境界の外から来た者   作:最上 イズモ

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8話 新たな敵

数日後。

幻想郷支部の中庭に、異質な気配が静かに満ちた。

赤い翼を持つ小柄な吸血鬼が、当然のように門を越えて立っていた。

紅魔館の主、レミリア・スカーレットである。

 

彼女の視線は迷いなく、支部の中枢にいるイズモを捉えていた。

 

レミリア「久しぶりね、イズモ」

イズモ「久しぶりだな」

 

空間の縁が歪み、紫が姿を現す。

この場の緊張を楽しむように、余裕の笑みを浮かべていた。

 

紫「今日はどうしたのかしら?」

 

レミリアは一瞬だけ言葉を選び、視線を逸らした。

普段の尊大さの裏に、珍しく焦りが滲んでいる。

 

レミリア「少し、相談があって来たのよ」

 

紫は扇子を閉じ、静かに問い返す。

 

紫「なんの要件かしら?」

 

レミリアは小さく息を吸い、覚悟を決めたように口を開く。

 

レミリア「最近、妖怪の動きが明らかに活発になっているの」

 

紫「ええ、私も感じているわ。それで?」

 

レミリア「あなた達の力で、何とかしてほしいのよ」

 

紫は視線を伏せ、幻想郷支部の戦力と立場を瞬時に計算する。

外来勢力であるこの支部は、幻想郷の均衡を壊さないよう制限も多い。

 

紫「確かに……この体制では、妖怪退治は難しいかもしれないわね」

 

イズモが腕を組み、淡々と口を挟む。

 

イズモ「うちの職員が一応、鎮圧には入ってるはずだけど」

 

レミリアは首を横に振る。

その表情は、事態の深刻さを物語っていた。

 

レミリア「それでも足りないのよ」

 

イズモ「……人員、増やすか」

 

レミリアの目がわずかに見開かれる。

 

レミリア「お願いできるかしら」

 

イズモ「わかった。手配するから、少し待ってくれ」

 

レミリアは安堵したように微笑んだ。

 

レミリア「ありがとう」

 

その後、レミリア、紫、イズモの三人で詳細な打ち合わせが行われた。

結果、幻想郷支部の戦力増強が正式に決定する。

 

数日後。

幻想郷支部に、新たな来訪者たちが到着した。

 

まず現れたのは、本部から派遣された涼宮ハルヒの憂鬱のメンバー。

 

涼宮ハルヒ「今日から、このメンバーで仕事するから」

キョン「よろしくな」

朝比奈みくる「よろしくお願いしますぅ〜」

長門有希「……」

 

有希は短く頭を下げる。

一方、谷口は落ち着きなく周囲を見回し、興奮を隠しきれていなかった。

幻想郷という非現実の地に立てたこと自体が、彼にとって刺激だった。

 

続いて、異なる世界線からの来訪者が姿を現す。

旧ルグニカ王国より、エミリア、レム、ベアトリス。

 

エミリア「よろしくお願いします」

レム「皆さん、よろしくお願いいたします」

ベアトリス「よろしく頼むかしら!」

 

エミリアとレムが並んで一礼する。

二人の身体は淡く光を帯び、周囲の空気を浄化するような幻想的な雰囲気を放っていた。

 

こうして、二つの世界の精鋭たちは幻想郷支部で行動を共にすることになった。

そして数日後、本格的な妖怪討伐任務が始動する。

 

二週間後。

幻想郷支部は、初めてとなる大規模作戦に投入された。

対象は、巨大妖怪――大蜘蛛。

 

現地には無数の妖怪が集結し、その中心で異様な存在感を放つ大蜘蛛が蠢いていた。

イズモはリゼロのメンバーと共に、主力として前線に立つ。

 

紫「あなた達には、この巨大妖怪――大蜘蛛の殲滅を担当してもらうわ」

 

エミリアが緊張を抑えつつ確認する。

 

エミリア「まず、何から始めればいいですか?」

 

