転生したら白狐だった件   作:仮面大佐

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番外編 原初の黒との邂逅

 この話は、少しほど時間を遡り、精霊の棲家で子供達に精霊を宿した直後だ。

 ある日、俺はテンペストで事務作業をしていた。

 

エース「それにしても、ミョルマイルという人物から、ハイ・ポーションの注文が来るとはな。」

 

 俺はそう呟く。

 リムルから聞いたのだが、ミョルマイルという商人が、ハイ・ポーションを仕入れる事になったそうだ。

 その為、精霊の棲家で、子供たちに上位精霊を宿らせた後は、ちょくちょく遊びに行っているが、基本的には、テンペストで仕事をしている。

 すると、リムルの気配を感じた。

 

エース「リムル?」

 

 俺は、ワープポータルがある場所に向かう。

 すると、他にリムルが戻ってきた事を察したのか、住人が多く居た。

 

住人達「お帰りなさい!リムル様〜!」

リグル「リムル様〜!」

紫苑「お帰りなさ〜い!」

朱菜「ようやく戻ってこられたんですね!」

リグルド「今夜は宴会じゃあ〜!」

 

 そして、リムルを胴上げをしていた。

 

エース「よお、リムル。どうした?」

リムル「お、おお、エース!少し、用事があってな。」

 

 リムルは、帰ってきたのではなく、用事があって、テンペストに一時的に戻ってきたそうだ。

 その訳としては、自由学園で、野外訓練があるそうだ。

 これまでは、Sクラスの面々は参加してなかったが、ジェフという教師の挑発に乗った結果、Sクラスの面々も参加する事になったそうだ。

 ていうか、挑発に乗るなよ。

 野外訓練ね。

 何故か、俺は嫌な予感がしていた。

 リムルが何かを企んでいる事、そして、その野外訓練で向かうグラトルの街で、何かが起こりそうな気配がするのだ。

 俺のこういう嫌な予感って、大体的中してるんだよな。

 ガビルの謀反だったり、フォビオの一件だったり。

 まあ、フォビオの一件に関しては、まさか、暴風大妖渦(カリュブディス)の核として囚われていたとは、思わなかったが。

 そう思う中、周囲の皆は、先ほどまで喜んでいたのが、一気にテンションが下がった。

 

エース「じゃあ、すぐにイングラシアに戻る感じなのか?」

リムル「そういう事だな。エース、悪いな。」

エース「良いって、良いって。」

リグルド「帰ってこられた訳では、無いのですね………………。」

朱菜「すぐに戻られてしまうとは…………。」

紫苑「寂しいです……………。」

エース「まあまあ、そうガッカリすんな。」

リムル「そうそう。あと、10日ほどしたら、すぐに戻るよ。」

朱菜「本当ですか!?」

 

 そんな感じに、落ち込む皆を落ち着かせて、リムルは、本題を話す。

 朱菜にはヘルモスの糸から作ったマントを、ガルムにはチェインメイルを、カイジンと黒兵衛には子供達の武器を用意するように頼んだ。

 そうして、武器が用意できた。

 それぞれ、ケンヤは剣、ゲイルは槍と盾、リョウタは弓、クロエはシズさんのような細くてよく切れる剣、アリスは忍者のような武器………簡単に言えばクナイだそうだ。

 ちなみに、シズさんの自由学園での扱いは、理事長……………神楽坂優樹……………のお客という扱いらしい。

 一応、後任の先生の引き継ぎなどもやっているので、ある意味では、非常勤講師と言えるだろう。

 黒兵衛とカイジンは、武器を用意した。

 

黒兵衛「こんな感じでどうだべ?」

リムル「うん!良いねぇ!これなら十分だ!アイツらも喜ぶだろう!流石だな!黒兵衛!カイジン!」

カイジン「本来なら、所有者に合わせて調整するもんなんだがな。そうじゃなきゃ、バランスが上手く取れねぇだろ?」

黒兵衛「んだ。マジックウェポンなら、魔法で調整されるだが、ここにあるのは、そこまで期待出来ないだよ。」

エース「まあ、子供だから、成長に合わせて調整する必要性はあるから、大丈夫じゃないか?練習用に使えば。」

 

