「……う、うーん……」
意識が浮上し、レムはゆっくりと目を開けた。
冷たい金属の壁と天井が視界に入る。
そこは独房だった。
なぜここにいるのか、記憶がうまく繋がらない。
困惑したその瞬間、脳裏に映像が流れ込んでくる。
クデュックのメンバーによる拷問。
抵抗できず追い詰められていく自分。
そして、モノリスによる洗脳。
思い出した瞬間、全身から力が抜けた。
胸の奥が締めつけられ、息が苦しくなる。
自分が敵に屈したという事実が、鋭く突き刺さった。
悔しさと自己嫌悪が込み上げ、涙が滲む。
その時、独房の扉が開く音が響いた。
反射的に身構えたレムの前に現れたのは、イズモだった。
その姿を認識した瞬間、張り詰めていた感情が決壊する。
レムの瞳から涙が溢れ落ちた。
イズモは何も言わず、静かに彼女を抱きしめた。
少し落ち着いた後、レムは改めて周囲を見渡す。
見覚えのある人物が、確かに目の前に立っている。
レム「ここはどこですか。それに、なぜ私はここに……」
イズモ「ここは独房だよ。少し長くなるが、これまでの経緯を話す」
イズモは淡々と、だが一つ一つを丁寧に説明した。
洗脳。
捕縛。
救出までの流れ。
話を聞き終えたレムは、言葉を失った。
自分が完全に敵に従っていた事実を、受け止めきれなかった。
その時、突然警報音が鳴り響く。
侵入者を知らせる無機質な音声が独房内に反響した。
レムとイズモは即座に戦闘態勢に入る。
扉の向こうから現れたのは、ゼーレの配下と思しきクデュックの幹部たちだった。
二人の表情に、怒りが宿る。
イズモがレールガンを構え、先制攻撃を放つ。
だが敵は難なく回避し、距離を詰めてくる。
激しい攻防が続き、空間に衝撃音が響く。
隙を突いたレムの一撃が決まり、敵が崩れ落ちる。
だが休む間もなく、次の敵が現れる。
レム「こいつら、一体何者なの?」
イズモ「おそらくクデュックの残党だ」
そう言いながら、二人は戦い続ける。
やがて、最後の敵が倒れ、ようやく静寂が戻った。
レム「……これで終わりなのでしょうか」
その問いに、イズモは険しい表情を崩さない。
それを見たレムの胸に、不安が広がる。
増援を警戒しつつ、イズモは改めて状況を説明する。
レムは驚愕しながらも、事実を受け止めていった。
イズモ「だが、クデュックにしては数が少なすぎる」
確かに、かつての規模を考えれば異様な少なさだった。
イズモ「まだ何かあるな……」
その直後、再び警報が鳴り響く。
だが現れたのは、意外な人物だった。
カエデ率いるイズモの部下たちだった。
事情を聞けば、独房で倒れていたレムを発見し、保護しようとしたところ襲撃を受けたという。
数分後、敵を排除した一行は脱出を試みる。
しかし出口には厳重な警備が敷かれていた。
イズモ「カエデたちが陽動する。その隙に脱出するぞ」
レールガンの銃声が響く中、レムは影に紛れるように進む。
だが出口には大量の敵が待ち構えていた。
カエデ「ここは私たちに任せて!」
叫びと共に突撃し、激戦が始まる。
数の差に押され、徐々に追い込まれていく仲間たち。
助けに向かおうとしたレムを、イズモが制止する。
イズモ「今は脱出が最優先だ」
レムは唇を噛みしめ、悔しさを堪えた。
辛うじて脱出に成功するが、そこはすでに敵勢力圏だった。
次々と追っ手が現れる。
イズモ「全員退却!」
叫びながら走り、戦い、逃げ続ける。
そして、ポータルを起動し幻想郷へ帰還した。
帰還直後、イズモはピースギアに連絡を入れる。
イズモ「クデュックの襲撃を受けた。至急応援を頼む」
やがて増援が到着し、戦闘が始まる。
数の多さに苦戦しながらも、連携で敵を削っていく。
長期戦は避けられなかった。
その頃、幻想郷各地でもレムの部下たちが必死に防衛線を維持していた。
洗脳されていたという事実に、ピースギアの面々は動揺していた。
イズモ「今は落ち込んでいる場合じゃない!」
その言葉に、全員が顔を上げる。
戦う理由はまだ失われていない。
その時、レムから通信が入る。
レム「私は……皆に謝らなければなりません」
涙を浮かべながら、彼女は語る。
レム「私は敵に屈してしまいました……」
驚きが走る中、イズモだけは冷静だった。
イズモ「だが、今は戦うしかない」
レムは静かに頷く。
レム「そうね……今は、戦う」
そう決意し、最後の賭けに出る。
トップの排除と降伏勧告による残存勢力の無力化。
カエデ率いるピースギア部隊は、その任務に動き出した。