素晴らしき魔法の世界   作:きゃはは

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駄文

後で読み直したりしたら絶対に投稿できないので隙があるうちに投稿。
多分これが一番つよい


0話 旅の始まり

 

 

「あなた、旅に出なさい」

 

昼下がり、木漏れ日の心地よさに本を読んでいた手も止まり、うとうとし始めていたころに不意に声がかかる。

ふわあ、と欠伸をしながら私は答える。

 

「師匠何を言っているのですか?私がいなくなっては師匠は明日からどう生きるというのですか。」

「失礼な、いくら私といえどあなた以外にもお世話してもらう人間なんてたくさんいます。」

ふんっと鼻を鳴らして不機嫌そうに答える師匠。

 

「でも、どうして急にそんなことを?」

 

実際疑問だ。師匠と暮らすようになってからはや十年は立とうとしている今日この頃。

もともとおかしな人ではあった。

鍋にはプリンを入れようとするし、タンポポと会話していると思ったら狂ったように根元から引っこ抜いたり、「徹夜してぬいぐるみつくったの」と早朝に叩き起こされたと思いきや、それをいきなり引きちぎって泣き始めたり...

あれ?もしかして旅に出た方が身のため?

 

「理由ですか。そうですね、一つはもうあなたに教えることがまったくないことですね。たった十年で私に追いつくなんて。もう私には荷が重いレベルまであなたは来てしまったのです。」

 

この十年間私は師匠に魔法を教わりながら生活をしてきた。

日常に便利な魔法から、ある日急に世界が終焉を迎えたときに使うとかいう無d...ニッチな層に向けた魔法まで手取り足取り私は教え込まれた。

 

「それはそうですけど...」

「否定をしなさい。師匠をなんだと思っているのですか」

「まぁ半分はゴミだと思っていますよ」

「私に似て冗談もじょうずになりましたねぇ」

否。本心である。

 

他愛のない会話。それに私は幸せを感じている。

こんなこと絶対に口に出して言えないが、ただ師匠と二人で毎日を過ごすことが私にはたまらなくうれしいのだ。

 

「私は知っていますよ?昔あなたが、目を輝かせて冒険譚や旅行記を読んでいたこと。初めてあなたから教えてほしいと言われた魔法が翻訳魔法であることを」

 

図星だ。実際外には興味津々だ。私を百人重ねたよりも大きい木々の森や寒空に輝く虹色の絨毯。そしてそれらの場所に住む人々との会話。それらを面白おかしく、時に悲しく書き綴ったその本たちは私に多くの夢を与えた。

 

「だからもう行っていいんだ。我慢する必要はない。独り立ちの時がきたんだよ。メイ。」

 

嫌だ。もう一人は。

 

「だったら...だったら師匠も一緒に行きましょう。一人ぼっちで出て行けなんて、私には無理です。」

 

私はあなたがいてくれたから生きようと思った。

 

「ダメだ。私はついていけない。十年のお休みももう終わりだ。やりたくないけど、私も仕事があるんだ。」

 

一歩も食い下がる意思の見えない力のこもった声に、私はうっと息を呑む。

 

「どんなに楽しい旅でも、そこに師匠がいないなら、意味なんて...」

喋りながらどんどん瞳の奥が熱くなってくるのを感じる。

 

師匠は私をじっと見つめている。

ああ。本当に引き下がる気はないのだなと、いやでも理解してしまう。それがたまらなく嫌で仕方がない。

声に感情がこもる。涙が。

 

「私を...もう一人に、しないといったじゃないですか。」

声にもならないようなか細い声。

 

「言いたいことはそれだけですか?」と師匠。

「あなたは今年で十五、つまり成人です。大人になりなさい、メイ。」

 

「師匠といられないのなら子供のままでいいです」

 

涙が止まらない。そんな私を師匠は優しく抱きしめる。

「メイ。あなたが何と言おうとわたしは行きます。だからまた私に会いに来てください。私はあなたが来るのを待っています。」そう言い私から離れる。

「これは餞別です。金貨が二十枚ほど入っております。これでふた月以上はもつでしょう。」

そうして私に小袋を手渡した師匠は私に背を向け歩き始める。

 

それをボーっ見つめ続ける。言わなきゃ。これが最後となるかもしれない。

私は今まで言えなかった一言を言おうと決心する。もう止まることのない母に向けて。

 

「また!私が必ず会いに行きます!お母さん!私を育ててくれてありがとう!」

 

これは私が旅をする話。

色んな人に出会い、いろんなことを体験して、大人になる話。

そして、大嫌いな魔法を大好きになる話。

 

 

 

 

 

 

 

 

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