 まあ、子供は成長するから、すぐにサイズなんて変わるだろ。

 すると、リムルが口を開く。

 

リムル「そうだな。あとは……………。」

エース「まだ必要な物があるのか?」

リムル「ああ。旅用の馬車をどうしようかなと思ってね。子供5人と大人が1人寝泊まりできるようなのがあれば良いんだが…………。」

カイジン「あるぜ。」

リムル「あるのかよ!?」

カイジン「リムルの旦那にエースの旦那が前に言ってただろ?豪華な馬車で確か…………キャンピングカーって、言うんだっけか?」

黒兵衛「実は、エース様の気まぐれで頼まれて、作ってみたんだべ。」

リムル「マジか!黒兵衛、カイジン、エース!グッジョブ!」

 

 リムルにそう言われて、俺、黒兵衛、カイジンはサムズアップをする。

 そういえば、キャンピングカーみたいなのを頼んでたな。

 皆で旅をする際に、不便なく行きたいからな。

 とはいえ、基本は馬車なので、引っ張る動物が必要だが。

 流石に、エンジンみたいな動力源を作る訳にはいかないし。

 まあ、ブーストライカーを使っているので、今更みたいな感じがするが。

 すると、リムルが話しかけてくる。

 

リムル「なあ、頼みがあるんだけど。」

エース「うん?」

リムル「少し、子供達のことを見守ってあげてほしくてな。」

エース「え?」

 

 リムル曰く、その野外訓練では、リムルはSクラスの子供達とは一緒にいないそうだ。

 贔屓になってしまうかもしれないと言う理由で。

 まあ、妥当だな。

 だからこそ、自由学園の教師では無い俺なら、子供達を見守れるのではないかと。

 

エース「それ、子供達にバレたら、リムルが差し向けたって即バレするぞ。」

リムル「だからこそだよ。バレないようにやって欲しい。」

エース「はぁ……………わぁーったよ。」

リムル「おう!さすがは、エースちゃんだな!頼りになるぜ!」

エース「おだてるな。あと、ちゃんづけは辞めろ!気持ち悪い!」

 

 まあ、俺も子供達が上手くやれているのか、気になるしな。

 という訳で、俺は離れた場所から、見守る事にした。

 嫌な予感もするので。

 リムルが出発した後、俺も出発した。

 朱菜とかは、俺もイングラシアに向かう事を嫌がったが、シュークリームを買ってくると言ったら、許してくれた。

 真眼は、シュークリームを気に入ったみたいだ。

 俺がイングラシアに到着すると、シズさんがやって来た。

 

エース「悪い、待たせた。」

シズ「ううん。大丈夫だよ。」

 

 何故、シズさんと合流したのかというと、シズさんも、子供達が心配だったからだそうだ。

 その為、俺とシズさんは、子供達のルートを確認して、こっそりついて行く事に。

 手筈を確認して、出発の日になって、俺たちは後を追う事に。

 子供達は出発して、俺たちはこっそりと見ている。

 

シズ「皆、上手くやれてるね。」

エース「ああ。まあ、安心するのはまだ早いけどな。」

 

 俺とシズさんは、そう話しながら、進んでいく。

 ちなみに、夜には子供達の近くにテントを張り、野宿をしていた。

 勿論、俺とシズさんは別々のテントに入っているが。

 そんな感じで、4日目の昼、目的地であるグラトルの街に到着した。

 子供達は、グラトルの街の近くの洞窟に向かっていた。

 子供達とティス先生が入って、時差で俺とシズさんも入る。

 

エース「なんか……………胸騒ぎがするな。」

シズ「そうね。」

 

 俺とシズさんは、そう話しながら、進んでいく。

 ちなみに、透明化の魔道具を作っておいて、それを使っている。

 まさか、緊急離脱用に作っておいた物が、ここで役にたつとはな。

 決して、ストーカー目的ではない。

 すると、笑い声が聞こえてくる。

 

シズ「笑い声?」

エース「子供には聞こえねぇな。」

 

 俺とシズさんが頷き合うと、ギリギリまで近づく。

 すると、子供達とティス先生が、集団に取り囲まれていた。

 

