転生したら白狐だった件   作:仮面大佐

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第46話 魔王誕生

 俺たちが攻撃を開始する前、ファルムス王国の陣地では、ある男がペンダントを見つめていた。

 すると、その近くにいた男が話しかける。

 

兵士「ちょっとやめて下さいよ。これから襲撃って時に、恋人の肖像見つめるとか。」

兵士「恋人じゃないよ。それに肖像でもない。」

 

 その兵士がそう苦言を呈する中、その男はそう言いながら、ペンダントを渡す。

 その中には、四葉のクローバーの押し花が入っていた。

 

兵士「クローバーの押し花ですか?」

兵士「出発前に子供がくれたんだよ。お守りにって。母親の墓の傍に生えていたらしい。」

兵士「へぇ…………まあ、クローバーはともかく、このペンダントは値打ち物ですよね。売ったら良い金になるんじゃないですか?」

兵士「売るわけないだろ。妻の形見だ。」

 

 ペンダントを受け取った男がそう聞くと、男はそう答える。

 男は妻を亡くしていて、子供達がクローバーのお守りを渡したのだ。

 ペンダントを返して貰うと、別の兵士が話しかける。

 

兵士「けっ。そんなケチな装飾品を売らなくても、俺らはこれからたんまり稼ぐんだぞ。噂じゃテンペストだか言う国は偉い豊なんだろ?」

兵士「この遠征の功労者には、そこの統治権が与えられるって聞いたぞ。」

兵士「え!?俺らが!?」

兵士「バーカ。そりゃお偉方の話だ。まあ、俺達もそのおこぼれに与るけどな。」

兵士「それに聞いたか?先遣隊の話じゃ、魔物と言っても美女が多いらしいぞ。」

兵士「うわ、本当か!?って事は、現地で発散もあり!?」

兵士「お前にはゴブリンがお似合いだよ。」

兵士「んだとてめぇ!?」

 

 兵士達は、そんな下衆な話をしていた。

 ペンダントを持っていた男が顔を顰める中、一人の兵士が話しかける。

 

兵士「ちょっと……………いくら何でも、民間人に手を出すのは…………。」

兵士「『人』じゃねぇだろ。奴らは魔物だぞ。西方聖教会のお墨付きがある。魔物には何をしたって良いんだよ。」

 

 兵士が苦言を呈する中、他の兵士たちは、そんな風に言う。

 そのあまりにも欲望に染まった目には、苦言を呈した兵士は、顔を顰める。

 それを聞いていた兵士は。

 

兵士「あ、先輩!」

兵士「弓の調子が良くない。弦張り直してくる。」

 

 そう言って、その場から去る。

 苦言を呈した兵士は、弓の弦を張り直す兵士に話しかける。

 

兵士「どうなんですかね、あの人ら。ちょっと感性おかしくありません?」

兵士「襲撃を前に高揚しているんだろ。よくある事だ。」

兵士「よくある事って……………。」

兵士「お前はこれが初めての遠征だろ。染まる必要はないが、慣れた方が楽だぞ。」

兵士「そんなもんなんすかねぇ……………。」

 

 欲望を隠そうともしない兵士達にそう言う中、弦を張り直していた兵士はそう言う。

 その言葉に納得がいっていない兵士を他所に、その男は考えていた。

 神が居るのなら、どうしてあの欲深い者達が放置されているのか。

 出発前のエドマリス王や大司教の言葉にも、思うところがあった。

 男は、胸元にしまったペンダントを取り、思う。

 

兵士「(…………いいさ。国のためでも、神の為でもない。戦う理由は俺自身の中にある。奴らほど浮かれる事は出来ないが、俺も武勲は立てたい。自分の家族を守りたいのなら、自分で足掻くしかないんだ。魔物の国の住人には悪いが、俺は俺の大義を貫かせて貰う。)…………よし。」

 

 その男は、決意を新たにする。

 自分の家族を守る為に戦うのだと。

 そんな頃。

 

エース「死ね。自分達の罪をその身で知れ!」

リムル「死ね。神の怒りに焼き貫かれて。”神之怒(メギド)”!」

 

 その宣言と共に、リムルは手を振り下ろし、俺はブーストマークIIIレイズバックルを操作する。

 

BOOST GRAND STRIKE

 

 すると。

 

兵士「ギャアアアアア!?」

兵士「な、なんだ!?」

兵士「い、痛い…………!?ぐはっ!?」

 

 兵士達がそう叫びながら、倒れていく。

 俺の破壊者の力で、兵士達の急所や心臓などを破壊して、殺していく。

 これも、創始者のサポートがあっての事だ。

 リムルの神之怒(メギド)の仕組みは、上空の凸レンズ状の水玉と鏡面仕上げの水玉で太陽光を収束と反射を繰り返す事で、鉛筆ほどの細さに収束、超高温化させる。

 しかも、発動の際には、音は殆ど鳴らない。

 その為、意識外から飛んでくる不可避の即死攻撃となる。

 これも、魂を集める為の魔法だろう。

 そして、リムルのファルムスの兵士達に対する僅かな情けだろう。

 俺の場合は、苦痛を与えて、甚振ってから殺していく。

 己の罪を自覚させる為に。

 そう思う中、創始者の死者報告が聞こえていた。

 俺たちはただ無言でその光景を見ていた。

 その頃、弓を張っていた兵士は。

 

兵士「人……………子供に狐?」

 

 その兵士は、俺たちのことを目撃していた。

 すると、虐殺が始まる。

 

兵士「……………え?何だこれ…………!?」

 

 その兵士は、他の兵士たちが撃ち抜かれたり、急に体の一部が破壊されるのを見て、呆然としていた。

 すると、近くにいた兵士に話しかける。

 

兵士「おいお前、走れるか!?とにかく逃げ……………っ!?」

 

 男は近くにいた兵士に話しかけるが、その兵士はは既に絶命していた。

 リムルに撃ち抜かれたのだ。

 

