転生したら白狐だった件   作:仮面大佐

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第50話 魔人達の策謀と訪れる者達

 神聖法皇国ルベリオスの霊峰にある大聖堂では、男がラプラスを睥睨していた。

 ただ、人間ではなく、吸血鬼族(ヴァンパイア)だった。

 それも、祭服に身を包んでいた。

 

???「唯一神ルミナス様の御前を汚す事は、断じて許さん!」

ラプラス「やばっ……………!」

???「消し飛べぃ!」

 

 その男が右手に赤いオーラを纏わせるのを見て、ラプラスは逃げる事に。

 だが、逃げる事は叶わずに、その男の攻撃を喰らい、色んな場所が切断される。

 

ラプラス「こら…………あかん。」

 

 ラプラスはそう呟く。

 西方聖教会。

 その発端は、ルミナス信仰の国内布教を目的として、神聖法皇国ルベリオスの下に作られた組織だ。

 現在、聖騎士団団長の坂口日向(ヒナタ・サカグチ)の統率の元、もはやルベリオスの下部組織とは言えないほどの影響力を得たが、ただ1人、神ルミナスの代弁者であるルベリオスの法皇の言葉には、耳を貸すという。

 イングラシアの自由学園。

 そこの給湯室では、1人の女性がお茶を出す準備をしていた。

 すると、窓から切り刻まれた筈のラプラスが入ってくる。

 

ラプラス「いや〜………………マジで死んだかと思ったわ……………。」

 

 ラプラスはそう呟きながら、中に入る。

 すると、女性と目が合い、口を開く。

 

ラプラス「ん?……………誰や、あんた?(なんやエライ別嬪さんやけど、なーんか懐かしいような………………。)」

 

 ラプラスは、その女性に声をかけながらそう思う。

 すると、女性がため息を吐きながら言う。

 

???「……………バカが。」

ラプラス(え?今、バカ言われた?)

???「こちらへどうぞ。主がお待ちです。」

 

 女性の言葉にラプラスが戸惑う中、女性はそう言って、ラプラスを案内する。

 案内される中、ラプラスは女性に聞く。

 

ラプラス「なぁ、あんた。主が待ってる言うてたけど、ワイが誰だか知っとんのか?」

???「……………中庸道化連のラプラス殿でしょう?主より伺っていますので。」

ラプラス「………………そか。」

 

 ラプラスの質問に、女性はそう答え、ラプラスは納得する。

 すると、部屋の主が口を開く。

 

???「やあ、ラプラス。大変だったみたいだね。それで、西方聖教会の正体は、何か掴めたのかい?」

ラプラス「いやあ、それがなんと……………警備が厳重すぎて無理やったわ!」

 

 部屋の主の質問に、ラプラスはそう言う。

 それを聞いた部屋の主は、漫画(・・)を読みながら、ラプラスに聞く。

 

???「ふ〜ん……………それで?ヒントくらいは掴んだんだろ?」

ラプラス「なんや……………苦労して手に入れた情報やから、高く売りつけたろ思たのに。」

???「あはは。君は嘘つきだからね。」

ラプラス「酷いお人やなぁ。ホンマ同情してしまうで。知らずにあんさんの計画に巻き込まれとるあのスライムと狐には。さすが……………自由組合総帥(グランドマスター)の顔とひん曲がった野望を同居させてる変人……………神楽坂優樹(ユウキ・カグラザカ)殿や。」

 

 そう。

 部屋の主は、エースたちが出会った日本人の1人、神楽坂優樹だった。

 中庸道化連と繋がっていたのだ。

 そんな中、ラプラスに変人呼ばわりされたユウキは、口を開く。

 

ユウキ「お褒めに与り光栄だけど、依頼料の引き上げは無しだぜ?」

ラプラス「……………本当、敵わんわ。」

ユウキ「まあ、そう言うなって。約束の報酬はもう、準備できてるからさ。」

ラプラス「え!?ほな…………っ!?」

ユウキ「ああ。僕の中にいた君たちの会長の魂は、無事、人造人間(ホムンクルス)に定着したよ。」

 

 ユウキはそう言って、ラプラスは頭を掻くが、次の言葉にラプラスは歓喜する。

 ラプラスは、ユウキに話しかける。

 

