転生したら白狐だった件   作:仮面大佐

44 / 80
第40話 厄災の黙示録

 ドワルゴンでの外遊やコリウス王国での一件を終えた俺は、リムルと共に、イングラシア王国に向かっていた。

 朱菜が、快く送り出してくれた。

 本当に、ありがたいよ。

 ちなみに、イングラシア王国に向かう前、俺は皆を集めて、ある事を語った。

 

エース「……………皆に、言っておきたい事がある。」

真眼「言っておきたい事……………ですか?」

エース「ああ。先ほども言ったように、ファルムス王国の動きが怪しい。蒼影達に調査してもらうが、万が一、ファルムス王国が攻めてきた場合は、自らの命や大切な人たちを守る為に戦い、最悪の場合は、殺害も許可する。」

 

 俺は皆を集めると、そんな風に言う。

 皆が驚いた表情を浮かべる中、俺は口を開く。

 

エース「理由は簡単だ。ファルムス王国は、ガゼル王の話から、話が通用しないというのが分かった。だからこそ、悲しみを増やさない為にも……………頼む。」

 

 俺はそんな風に言って、頭を下げる。

 皆も、理解してくれたようで、避難計画などを立てた。

 その後、俺とリムルは、クロエ達の元に居た。

 

リムル「それでは、期末テストの結果を発表します!」

 

 どうやら、俺たちが居ない間に、期末テストをやっていたみたいだな。

 リムルがそう言うと、子供達は、表情を引き締める。

 すると、リムルがため息を吐きながら崩れる。

 

リムル「ハァ……………。」

 

 ちなみに、俺は、結果は分かっているので、敢えてノーリアクションに徹する。

 まあ、内心では、少し呆れていたが。

 それを見た子供達は。

 

「「えっ!?」」

クロエ「まさか…………!?」

ケンヤ「そっ、そんな……………!?」

リムル「残念ながら全員……………。」

 

 それを聞いた子供達は、唾を飲み込み、リムルの次の言葉を待つ。

 

リムル「合格で〜す!」

一同「あああ……………!」

エース「やれやれ……………。」

 

 リムルの言葉を聞いた子供達は、盛大にずっこける。

 俺は、そう言いながら首を振る。

 

ケンヤ「うおい!ビビらせんな!」

リムル「サプライズも必要かと思いまして。」

エース「悪いな。」

ケンヤ「あ〜良かった…………。」

アリス「わっ、私は、何の心配もしてなかったよ。」

ゲイル「全員揃って、進級ですね。」

リョウタ「また、皆と一緒。」

クロエ「うん。嬉しい。」

 

 皆がそう話す。

 成長してるな。

 俺は先生ではないが、嬉しく感じるよ。

 

リムル「皆、よく頑張りました。さて。これで私の先生としての仕事は終わりました。学期末をもって、あなた達をティス先生に引き継いで、エースとシズさんと一緒に、テンペストに帰ります。」

クロエ「先生……………。」

リムル「そんな寂しい顔をするな。あと数日は居るんだし、明るく送り出してくれ。俺たちが国に帰っても、アリス、クロエ、リョウタ、ケンヤ、ゲイル。皆、俺の大切な生徒だからな。」

 

 リムルはそう言う。

 まあ、俺は教師ではないんだけどな。

 それでも、この子供達が大切なのは、変わりない。

 

クロエ「うん。」

ケンヤ「先生……………。」

アリス「あっ!それより、エースさんもだけど、約束守ってよね、約束!」

エース「約束?」

ケンヤ「そうだ!漫画の続きに仮面ライダーの続き!成績が良かったら、見せてくれるって言ってたろ!」

リムル「ああ、分かってる、分かってる。寄生獣も最終巻までちゃんと用意しておくよ。」

エース「俺も、ちゃんと用意するよ。」

ケンヤ「やった〜!」

 

 そう言って、子供達は喜ぶ。

 実は、俺も、子供達に、仮面ライダーを見せている。

 俺は、1号からギーツの途中まで見ていたのだ。

 それを本状にして、皆に見させている。

 俺とリムルは、ティス先生とシズさんの元に向かう。

 

リムル「ティス先生、シズさん。おかげで全員進級出来たよ。ありがとう。」

エース「シズさんもお疲れさん。」

ティス「私じゃなく、皆が頑張ったからですよ。」

シズ「ティスさん。新学期から、Sクラスの皆をよろしくお願いします。」

ティス「はい。」

 

