境界の外から来た者   作:最上 イズモ

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17話 決戦

イズモスピーカー「ピースギア情報管理課長二佐、最上イズモだ。

クデュックの諸君。

トップであるゼーレおよび中枢メンバーは排除された。

ここで降伏する者は、一般職員として受け入れる。

ただし反抗的な者、なお戦闘を継続する者には容赦しない。

以上だ」

 

イズモの声が、クデュック本部全域に響き渡る。

直後、本拠地内部は騒然となった。

 

ゼーレの死は確認されていたが、それ以外の情報は錯綜していた。

指示系統は崩壊し、誰が次に動くのか誰にも分からない。

恐怖と疑念が組織全体を覆い始める。

 

その混乱の中心で、一人の女性が前へ出た。

 

サマンサ「私が、これからこの組織のトップです」

 

静まり返る空間。

彼女は洗脳されているふりをしていただけだった。

理由は一つ。

ピースギアのメンバーを、そして幻想郷を守るため。

 

サマンサ「我々は降伏します」

 

迷いのない宣言だった。

その言葉を皮切りに、職員たちは次々と武器を下ろす。

こうして、クデュック本部は完全に制圧された。

 

幻想郷に、ひとまずの平和が訪れた。

 

その頃、レムは独房で意識を取り戻していた。

混濁していた記憶が、少しずつ繋がっていく。

 

すぐにピースギアへ通信を繋ぎ、状況を説明する。

 

レム「……お願いがあります。

私がクデュックにいたことは、秘密にしてください」

 

イズモたちは短い沈黙の後、了承した。

レムは深く頭を下げる。

 

レム「では、失礼します」

 

通信は切れた。

だがその時すでに、彼女の体には異変が起き始めていた。

 

視界が歪む。

言葉が頭の中で形を失い始める。

 

レム「私は……クデュックに洗脳されていました」

 

告白する頃には、思考も言語も、確実に削られていた。

自分が誰なのか、その輪郭すら曖昧になっていく。

 

それでも、彼女は必死に言葉を紡ぐ。

 

レム「……私の代わりに……皆さんを……守ってください……」

 

通信を切ろうとした瞬間、イズモが割って入る。

 

イズモ「君が良ければだが、記憶のバックアップを移植したAIを作れる」

 

イズモ「ただし、君自身がAIになるかもしれない。

ならない可能性もある」

 

イズモ「だから……考え直してほしい」

 

レムは静かに考える。

だが答えは、すでに決まっていた。

 

レム「私はもう、自分が誰なのかわかりません。

この体では何もできない。

記憶も曖昧で……何も残っていない。

それでも……私を救ってくれた組織と、仲間たちに恩返しがしたい。

このまま終わったら、きっと後悔します。

だから……お願いします」

 

通信は、そこで切れた。

 

イズモたちは、レムの記憶移植作業のため幻想郷へ向かう準備を進める。

 

一方レムは、クデュックに関する記憶をすべて失っていた。

過去も、立場も、自分の名前さえも分からない。

 

それでも、生きる意志だけは残っていた。

最後に残った手がかりを求め、自分の名前を調べ始める。

 

だが、何も分からないまま時間だけが過ぎていく。

 

そんなある日、クデュックの残党が幻想郷を襲撃した。

ピースギアのメンバーたちは迎撃に出る。

 

戦闘の気配が広がる中、レムの中に違和感が生じる。

 

レム「……私の名前は……レム……だった気がする……」

 

だが、その名に確信はなかった。

 

次の瞬間、急激な変化が訪れる。

失われていた記憶、言語、思考能力が一気に蘇った。

 

レム「……私は、レムだった……」

 

自分が何者かを、完全に思い出した。

同時に、体の異変も収まっていく。

 

レムは仲間たちと合流し、再び戦場へ立った。

 

数日後、幻想郷を襲う敵の数は激減する。

それは、イズモたちの徹底した制圧によるものだった。

 

イズモ「もう大丈夫か?」

 

心配そうに尋ねる。

 

レムは笑顔で頷いた。

 

やがて、ピースギアは正式に勝利を宣言する。

幻想郷には、確かな平和が戻った。

 

後日、幻想郷では宴が開かれた。

クデュック壊滅を祝うためのものだ。

 

壇上に立ったレムは、深く息を吸い、語り始める。

感謝。

記憶を失っていた日々の不安。

仲間たちと築いた絆。

そして、洗脳されていたという真実。

 

隠していた事実を、すべて打ち明けた。

 

最後に、彼女はこう締めくくった。

 

レム「私は、自分が誰なのかを知ることができました。

それが、何より嬉しいです」

 

その言葉に、会場は温かな拍手に包まれる。

 

以降、クデュックの残党が現れることはあっても、ピースギアの敵ではなかった。

 

数週間後。

 

イズモは司令室で異世界資料をまとめていた。

 

イズモ「資料整理完了。

使えるな……それにクデュックの件で各支部も動き出した」

 

満足そうに呟く。

 

その頃レムは、穏やかな日常を取り戻していた。

ある日、散歩の途中でカエデと出会う。

 

互いに驚きながらも事情を話し、すぐに打ち解けた。

それから二人は、よく談笑するようになる。

 

レムはカエデから幻想郷について多くを学んでいった。

 

そしてある日。

 

イズモは司令室に入り、短く報告する。

 

イズモ「異世界の新情報を入手した」

 

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