兵士「くそっ!!(何なんだ、何なんだよこれ!?ちょっと待ってくれ!誰か説明してくれ。突然、何が起こって……………っ!?)」

 

 兵士は、突然の状況に戸惑いながらも、走り続けた。

 周囲は、兵士達が次々と死んでいく。

 すると、左腕が破壊されて、男は倒れる。

 胸元に入れていたペンダントが、男の先へと落ちる。

 

兵士「あっ……………!」

 

 兵士は、残った右腕でそのペンダントを取ろうとする。

 そこに、俺が降り立つ。

 俺はそのペンダントを拾い上げる。

 そのペンダントは、クローバーの押し花が入っていた。

 すると、その兵士が口を開く。

 

兵士「お…………お願い…………です。殺さないでください……っ。」

 

 その兵士がそう言うのを見て、気まぐれか、俺は聞く姿勢をとる。

 命乞いだとは思うが。

 すると、兵士の言葉に俺は反応する。

 

兵士「家族は殺さないでください。」

 

 確かに、命乞いだった。

 だが、己ではなく…………家族の。

 

兵士「お………私はこの侵攻がどんなものか知った上で参加しま…………したっ!罪は私にあります。子供達は何も知らないのです…………!」

 

 兵士は血を吐きながらも、そう嘆願する。

 それを聞いて、俺はある事実を悟った。

 ファルムス王国の兵士は、全員が街を襲った下衆野郎だけではなく、彼の様な、家族の為に出陣してきた人も居るのだろう。

 

エース「これ以上喋るな。」

 

 俺はそう言ってペンダントを閉じると、彼の元に向かい、右手に握らせる。

 そして、俺はこう言った。

 

エース「必要が無いし、やる理由もない。だから心配するな。」

 

 俺はそう言う。

 本当なら、こんなにも良い人を殺したくはない。

 だが、これは戦争。

 既にファルムス王国は、テンペストに奇襲攻撃を仕掛けた。

 俺たちは、ファルムス王国は既に敵として認めている。

 ある言葉がある。

 銃を撃って良いのは、撃たれる覚悟のある奴だけだと。

 まあ、意訳だが。

 せめて、苦しまない様に。

 俺は、破壊の力で心臓を破壊する。

 意識が遠のく中、兵士はこう思っていた。

 

兵士(そうかぁ……………あの子達に話してやりたかったな…………。神様は狐みたいな人だったよ………………ってさ。)

 

 兵士はそう思いながら、事切れた。

 俺は拳を握りしめる。

 俺は、その兵士の家族の幸せを奪ってしまった。

 お父さんがいなくなってしまったのだから。

 その罪は、俺が未来永劫背負っていく。

 そんな決意の元、エドマリス王の元へと向かう。

 一方、突然の大虐殺に、エドマリス王とレイヒム大司祭は、恐慌状態に陥っていた。

 

エドマリス「レ、レ、レイヒム……………!何だこれは……………!?どうする!?どうすれば良い!?」

レイヒム「落ち着きましょうぞ!落ち着きましょうぞ!」

 

 エドマリス王とレイヒム大司祭は、お互いに抱き合いながらそう言う。

 そんな中、ラーゼンとフォルゲンがやって来る。

 

ラーゼン「エドマリス王はご無事か!?」

フォルゲン「何をしている!王をお守りしろ!」

兵士「はっ、はい!」

 

 フォルゲンがそう指示すると、兵士は前に出る。

 だが、神之怒の光線にすぐに貫かれ、絶命する。

 それを見たフォルゲンは、呆然とするが、エドマリス王の言葉に我に返る。

 

エドマリス「フォ……………フォルゲン!はよ……………早くこの場から逃げようぞ!国に戻り、態勢を立て直すのじゃ!」

ラーゼン「左様ですぞ。何が起きているのか分からん。早く去らねば、我らも巻き添えになってしまいまする。」

 

 エドマリス王がそう言う中、ラーゼンはそう言う。

 エドマリスは一瞬、誰かと思ったが、ラーゼンだと察する。

 

エドマリス「省吾?いや、そちは…………。」

ラーゼン「ラーゼンでございます。王よ。」

エドマリス「おお!ラーゼン!よくぞ!よくぞ戻った!さあ早う、早う帰ろうぞ!お主の転移魔法で……………!」

 

 エドマリスは、ラーゼンが居る事で希望を見出したが、すぐに絶望する事になる。

 

ラーゼン「残念ながら、魔法不能領域(アンチマジックエリア)のせいで、魔法が使えませぬ。」

エドマリス「えっ!?な……………何と!?」

レイヒム「そっ、それでは……………!?」

 

 ラーゼンの言葉に、絶望しかけたエドマリスとレイヒムだったが、フォルゲンが話しかける。

 

フォルゲン「ご安心召され。王、レイヒム大司教よ。」

「「え?」」

フォルゲン「この私のユニークスキル、統率者(ヒキイルモノ)によって、生き残っておる者を強制的に集めます。その者どもを肉の盾として、お二人を守ってご覧に入れましょう。」

エドマリス「おっ、おお!流石、流石じゃフォルゲン!」

レイヒム「頼もしきはフォルゲン殿よ!」

フォルゲン「騎士どもを集めて参ります。皆様方は撤退の準備を。」

レイヒム「承知した!」

エドマリス「ふぅ……………。」

 

 フォルゲンはそう進言して、レイヒムとエドマリスはそう言う。

 だが、この時、フォルゲン達は気付いていない。

 魔法不能領域だけでなく、俺が出したバリアもある為、脱出は不可能であると。

 そんな事を露知らず、フォルゲンは移動を開始するが、光線に撃たれ、死亡する。

 それを見たエドマリスは、更なる絶望に叩き落とされる。

 

エドマリス「ひいいい!ひぃぃ……………!死ぬっ……………!皆、死んでしまう……………!!」

レイヒム「そっ、そんなバカな……………!一体、何が起きておるというのだ!?」

ラーゼン「あ………………!ん?」

 

