境界の外から来た者   作:最上 イズモ

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9話 増殖

その後、異世界から流入した妖怪たちは殲滅され、幻想郷支部の任務は一度終結したかに見えた。

しかし、異変の根源である大蜘蛛は、まだ生き残っていた。

それどころか、ピースギア本部のある世界線で急速な進化を始めていたのだ。

 

本来なら厳重に監視されるはずの惑星だったが、職員の油断が致命的だった。

大蜘蛛は卵を極限まで小型化し、不法占拠されていた海賊の宇宙船に紛れ込ませる。

それらは輸送と共に各惑星へ拡散し、静かに、しかし確実に侵食を広げていった。

 

異変を察知したハルヒとレムは、ピースギア本部の監視ドームへ急行する。

そこで目にしたのは、想定を超えた光景だった。

 

卵はすでに人間大まで巨大化し、監視施設内で暴れ回っていた。

幸い、完全孵化には至っていなかったため、二人は汎用中型二足歩行兵器アリアで迎撃する。

激戦の末、どうにか撃退には成功した。

 

だが、それは序章に過ぎなかった。

 

宇宙ステーション付近に停泊していた海賊の宇宙船から、もう一体の大蜘蛛が出現したのだ。

その巨体は、もはや惑星と見紛う規模だった。

宇宙戦艦によるブラックホール砲、ガンマ線バースト砲が次々と放たれる。

しかし、いずれも致命打にはならなかった。

 

本部は即座に方針を変更する。

幻想郷支部のメンバー、そして幻想郷で大蜘蛛との戦闘経験を持つ者を、アドバイザー兼戦力として緊急招集した。

それでも人手は圧倒的に足りなかった。

結果、幻想郷支部の全戦力が動員される。

 

さらに事態は悪化する。

異世界から流入した妖怪たちが、大蜘蛛に呼応するように次々と出現し始めたのだ。

戦場は瞬く間に地獄絵図と化した。

 

ピースギア職員と幻想郷支部の職員が総出で応戦する。

それでも、押し返すのがやっとだった。

このままでは全滅は避けられない。

 

イズモ「被害が大きすぎる」

涼宮ハルヒ「何とか食い止めないとね」

レム「どうしますか?」

 

イズモは歯を食いしばり、戦場を睨みつける。

 

イズモ「ここは、俺たちで何とかするしかないだろう」

 

本部は全基底世界の戦力を動員する決断を下した。

同時に、異世界の妖怪たちも大蜘蛛を守るように集結してくる。

こうして、全面衝突が始まった。

 

レム「行きますよ」

涼宮ハルヒ「うん!」

 

二人はステルス迷彩を駆使し、大蜘蛛へ肉薄する。

だが、いくら攻撃しても決定的な効果は得られなかった。

 

追い詰められた二人は、最後の賭けに出る。

アリアに搭載された催眠ガスミサイルの再使用。

成功すれば勝機はある。

失敗すれば、全滅。

 

レム「やりますよ」

涼宮ハルヒ「絶対に倒しましょう!」

 

ステルス状態のまま接近し、ミサイルを発射する。

だが、大蜘蛛は瞬時に反応した。

蜘蛛の糸を編み上げ、巨大な物理シールドを形成する。

催眠ガスミサイルは弾かれ、空間で爆散した。

 

レム「うっ……」

涼宮ハルヒ「やばいわね」

 

逃げようとした瞬間、強烈な衝撃が二人を襲う。

大蜘蛛の物理攻撃で、機体は完全に拘束された。

さらに吐き出された糸が、二人を絡め取る。

 

レム「きゃあ!」

涼宮ハルヒ「うぐっ!」

 

イズモ「この蜘蛛の糸、破壊できない……!」

 

糸は容赦なく締め上げてくる。

呼吸すら苦しくなり、視界が暗くなる。

 

涼宮ハルヒ「もうダメ……」

レム「諦めないで!」

 

だが、力は尽きかけていた。

 

その時だった。

新たなアリアが戦場に割り込む。

リゼロのメンバーだった。

 

集中砲火が放たれ、大蜘蛛は後退を余儀なくされる。

二人は間一髪で救出された。

 

その後、ハルヒとレムは医務室へ搬送された。

重傷ではあったが、命に別状はなかった。

 

イズモ「助かったぜ」

レム「ありがとうございます」

 

二人は心から安堵していた。

 

レム「本当に、死ぬかと思いました」

涼宮ハルヒ「危なかったわね」

レム「次は、もっと慎重にいきましょう」

 

気持ちを新たに、二人は再び戦いに備える。

 

ほどなくして、幻想郷支部本部に新たな緊急指令が届いた。

大蜘蛛は異世界の妖怪や生物を引き連れ、幻想郷そのものを崩壊させようとしていた。

本部は異世界からの助っ人を募る決断を下す。

 

涼宮ハルヒ「ここが異世界ね……」

レム「不思議な感じがします」

 

三人はアリアで幻想郷の外にある島へ降り立った。

そこは異世界と接続された要衝で、多種多様な種族が暮らしていた。

 

涼宮ハルヒ「まずは情報収集ね」

レム「はい」

 

だが探索中、妖怪や異世界生物の襲撃を受ける。

彼らはすべて、大蜘蛛の配下だった。

 

涼宮ハルヒ「行くわよ!」

 

戦いながら進み、三人は古代遺跡へ辿り着く。

壁一面に刻まれた壁画には、何者かに操られる大蜘蛛と異世界生物たちの戦いが描かれていた。

 

レム「これは……」

涼宮ハルヒ「大蜘蛛が、暴走してるみたいね」

レム「早く止めないと……」

 

遺跡の最奥。

そこには巨大な繭があった。

 

中では大蜘蛛が卵を産み続けている。

やがて繭が裂け、孵化が始まった。

 

レム「まずいですね」

涼宮ハルヒ「急ぐわよ!」

 

戦闘が始まる。

大蜘蛛の糸は凄まじく、アリアの装甲すら破壊しかねない威力だった。

 

レムはステルス迷彩で背後に回り、レーザーソードを振るう。

だが、刃は弾かれた。

 

レム「なんて硬さ……!」

 

ハルヒの攻撃も通らず、逆に捕縛される。

二人は繭の中へ閉じ込められ、捕食されかける。

だが、間一髪で脱出に成功した。

 

レム「危なかったですね」

涼宮ハルヒ「まだ終わってないわ」

 

再び連携し、隙を突いて斬撃を叩き込む。

今度は確かにダメージが入った。

 

レム「効いてます!」

涼宮ハルヒ「押し切るわ!」

 

だが、繭から無数の妖怪が溢れ出す。

完全に数で押される状況だった。

 

その時、空間が歪む。

 

紫「遅くなってごめんなさいね」

 

レム「紫さん!」

涼宮ハルヒ「助かったわ!」

 

紫は異世界生物たちを次元の彼方へと消し去った。

戦況は一気に傾く。

 

集中攻撃の末、大蜘蛛はついに倒れた。

 

だが、全員が疲弊しきっていた。

そこへ、八坂神奈子、洩矢諏訪子、永江衣玖が姿を現す。

彼女たちの助力により、幻想郷支部は共存の道を選び取った。

 

こうして、幻想郷は守られた。

 

涼宮ハルヒ「終わったわね」

レム「はい。これで、安心して暮らせますね」

 

三人は勝利を胸に、本部へと帰還した。

 

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