 俺たちはそう話す。

 シズさんもテンペストに戻る理由としては、シズさんもテンペストに暮らす事にしたそうだ。

 シズさんとしても、テンペストは居心地がいいみたいだな。

 一方、ミュウランを連れたヨウム達は、テンペストに到着していた。

 

ヨウム「ほら、着いたぜ、ミュウラン。あれが魔物の国、ジュラ・テンペスト連邦国だ。」

 

 ヨウムがそう言う中、ミュウランはテンペストを見ていた。

 ヨウムは、ミュウランを連れて、紫苑、朱菜、真眼、紅丸の元に向かう。

 

ヨウム「俺たちの新しい仲間、魔導師(ウィザード)のミュウランだ。」

朱菜「初めまして。よろしくお願いします。」

ミュウラン「こちらこそ。」

紫苑「どうぞ、ゆっくりして行って下さい。」

ヨウム「ミュウランには、相談役兼軍事顧問として、対魔法戦を指導してもらってる。」

真眼「お強いんですね。」

ミュウラン「それ程でもありませんが……………。」

 

 真眼の言葉に、ミュウランがそう言う中、後ろから、作業音が聞こえてくる。

 ミュウランが後ろを見ると、周囲には提灯が飾られ、垂れ幕などもあった。

 

ミュウラン「お祭りですか?」

朱菜「いいえ。」

真眼「もうすぐ、エース様とリムル様が正式に帰国なさるので、そのお祝いの準備です。」

紫苑「では、私たちは、まだやる事がありますので。」

朱菜「失礼します。」

 

 そう言って、紫苑達は領主館へと戻ろうとする。

 すると、朱菜と真眼が、立ち止まり、ミュウランに声をかける。

 

朱菜「ああ。後で、ぜひ温泉にどうぞ。」

ミュウラン「温泉?」

真眼「ええ。テンペストに来るまで、少し疲れたでしょう?汗を流すと気持ち良いですよ。」

ミュウラン「あ……………ありがとうございます。」

 

 そう言って、朱菜と真眼も領主館の中へと入り、紅丸も中に入る。

 それを見ていたミュウランは。

 

ミュウラン(あれが鬼人……………。一人一人が恐ろしいほど強いわね。)

 

 ミュウランは、紅丸達の事を警戒していた。

 そう思う中、ヨウムが話しかける。

 

ヨウム「じゃあ、ミュウラン。ちょっと、テンペストを案内してやるよ。」

 

 そう言って、ヨウムはミュウランを案内する。

 一方、それを見ていたジーンは。

 

ジーン「………………何かが起ころうとしているのか?」

 

 そう呟いていた。

 まず来たのは、黒衛兵達の工房だった。

 

ヨウム「ここが鍛冶屋だ。あの2人が作る武器や防具は、天下一品だぜ。」

 

 ヨウムはそう言う。

 次に案内したのは、迎賓館だ。

 

ヨウム「迎賓館だ。立派なもんだろ。」

ミュウラン「………………ええ。」

 

 ヨウムがそう言うと、ミュウランは少し間を開けて、答える。

 2人は、店が並んでいるエリアに向かった。

 そこには、子供達が遊んでいたりと、賑やかだった。

 すると、ガビルの配下達が、とある店の前で声を出す。

 

ヤシチ「こんにちは〜!」

 

 そう声をかけると、コビーが中から出てくる。

 

コビー「ああ、ご苦労様です。」

スケロウ「ハイポーション。今週の分だぜ。」

 

 スケロウ達は、ハイポーションを届けに来たそうだ。

 それを、ミュウランが見る。

 コビーは、ハイポーションを確認していた。

 

コビー「はい。確かに。」

ヤシチ「サイン、お願いしま〜す!」

 

 ヤシチがそう言って、紙を渡して、コビーはサインをする。

 

コビー「ありがとうございます。来月からは、また取引量が増えるかもしれません。近々、打ち合わせをしに伺いますので、ガビルさんにその旨、お伝え下さい。」

カクシン「しかと承った。」

 

 コビー達は、そう話す。

 それを聞いていたミュウランは。

 

ミュウラン(あんなにたくさんのハイポーションを製造していると言うの?軍事力といい、技術力といい、これは確実に他の国の脅威だわ。)

 

 ミュウランは、テンペストの軍事力と技術力に警戒心を見せる。

 そこに、ヨウムが声をかける。

 