 頃合いだな。

 そう思った俺たちは、エドマリス王達が居る所にまで降下する。

 

ラーゼン「あれは…………まさか…………!?魔物の国の主達……………なのか?」

リムル「その顔立ちは日本人だな。」

エース「街を襲撃した異世界人か?」

ラーゼン「ガワだけな。中身は違う。」

エース「あっそ。」

リムル「まあ、敵には違いないな。」

 

 リムルがそう言うと、光線をラーゼンに放ち、絶命する。

 それを見たエドマリス王は。

 

エドマリス「ひぃぃ〜〜〜!そんな、ラーゼンまでも!(魔物の国になど、手を出したのが間違いだった!どうする……………?どうすれば生き残れる?……………い、いや、これはチャンスかもしれんぞ。ブルムンド如き小国と交渉して、喜んでいる様な奴らじゃ。大国であるファルムスの王たる余が声をかければ、平伏して歓喜するに違いあるまいて……………!)」

 

 エドマリスはそう言いながら、そう思う。

 なぜか、自分に都合がいいように考えていた。

 すると、近くにいた兵士達が言う。

 

兵士「ひっ、ひぃぃぃ!たっ、たす、お助け……………!」

 

 そう言うが、俺は容赦なく尻尾を振るい、その二人の兵士を殺す。

 俺たちがそうした後、リムルが話しかける。

 

リムル「なあ、俺は心無者(ムジヒナルモノ)って獲得したんだけど。」

エース「俺は特にないな。」

 

 俺とリムルはそう話す。

 すると。

 

エドマリス「き……………貴様らが魔物の国の主達だな!余はエドマリス!ファルムス王国の王である!伏して控えよ!貴様らに話があるのだ!」

 

 エドマリスは、そう言ってきた。

 俺たちの事を下に見ているな。

 

リムル「ハァ……………影武者か何かか?」

エース「安心しろ。本物には手を出さないでおいてやる。」

 

 そう言って、俺たちは攻撃しようとする。

 すると、レイヒム大司教が叫ぶ。

 

レイヒム「影武者などではありませんぞ!西方聖教会大司教である私、レイヒムの名に於いて、証明致しましょう!!」

エース「あっそう。」

リムル「じゃあ、王以外は皆殺しにするけど、良いな?」

 

 俺たちは、レイヒムとやらの発言を聞いて、そう言うと、エドマリス王が叫び、レイヒムが命乞いをする。

 

「「ええっ!?」」

エドマリス「み……………皆殺しじゃと!?」

レイヒム「ひいっ!待って、待って下さい!私も、私だけでもお助け下さい!私ならば、聖教会内部でも、大きな発言力を持っております!あなた様方が決して人間の敵ではないと、証言も致しましょう!」

 

 命乞いか。

 だが、レイヒム大司教の言い分も合ってるな。

 どうしたもんかな。

 そんな中、リムルが光線を撃とうとする中、エドマリスが叫ぶ。

 

エドマリス「ま……………待て!話があると言ったであろうが!」

リムル「何だ?聞くだけ聞いてやる。」

エース「さっさと話せ。」

エドマリス「ぶ……………無礼な!余は大国であるファルムス王国の王なのだぞ!貴様らなど、本来であれば口も利けぬ存在なのだ!それを……………!ああ……………!」

 

 そんな事を言うので、俺たちはオーラを放出する。

 

リムル「良いか?相手を見て物を言えよ。」

エース「発言は許すが、言葉は慎重に選んだ方がいい。死にたくなければな。」

 

 俺たちがそう言って、オーラを抑えると、エドマリスは口を開く。

 

エドマリス「ごご……………誤解なのじゃよ!」

リムル「何が?」

エドマリス「よ…………余は、友誼を結びに来ただけなのじゃ!」

エース「ふざけるな。異世界人を使った工作部隊に襲撃した挙句、一方的に宣戦布告しておいて、今更何の戯言だ。」

リムル「ああ。俺たちの仲間に犠牲者が出た以上、お前らは敵だよ。」

 

 エドマリスがそんな風に言う中、俺とリムルはそう言う。

 すると、エドマリスは大きく叫ぶ。

 

エドマリス「西方聖教会が魔物を敵視しておったので、本当に友誼を結ぶのに値するのか、確かめようとしただけなんじゃよ!宣戦布告も、異世界人が勝手に暴走しただけじゃ!わ…………分かった!余の国と国交を結んでやろうぞ!良い話であろう?光栄であろうが!その方も鼻が高いであろう?まっ、まあ、今回の我が軍の損害については……………!」

 

 エドマリスは、ファルムス王国軍の損害は、俺たちに押し付けるようだな。

 どうやら、人をイラつかせる才能を持っているみたいだな。

 すると、リムルは光線を容赦なく発射し、エドマリスの左手を吹き飛ばす。

 切断面は、炎で止血している為、そう簡単には死なない筈だ。

 

エドマリス「うっ…………うわ、あがっ!ぎゃああああ!」

レイヒム「あっ、はああ……………!」

 

 エドマリスは叫びながら蹲り、レイヒムは恐怖する。

 すると、創始者が報告する。

 

創始者『告。現在、覚醒に必要な量の57.235%を獲得しました。』

エース『まだ足りないか…………何か方法はないか?』

創始者『解。ユニークスキル破壊者を使い、物質体(マテリアルボディ)精神体(スピリチュアルボディ)の繋がりを破壊する事を提案。』

エース『そうか。分かった。』

 

 創始者がそう報告すると、俺はそう聞く。

 創始者はそんな風に提案するので、了承する。

 俺とリムルは頷くと、空に浮き上がる。

 

創始者『問。破壊の力を用いますか?』

エース『ああ。』

 