ラプラス「(会長が…………遂に…………!)どこや!?早く会わせてーな!!」

ユウキ「落ち着けよ。さっきから、そこに居るって。」

ラプラス「は?えっ?」

 

 ラプラスがそう言うと、ユウキはラプラスの後ろを指差す。

 そこに居たのは、先ほどの女性だった。

 

ラプラス「まさか……………この別嬪さんが?」

 

 そう。

 その女性こそが、ガザリームなのだ。

 しばらくすると、ラプラスの笑い声が響く。

 

ラプラス「ぶわははははっ!!なんですのん、その格好?趣味を変えはったんですか!?似合ってる言うたらおかしいけど……………前とイメージが全然違いますやん!?」

カガリ「うるさいぞ、ラプラス。それが二百年ぶりに対面したこの俺…………魔王カザリームに対する態度か。十年もかけて、ようやく肉体を手に入れたんだ。多少の不便は我慢するさ。」

ラプラス「いやいや………道理で、懐かしい感じがすると思ったんや。」

 

 ラプラスが爆笑する中、カザリーム改め、カガリはそう言う。

 ラプラスがそう言う中、足を揃えて言う。

 

ラプラス「お帰りなさい、カザリーム会長。中庸道化連一同、待っとったでぇ。ワイもフットマンもティアも……………クレイマンもな。」

 

 ラプラスは、爆笑していた態度から改め、そう言う。

 そんな中、ユウキが水を差すように言う。

 

ユウキ「感動の再会に水を差す様で悪いんだけどさ、魔王カザリームの完全復活とは、まだ行かないんだよね。」

カガリ「まぁな。正直な所、全盛期の力には遠く及ばない。レオン・クロムウェル…………忌々しい野郎だ。」

 

 ユウキがそう言うと、カガリは悔しそうに手を握りしめる。

 それを見たラプラスは、声をかける。

 

ラプラス「まぁまぁ、やられちゃったんは、二百年前の話やん?今は呪術王(カースロード)カザリームの大復活を喜ぼうやないの。」

カガリ「その程度の年月で薄れる屈辱ではないがな。……………だが、ボスに出会えたのは、紛れもない幸運だった。」

 

 ラプラスがそう言うと、カガリはそう言う。

 三人は椅子に座って、シュークリームを食べ、お茶を飲みながら話をする。

 

カガリ「……………10年前、俺の魂は本当に消滅寸前だったからな。肉体を失って消耗していたんだ。ボスに憑依出来なければ、確実に死んでいたわ。」

ラプラス「ボス……………。」

ユウキ「新しい体の性能に文句を言うのは勘弁してくれよ。結構高くついたんだぜ?」

カガリ「分かってるよ。魔導王朝サリオンの特注品だろ?脆弱だし、俺の趣味に合う外見ではないが、自分で動かせる物質体(マテリアル・ボディ)があるのと無いのと大違いだ。」

 

 カガリはそう言う中、ユウキはそう言って、カガリはそう返す。

 すると、ラプラスが震えだす。

 

ラプラス「…………フフッ。フフフッ…………!ブッ……………!ブフッ!ブハハハハっ!!」

カガリ「おい、いつまで笑ってんだ!ラプラスお前!」

ラプラス「いやいや!口調との違和感がきつすぎて、笑えますよってに!」

カガリ「……………分かったわよ。力が戻りきらない今は、秘書のフリも続けないといけないのだし、当分はそれらしく喋るとするわ。」

ラプラス「ブハハハハッ!!」

カガリ「ツボってんじゃねぇ。」

 

 ラプラスが笑い出した事に、カガリは青筋を浮かべながらそう言って、ラプラスは引き続き笑い続ける。

 それを見ていたユウキは。

 

ユウキ「……………ところで、そろそろ本題に入らせてもらって良いかな?西方聖教会。なんか掴めたんだろ?」

ラプラス「……………せやな。会長がボスと言うのなら、あんさんはワイにとってもボスや。駆け引きは無しで語らしてもらいまっさ。」

 

 ユウキの質問に、ラプラスはそう言いながら答える。

 

ラプラス「西方聖教会本部には、怪しい物は何もなかった。そりゃ、参拝者なんかも来るんや。分かりやすくヤバいもんが置いとるわきゃない。そんでわいは、霊峰の頂上を目指す事にしたんや。法皇しか入れん奥の院なら、何かおるかも思てな。そしたら…………なんや偉そうな吸血鬼のおっさんが、赤い光線ぶっ放してきて、わい、バラバラにされてしもてん。あれはやばいで。マジで死んだかと思った。」