紫「最初に私が結界を張るわ。その後、攻撃をお願いね」

 

次の瞬間、空間が歪み、視界が引き延ばされた。

幻想郷支部の部隊と大蜘蛛だけが、結界の内側に隔離される。

 

紫「今よ」

 

リゼロのメンバーが一斉に魔法を解き放つ。

大蜘蛛は苦悶の叫びを上げ、確かにダメージを負った。

だが、致命傷には至らない。

 

その直後だった。

倒れたはずの大蜘蛛が、再び動き出す。

しかも、その周囲には先ほどの倍以上の個体が湧き出していた。

 

子蜘蛛の殲滅が不完全だったのだ。

 

即座に、ハルヒたちが汎用中型二足歩行兵器アリアを前進させる。

催眠ガスミサイルが発射され、大蜘蛛の頭部に直撃した。

 

巨体が痙攣し、やがて静止する。

 

レム「これで、ひと安心ですね」

 

無線越しにハルヒの声が響く。

 

涼宮ハルヒ「こっちも終わったわよ」

 

イズモ「よし、帰還しよう」

 

こうして、リゼロのメンバーはいったん本部へ帰還した。

 

だが数日後。

大蜘蛛は、さらに増殖していた。

今度は幻想郷支部そのものを襲撃する計画すら進めている兆候があった。

 

涼宮ハルヒ「また、あの大蜘蛛?」

レム「はい。どうやら、まだ増え続けているようです」

 

紫は沈黙し、思案を巡らせる。

 

紫「このままではまずいわね……」

 

彼女は一つの決断を下した。

第一基底世界、ピースギア本部が存在する世界線の無人惑星へ、大蜘蛛の卵をすべて移送する作戦である。

 

ピースギア職員「ここが第一基底世界の無人惑星です。すでに放棄されているので問題ありません」

涼宮ハルヒ「わかったわ」

 

リゼロのメンバーはその惑星へ向かい、卵の殲滅を完遂した。

任務後、彼らは本部へと帰還する。

 

紫は肩の力を抜き、静かに告げた。

 

紫「これで一安心ね」

 

だが、最後の作戦が残っていた。

それは大蜘蛛の巣へ直接潜入し、残存個体を一掃する作戦。

リゼロのメンバーにとって、肉体的にも精神的にも過酷な任務だった。

 

涼宮ハルヒ「これで最後よ」

 

紫「あなた達の能力をフル活用した、強力な催眠ガスミサイルを使うわ。吸い込めば、元に戻れなくなる可能性もある。覚悟はいい?」

 

レム「大丈夫です。覚悟はできています」

 

全員が静かに頷いた。

 

まず、ハルヒとレムがステルス迷彩を起動し、巣へ接近する。

 

レム「……すごい数ですね」

涼宮ハルヒ「ええ。でも、やるしかないわ」

 

二人は息を殺し、慎重に進む。

やがて巣の中心に到達し、同時にミサイルを発射した。

 

催眠ガスが広がり、大蜘蛛たちは次々と倒れていく。

ハルヒが連続で撃ち込み、ついに巣は完全に沈黙した。

 

涼宮ハルヒ「やったわね」

レム「はい。これでもう安心です」

 

二人はピースギア職員と共に本部へ帰還し、リゼロのメンバーは任務を終えて解散した。

 

数日後。

涼宮ハルヒの憂鬱メンバーとリゼロのメンバーは、本部に再び集まっていた。

 

イズモ「集まってくれて、ありがとう」

 

紫「あなた達のおかげで、大蜘蛛の殲滅に成功したわ」

 

紫はリゼロのメンバーに向き直り、穏やかに告げる。

 

紫「これで幻想郷支部の任務も一段落ね。本当にお疲れ様でした」

 

レムは柔らかく微笑んだ。

 

レム「皆さん、本当にありがとうございました」

 

こうして、リゼロのメンバーはそれぞれの世界へと帰っていった。

だが彼らはまだ知らない。

この出来事が、新たな戦いの始まりに過ぎないということを。

 

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