スクリーンにはピースギアのメンバーたちが映し出されていた。
全員が虚ろな目で、命令を待つ人形のように直立している。
その光景を見た瞬間、レムの胸に鋭い痛みが走り、視界が滲む。
涙が溢れそうになるのを、歯を食いしばって必死に堪えた。
そして最後に映し出されたのは、自分自身がクデュックに洗脳されていく映像だった。
レム「私が洗脳されると、どんな状態になるのでしょうか?」
震えを隠しながら問いかけると、モノリスは愉快そうに答える。
モノリス「そうだな。お前には私に仕える、従順な人形になってもらう予定だ」
レム「誰がお前なんかに仕えるか!」
叫ぶように言い返すが、心臓は早鐘のように打っていた。
恐怖の正体は自分ではない。
自分が屈した瞬間、仲間たちも完全に縛られてしまう未来だった。
それはピースギアの壊滅を意味している。
脱出しなければならない。
そう強く思った瞬間、モノリスが低く告げる。
モノリス「これは決定事項だ。お前の意志など関係ない」
直後、部屋全体に機械音が鳴り響く。
次の瞬間、レムの身体が淡く光を放ち始めた。
モノリス「これでお前は完全に私のものだ。これからはクデュックの一員として頑張ってくれたまえ」
その言葉が突き刺さった瞬間、胸の奥が崩れ落ちる。
抵抗しようとする意識が、音を立てて削られていく。
レム「私は……もう……お前の傀儡なのか……」
声は震え、涙が頬を伝った。
それを見たモノリスは、満足そうに静かに頷いた。
――――――
イズモサイド。
イズモ「レムの装備にある空間座標測定器と世界線座標測定器を、遠隔で起動できないか?」
カエデ「やってみます」
カエデは端末を操作し、レムの装備に内蔵された次元観測装置を起動する。
数秒後、電子音と共に地図が表示された。
カエデ「これは……」
イズモ「どうした!」
カエデ「レムさんの現在座標、捕捉できました!」
その言葉を聞いた瞬間、イズモは立ち上がる。
イズモ「すぐ向かう」
――――――
その頃、レムは虚ろな目で立ち尽くしていた。
思考の隙間に、クデュックへの忠誠が無理やり流し込まれていく。
レム「私は……私は……」
必死に言葉を紡ごうとするが、意識は徐々に白く塗り潰されていく。
やがて抵抗は完全に消えた。
レム「ご主人様。私は貴方様に忠誠を誓います」
そう言って、静かに跪く。
イズモが現場に辿り着いた時には、すでに洗脳は完了していた。
レムの瞳は完全に空虚で、モノリスの命令だけを映している。
その姿を見たイズモの表情は、悲しみと怒りで歪んだ。
レム「ご主人様。私を可愛がってください……」
その言葉が引き金となり、イズモの理性が切れる。
イズモ「これは……情状酌量の余地はない」
武器を構えた瞬間、レムが前に立ちはだかる。
モノリス「レム。その反逆者を殺せ」
命令と同時に、レムが容赦なく攻撃を仕掛ける。
イズモは必死にかわすが、動きに迷いがない。
防御するだけで精一杯になり、次第に追い詰められていく。
イズモ「……仕方ない。眠らせるしかないか」
麻酔弾がレムに命中し、彼女は静かに崩れ落ちた。
イズモはモノリスを睨みつける。
イズモ「お前だけは、絶対に許さない」
ゼーレ「私に勝てるとでも?幻想郷はすべて私のものになるのだ」
イズモ「レムの回収と、洗脳の除去を頼む」
カエデ「了解しました」
イズモはゼーレへ攻撃を仕掛けるが、まるで歯が立たない。
イズモ「何なんだ……この強さは……!」
ゼーレ「私は神だ。貴様らが敵う存在ではない」
放たれた魔力に吹き飛ばされ、イズモの意識は闇に沈んだ。
――――――
クデュック独房。
イズモ「人生二回目の捕虜か……」
苦く呟いた瞬間、スクリーンが起動する。
そこにはゼーレの姿が映し出されていた。
イズモ「目的は何だ?」
ゼーレ「幻想郷を完全に支配する。そのためにお前たちは邪魔なのだ」
イズモ「ピースギアのメンバーはどうする?」
ゼーレ「私のコレクションにする」
その言葉に、イズモの身体が怒りで震える。
ゼーレ「無駄だ。抵抗はできない」
そう言いながら、ゼーレはスイッチに手をかける。
ゼーレ「そろそろ目覚める頃か」
イズモ「やめろ!」
だが無視され、電流が独房を走る。
仲間たちの悲鳴が響き渡る。
続いて、レムの独房にも電撃が走った。
「ああぁっ!!」
その声を最後に、レムの意識は闇へ沈んだ。
ゼーレ「どうだ。仲間が苦しむ姿は」
イズモ「……ありがとう。時間稼ぎは十分だ」
実は気絶する直前、イズモはモノリスとクデュックにハッキングを仕掛けていた。
イズモ「お前たちに、もう勝ち目はない」
ゼーレ「黙れ!」
再度スイッチを押そうとした瞬間、機械音が轟く。
モノリスのシステムが次々と崩壊していく。
ゼーレは慌てて逃げようとするが、イズモが立ちはだかる。
ゼーレ「貴様……何者だ?」
イズモ「ピースギア情報管理課長二佐、最上イズモだ」
レールガンが唸りを上げる。
イズモ「これで終わりだ」
制御中枢を撃ち抜かれ、ゼーレの人格データとAIモノリス派は完全に消滅した。
イズモ「……終わったか」
崩れ落ちるように息を吐く。
イズモ「ここまで徹底的に洗脳されていたとはな……」
その瞬間、ゼーレによる洗脳は完全に除去された。