ヨウム「お〜い、どうした?」

 

 ヨウムは、後ろを振り返ったまま動かないミュウランを見て、声をかけていた。

 ミュウランは、それに答える。

 

ミュウラン「いえ、何でもないわ。」

ヨウム「この先に、訓練場があるんだ。」

 

 そう言って、ヨウムは歩き出す。

 ミュウランは、ヨウムについていく。

 ヨウムに着いていく中、ミュウランは思う。

 

ミュウラン(本当にお人よしね。私は…………クレイマン様の命令で、魔物の国の調査をする為、ヨウム、あなたを利用しているだけなのに。バカな人。私が魔人だなんて、疑ってもいないのでしょうね。)

 

 ミュウランは、そう思う。

 クレイマンは、魔物の国を調査する様に命令した様だ。

 一方、ヨウムとミュウランが向かう訓練場には、白老やゴブタ、ゴブゾウ、グルーシスが居た。

 

白老「では、休憩。」

 

 そう言って、白老は去っていく。

 そこには、ゴブタやグルーシス達が、倒れていた。

 

ゴブタ「あああ……………痛え。あのジジイ、今日も手加減なしっすね……………。」

ゴブゾウ「ボッコボコだす……………。」

グルーシス「ゴ…………ゴブタ君。あの鬼………じゃなくて、白老殿は、毎回こんな感じなのかい?」

 

 ゴブタとゴブゾウがそう言う中、グルーシスは、ゴブタに質問する。

 ゴブタは、起き上がりながら答える。

 

ゴブタ「そうっすよ。」

ゴブゾウ「ボッコボコだす……………。」

ゴブタ「全く、冗談じゃないっすね。ほら、立つっすよ、お前達。」

 

 ゴブタが手を叩きながらそう言うと、ゴブト達も立ち上がる。

 グルーシスは、それを見て驚いていた。

 

グルーシス「毎回、こんな……………。それを、死なずに耐えている君たちも、恐ろしいというか、なんというか……………。我らが獣王国に勧誘したい所だよ。」

 

 グルーシスは、タフなゴブタ達を見て、苦笑気味にそう言う。

 すると、ヨウムが話しかける。

 

ヨウム「よう、グルーシス。」

グルーシス「あっ。ヨウムじゃねえか。」

ヨウム「へへっ。」

 

 ヨウムは、グルーシスに声をかける。

 ヨウムは、グルーシス達の有様に言う。

 

ヨウム「なんで有様だよ…………。」

グルーシス「うるせえよ。そちらは?」

ヨウム「ああ。こいつはミュウラン。うちで一番の手練れだ。戦ったら、お前でも敵わねえかもな。」

グルーシス「一番?ってことは、ヨウム。お前、こんな線の細え女に負けたのか?」

ヨウム「じゃあ、お前も戦ってみるんだな。万が一、ミュウランが負けたら、お前の事、兄貴って呼んでやるよ。」

グルーシス「良いだろう!もしその女が俺に勝てたなら、俺がお前の舎弟になってやる!」

 

 ヨウムとグルーシスは、お互いに挑発気味にそう言って、グルーシスはミュウランに話しかける。

 

グルーシス「ヨウムと違って、俺は女だからって、容赦しねえからな!」

ミュウラン「ハア……………。」

グルーシス「行くぞ!」

 

 グルーシスがそう言う中、ミュウランはため息を吐き、グルーシスはミュウランに向かっていく。

 その少し後、グルーシスは地面に埋まっており、それを見て、ヨウムは笑っていた。

 

ヨウム「プッ!アッハハハハッ…………!面白いから、人呼んでこようぜ、ミュウラン!」

グルーシス「それでも英雄か!早く手ぇ貸せ!」

ミュウラン「ハァ……………。」

 

 ヨウムが笑って言う中、グルーシスはそう叫び、ミュウランがため息を再び吐く。

 すると、グルーシスが声をかける。

 

グルーシス「おい、お前。お前の勝ちだ。」

ミュウラン「素直なのね……………。」

グルーシス「この状況じゃあな…………。強いな、アンタ。大したもんだ。」

ヨウム「だろ?……………で、グルーシス。さっきの約束だが…………。」

グルーシス「ああ。お前が兄貴分って事で良いぞ。」

ヨウム「いや、冗談のつもりだったんだが…………。」

 