 創始者の問いにそう答えると、兵士達から魂が出てきて、倒れていく。

 リムルも、俺と似たようなスキルを使って、残存する兵士達の魂を手に入れていた。

 

創始者『破壊の力とユニークスキル”心無者”にて、この場に生存する全ての人間の魂を刈り取りました。ただし、個体名エドマリスとレイヒムは、対象指定外となっております。』

 

 創始者はそう報告する。

 俺たちは、エドマリスとレイヒムの方へと戻る。

 エドマリスとレイヒムは、突然の出来事に怯えていた。

 

エドマリス「うう……………!」

レイヒム「うっ……………!」

エドマリス「なっ、なななな何が起こった!?」

レイヒム「うう……………!」

 

 俺たちがエドマリスとレイヒムを見る中、世界の言葉が聞こえてくる。

 

世界の言葉『告。進化条件、種の発芽に必要な養分、人間の魂を確認します。……………認識しました。規定条件が満たされました。これより、魔王への進化(ハーベストフェスティバル)が開始されます。』

 

 そんな声が聞こえて来ると同時に、俺たちに強烈な眠気が襲って来る。

 

リムル「やばい……………なんかめちゃくちゃ眠い。」

エース「何だこの眠気は……………!?」

 

 そう言いながら、俺たちは地面に着地する。

 気付いたら、ギーツ・ブーストフォームマークIIIの変身が解除されていた。

 すると、創始者が報告する。

 

創始者『告。魔力感知にて、生存者1名を確認。』

エース『何だと……………!?(この眠気をどうにかしねぇと……………!)」

 

 まさか、生きてる奴が居るとは…………!

 そういえば、ラーゼンとかいう奴の遺体が無い。

 そいつか……………。

 すると、世界の言葉が言う。

 

世界の言葉『告。魔王への進化(ハーベストフェスティバル)は、途中で停止不可能です。』

エース「嘘だろ……………!?」

 

 まじか。

 なら……………!

 

リムル「嵐牙!」

エース「裂牙!」

 

 俺とリムルがそう叫ぶと、影から嵐牙と裂牙が現れる。

 

嵐牙「はっ!我が主達よ!」

裂牙「只今参りました!」

リムル「最重要命令だ。俺達を守って、街まで連れ戻れ。」

「「はっ!」」

エース「その際、そこの二人を捕虜にする。」

 

 嵐牙と裂牙が現れると、俺とリムルはそう言う。

 俺がエドマリス達を指さすと、嵐牙と裂牙はエドマリス達を睨む。

 

「「ひいっ……………!」」

裂牙「承知。」

嵐牙「生き残っている敵の気配を感じますが、いかが致しますか?」

リムル「それは別の者に任せる…………。」

 

 エドマリス達が怯える中、嵐牙と裂牙がそう聞くと、俺とリムルは倒れる。

 人間の姿になるのも限界を迎え、リムルはスライムに、俺は狐の状態に戻る。

 一応、デザイアドライバーは俺の背中についていた。

 

嵐牙「リムル様!」

裂牙「エース様!」

 

 嵐牙はリムルを、裂牙は俺を頭の上に乗せる。

 俺たちは、最後の力を振り絞って、動く。

 

リムル「魔法不能領域、解除。」

エース「バリア、解除。」

 

 そう言うと、2種の結界が無くなる。

 そんな中、俺とリムルは悪魔召喚を発動する。

 

リムル「召喚魔法、悪魔召喚を発動。供物は此処に転がっている死体、半数だ。」

エース「俺も悪魔召喚を発動。供物はリムルと同じ兵士達が死体半数と更に、この辺り一帯を漂う俺の魔素だ。」

 

 俺とリムルはそう言う。

 実際、破壊の力を使う際、多少の魔素が漏れていた様で、周囲を漂っていた。

 俺の魔素は、魔法陣へと吸収されていく。

 

リムル「餌を用意してやったぞ!俺達の役に立ちやがれ!」

エース「召喚…………!!」

 

 俺たちがそう言うと、召喚魔法が発動される。

 すると、外部から介入される気配を感じた。

 リムルの方には、あの野外訓練で現れた(ノワール)が居た。

 今回は、配下を二人連れていた。

 俺の方には、コリウス王国で現れた(ヴィオレ)がいた。

 (ヴィオレ)の方も、配下を2体連れていた。

 嵐牙と裂牙が、エドマリスとレイヒムを咥える。

 

レイヒム「あ…………悪魔!?」

エドマリス「ひぃぃぃ…………!」

リムル「おい、お前ら。死んだふりをして隠れている奴が一人いる。」

エース「そいつを生かして捕らえろ。戦意喪失まで追い込めるまで甚振っても構わん。」

悪魔「クフフフフフ………………!懐かしき気配。新たな二人の魔王の誕生……………実に素晴らしい。大量の供物に初仕事……………光栄の極みで、少々張り切ってしまいそうです。この日を、心待ちにしておりました……………!」

 

 エドマリスとレイヒムが怯える中、俺とリムルはそう言う。

 すると、(ノワール)はそう言うと、翼を収納して、(ヴィオレ)はフードを脱ぐ。

 

悪魔「ふふふっ…………まさか、こんな大事な時に呼んでもらえるなんて思わなかったな。やっぱり、僕の主人に相応しいや。」

悪魔「今後とも、お仕えしても宜しいでしょうか?」

悪魔「僕もいいかな?」

 

 二人はそんな風に聞いてくる。

 もう限界なんだけど……………!!