盗賊「『何をしているのかしら』だってよ!ねえ、頭。」

頭「ぎゃっははは!頭はこの中で俺だけだぜ!」

エース「盗賊団の類か。」

シズ「何で……………!?」

頭「来たのはこいつらだけか?」

盗賊「どうやら、そのようですぜ。」

 

 俺たちがそう呟く中、頭はそう聞いて、仲間がそう答える。

 どうやら、勘付かれてない様だ。

 頭は、仲間に奥にいる人物に指示を聞きに行かせた。

 

ケンヤ「お前ら、盗賊かなんかか?」

ティス「えっ?ええっ!?」

 

 すると、子供たちはティス先生を守るように配置する。

 

ケンヤ「先生は下がってな。」

ティス「ちょっと!?あなた達!これは訓練じゃないのよ!?」

ケンヤ「まあまあ!護衛対象は大人しく守られてなって!俺たちがこいつらをぶちのめすから!」

頭「ぶちのめす?生意気なガキどもだな。」

 

 頭がそう言うと、他の仲間が武器を取り出す。

 

シズ「皆……………!」

エース「シズさん。アイツらを信じよう。」

シズ「………………ええ。」

 

 シズさんは、皆を助けようとするが、俺は止める。

 アイツらが、柔な奴らじゃない事は、俺も分かっている。

 

リョウタ「先生、ここは僕たちに任せて下さい。」

ゲイル「加点してくれると嬉しいです。」

ティス「ええ……………!?」

クロエ「皆、頑張ろう!」

ゲイル「ビーストノーム。ティス先生を護衛しろ!」

 

 そうして、子供達と盗賊団は、戦闘を開始した。

 

ゲイル「ビーストノーム!」

 

 ゲイルはビーストノームに叫び、ジャンプして迫る敵2人を倒させた。

 リョウタは普通の矢と風属性の矢を放つが、躱される。

 だが、アリスはクナイを自在に操り、頭にネジが刺さってる奴の動きを止める。

 

アリス「まだ踊り足りない、かしら?」

盗賊「へ、へへっ、もう良い……………かしら?」

リョウタ「じゃあ、とどめですね。」

 

 リョウタはそう言って、矢を放つ。

 頭のネジが締まり、気絶した。

 クロエは、2人を相手していて、片方が出した土煙に紛れて、地面を液状化させる。

 

盗賊「そこか……………!」

クロエ「ふふっ。」

 

 クロエは敢えて、姿を見せて、盗賊を誘導して、液状化した地面に誘導する。

 その後、もう片方も地面にはまり、ビーストノームが目の前に現れて、拳を大きく振り下ろす。

 

ゲイル「よし!良いぞ、ビーストノーム!」

 

 ゲイルはそう言う。

 盗賊は、気絶していた。

 それを見ていたティス先生は唖然として、俺とシズさんは安堵していた。

 そんな中、ケンヤは盗賊の頭と応戦していた。

 

ケンヤ「へぇ。思ってたより強いじゃん。」

リョウタ「ケンちゃん!油断しないで!」

ケンヤ「任せろって!」

頭「舐めるなよ、ガキが!伊達に盗賊の頭をやってるんじゃないんだぜ!」

 

 頭はそう叫んで、ケンヤに強烈な一撃を叩き込む。

 ケンヤは、一撃を何とか凌ぐが、その際、胴体がガラ空きになり、攻撃を受け、負傷する。

 

ゲイル「ああっ!」

クロエ「ヒーリング!」

 

 が、クロエがすかさず回復魔法を使い、ゲイルの傷は塞がる。

 

頭「なっ!?」

ケンヤ「サンキュー!クロっち!」

頭「か、回復魔法だと!?お、おい!お前ら手を……………!?」

 

 頭は、仲間に助けを求めたが、仲間達は既に捕縛されていた。

 

頭「情けない奴等め!」

クロエ「私たちは英雄、井沢静江(シズエ・イザワ)の教え子だもん!盗賊なんかに負けられないもの!」

エース「……………だってよ、シズさん。」

シズ「………………。」

 

 クロエの言葉に、俺はニヤニヤしながら、シズさんを見る。

 シズさんは、嬉しいような、恥ずかしいような表情を浮かべていた。

 

ケンヤ「よく言ったぜ、クロっち!あとはお前だけだ!」

 

 ケンヤはそう言って、猛攻を仕掛ける。

 頭は、剣で防御するが、猛攻に耐えきれず、色々と負傷して、ケンヤの攻撃で右腕が切断される。

 

頭「このガキが……………!良いだろう。負けを認めてやろう。」

 

 頭はそう言って、子供達は喜ぶが、左手で服の内側を探り、何かを取り出す。

 

頭「なんてな!」

シズ「あれって……………!?」

エース「フル・ポーション?」

 

 何でアイツがそんなもんを持ってんだ?