 ヨウムは、グルーシスが意外と素直な事に、そう言う。

 グルーシスは、ヨウムに言った。

 

グルーシス「約束は約束だ。だが、正直に言っておく。」

ヨウム「え?」

グルーシス「カリオン様がお前を殺せと俺に命令したなら、俺は迷わず、お前を殺しに行く。悪いが、それが俺の中の絶対的なルールなんだ。」

ヨウム「分かった。肝に銘じておく。」

 

 グルーシスとヨウムは、そう話す。

 ヨウムが、グルーシスを穴の中から引っ張り出す。

 グルーシスは、体に付いた土を叩き終えると、ヨウムに言う。

 

グルーシス「俺も、お前達の一行に加わるぜ。他の国も見てみたいしな。」

ヨウム「それは構わないが…………良いのかよ?」

グルーシス「俺は見聞を広めるのが任務だから、好きにさせてもらうさ。」

 

 こうして、グルーシスもヨウムの一行に加わる事になった。

 すると、ゴブタが口を開く。

 

ゴブタ「今の戦い、実に見事だったっす。」

グルーシス「ゴブタ君?」

ゴブタ「自分は確信したっす。姐さんの魔法があれば、あのジジイも倒せると。」

グルーシス「おいおい、ジジイって、白老殿の事か!?」

ヨウム「何か、作戦でもあんのかよ?」

ゴブタ「しっ!声がデカいっす!良いっすか?まず、あらかじめ、ミュウランさんの魔法で…………。」

 

 そう言って、ゴブタ、ヨウム、グルーシスの三人は、作戦会議を始める。

 それを見ていたミュウランは。

 

ミュウラン(何をやっているのかしらね、私は…………。)

 

 そう思うのだった。

 その後、白老の元に向かう。

 

白老「ほう。模擬戦とな?」

ゴブタ「今日という今日は、イヤンと言わせてやるっすよ!覚悟は良いっすか!?じじ…………師匠!」

ヨウム(絶妙にキレのない挑発だな………。)

白老「その意気やよし!久々に、実践に即した稽古をつけてやろう!」

 

 ゴブタは、ジジイと言いかけたが、即座に訂正して、ヨウムはそう思う。

 こうして、模擬戦が始まる。

 

ゴブタ(設置型の魔法陣は、既に配置済み!後は、そこに誘導できれば…………!)

 

 ゴブタは、そう思う。

 白老、ゴブタ、ヨウム、グルーシスが木刀を持って、構える。

 

白老「では、始めるとするかの!」

 

 白老がそう言うと、即座にゴブタの方へと向かい、剣を振る。

 ゴブタは、それを躱す。

 

ゴブタ「うっ!うわあっ!(やっぱり、オイラを狙ってきたっすね!)」

ミュウラン「液状化。」

 

 ゴブタが躱す中、ミュウランが魔法を発動する。

 すると、白老の足元の地面が液状化して、足が少し沈む。

 

白老「ぬっ?」

ヨウム「かかった!今のうちに一斉に………!」

 

 ヨウムは、勝ちを確信するが、気がつくと、白老の姿が目の前から消えていた。

 それに気づいたゴブタとヨウムが口を開く。

 

「「あれ?」」

ゴブタ「あのジジイ、どこに…………?」

「「あっ!」」

 

 ゴブタがそう言う中、ヨウムとグルーシスが声を出す。

 そう。

 目の前に、白老が現れたのだ。

 ゴブタも気づいて、後ろを振り向くが、時既に遅し。

 

白老「ジジイじゃと?」

ゴブタ「わああっ!よよよよよ……………!」

白老「ふんっ!」

ゴブタ「イヤンッ!っす…………!」

 

 白老は、木刀をゴブタに叩きつけ、ゴブタは倒れる。

 それには、ヨウムとグルーシスも驚く。

 

グルーシス「嘘だろ…………!?」

ヨウム「なんで普通に動けんだよ!?」

白老「瞬動法じゃ。教えた筈じゃがのう。」

ヨウム「ええ……………!?」

 

 グルーシスとヨウムがそう言う中、瞬動法でヨウムの隣に立った白老がそう言って、ヨウムは顔を青ざめる。

 結果、ゴブタ、ヨウム、グルーシスの三人は、ボコボコにされた。

 白老は、三人に聞く。

 

