境界の外から来た者   作:最上 イズモ

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16話 脱出

「……う、うーん……」

 

意識が浮上し、レムはゆっくりと目を開けた。

冷たい金属の壁と天井が視界に入る。

そこは独房だった。

 

なぜここにいるのか、記憶がうまく繋がらない。

困惑したその瞬間、脳裏に映像が流れ込んでくる。

クデュックのメンバーによる拷問。

抵抗できず追い詰められていく自分。

そして、モノリスによる洗脳。

 

思い出した瞬間、全身から力が抜けた。

胸の奥が締めつけられ、息が苦しくなる。

自分が敵に屈したという事実が、鋭く突き刺さった。

 

悔しさと自己嫌悪が込み上げ、涙が滲む。

 

その時、独房の扉が開く音が響いた。

反射的に身構えたレムの前に現れたのは、イズモだった。

 

その姿を認識した瞬間、張り詰めていた感情が決壊する。

レムの瞳から涙が溢れ落ちた。

イズモは何も言わず、静かに彼女を抱きしめた。

 

少し落ち着いた後、レムは改めて周囲を見渡す。

見覚えのある人物が、確かに目の前に立っている。

 

レム「ここはどこですか。それに、なぜ私はここに……」

 

イズモ「ここは独房だよ。少し長くなるが、これまでの経緯を話す」

 

イズモは淡々と、だが一つ一つを丁寧に説明した。

洗脳。

捕縛。

救出までの流れ。

 

話を聞き終えたレムは、言葉を失った。

自分が完全に敵に従っていた事実を、受け止めきれなかった。

 

その時、突然警報音が鳴り響く。

侵入者を知らせる無機質な音声が独房内に反響した。

 

レムとイズモは即座に戦闘態勢に入る。

 

扉の向こうから現れたのは、ゼーレの配下と思しきクデュックの幹部たちだった。

二人の表情に、怒りが宿る。

 

イズモがレールガンを構え、先制攻撃を放つ。

だが敵は難なく回避し、距離を詰めてくる。

激しい攻防が続き、空間に衝撃音が響く。

 

隙を突いたレムの一撃が決まり、敵が崩れ落ちる。

だが休む間もなく、次の敵が現れる。

 

レム「こいつら、一体何者なの?」

 

イズモ「おそらくクデュックの残党だ」

 

そう言いながら、二人は戦い続ける。

やがて、最後の敵が倒れ、ようやく静寂が戻った。

 

レム「……これで終わりなのでしょうか」

 

その問いに、イズモは険しい表情を崩さない。

それを見たレムの胸に、不安が広がる。

 

増援を警戒しつつ、イズモは改めて状況を説明する。

レムは驚愕しながらも、事実を受け止めていった。

 

イズモ「だが、クデュックにしては数が少なすぎる」

 

確かに、かつての規模を考えれば異様な少なさだった。

 

イズモ「まだ何かあるな……」

 

その直後、再び警報が鳴り響く。

だが現れたのは、意外な人物だった。

 

カエデ率いるイズモの部下たちだった。

 

事情を聞けば、独房で倒れていたレムを発見し、保護しようとしたところ襲撃を受けたという。

 

数分後、敵を排除した一行は脱出を試みる。

しかし出口には厳重な警備が敷かれていた。

 

イズモ「カエデたちが陽動する。その隙に脱出するぞ」

 

レールガンの銃声が響く中、レムは影に紛れるように進む。

だが出口には大量の敵が待ち構えていた。

 

カエデ「ここは私たちに任せて!」

 

叫びと共に突撃し、激戦が始まる。

数の差に押され、徐々に追い込まれていく仲間たち。

 

助けに向かおうとしたレムを、イズモが制止する。

 

イズモ「今は脱出が最優先だ」

 

レムは唇を噛みしめ、悔しさを堪えた。

 

辛うじて脱出に成功するが、そこはすでに敵勢力圏だった。

次々と追っ手が現れる。

 

イズモ「全員退却!」

 

叫びながら走り、戦い、逃げ続ける。

そして、ポータルを起動し幻想郷へ帰還した。

 

帰還直後、イズモはピースギアに連絡を入れる。

 

イズモ「クデュックの襲撃を受けた。至急応援を頼む」

 

やがて増援が到着し、戦闘が始まる。

数の多さに苦戦しながらも、連携で敵を削っていく。

長期戦は避けられなかった。

 

その頃、幻想郷各地でもレムの部下たちが必死に防衛線を維持していた。

洗脳されていたという事実に、ピースギアの面々は動揺していた。

 

イズモ「今は落ち込んでいる場合じゃない!」

 

その言葉に、全員が顔を上げる。

戦う理由はまだ失われていない。

 

その時、レムから通信が入る。

 

レム「私は……皆に謝らなければなりません」

 

涙を浮かべながら、彼女は語る。

 

レム「私は敵に屈してしまいました……」

 

驚きが走る中、イズモだけは冷静だった。

 

イズモ「だが、今は戦うしかない」

 

レムは静かに頷く。

 

レム「そうね……今は、戦う」

 

そう決意し、最後の賭けに出る。

トップの排除と降伏勧告による残存勢力の無力化。

 

カエデ率いるピースギア部隊は、その任務に動き出した。

 

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