 

エース「その話に関しては、後で頼む。」

リムル「まずは役に立つと証明してみせろ。行け。」

悪魔「容易い事でございます。ご安心下さい、召喚主(マスター)。」

悪魔「僕たちに任せてよ。」

 

 俺とリムルがそう言うと、二人はそう言う。

 そして、俺たちは限界を迎え、眠りにつく。

 俺たちが眠りについたのを見ると、(ノワール)(ヴィオレ)は口を開く。

 

悪魔「大切にお運びしてください。この上なく尊いお方ですので。」

悪魔「お願いね。」

嵐牙「承知している。」

裂牙「我らに任せろ。」

 

 (ノワール)(ヴィオレ)がそう言うと、嵐牙と裂牙はそう答え、テンペストへと戻っていく。

 嵐牙と裂牙が去っていくのを見ると、(ノワール)(ヴィオレ)は口を開く。

 

悪魔「まさか貴女がこの場に現れるとは思いませんでしたよ。(ヴィオレ)。」

悪魔「それはこっちのセリフだよ。(ノワール)。」

 

 二人はそんな風に話す。

 どうやら、あまり仲がよろしい訳ではない様だ。

 

悪魔「ですが、今は召喚主(マスター)の命令を遂行するのが優先ですよ。」

悪魔「言われなくても分かっているよそんなこと。召喚主(マスター)の為にさっさと捕まえるよ。」

 

 二人はそんな風に話す。

 すると、(ノワール)はある事に気づく。

 

悪魔「ええ。……おや?(ヴィオレ)貴女、召喚主(マスター)の魔素だけ頂いたのですか?あの供物を配下達に譲るとは……………意外ですね。」

悪魔「あのねぇ…………。僕達の勝負(ゲーム)の事、知ってるくせにそんなこといちいち言わないでよね。」

悪魔「フフフッ。そうでしたね。だからこそ、貴女は召喚主(マスター)に役に立つと証明したいのでしょう。」

 

 (ノワール)がそう言うと、(ヴィオレ)は呆れた様にそう言う。

 (ノワール)の言葉に、(ヴィオレ)は口を開く。

 

悪魔「そうだよ。召喚主(マスター)なら僕にピッタリの依代を用意してくれるはずだからね。」

悪魔「クフフフフフ……………!確かに、あの方ならそれも可能でしょうね。では……そろそろ始めましょうか。初仕事…………完璧にこなしてお褒め頂かなくては。」

 

 二人はそう話すと、動き出す。

 一方、テンペストでは、俺たちの勝利を信じて、待っていた。

 すると、世界の言葉が響き渡る。

 

世界の言葉『告。個体名リムル=テンペストとエース=テンペストの魔王への進化、ハーベストフェスティバルが開始されます。』

紅丸「これは……………!」

朱菜「世界の言葉です。」

真眼「という事は……………!」

世界の言葉『完了と同時に、系譜の魔物への祝福(ギフト)が配られます。』

朱菜「リムル様……………!」

真眼「エース様……………!」

 

 それを聞いて、皆が嬉しそうにする。

 そんな中、紅丸の叫びが響く。

 

紅丸「気を引き締めろ!我らが主達の勝利だ!次は我らがその力を振るう番だぞ!」

 

 紅丸の叫びが響く中、嵐牙と裂牙達がやってくる。

 嵐牙達は、エドマリスとレイヒムを放り捨てると、紅丸達の前に来る。

 

紅丸「リムル様!エース様!」

嵐牙「早く主達を!」

紅丸「マントをお持ちしろ。熱変動耐性が機能していないかもしれない。」

部下「はっ!」

 

 紅丸がそう指示する中、朱菜はリムルと俺を撫でる。

 

朱菜「ご無事で…………。」

 

 朱菜がそう言うと、噴水がある所に、俺とリムルを置く。

 一方、エドマリスとレイヒムは、シズさん達とヨウム達に拘束され、連行されていく。

 俺とリムルが置かれる中、紅丸は。

 

紅丸(リムル様、エース様。魔王になったからって、人が変わった様に暴れ出したりしないで下さいよ。)

 

 紅丸はそう思う。

 そう思う中、俺とリムルは光りだし、世界の言葉は言う。

 

世界の言葉『告。ハーベストフェスティバルが開始されました。身体組成が再構成され、新たな種族へ進化します。』

 

 その声が聞こえる中、周囲の全員が祈る。

 そんな中、世界の言葉は言葉を紡いでいく。

 

世界の言葉『確認しました。種族、白狐から九尾白狐(ナインテイル)への超進化…………成功しました。全ての身体能力が大幅に上昇しました。物質体(マテリアルボディ)精神体(スピリチュアルボディ)の変化が自在に可能となります。続けて、旧個体にて既得の各種スキル及び、耐性を再取得。成功しました。新規固有スキル、無限再生、万能感知、魔王覇気、強化分身、万能糸を獲得。成功しました。新規耐性、自然影響無効、状態異常無効、精神攻撃耐性、聖魔攻撃耐性を獲得。成功しました。以上で進化を完了します。』

 

 世界の言葉は、進化の完了を報告した。

 すると、創始者が世界の言葉に請願する。

 

創始者『告。ユニークスキル、創始者より、世界の言葉へ請願。創始者の進化を申請。』

世界の言葉『了。ユニークスキル、創始者の申請を受理。ユニークスキル、創始者が進化へ挑戦。失敗しました。再度実行します。失敗しました。再度実行します。失敗しました。再度実行します。』

 

 創始者は、進化に挑戦するが、何度も失敗する。

 そのやり取りがしばらく続くと、流れが変わる。

 

世界の言葉『告。ユニークスキル創始者が、個体名エース=テンペストの魔素と願いを統合(イケニエ)に、魔王への進化(ハーベストフェスティバル)祝福(ギフト)を得て、進化に挑戦。成功しました。ユニークスキル創始者は、究極能力(アルティメットスキル)創世之神(ギーツ)に進化しました。』

創世之神『創世者の進化を希求。破壊者を統合(イケニエ)に、|に実行。』

世界の言葉『成功しました。ユニークスキル、創世者は、究極能力(アルティメットスキル)断罪之神(ドゥームズギーツ)に進化しました。』

 

 そんな風に、進化は続いていく。

 一方、ファルムスの本陣では、ラーゼンが潜んでいた。

 