白老「……………さて。説明してもらえるかの?どういうつもりで、わしを罠に嵌めようとしたのかを。」

ヨウム「あっ、いや……………。」

 

 白老の質問に、白老の前で正座させられているヨウム達は、冷や汗を垂れ流す。

 それを見ていたミュウランは、恐る恐る白老に話しかける。

 

ミュウラン「あの……………。」

白老「ああ、お嬢さんは良いんじゃよ。どうせ、このバカどもに唆されただけじゃろ。」

ミュウラン「はぁ……………。」

 

 白老は、笑顔でミュウランにそう答え、すぐにゴブタ達に言う。

 

白老「お前達。念の為に言っておくがの。間違っても、リムル様とエース様を試す様な真似はするなよ?」

ゴブタ「何を言ってるんすか…………?あの2人に通用する訳が無いっすよ…………。」

白老「そうかのう?エース様はともかく、リムル様は案外引っかかりそうな気がするんじゃがのう。」

 

 白老の言葉に、ゴブタはそう答えるが、白老はそう言う。

 一方、俺たちは。

 

リムル「へっくしょい!」

エース「リムル、大丈夫か?」

ミョルマイル「おや、風邪ですかな?」

リムル「いや、誰か噂してるんだろう。」

ミョルマイル「エースの旦那もそうですが、リムルの旦那は人気者ですから。あ〜もう一杯、いかがですか?」

リムル「じゃあ、貰おうかな。」

エース「俺も貰うよ。」

 

 俺とリムル、そして、リムルを介して知り合った商人のミョルマイルは、そう話す。

 一方、テンペストの温泉宿では、温泉にヨウム達が浸かっていた。

 

ヨウム「あ〜…………生き返る。」

ゴブタ「あのジジイは、きっと殺しても死なないっすね。」

グルーシス「ゴブタ君…………。白老殿に一泡吹かそうというのは、もう諦めた方が良いんじゃないかな?」

ゴブタ「いつか必ず、一矢報いるっす!」

グルーシス「その根性、恐れ入るよ。」

 

 ヨウムがそう言う中、ゴブタは白老に一矢報いようとする事は諦めていない発言をして、グルーシスは苦笑を浮かべる。

 ゴブタは、ミュウランの事を話題に出す。

 

ゴブタ「しっかし、あの魔法使いのお姉さん、凄い腕っすね!」

ヨウム「へへっ。だろ?しかも、良い女だしな。」

グルーシス「異論はない。俺の子を産んでくれねえかな……………。」

 

 ゴブタがそう言うと、ヨウムは誇らしげにそう言って、グルーシスも同意する中、そんな発言をする。

 すると、ヨウムが言う。

 

ヨウム「おい、ちょっと待てよ!そりゃダメだぜ!あの人は、俺の部下だからな!」

グルーシス「恋愛は自由。早い者勝ちだぜ。」 

ゴブタ「早い者勝ちっすか!分かったっす!」

ヨウム「ちょっ!?お前まで…………!?」

 

 三人はそう言い争う。

 だが、そんな下世話な会話は、女湯にいる朱菜、紫苑、ミュウランにも聞こえていた様で。

 

朱菜「……………困った人達ですね。」

紫苑「ご安心を、朱菜様!あの三人には、泣くほど叩きのめして、性根を叩き直した方が良さそうですね!」

ミュウラン「私も協力します。」

「「ん?」」

 

 朱菜が呆れる中、紫苑はそう言って、ミュウランも賛同する。

 3人は、顔を見合わせる。

 すると、朱菜が笑い出す。

 

朱菜「フフフッ…………。」

紫苑「ウフフフッ。」

ミュウラン「フフッ。」

 

 そうして、3人は笑う。

 一方、俺たちは、食事をしていた。

 無論、子供達も一緒にいる。

 これは、ミョルマイルの商売のお礼と、俺、リムル、シズさんの送別会を兼ねた物なのだ。

 子供達は、リムルが出した漫画を読んでいた。

 

アリス「ちょっと!早く読みなさいよ!」

ケンヤ「待てって!今、良い所なんだから!」

リョウタ「まさか、こんな展開とは…………!」

ゲイル「驚きましたね。」

クロエ「…………………。」

シズ「皆、熱中してるわね……………。」

 

 アリス、ケンヤ、リョウタ、ゲイルがそう話す中、クロエは無言で読んでいて、シズさんは苦笑を浮かべる。

 そんな中、俺、リムルは、ミョルマイルと話をしていた。

 