 頭がフル・ポーションをかけると、欠損した右腕が完治する。

 

頭「グハハハハ!油断したな!……………って、あれ?」

 

 頭はそう叫ぶが、子供達は、ジト目をしていた。

 そんな中、ケンヤが剣の腹でぶっ叩き、気絶した。

 

ケンヤ「大人はよく汚い手を使うって、リムル先生に教え込まれてるんだよ!」

リョウタ「シズ先生と違って、リムル先生はちょっと卑怯な所があるもんね。」

アリス「ちょっと所じゃないわよ。」

子供達「あはははは……………!」

 

 リムル、何やってんだよ。

 シズさんも、少し呆れを滲ませたため息を吐いていた。

 だが、気になる事がある。

 何故、盗賊団の頭が、フル・ポーションなんて物を持っているのかだ。

 まあ、テンペストで売っているのは、フル・ポーションを薄めたハイ・ポーションだが。

 どこか、別ルートで手に入れたのか?

 そんな事を考える中、シズさんに肩を叩かれていた。

 

エース「どうした、シズさん?」

シズ「あれ……………!」

エース「うん?」

 

 すると、奥から、2人の男性がやってくる。

 片方は、奥にいた人を呼びに行った人で、もう片方は執事だった。

 だが。

 

エース(あれは……………人間じゃない?)

創始者『告。あれは妖魔が人間に化けた姿だと推測。』

エース(妖魔?何だそれ?)

創始者『解。妖魔とは、悪魔とは別の存在であります。』

 

 まあ、妖魔に関しては、それで良いとは思う。

 だが、何でそんな奴が居るのかという事だ。

 ケンヤが、正体を見破り、皆が戦闘体勢を取る中、妖魔は。

 

妖魔「おや、やる気満々ですね。」

 

 妖魔は姿を徐々に変えていった。

 これは、介入する事を考えるか。

 ちなみに、盗賊団は確保済みだ。

 俺とシズさんは頷き合い、俺たちはデザイアドライバーを装備する。

 レーザーブーストで様子見と行くか。

 そんな中、子供達は妖魔と応戦する。

 だが、妖魔に攻撃は効いておらず、ケンヤ、ゲイル、アリスが吹っ飛ばされ、気絶する。

 そして、クロエとリョウタ、ビーストノームも、倒されてしまった。

 

シズ「皆!」

エース「しょうがない!介入するぞ!」

「「変身!」」

 

 俺たちは、変身しながら飛び出す。

 

SET UP

SET FEVER

DUAL ON

HYPER LINK

LASER BOOST

BEAT

HIT FEVER BEAT

REDAY FIGHT

 

 俺は仮面ライダーギーツ・レーザーブーストフォームに、シズさんは仮面ライダーナーゴ・フィーバービートフォームに変身する。

 

シズ「ティス先生!大丈夫ですか!?」

ティス「えっ!?シズ先生……………!?」

エース「お前、何者だ!」

妖魔「おや、まだ仲間が居たとは。それに、西方聖教会に目をつけられたくはないのですが。何せ、妖魔軍先見部隊は、まだ少数でしか活動出来ていないのです。」

 

 先見部隊?

 まるで、この世界を侵略するみたいな言い方だな。

 なら、とっとと倒す方がいいか。

 俺とシズさんは、駆け出そうとするが。

 

妖魔「おおっと!良いのですか?」

エース「何がだ?」

妖魔「この子供達は、人質です。あなた達2人が来ようとしたら、即座に殺しますよ?」

シズ「なっ………………!?」

エース「人質とか、卑怯な真似をしやがって…………………!」

 

 そう言われて、俺とシズさんは迂闊に動けなくなってしまう。

 

妖魔「そうだ、先生。1人、1人だけ選びなさい。」

ティス「えっ……………!?」

妖魔「そのままの意味です。ここに隷属の首輪があります。生きながらえる代わりに、我らに隷属する子供を1人、選ぶのです。」

エース「こいつ………………!」

 

 こいつの狙いはすぐに分かった。

 ティス先生が、子供達を犠牲にして、自分は助かろうとさせようとしているのだ。

 それに、隷属した子供も殺すというのも。

 卑怯にも程があるだろ……………!

