.youtube.com/watch?v=xLFzGNxKbn8)
2022.06.02 11:42 東京都 新宿区 東京競技場
「「READY……GO!」」
怪物となったキラーソの方へと走り出して行く4人の戦士。
最後の戦いの幕が上がったのだ。
彼らに向けてキラーソが再び口からビームを放つ。
地面を破壊する程の勢いを持った攻撃だ。直撃すれば一溜まりもない。
『"FOURZE" LOADING』
サーバーを操作したアクトは両腕にロケット型のオレンジ色のモジュールを装着。そこから火を噴いて飛び立つことで回避した。
その他三人はというと、デイナが身体からワックスのような液体を分泌。自らを覆うだけではなく、人工芝の上に膜を張る程に放出した。
結果、デイナはビームを滑らせることで反射して防ぎ、ルーナとリベードは滑って回避をした。
『"BUILD" LOADING』
ロケットを外したアクトの両手に大型の武器──フルボトルバスター キャノンモードとディスペルデストロイヤー バズーカモードが現れると、ドライバーのプレートを押し込んだ。
『Are you ready?』
サーバーを押し込んだのと同時に、デイナは同じく大型の武器──ハイブリッドアームズ ライフルモードを取り出して、そこにバッファローベクターカートリッジを挿し込んだ。
『OKAY. "BUILD" DISPEL STRIKE!』
『ATP Full Blast』
同時に引き金を引く。
アクトの2丁の大砲から放たれる緑色の砲丸は背中に、デイナのライフルから放たれた牛の形のオーラは脇腹に命中。
キラーソは雄叫びを上げながら痛みに悶えた。
さらにルーナが両手に持った銃剣から放つ弾丸に襲われる。
あの図体であれば彼女の放った銃弾が生み出す痛みなど雀の涙に等しいのだが、何故か一発一発が重く感じ、さらにダメージが蓄積されてしまう。
『"ORGA" LOADING』
それを好機と思ったリベードは、右手にチェーンソーの状態に変形させたディスペルデストロイヤーを持つと、自身の左隣に大剣を持った黒い帝王──仮面ライダーオーガを出現させ、プレートを押す。
『Are you ready?』
サーバーを押し込むと、リベードのチェーンソーからは青色の、オーガの大剣からは黄金の大きな刃が伸びる。
『OKAY. "ORGA" DISPEL STRIKE!』
「ハァァッ!」
横文字に攻撃を仕掛ける二人。
見事に攻撃を当てられたキラーソは後方へと吹き飛ばされた。
それでも何とか立ち上がっている状態である。
「どうしてだ……!? どうしてただの攻撃で僕がこんなにやられるんだっ!?」
所謂必殺技に該当するであろう攻撃も、今のキラーソであれば耐えられる筈なのにそれが出来ない。ましてや、先程ルーナが放った陳腐な弾丸達でもだ。
理解出来ずに苦しむ彼に対し、デイナとルーナが解説をしてくれた。
「仁くんの能力のせいですよ。──それでアンタの超万能細胞を弄ったってわけ」
「そういうこと。構造が複雑だったけど、解れば結構楽だったね」
ニュージェネレーションフォームのデイナには人智を超えた能力が山程ある。
その中でも最強と言える能力は、超万能細胞のコントロール、支配だ。
以前、リリィとレックスが暴走をした際、デイナは二人の超万能細胞を修復して暴走を止めたことがある。
修復が出来るということは、破壊することも可能だ。なのでその能力を使って、先程の攻撃でキラーソの細胞を滅茶苦茶に弄り弱体化させたのだ。
「ふざけるなぁぁっ! もう少しで僕は究極の生命体になることが出来るのにっ! それを邪魔するだなんてぇっ!」
「そんな私利私欲のために世界を葬ろうとするやつ、止めるに決まってるだろ」
「そう。それに、人を捨てるっていうのは死ぬまで永遠に続く呪縛なの。例えそれが誰であっても、そんなことは絶対にさせない……!」
リベードの発言に、「しまった! それを言いたかったのに!」と悔しがる様子を少し見せるアクトとデイナ。彼らに向けて煽るようにガッツポーズを浮かべるリベードに、ルーナは仮面の下で微笑んだ。
そして戦いを終わらせる準備に取り掛かった。
「じゃあ、これでレポートは纏まった!」
デイナとルーナはドライバーのレバーを引く。