リムル「……………で、どうかな?商売の方は?」

ミョルマイル「おかげさまで、高品質のハイポーションは、引く手数多です。西側諸国にも噂を広めてありますから、この先、取引量はますます増えますよ。」

リムル「そして、ミョルマイル君も儲かると。」

ミョルマイル「当然です。それが私の商売ですからな。いやいや、ご心配なく。ちゃ〜んと、テンペストにも支払う物はきちんと、ええ。」

エース「なら、良いんだけどな。」

 

 ミョルマイルは、見た目は少し胡散臭いが、中々に信頼できる人だ。

 ミョルマイルは、後ろにいる子供達とシズさんを見ながら言う。

 

ミョルマイル「ん〜今日の支払いも私もちですよ、勿論。商売のお礼と、旦那達の送別会を兼ねて、ねえ。」

リムル「遠慮なく甘えるとしよう。」

ミョルマイル「ベルヤード男爵も感謝していましたよ。ハイポーションが流通すると、ブルムンド王国にも利がありますからな。」

エース「ベルヤード男爵……………ね。」

 

 そう。

 以前、俺とリムルは、ブルムンド王国とテンペストの安全保障条約の調印式に参加した。

 無論、盟主としてだ。

 だが……………。

 

エース「しっかし、ブルムンド王国とテンペストの安全保障条約を結んだのは良いが………してやられたな。」

リムル「ああ。もし森を抜けて、他の国がブルムンドに攻め込んだ場合、テンペストに防波堤になれって事だからな。」

ミョルマイル「政治とは、そういう物です。ですが、逆にテンペストがどこかの国の侵攻を受けた場合、ブルムンドは共闘するでしょう。持ちつ持たれつですよ。」

 

 まあ、それが安全保障条約だしな。

 前世の日本とアメリカも、そんな関係だったしな。

 それを聞いたリムルは、怪訝そうに言う。

 

リムル「テンペストが侵攻される事なんて…………。」

ミョルマイル「いやいやいや。何があるか、分かりませんぞ。」

リムル「ん?」

 

 リムルがそう言う中、ミョルマイルはそう返す。

 つまり、ミョルマイルが言いたい事は分かる。

 

ミョルマイル「テンペストはこの先、貿易の中心地になると、わしは睨んでおりますわい。」

リムル「ドルフさんもそんな事言ってたな。」

ミョルマイル「そうなればですぞ。テンペストを目障りに思う国もあるでしょうな。例えば……………。」

エース「ファルムス王国……………か?」

ミョルマイル「まあ、そうなりますな。エース殿は、それを懸念しているわけですな。」

 

 やっぱりか。

 すると、リムルは俺を見てくる。

 

リムル「エース…………ここ最近、何か考え事をしてると思ったら……………。」

エース「ガゼル王も言ってただろ。ファルムスの国王は欲深いって。」

ミョルマイル「ま、まあまあまあ。まっ、すぐにどうこう言う事はないでしょうが、ええ。警戒するに越した事は無いですからな。」

リムル「ああ…………そうだな。」

 

 やっぱり、胸騒ぎがする。

 ファルムス王国が、欲を掻いて、テンペストに攻め込んでくる可能性があるからな。

 俺は、リムルに声をかける。

 

エース「リムル。」

リムル「うん?」

エース「やっぱり、ファルムス王国の動きは、警戒するべきじゃ無いのか?」

リムル「う〜ん……………。でも、すぐに動くわけじゃないから、警戒しつつ、過ごすしか無いんじゃ無いのかな?」

エース「それは……………。」

 

 それでは、手遅れになるかもしれない。

 もし、既にファルムス王国が動き出そうとしていたら。

 俺は、仲間を守れるのか?

 そんな懸念を抱く。

 そう思う中、俺の懸念が、最悪の形で的中する事になるとは、この時の俺は思ってもいなかった。

 そして。

 

カラ「……………いよいよだな。」

 

 カラはそんな風に呟いていた。




今回はここまでです。
今回は、厄災の前の話です。
エースも、テンペストの人たちに、いざという時は殺しても良いと言う。
対策をしていました。
そんな中、いよいよ動き出す。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
昨日から、ジャマト・アウェイキングが公開されましたね。
良い映画でした。
この小説でも、プロージョンレイジは出そうかなと思っています。
ドゥームズギーツなどは、どうするのかは検討中です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。