境界の外から来た者   作:最上 イズモ

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15話 戦闘

スクリーンにはピースギアのメンバーたちが映し出されていた。

全員が虚ろな目で、命令を待つ人形のように直立している。

その光景を見た瞬間、レムの胸に鋭い痛みが走り、視界が滲む。

涙が溢れそうになるのを、歯を食いしばって必死に堪えた。

 

そして最後に映し出されたのは、自分自身がクデュックに洗脳されていく映像だった。

 

レム「私が洗脳されると、どんな状態になるのでしょうか?」

 

震えを隠しながら問いかけると、モノリスは愉快そうに答える。

 

モノリス「そうだな。お前には私に仕える、従順な人形になってもらう予定だ」

 

レム「誰がお前なんかに仕えるか!」

 

叫ぶように言い返すが、心臓は早鐘のように打っていた。

恐怖の正体は自分ではない。

自分が屈した瞬間、仲間たちも完全に縛られてしまう未来だった。

それはピースギアの壊滅を意味している。

 

脱出しなければならない。

そう強く思った瞬間、モノリスが低く告げる。

 

モノリス「これは決定事項だ。お前の意志など関係ない」

 

直後、部屋全体に機械音が鳴り響く。

次の瞬間、レムの身体が淡く光を放ち始めた。

 

モノリス「これでお前は完全に私のものだ。これからはクデュックの一員として頑張ってくれたまえ」

 

その言葉が突き刺さった瞬間、胸の奥が崩れ落ちる。

抵抗しようとする意識が、音を立てて削られていく。

 

レム「私は……もう……お前の傀儡なのか……」

 

声は震え、涙が頬を伝った。

それを見たモノリスは、満足そうに静かに頷いた。

 

――――――

 

イズモサイド。

 

イズモ「レムの装備にある空間座標測定器と世界線座標測定器を、遠隔で起動できないか?」

 

カエデ「やってみます」

 

カエデは端末を操作し、レムの装備に内蔵された次元観測装置を起動する。

数秒後、電子音と共に地図が表示された。

 

カエデ「これは……」

 

イズモ「どうした!」

 

カエデ「レムさんの現在座標、捕捉できました!」

 

その言葉を聞いた瞬間、イズモは立ち上がる。

 

イズモ「すぐ向かう」

 

――――――

 

その頃、レムは虚ろな目で立ち尽くしていた。

思考の隙間に、クデュックへの忠誠が無理やり流し込まれていく。

 

レム「私は……私は……」

 

必死に言葉を紡ごうとするが、意識は徐々に白く塗り潰されていく。

やがて抵抗は完全に消えた。

 

レム「ご主人様。私は貴方様に忠誠を誓います」

 

そう言って、静かに跪く。

 

イズモが現場に辿り着いた時には、すでに洗脳は完了していた。

レムの瞳は完全に空虚で、モノリスの命令だけを映している。

その姿を見たイズモの表情は、悲しみと怒りで歪んだ。

 

レム「ご主人様。私を可愛がってください……」

 

その言葉が引き金となり、イズモの理性が切れる。

 

イズモ「これは……情状酌量の余地はない」

 

武器を構えた瞬間、レムが前に立ちはだかる。

 

モノリス「レム。その反逆者を殺せ」

 

命令と同時に、レムが容赦なく攻撃を仕掛ける。

イズモは必死にかわすが、動きに迷いがない。

防御するだけで精一杯になり、次第に追い詰められていく。

 

イズモ「……仕方ない。眠らせるしかないか」

 

麻酔弾がレムに命中し、彼女は静かに崩れ落ちた。

イズモはモノリスを睨みつける。

 

イズモ「お前だけは、絶対に許さない」

 

ゼーレ「私に勝てるとでも?幻想郷はすべて私のものになるのだ」

 

イズモ「レムの回収と、洗脳の除去を頼む」

 

カエデ「了解しました」

 

イズモはゼーレへ攻撃を仕掛けるが、まるで歯が立たない。

 

イズモ「何なんだ……この強さは……!」

 

ゼーレ「私は神だ。貴様らが敵う存在ではない」

 

放たれた魔力に吹き飛ばされ、イズモの意識は闇に沈んだ。

 

――――――

 

クデュック独房。

 

イズモ「人生二回目の捕虜か……」

 

苦く呟いた瞬間、スクリーンが起動する。

そこにはゼーレの姿が映し出されていた。

 

イズモ「目的は何だ?」

 

ゼーレ「幻想郷を完全に支配する。そのためにお前たちは邪魔なのだ」

 

イズモ「ピースギアのメンバーはどうする?」

 

ゼーレ「私のコレクションにする」

 

その言葉に、イズモの身体が怒りで震える。

 

ゼーレ「無駄だ。抵抗はできない」

 

そう言いながら、ゼーレはスイッチに手をかける。

 

ゼーレ「そろそろ目覚める頃か」

 

イズモ「やめろ!」

 

だが無視され、電流が独房を走る。

仲間たちの悲鳴が響き渡る。

 

続いて、レムの独房にも電撃が走った。

 

「ああぁっ!!」

 

その声を最後に、レムの意識は闇へ沈んだ。

 

ゼーレ「どうだ。仲間が苦しむ姿は」

 

イズモ「……ありがとう。時間稼ぎは十分だ」

 

実は気絶する直前、イズモはモノリスとクデュックにハッキングを仕掛けていた。

 

イズモ「お前たちに、もう勝ち目はない」

 

ゼーレ「黙れ!」

 

再度スイッチを押そうとした瞬間、機械音が轟く。

モノリスのシステムが次々と崩壊していく。

 

ゼーレは慌てて逃げようとするが、イズモが立ちはだかる。

 

ゼーレ「貴様……何者だ?」

 

イズモ「ピースギア情報管理課長二佐、最上イズモだ」

 

レールガンが唸りを上げる。

 

イズモ「これで終わりだ」

 

制御中枢を撃ち抜かれ、ゼーレの人格データとAIモノリス派は完全に消滅した。

 

イズモ「……終わったか」

 

崩れ落ちるように息を吐く。

 

イズモ「ここまで徹底的に洗脳されていたとはな……」

 

その瞬間、ゼーレによる洗脳は完全に除去された。

 

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