 こんな下劣な奴は、この世界で初めて見た。

 すると、ティス先生は呟く。

 

ティス「私は……………教師です!」

妖魔「あ?」

ティス「私が憧れた人は、全身全霊をかけて、子供達を守ろうとした。そんなあの人に…………私は、少しでも近づきたい!例え、1秒であったとしても、シズ先生がしたように、全力で、子供達を守る!」

シズ「ティス先生………………。」

エース「守ろうぜ。俺たちにとって、大切な子供達を!」

 

 ティス先生は、ケンヤが使ってた剣を構え、俺とシズさんも構える。

 ティス先生の心の中は、後悔が多かった。

 シズさんが居なくなった後、ティス先生が、Sクラスの担任になった。

 だが、見捨ててしまった。

 そんなティス先生は、今度こそ、クロエ達を守るという決意に満ちていた。

 アンタは、立派な教師だよ。

 

妖魔「そうですか。ならば、その2人もまとめて、苦痛を味合わせて、楽しませて下さい。」

ティス「召喚!」

 

 妖魔はそう言って、俺たちに迫る中、ティス先生はそう叫ぶ。

 すると、とんでもない存在を感じた。

 

エース(何だ……………この気配は!?)

創始者『告。凄まじい存在を認識。オーラから察するに、悪魔。それも、原初の黒(ノワール)と推測。』

エース(原初の?)

創始者『是。原初の悪魔とは、光の大精霊が始原の七天使に分けられた反動で、闇の大精霊が7つの個体に分かれたのが、原初の七悪魔です。』

 

 まじか。

 すると、俺たちも妖魔の間に、魔法陣が生まれる。

 

妖魔「召喚だと!?バカめ!貴様如きが……………!」

悪魔「クフフフフフ………………!」

 

 妖魔が驚く中、悪魔が現れる。

 その悪魔は、黒い羽を生やした男性だった。

 やべえな。

 オーラが半端ない。

 

妖魔「悪魔族(デーモン)を召喚したのか!?この気配…………使役型ではなく、自立型か!」

悪魔「御名答。妖魔族(ファントム)にしては、少しは博識ですね。」

シズ「あの悪魔は……………!」

妖魔「舐めるな!その女が呼び出せる程度なら、この私が負けるはずもない!」

 

 妖魔はそう言って、オーラを放出する。

 だが、あっという間に背後を取られていた。

 

悪魔「ほう。その根拠が知りたくもありますが………………。」

妖魔「なっ………………!?」

悪魔「時間がありません。」

 

 悪魔は、妖魔の背中に腕を突っ込み、人を引っ張り出す。

 あれは、あの執事だ。

 取り込まれていたのか。

 

悪魔「簡単に背中が取れましたよ。お強い筈では?」

妖魔「ひ、ヒィィィィ!」

 

 悪魔はそう言って、妖魔の腕を切断する。

 それを見て、ティス先生は恐怖していた。

 まあ、無理もない。

 その妖魔は、あっさり倒された。

 それを見て、俺とシズさんは変身解除する。

 

エース「マジか……………ていうか、シズさん、あの悪魔を知ってんのか?」

シズ「ええ。一度、会った事があるの。」

 

 マジかよ!?

 俺が驚く中、その悪魔は、ティス先生を見る。

 

悪魔「さて。」

ティス「っ!?」

悪魔「長々と話をする暇はありません。召喚主であるあなたに、負担をかけないよう、これでも気を遣っているのですよ。それよりも、報酬を頂きたいのですが。よろしいですか?」

ティス「…………………覚悟は、出来てるわ。」

 

 まさか、ティス先生の命を奪う気か!?