『『ATP Burst』』
右足に白いエネルギーを次々と溜め込んだ二人は上空に跳び上がる。
そして勢い良く進み出し、キラーソに強烈なキックをお見舞いした。
「「ハァァァァァァッ!」」
その威力は凄まじく、怪物の大きな身体を貫通した。
貫かれた痛みに苦しむキラーソであったが、これで終わりではなかった。
『『Are you ready?』』
今度はアクトとリベードが、何人もの戦士の虚像を通るように跳んだ。
アクトは緑色のエネルギーを、リベードは青色のエネルギーを右足に秘め、そして攻撃を食らわせた。
『OKAY. "ACT" ULTIMATE DISPEL STRIKE!』
『OKAY. "REVE-ED" ULTIMATE DISPEL STRIKE!』
「「おりゃああああっ!」」
再びキラーソの身体を貫いたアクトとリベードは、デイナやルーナと共に乾いた人工芝の上に着地をする。
一方、追い討ちを掛けられた怪物は断末魔を上げると、その後現れた大きな火柱の中に消えていった。
四人が振り向いたところで火柱は収まり、何も無くなったところからクラックボックスがアクトの方へと降って来たので、冷静に右手でキャッチをする。
同時に、周囲を取り囲む屋根に表示されていた赤色の数字が消え去った。
それは、この戦いが終わったことを指すサインであった。
「やったーーーっ!」
一件落着したことに喜ぶリベード。
両手を大きく挙げながら近付いて来る。それがどういう意味なのかを察知したデイナとルーナは、同じく両手を挙げて交互に彼女の両掌に自身のものを重ねた。
上機嫌なリベードは続けてアクトにも迫るが、無視されて拒否されたのが気に食わなかったのか、彼の背中に左足で回し蹴りをお見舞いした。
絶妙な痛みに悶えるアクトは振り返り、お返しにとリベードの頭に優しくチョップを食らわせる。
その様子を見てデイナとルーナは互いを見合いながら笑い合った。
戦いは終わった。
後は有り余ったエネルギーを、こうやって戯れあって発散するだけなのだ。
けれども彼らは忘れていた。
ただ一人、この場にいない者のことを──。
競技場の客席部分。退場口の中へカラカラと音を立てながら黒い物質が入って来た。キラーソの使っていたトランスフォンである。
アクト達に見えないくらい奥に入り込んだそれを、八雲は拾い上げて全体をジロジロと眺めた。
「──成程な。グアルダからの影響を一切受けない、プリペイド携帯みたいなのに改良したってわけか。……手の込んだことをして」
アクトとリベードが使用しているトランスフォン、基ライダーシステム全ては、「グアルダ」という人工知能によって制御されている。彼が変身や武器の使用に許可を出しているのだが、これにはそんな機能が無い。
つまり、グアルダが干渉出来ないために何をやっても大丈夫というわけだ。何度かグアルダによって変身を制限されたことのある春樹と碧が聞けば、恐らくは喉から手が出るであろう。
「……こいつは使えそうだ」
ニヤリと笑った八雲はトランスフォンをポケットの中に仕舞うと、振り向いて通路を通り出口に向かった。
その様子を見ているものは誰もおらず、彼が何をしようとしているのかなど、誰も知る由の無かった。
今も、そしてこれからも──。
────────────
戦いを終えた四人は変身を解除して出口に向かってゆっくり歩いて行た。もう脅威は去った。何も焦って走る必要は無い。
事が済んだ充実感から笑みを浮かべる四人であったが、
「そういえば、仁に亜矢はどうやって帰るんだ?」
「……あっ! 確かに!」
春樹の発言で危機感を覚え始めた。
彼らが帰る術のことなど一切考えていなかった。フォルクローが持っている並行世界に行く能力を使えば良いのだろうが、残念ながら春樹と碧にそんな能力は無いのだ。
「どうしよう仁くん……。──このままだと帰れないけど……」
「そうだよね……。どうしようか……」
ここに来て八方塞がりになってしまったため、全員が焦りを感じた。
けれども彼らの目の前に大きな黒い渦が現れた時、それは解決に向かおうとしていた。
「これは……何?」
「アールか……」
アールが自分達の世界からこの世界にやって来る時、この渦を通って来るのだ。