ラーゼン「はぁ…………。(生存者(イキルモノ)のおかげで命拾いしたわい。まさか、一瞬で脳を貫かれるとは……………。)」

 

 ラーゼンはそんな風に思っていた。

 すると、ノワール達がラーゼンの元に着く。

 

悪魔「クフフフフフ…………。あなたを拘束させていただきます。抵抗したければお好きにどうぞ。」

悪魔「でもね、殺しちゃダメって言われてるけど、痛めつけちゃダメって言われてないんだよね。」

ラーゼン「ほう。主らがわしの相手をしてくれるのかのう?」

 

 (ノワール)(ヴィオレ)がそう言うと、ラーゼンはそう聞く。

 それを聞いた(ノワール)(ヴィオレ)は。

 

悪魔「相手?」

悪魔「へぇ〜。僕達を相手に面白い冗談を言うねぇ。下がって良いよ。」

ラーゼン「何が冗談なものかよ。たかが上位悪魔(グレーターデーモン)如きが。」

悪魔「クフフフフフ。良いですね。これは楽しめそうです。食事後の運動に、少し付き合った差し上げましょう。」

悪魔「僕もちょっと遊んであげようかな。」

 

 それを聞いた二人は、自分たちの配下を下がらせる。

 ラーゼンがそう言う中、二人はそう言う。

 

ラーゼンは、魔法を発動させる。

 

ラーゼン「へっ。舐めるでないわ。核撃魔法、熱収束砲(ニュークリアカノン)!」

 

 ラーゼンの魔法が、二人に向かっていく。

 だが、二人は慌てておらず、(ノワール)息を吹きかけ、(ヴィオレ)は弾く動作をする。

 

悪魔「フッ。」

悪魔「えい。」

 

 すると、ラーゼンの魔法は捻じ曲げられ、上に向かっていく。

 余談だが、この魔法の捻じ曲げられた先には、腕が翼の魔人が居て、魔法を喰らい、消し飛んだ。

 

ラーゼン(曲げられた!?いや、事前に詠唱を済ませる鍵言(トリガー)式の術は、ごく低確率で誤作動が起きる。)

 

 ラーゼンは、起こった現象をそう分析する。

 すると、(ノワール)が拍手をする。

 

ラーゼン「くっ。」

悪魔「今の魔法はなかなかお見事でしたね。」

悪魔「人間にしてはやるじゃん。」

ラーゼン「くっ!ハズレを引いたか!ならば、これはどうじゃ!精霊召喚!土の騎士(ウォーノーム)、来たれ!根源たる大地の上位精霊よ!」

 

 ラーゼンは今度は、精霊召喚を発動する。

 すると、地面から2体の騎士が出てきて、咆哮する。

 それを見ていた(ノワール)(ヴィオレ)は。

 

悪魔「なるほど、なるほど。確かに、悪魔は天使に強く、天使は精霊に強く、精霊は悪魔に強い。この三すくみの関係から選択するならば、上位精霊を呼び出したのは正解です。ですが……………。」

ラーゼン「なんじゃ。」

悪魔「若すぎるんだよねぇ。」

ラーゼン「は?」

 

 二人の言葉に、ラーゼンが首を傾げる中、悪魔は土の騎士の攻撃を舞う様に躱し、精霊の核に攻撃する。

 すると、あっさりと崩れ去った。

 

悪魔「ほらね。蓄積が足りない。」

悪魔「力だけの木偶の坊じゃ、僕たちには勝てないよ。」

 

 そう言って、(ノワール)は手に持った核を齧って折り、(ヴィオレ)は懐にしまう。

 それを見たラーゼンは、驚愕した。

 

ラーゼン「ば……………バカな!?精霊じゃぞ?上位精霊じゃぞ〜!」

 

 ラーゼンはそう叫ぶと、あることに気づく。

 それは、上位悪魔ではないという事だ。

 

ラーゼン「はっ!?まっ、まさか!?貴様らは上位魔将(アークデーモン)……………!?」

悪魔「やっと気付いたんだ。」

悪魔「魔法はもう結構。マスターより頂いたこの体をもっと試したいので、次は趣向を変えましょう。」

 

 ラーゼンがそう叫ぶと、(ヴィオレ)はそう言う。

 (ノワール)がそう言うと、指を鳴らす。

 すると、魔法不能領域(アンチマジックエリア)が展開される。

 

ラーゼン「魔法不能領域じゃと!?なぜ魔法を封じた?悪魔にとって、魔法が最大の攻撃武器のはずでは……………!?」

悪魔「どうぞ。物理的にお好きな攻撃をしてみて下さい。」

悪魔「まぁ、魔法使いの君に攻撃手段があればね。」

 

 (ノワール)の行動に困惑しながら、ラーゼンがそう聞くと、(ノワール)はそう言い、(ヴィオレ)は挑発をする。

 

ラーゼン「貴様らが上位魔将(アークデーモン)であろうと構わぬ!魔法を使わぬ悪魔など、わしの敵ではない!ユニークスキル、乱暴者(アバレモノ)!」

 

 ラーゼンは乱暴者の力で、二人に攻撃するが、二人には躱される。

 

ラーゼン「うおおおおっ!」

 

 ラーゼンはキックを入れるが、(ノワール)は左腕だけで受け止める。

 それを見て、ラーゼンは距離を取る。

 すると。

 

悪魔「へぇ〜…………中々良い身体強化だね。人間の魔法使いでこれだけ格闘戦ができるなんて思わなかったよ。」

ラーゼン「なっ!?くっ!!」

 

 その横には(ヴィオレ)がいて、ラーゼンは攻撃するが、あっさり受け止められる。

 

ラーゼン「何っ!?」

悪魔「僕たちには通用しないよ。」

 

 ラーゼンが驚く中、(ヴィオレ)はラーゼンの手を握り潰す。

 

ラーゼン「がぁぁぁぁぁ!?」

 

 ラーゼンはすぐに(ヴィオレ)から距離を取る。

 握り潰された手は、生存者(イキルモノ)によって回復する。

 