 そう思う中、悪魔は要求を告げる。

 

悪魔「それでは、要求を告げます。私の事は、一切秘密にする事。」

ティス「………………え?」

悪魔「この約定を違えた時、あなたの魂を頂くことになるので、ご注意を。」

エース「それで、俺とシズさんの場合はどうするんだ?この場にいる以上、秘密にするのも無理だろ。」

悪魔「ふむ。まあ、あなた方は大丈夫です。それに、借りは返しましたよ。シズ。」

シズ「…………………久しぶりね。クロ。」

ティス「あ、ありがとう………………。でも、この状況は…………どう説明すれば…………。」

 

 まあ、そうだよな。

 誰が倒したかって事になるからな。

 

悪魔「下らない。そこの少年を守護する光の精霊と、シズとそこの男が倒した事にすればよろしいでしょう。」

ティス「え?」

 

 悪魔がそう言うと、ケンヤから光の精霊が現れる。

 

光の精霊「気づいてたのかよ。」

ティス「え!?あなたが、光の…………!?」

光の精霊「あ、どうも〜。」

 

 ティス先生と光の精霊が話す中、その悪魔は、隷属の首輪を拾う。

 

悪魔「それでは、私はこれで。それにしても、そこのあなた。」

エース「うん?」

悪魔「あの3人が興味を示す者に会えたのも、悪くないでしょう。あなたの強さには、納得がいきますし。それでは。」

 

 悪魔は、そう言って、チラッとクロエを見た後、姿を消す。

 ティス先生と光の精霊が話す中、俺は考えていた。

 

エース(妖魔族の侵略の可能性、原初の黒の存在、アイツが言う俺に興味を示す存在。分かんない事だらけだな。)

 

 それにしても、シズさんは、あの悪魔と出会っていたのか。

 その後、子供達を起こして、俺たちはグラトルの屋敷へと戻った。

 ちなみに、シズさんがここに居る事に関しては、休みを貰って、俺にグラトルの街を案内していたという事にした。

 翌日、リムル、ジェフという教師、グラトル伯爵を加えて、話をする事に。

 無論、あの悪魔の事は伏せて。

 

ジェフ「なんと!昨日はそんな事が!?」

ケンヤ「本当に大変だったんだぜ。」

リムル「うむ。妖魔族(ファントム)という魔族ね。そんな奴が、盗賊団に紛れていたとはな。」

ジェフ「聞いたことがないな。いや、西方聖教会ならば、何か知っているやもしれんが。」

 

 西方聖教会ね。

 確か、魔物を敵視している存在だったな。

 あんまり会いたいとは思わないな。

 もしかしたら、敵対する可能性も考慮に入れておくか。

 そう考えている中、話はどんどんと進んでいき、クロエが俺とリムルに話しかける。

 

クロエ「ねえ、リムル先生、エースさん。2人は、フル・ポーションを持ってないの?」

エース「ん?持ってるが。」

リムル「俺も。」

 

 そう答えた時、ジェフ先生とグラトル伯爵が驚く。

 

グラトル「り、リムル殿!エース殿!ほ、本当に、フル・ポーションをお持ちで!?」

ジェフ「い、今、ここにあるのか!?あの秘薬が!?」

エース「あ、はい。ありますけど……………。」

リムル「秘薬って、フル・ポーションの事だったんですね。」

 

 念のために、フル・ポーションを携帯しているのが、幸いしたな。

 ジェフ先生曰く、失った手足を再生させるフル・ポーションなら、病気も治るそうだ。

 ただ、グラトル伯爵曰く、服用した後に死亡した事例もあるので、確実性は無いが、やる価値はあるそうだ。

 グラトル伯爵とジェフ先生が頭を下げるので、俺とリムルは、廊下に出て相談する。

 

リムル「なあ、お前の創世の力を用いる事はできないのか?」

エース「あんまりやると、面倒な事になりそうだし、やめておいた方がいい。でも、どうやって救うんだ?」

 

 そう思う。

 すると、創始者が答えてくれた。

 どうやら、死亡した事例というのが、細胞異常が促進された場合というらしい。

 そこで、悪性部位を切除して、フル・ポーションをかけるという手法を取ればいけるそうだ。

 俺とリムルは頷き合い、部屋に戻り、フル・ポーションを取り出す。

 

