永遠亭の前。
竹林を抜けた先で、イズモは足を止めた。
イズモ「よし、行くか」
空気が歪んだ。
妖怪A「うぉぉぉ!!!」
背後から殺気が叩きつけられる。
イズモ「え!?」
左右から影が躍り出る。
妖怪B「死ねぇぇ!!!」
妖怪C「喰らえやオラァッ!!」
イズモ「ちょっ……!」
刃のような妖気が頬をかすめる。
イズモ「あぶな!?」
妖怪D「ヒャハハッ!!逃げんじゃねえよォォ!!」
イズモは瞬時に状況を把握した。
妖怪の数は多い。
しかも本気で殺しに来ている。
イズモ「妖怪には物理攻撃は効かないが……目くらましくらいはできるか」
イズモは腰からスタングレネードを引き抜き、地面に投げた。
閃光と衝撃。
妖怪たち「目が!?見えな!?!?」
イズモ「今だ……!」
息を切らしながら駆け出す。
しかし包囲は途切れない。
妖怪E「よくもやりやがったな!?ぶっ殺してやるぜ!!」
妖怪F「覚悟しやがれェェ!!」
イズモ「クソッ……こうなったら」
妖怪G「オラァァッ!!」
妖怪H「死ねやボケエエッ!!」
イズモ「くたばれ」
咄嗟に投げた刃はすり抜け、妖怪は笑う。
イズモ「はぁ……はぁ……」
妖怪I「待てやコラァ!!」
妖怪J「逃げるなんて卑怯だぞゴラァ!!」
イズモ「……そうだ。妖怪は物理じゃなく量子力学的存在。なら光や電気は効く」
イズモはテーザー銃を構え、引き金を引いた。
妖怪K「ぐあっ!?痺れるぅ!?」
妖怪L「なんだこれは!?」
電撃が走り、数体が地面に転がる。
イズモ「さて、これで終わりだ」
その時、場の空気が一変した。
赤い着物の巫女が、いつの間にかそこに立っていた。
霊夢「あんたら、こんなところで何やってんのよ」
妖怪M「霊夢さん!?こいつ人間じゃないですよ!?」
霊夢「だからどうしたのよ」
妖怪O「え?」
霊夢「人間が人間を襲うのも、妖怪が人間を襲うのも、別におかしくないでしょ。ここは幻想郷なんだから」
イズモ「……なんだ、お前」
霊夢「私?博麗の巫女よ」
イズモの視線が鋭くなる。
イズモ「なら、この異変を起こしたのはお前か?」
霊夢「違うわよ。まあ、黒幕はいるけどね」
イズモ「なら、その黒幕を教えろ」
霊夢「嫌よ。教えるわけないでしょ」
イズモ「そうか。なら力づくで聞き出す」
霊夢「へぇ?面白いわね。やってみなさいよ」
イズモ「言われなくてもそのつもりだ」
イズモは次々と装備を投げ込む。
スタングレネード。
ゴム弾。
スリーピーガスグレネード。
だが、どれも霊夢の前で意味を失った。
視界が歪み、思考がずらされる。
現実が噛み合わない。
イズモの脳裏に違和感が走る。
これは幻術。
感覚そのものを誘導されている。
霊夢「それだけ?」
イズモ「……じゃあ、次はこちらの番だ」
イズモはナイフを数本投げる。
霊夢は軽く身を翻し、すべて避けた。
霊夢「遅い」
だが、イズモは微笑んだ。
イズモ「まあ、そっちはダミーだ」
その隙に、空間が歪む。
イズモの手元に、新たな武器が創造されていた。
イズモ「ほいっと」
再びスタングレネード。
霊夢「またそれ?芸がないわね」
イズモ「それはどうかな?」
白煙が広がる。
スモークグレネード。
視界が遮断された。
イズモ「今のうちに」
煙の中、イズモは何かを引き抜いた。
イズモ「よし、とりあえずこれだけあれば十分だろう」
現れたのは巨大な砲身。
超電磁砲。
イズモ「俺の能力を使えば、レールガンも作れるんだ」
イズモ「……対人には使いたくないけどな」
試射。
ドオオオン!!!
轟音と衝撃波。
音速の三倍で放たれた弾丸が霊夢をかすめ、背後で爆発した。
イズモ「おっかしいなー外しちゃったかー」
棒読みだった。
イズモ「もう一回」
二射目。
今度は霊夢を正確に捉えていた。
だが弾丸は寸前で逸れ、木を貫通し、その奥の大木まで吹き飛ばした。
イズモ「やっぱり当たらないなー」
霊夢「あ……あんたねぇ……!」
イズモ「じゃあ次はこれだ」
空間が裂け、VTOLが出現する。
機銃掃射。
だが弾はすべて外れる。
イズモ「おもしろ」
イズモ「じゃあ次は――」
霊夢「降参降参」
イズモ「……ん?なんで?」
霊夢「いやー、私の負けよ」
イズモ「そうか。じゃあ黒幕の場所を教えろ」
霊夢「いいわよ。ただし条件付き」
イズモ「なんだ」
霊夢「異変解決、手伝ってほしいの」
イズモ「……なるほど。わかった」
霊夢「そう。ありがとね」
イズモ「そういえば名前は?」
霊夢「博麗霊夢」
イズモ「俺は最上イズモだ」
霊夢「よろしく」
イズモ「おう」
二人は並んで歩き出す。
向かう先は人里。
イズモ「ここが人里か」
霊夢「そうよ」
イズモ「さて……まずは誰に話を聞くかな」
霊夢「そうね」