悪魔「へぇ……………回復出来るんだ。じゃあ、もっと壊しても良いよね?」

 

 それを見た(ヴィオレ)は、冷酷な笑みを浮かべながらそう言う。

 二人の容姿を見て、ラーゼンは悪寒がした。

 

ラーゼン「ぐっ………!その金色の瞳…………赤い瞳孔……………!」

 

 ラーゼンは悪寒がしつつも、ジャンプして、キックを放つ。

 

ラーゼン「ぜやああああ!」

 

 だが、そのキックもあっさり躱され、その(ヴィオレ)に蹴り飛ばされ、その先にいた(ノワール)にも殴られる。

 ラーゼンは、体勢を立て直す。

 そして、ラーゼンはその悪寒が正しかったことを悟る。

 

ラーゼン「こ……………この圧倒的な強さ………!まっ、まさか!?そんな………!?貴様ら、もしかして、げっ、原初の…………!?」

悪魔「おっ。意外と博識だね、(ノワール)。」

悪魔「そうですね、(ヴィオレ)。あなたは相当に賢い様だ。」

 

 ラーゼンがそう言うと、二人はお互いに名前を呼びながら話す。

 ラーゼンはそれを聞いて、理解したと同時に、恐怖する。

 

ラーゼン「あっ、あやつらはなんという…………なんという恐ろしい奴らをこの世に解き放ちよったんじゃあああああ!!」

 

 ラーゼンはそんな風に絶叫する。

 原初の悪魔……………それも二柱に喧嘩を売ってしまった。

 その事実は、ラーゼンの戦意を奪うには、十分過ぎた。

 二人が近寄る中、ラーゼンは腰を抜かす。

 

ラーゼン「あっ!あっ、ああ……………!うっ!うう……………!」

悪魔「おや?もう終わりですか?」

ラーゼン「うう………………!あああ…………。」

 

 (ノワール)がラーゼンを見ると、ラーゼンは恐怖に負けて、白眼を剥いて気絶する。

 

悪魔「まあ、ちょっとは楽しめたかな。」

悪魔「ふむ。では、無事に初仕事を終えた事を、召喚者(マスター)…………我が君に褒めて頂くとしましょう。」

 

 (ヴィオレ)(ノワール)はそう言うと、ラーゼンと配下を連れて、テンペストへと向かう。

 一方、テンペストでは、進化は佳境に入っていた。

 すると、俺の狐の姿は、これまでは尻尾は三本だったのに対して、今では九本になった。

 しばらくすると、光が収まった。

 

世界の言葉『告。個体名リムル=テンペストとエース=テンペストのハーベストフェスティバルが完了しました。』

朱菜「リムル様……………!」

真眼「エース様……………!」

紅丸「魔王に……………。」

世界の言葉『続いて、系譜の魔物への祝福(ギフト)の授与を開始します。』

紅丸「ギフト?」

 

 紅丸がそう呟くと、眠気が襲ってくる。

 すると、周辺の魔物達が、一斉に倒れる。

 

ミュウラン「あっ……………!」

グルーシス「何だ?」

 

 ただ、ミュウランとグルーシスは何ともなかった。

 

紅丸「うっ……………これは?」

朱菜「ギフト……………エース様とリムル様の繋がりを……………。」

真眼「強く……………感じる……………。」

嵐牙「我が主達……………。」

 

 周囲の者達はどんどんと倒れる。

 ただ、紅丸とジーンだけは強く意識を保とうとしていた。

 一方、影響は意外な所にも及んでいた。

 エドマリスとレイヒムを牢屋に入れていたシズさん達の方では。

 

エレン「ここで良いんだよね?」

シズ「ええ。………………うっ!?」

ヨウム「シズさん!?」

 

 エレンがそう言うと、シズさんが突然倒れる。

 

エレン「シズさん!?」

カバル「何が起こってるんだ……………!?」

ヨウム「えぇぇ……………!?」

 

 それには、ヨウム達も困惑する。

 進化の影響により、シズさんも昏倒したのだ。

 一方、紅丸とジーンは。

 

ジーン「大丈夫か、紅丸……………!?」

紅丸「ああ、なんとかな……………。」

 

 ジーンと紅丸は、必死に意識を保っていた。

 主達を守るために。

 すると、俺とリムルが光を放ちながら浮き上がる。

 そして、人間の姿になる。

 俺の姿は、赤いメッシュが消えて、完全に白髪となっていた。

 すると、ブーストマークIIIレイズバックルを分離する。

 

MARK Ⅸ

 

 その音声が鳴ると、待機音が流れる。

 すると、レイズバックルが装填されていない方に装填する。

 

SET IGNITION

 

 その音声が鳴ると、再び別の待機音が流れる。

 その待機音は、まるでファンファーレの様に聞こえた。

 そこから、デザイアドライバーのリボルブアンロックを押して、ドライバーのロックを外して、半回転させる。

 

REVOLVE ON

 

 その音声が鳴ると、レイズバックルが展開して、九尾の狐の形状になる。

 上半身側に来たバックルを操作する。

 

DYNAMITE BOOST

GEATS IX

 

 その音声が鳴ると、俺の右側にBOOST MARKIXの文字が、左側に機械の九尾…………レジェンドキュウビが現れ、その二つがアーマーになると、上半身と下半身で逆になり、俺に合わさる。

 その姿は、純白のギーツと言える姿であり、背中には九尾の尻尾の様なマントが垂れ下がっていた。

 これこそが、仮面ライダーギーツの最強フォーム、仮面ライダーギーツIXだ。

 

智慧之王「告。あとは任せて、眠りにつきなさい。」

創世之神「安心しろ。」

 

 すると、リムルの大賢者が進化した究極能力、智慧之王(ラファエル)創世之神(ギーツ)がそう言うと、紅丸とジーンはそのまま意識を失う。

 智慧之王と創世之神は、倒れる遺体の方へと向かっていく。

 