ジェフ「た、確かに、本物のようだ。それも、10本も。」

グラトル「リムル殿、エース殿!ぜひ、譲っていただきたい!」

エース「良いですよ。」

リムル「ですが、一つ、条件があります。」

グラトル「条件?金ならいくらでも払おう!」

ジェフ「あ、こ、今回の勝負は、リムル先生に勝ちを譲ろう!」

リムル「はい?譲ってもらえなくても、俺の勝ちでしょう!」

 

 リムルがそう言ったのを皮切りに、ジェフとリムルは、口喧嘩を始める。

 それを見ていた子供達は。

 

アリス「大人って、どんな手段を使っても、勝ちにこだわるんだから。」

クロエ「まだまだ認識が甘かったみたい。」

シズ「これは、悪い見本だからね。」

ティス「皆、真似しちゃだめよ。」

子供達「は〜い。」

 

 アリスとクロエがそう言って、シズさんとティス先生が、子供たちにそう言う。

 俺は、2人を仲裁する。

 

エース「リムル、ジェフ先生!グラトル伯爵が困ってるだろ!そこら辺にしておけ!すいません、うちのリムルが。」

リムル「おい、エース!」

グラトル「それで!条件は?」

リムル「ああ、そうでした。」

エース「奥様の治療は、俺たちが行います。」

一同「ええっ!?」

リムル「それが条件です。」

 

 こうして、奥様がいる部屋へと向かい、俺たちは手術を開始した。

 ちなみに、リムルは大賢者、俺は創始者のオートモードを使用した。

 流石に、手術は素人だしね。

 その後、手術は無事に成功して、奥様は元気になった。

 奥様とグラトル伯爵が一緒に歩いているのを、俺、リムル、シズさん、ティス先生、ジェフ先生、執事が見ていた。

 

ティス「よかったです。」

シズ「ええ。元気になられて。」

執事「はい、本当に……………!」

 

 良かったよ。

 すると、創始者が話しかけてくる。

 

創始者『告。演算終了。』

エース(どうした?)

創始者『アピトの蜂蜜についてです。』

エース(アピトの蜂蜜?それがどうしたんだよ?)

 

 アピトとは、以前、森の中で助けた蜂のことだ。

 リムルがアピトと名付け、現在は、蜂蜜を定期的にテンペストに運んでいる。

 すると、創始者はとんでも無い事を言った。

 

創始者『アピトの蜂蜜の成分に、悪性の細胞を死滅させられる効果があると判明しました。』

エース(え?じゃあ、アピトの蜂蜜を食べさせれば、それで良かったんじゃ無いか?)

創始者『……………………。』

 

 マジかよ。

 俺がそう言うと、創始者はダンマリを決め込んだ。

 まあ、結果論か。

 すると、ジェフ先生が話しかける。

 

ジェフ「リムル先生、エース殿。」

リムル「ああ、はい。」

エース「どうしました?」

ジェフ「その………………何だ………………本当に、ありがとうございました!この恩は、一生忘れません。」

 

 ジェフ先生はそう言って、頭を下げる。

 まあ、救えたのなら、本望だよ。

 こうして、自由学園の野外訓練は、終了したのだった。

 余談だが、グラトル伯爵は、後に、妻であるウラムスの治療方法を、学会へ報告した。

 この世界の医療が飛躍的に進歩する事になるのだが、それはまた、別の話。

 そして、俺は、この時には、気づいていなかった。

 テンペストに厄災が訪れ、この件で遭遇した悪魔と再会するというのを。




今回はここまでです。
今回は、リムルの華麗な教師生活の話です。
そして、あの悪魔が登場しました。
のちに、ディアブロという名を与えられる悪魔が。
これにより、コリウスの夢の話に繋がる事が出来ます。
最後に書いてある様に、まもなく、厄災が訪れる。
その時、エースはどうなってしまうのか。
言えるのは、あの力が覚醒するという事です。
次回からは、コリウスの夢に入る予定です。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
今後の展開などでリクエストがあれば受け付けています。
エースの創始者もアルティメットスキルになりますが、なかなか思いつかなくて。
あとは、エースもファルムスへの反撃の際に、悪魔を召喚するか否かですね。
誰を召喚するのか。
それらのリクエストも受け付けています。
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