境界の外から来た者   作:最上 イズモ

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13話 共闘

イズモが紫の前に立ち、低い声で問いかけた。

イズモ「今回、全勢力を上げても勝てるとは限らない相手だ。こっちが持たない可能性もある。それでもやる?」

紫は一瞬だけ視線を伏せ、小さく頷いた。

 

その頃、妖怪の山と人里の中間地点にある広場へ、ハルヒとレムが到着していた。

二人は紫からの緊急招集を受け、最低限の準備だけを整えて駆けつけたのだった。

広場にはすでに天狗たちやピースギア支部の関係者が集まり、張り詰めた空気が漂っている。

 

大天狗が一歩前に出て、場を見渡しながら声を張り上げた。

大天狗「それではこれより、緊急作戦会議を行いたいと思います!」

合図に合わせ、周囲の天狗たちが声を揃え、ざわめいていた視線が一斉に大天狗へと集まった。

 

大天狗「まず、諸君を集めた理由は他でもない。各地に出現している『歪みの空間』を消滅させる作戦についてだ!」

その言葉に、広場がどよめく。

大天狗は翼を広げ、さらに声を強めた。

大天狗「皆の者、落ち着け!我々は幻想郷を守るために戦わねばならんのだ!!」

 

一瞬の静寂の後、大天狗は続けた。

大天狗「まずは妖怪の山と人里の住民の避難を最優先とする。その後、『歪みの空間』消滅作戦を実行する!」

その方針に、多くの者が頷き、張り詰めていた表情がわずかに和らいだ。

 

大天狗はハルヒとレムへ視線を向ける。

大天狗「君たちはどう考える?」

レムは迷いなく答えた。

レム「私たちも同意見です」

周囲に再びざわめきが走る。

ハルヒも力強く頷いていた。

 

それを確認した大天狗は満足げに息を吐き、話を進めた。

大天狗「では、それぞれが遭遇した『歪みの空間』の情報を共有してもらいたい!」

 

ハルヒが手を挙げ、一歩前に出る。

ハルヒ「私たちが戦った場所は、どこも同じ構造だったわ。迷路みたいで、出口が分からない」

一瞬言葉を切り、レムを見る。

ハルヒ「でも、一つだけ違いがあった。それは出口の位置よ」

 

レムが続ける。

レム「ええ。私とハルヒがいた場所だけ、出口の位置が明確に違っていました。だから脱出できたんです」

 

大天狗は顎に手を当て、考え込む。

大天狗「なるほど……その出口が核になっている可能性があるわけか」

 

その空気を切り裂くように、イズモが口を開いた。

イズモ「多分、そんなに単純じゃない」

 

全員の視線が集まる中、イズモは淡々と仮説を述べる。

イズモ「今回の空間は、『歪みの空間』から派生したものだと思う。空間内にいるボス級の妖怪を倒さない限り、消えない可能性が高い」

 

大天狗「うむ……確かに一理ある」

イズモ「だから、まずは空間を生み出した妖怪を叩く。それに全力を注ぐべきだ」

 

大天狗は眉をひそめる。

大天狗「だが、各地に出現している『歪みの空間』を放置するわけにもいかん」

 

イズモは頷いた。

イズモ「被害の規模も分からないし、数が増えれば手に負えなくなる。それに……」

イズモ「調査の時に案内してくれた妖怪が、本当に味方かどうかも分からない」

 

大天狗「それも気になる点だな……」

 

その時、空間に裂け目が走り、紫が姿を現した。

紫「その件について、少しいいかしら」

大天狗「おお、八雲殿。一体どうした?」

 

紫は静かに語り始める。

紫「案内役の妖怪たちとは協力関係にあるわ。でも、彼らの話では『歪みの空間』は外の世界から来たものだそうよ」

紫「もし嘘なら、私たちは騙されている可能性もある」

 

大天狗は腕を組み、沈黙する。

紫「ただ、少なくとも彼らが嘘をついているようには見えなかった。だから今は、協力して消滅させるしかないと思うの」

 

大天狗「……うむ」

 

イズモ「敵の目星はついてる。なら、攻めよう」

レム「そうですね……」

ハルヒ「じゃあ、今から『歪みの空間』が出現した場所に向かいましょう!」

 

その一声で、各自が動き出した。

同時に、妖怪の山や人里から次々と被害報告が届き始める。

天狗たちは出撃先を協議し、紫は少し離れた場所からその様子を見つめていた。

 

背後から声がかかる。

阿求「紫さん、これは一体何が起きているんですか?」

紫は振り返り、簡潔に説明した。

紫「外の世界から来た存在が、『歪みの空間』を生み出しているらしいの」

 

阿求は息を呑む。

阿求「……それで、これからどうするのですか?」

紫は一瞬迷い、それでも決意を固めた。

紫「私が率いるピースギアのメンバーと、妖怪の山へ向かうわ」

 

阿求は不安げに紫を見つめる。

紫「大丈夫よ。私たちに任せなさい」

その言葉に、阿求は小さく笑顔を浮かべた。

 

紫の周囲にスキマが広がり、幻想郷支部のメンバーが次々と呼び寄せられる。

そして各地の『歪みの空間』へ、それぞれが出撃していった。

 

ハルヒとレムが妖怪の山へ向かう途中、大天狗たちと合流し、状況を確認しながら進んでいた時だった。

突如、巨大な影が前方に立ちはだかる。

それは山の四天王の一人、天狗たちの頂点に立つ天魔だった。

 

レム「またお前か!」

即座に戦闘態勢に入る。

他のメンバーも一斉に構えた。

 

天魔は刀を抜き、冷たい視線を向ける。

天魔「今すぐ帰れ。これは我々の問題だ」

しかし、ハルヒたちは構わず攻撃を仕掛けた。

次の瞬間、鋭い斬撃が走り、全員が吹き飛ばされる。

 

何度挑んでも、攻撃は通らない。

圧倒的な実力差に、場の空気が重く沈む。

 

そこへ、イズモが前に出た。

イズモ「協力させてくれないか」

天魔は一瞬驚いた顔を見せたが、すぐに不敵な笑みに戻る。

天魔「いいだろう。ただし条件がある……」

 

その直後、妖怪の山一帯に黒い霧が立ち込めた。

次の瞬間、一斉に『歪みの空間』が発生する。

その場にいた者たちは、全員巻き込まれていった。

 

天魔はニヤリと笑い、言い放つ。

天魔「この『歪みの空間』、お前たちに任せてやろう……」

そう言い残し、姿を消した。

 

直後、ハルヒたちは天狗たちに拘束されていた。

 

その頃、山の麓で待機していたイズモとレムは、黒い霧に覆われた妖怪の山を見上げていた。

視界は悪く、異変の中心は見えない。

二人は先行して調査に向かい、やがて戻ってくる。

 

イズモ「やはり、この山だ……」

全員が険しい表情になる。

すぐに作戦会議が始まった。

 

一方、妖怪の山では混乱が広がっていた。

天魔は『歪みの空間』の発生を確認すると、山全体に避難命令を出す。

そして、待機していたイズモとレムの前に姿を現した。

 

天魔「お前たちに頼みがある!」

突然の言葉に二人は戸惑うが、話を聞くため構えを解いた。

天魔は静かに語り始めた。

 

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