ミュウラン「魔王……………。」

グルーシス「やったのか?」

 

 ミュウランとグルーシスがそう話す中、真ん中に立つ。

 

智慧之王「告。智慧之王の名において命ずる。暴食之王(ベルゼビュート)よ。この結界内の全ての魔素を食らい尽くせ。一欠片の魂さえも残さずに。」

創世之神「告。創世之神の名において命ずる。智慧之王の補佐をすべく、テンペストの住人達の祈りと願いを集めよ。」

 

 二人がそう言うと、結界内に満ちていた魔素や願いが吸収されていく。

 すると、結界も崩れ、吸収されていく。

 吸収が終わると、遺体の一つ一つに丸いエネルギーが滞空する。

 

ミュウラン「魔素が全部……………吸われた?あれは…………精霊?」

 

 ミュウランがそう呟く中、智慧之王と創世之神は、紫苑のすぐ横に立ち、作業を始めようとする。

 すると、そこにラーゼンと配下達を連れた(ノワール)(ヴィオレ)が現れる。

 それを見たミュウランとグルーシスは構える。

 

ミュウラン「あっ!?」

グルーシス「上位魔将(アークデーモン)だと!?」

 

 ミュウランとグルーシスが構える中、(ノワール)の配下はラーゼンを放って、(ノワール)(ヴィオレ)が智慧之王と創世之神に跪く。

 それを見た二人は、臨戦態勢を解く。

 

悪魔「只今戻りました。我が君。」

悪魔「任務完了したよ。」

悪魔「本来なら、儀式が終わるまで待つつもりだったけど…………。」

悪魔「失礼ながら申し上げます。魂の完全なる再生には、魔素量が足らぬようですが。」

 

 (ノワール)(ヴィオレ)は、智慧之王と創世之神にそう進言する。

 それを聞いた二人は。

 

智慧之王「是。規定に必要な魔素量を満たしておりません。」

創世之神「生命力を消費し、代用する。」

 

 二人はそう言う。

 それを聞いた(ノワール)(ヴィオレ)は叫ぶ。

 

悪魔「待って!召喚主(マスター)!?」

悪魔「代用にご自身達の生命を用いずとも、良き考えがあります。この者どもをお使い下さいませ。この者達も、あなた様方のお役に立てるなら、光栄です。それこそが、我らにとっての喜びなのですから。」

 

 (ヴィオレ)はそう叫ぶ中、(ノワール)は自身の配下を見ながらそう言う。

 配下達は、何も言わずに頷く。

 それを見た智慧之王は。

 

智慧之王「了。規定に必要な魔素量を補填可能。その案を承認します。暴食之王。」

 

 智慧之王は、暴食之王を発動して、その2体の悪魔を取り込む。

 それを見ていた(ノワール)は。

 

悪魔「おお、羨ましい…………。」

悪魔「本当、相変わらずだよね。」

 

 そう言うと、(ヴィオレ)は呆れ、智慧之王と創世之神が、(ノワール)を見る。

 

悪魔「んっ……………失礼しました。」

 

 悪魔はそう言って、ミュウランとグルーシスの横にまで下がる。

 

智慧之王「規定の魔素量に達した事を確認しました。」

創世之神「これより、反魂の秘術及び、願いを叶えます。」

 

 二人はそう言うと、作業を始める。

 智慧之王が両手を翳して、創世之神は両手を広げる。

 すると、テンペストの周囲に、ギーツIXの背中のギーツテールナインの様な光の柱が出現する。

 それと同時に、荘厳な鐘の音が鳴り響く。

 それを見ていたミュウランとグルーシスは声を出す。

 

ミュウラン「究極の……………魂の秘術!」

グルーシス「これが、生まれたての魔王だって?くっ……………!(こんなの、カリオン様でも不可能なんじゃ………………!?)」

悪魔「素晴らしい……………!(クフフフ…………!是が非でも、配下として加えて頂かねば。)」

悪魔「さすがは、僕の召喚主(マスター)だね。(これなら、僕の依代を用意できそうだね。)」

 

 ミュウランとグルーシス、(ノワール)(ヴィオレ)はそう言ったり、そう思ったりする。

 犠牲者達の傷は癒え、魂が修復されていく。

 反魂の秘術、死者蘇生の秘術。

 それらを行使するには、莫大な魔素量が必要となり、それを制御する魔力は、想像を絶する物となる。

 成功確率は3.14%。

 しかし、その数値は、俺とリムルが魔王へと進化する前に算出された物だ。

 作業を終えると、智慧之王と創世之神は倒れ、元のスライムと狐としての姿に戻る。

 (ノワール)はリムルを、(ヴィオレ)は俺を抱えて元の場所に戻す。

 そして、紫苑の手が動き、目を開ける。

 その一連の流れを見ていた、ある赤髪の男は口を開く。

 

???「これは……………ヴェルダナーヴァと同じ力だと……………!?」

 

 その男は、驚愕を隠せずにいた。

 その言葉の意味とは……………。




今回はここまでです。
今回は、魔王に覚醒するまでです。
転キメでは入れていなかった、『今際の際にシロツメクサ』の話も入れました。
その話は、本当に大事な話ですからね。
エースなりの覚悟を描きました。
そして、後のディアブロだけでなく、後のウルティマも召喚!
二人の原初の悪魔と相対して、ラーゼンは戦意喪失。
魔王への進化が完了したと同時に、ギーツIXへと変身。
ちなみに、反魂の秘術の際、エースは創世の力で成功率を100%にまでブーストしました。
そして、それを見ていた男は…………誰でしょうね。
次回は、アニメ版と漫画版のリミックスみたいな感じで、ユーラザニアの報告を聞く感じにする予定です。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
今後の展開でリクエストがあれば、活動報告から承っております。
ドゥームズギーツを獲得しましたが、変身するのは帝国戦です。
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