恐らく春樹達四人に見えないところから送り込んだのだろう。きっと、勝手に此方の世界に連れて来たことへの償いということだ。
「ここを通れば元の世界に帰れるよ」
「え、本当ですか!?」
突如として現れた解決策に驚きも喜ぶ仁と亜矢。
だがそれは同時に、この世界から離れて春樹と碧と別れなければならないということでもあった。
「……有り難うね。こっちの世界で色々と助けてくれて」
「いや。此方としてもいてくれて助かった。有り難う」
「今度また美味しいご飯食べさせてくださいね。──ついでにまたお泊まりさせてください」
「うん。勿論だよ。またいつでも来てね」
けれども彼らは寂しがる様子を見せない。寂しくないと言えば嘘になるのだろうが、それ以上にまた会えるのだろうという期待の方が大きかった。
だから決して悲しむ素振りを見せずに、笑顔を貫いた。
「じゃあ、また」
それだけ言うと、仁と亜矢は手を振りながら渦の中へと入って行く。春樹と碧もそれに手を振って返した。
お互いの姿が段々と黒くなって見えなくなる。それでも確かにそこにいるのだという事実が分かったその時、渦は消えた。
その場に残された春樹と碧は、振っていた両手を下ろす。
「行っちゃったね」
「そうだな」
渦があった場所を無言で見つめていた二人は、再び出口に向かって歩き始める。そろそろ自分達が帰る場所に行かなければならない。
すると碧が突然笑い始めた。
「どうした?」
「え? いやなんか、あの二人を見てたら、私達が結婚した時のこと思い出しちゃって」
そう言われて春樹も微笑をする。
あの初々しい感じというか何というか、自分達の時はあそこまでではなかったが、やはり近いものを感じる。
戦いに明け暮れていた仁と亜矢へのせめてもの褒美というわけであろう。それが春樹と碧にとっては嬉しかった。ああやって幸せを掴み取ることが出来たのだから。
「あそこまで初々しくはなかったぞ」
「そうだけどさ、ね?」
「『ね』って……」
そうこうしているうちにもう出口の前に着いてしまった。ここを潜れば家路へと出る。そうすれば帰ることが出来るのだ。
ただ前だけを見据えて止まることは無く、暗い通路の中を歩く。
そうして光も何も無い場所を潜って、二人は目的地へ歩みを進めた。
────────────
ゆっくりと目を覚ます。寝転んでいるわけではなく、たったまま目を覚ましたのだ。
辺りを見渡すとそこは自分達が連れ出された家路の途中であった。ただの閑静な住宅街で、見上げても大きな屋根があることは無い。
「帰って来たんだね」
「……うん」
戻って来られたことに安堵する仁と亜矢。これでもう戦いは終わり、何も気にすることは無くなったのだ。
ホッと息を吐いて自分達が住むマンションに足を進めようとしたその時、二人の横を親子連れが通り過ぎて行った。
父と母が小さな娘の手を繋ぎながらゆっくりと歩いているのだ。
「ねぇ唯ちゃん。今日のご飯何が良い?」
「う〜ん……。じゃあ、ハンバーグ!」
「うん! 分かった」
「唯はママのハンバーグ好きだもんな」
三人は満面の笑みを浮かべている。その顔を見て、仁と亜矢は何処かの誰かの面影を感じて、暫くじっと彼らのことを見ていた。
けれどももう眺めることは止めて再び前を向き、そして何も言うことは無く、手を繋ぎ合って足を進めた。
電柱の光は既に消え、代わりに陽の光がその場にいる全員のことを照らす。
それが何だか異常に眩しく感じながらも、二人は目元を隠すことは無くそのまま進む。
「これからどうしようね? 仁君」
「うーん……。どうしようか……」
「まずは引越しの準備でしょ。──えーっ、折角だし遊ぼうよー」
こうしてまた、三人の日常は始まる。
以上で本作は終了でございます。
初めてのコラボ小説ということで緊張していたのですが、何とか書き上げることが出来ました。
監修をしてくださった黒服様、色々と相談に乗ってくださったハージェネ作家の皆様、そして読んでくださった皆様、本当に有り難うございました。
ハージェネはまだまだ続くよっ!
【参考】
究極豪成 DXフルボトルバスター|仮面ライダーおもちゃウェブ|バンダイ公式サイト
(https://toy.bandai.co.jp/series/rider/item/detail/5561/)