ユウキ「いやいや、何で君、生きてるの?」

カガリ「こいつは殺しても死なないだろうからね。」

 

 ラプラスの言葉に、ユウキは呆れとも驚きとも言える表情を浮かべながら言うと、カガリがそう言う。

 そんな中、ラプラスが言葉を続ける。

 

ラプラス「問題はその正体や。神聖なはずのあの場所に、なんで吸血鬼族(ヴァンパイア)がおったのか。しかも奴は、教会の祭服みたいなんを着とった。つまり、教会に属しとるっちゅー事や。」

ユウキ「ルミナス教のお偉いさんが魔人…………それも、上位種族の吸血鬼族(ヴァンパイア)か。」

 

 ラプラスとユウキは、そう話す。

 すると、心当たりがあるのか、カガリが口を開く。

 

カガリ「……………魔人、どころでは無いかもな。」

ユウキ「心当たりがあるのかい?カザリーム。」

カガリ「赤い光線を放ってきたと言ったな。」

ラプラス「せや。」

カガリ「それは、血を魔粒子化させて放出する血刃閃紅波(ブラッドレイ)という技だ。」

ラプラス「知っとるんか、会長!?」

カガリ「魔王ヴァレンタイン。”鮮血の覇王”の二つ名で呼ばれる、奴の得意技だ。」

 

 ユウキの質問に、カガリはそう答える。

 ラプラスに攻撃した男の正体は、魔王の1人、ヴァレンタインという人物だったのだ。

 それを聞いたラプラスは驚く。

 

ラプラス「魔王!?マジでか!?」

カガリ「逃げて正解よ、ラプラス。奴は全盛期の俺と互角だった男だからな。」

ラプラス「ひょええええ……………!」

カガリ「昔、奴とは何度か殺り合った。その度に、周辺の里や集落なんかが巻き込まれてな。それで話し合い……………多数決で決着をつける風習が生まれたんだよ。」

ユウキ「もしかして、それが魔王達の宴(ワルプルギス)?」

カガリ「ええ。三名の票で発議というのは、魔王が七柱(ななにん)だった頃の名残でもあるのよ。」

ラプラス「会長!口調が無茶苦茶でっせ!」

カガリ「黙りなさい、このクソ野郎。」

 

 ラプラスが驚く中、カガリは、魔王達の宴(ワルプルギス)ができた理由を語る。

 ラプラスがカガリを揶揄う中、ユウキが口を開く。

 

ユウキ「……………じゃあ、そいつが魔王ヴァレンタインなのは事実として、何で奥の院(そんな所)に居たんだろうね。一番あり得そうなのは、法皇の正体が魔王だった…………とかかな。」

カガリ「あの男、ヴァレンタインは、人間や亜人を餌としか見ていない。そんな男が人類の守護者を名乗っているのだとしたら……………何かがあるのでしょうね。」

ラプラス「ん〜…………せやけど、どうやってヒナタの目を誤魔化しとるんや?法皇が魔王なんて知ったら、あの魔物絶対許さへん女が黙ってる筈無いやん?」

ユウキ「だから、”何か”があるんだろ?どうあれ、この情報は使えるね。お手柄だよ、ラプラス。」

 

 ユウキ、カガリ、ラプラスの三人は、疑問を出し合うが、答えも出ずに、ユウキはラプラスを褒める。

 ラプラスは、ユウキに質問する。

 

ラプラス「ワイの報告はこれで終わりやけど、クレイマンの奴は、うまい事覚醒できたんでっか?ファルムス王国になんやさせる言うてましたやん?」

ユウキ「ああ、それね。ほら、あの国って、異世界人を大量に抱え込んでるじゃん?そろそろ力を削いでおこうと思って、魔物の国(テンペスト)の特産品の情報を流したんだよ。強欲な王なら、必ず仕掛けるだろうと思ってさ。」

ラプラス「……………結果は?」

 

 ラプラスの質問に、ユウキはそう答える。

 エドマリスの欲を刺激させたのは、ユウキだったのだ。

 ラプラスの再びの質問に、ユウキは肩をすくめながら答えた。

 

ユウキ「スライムと狐の二匹相手に、まさかの全滅。ちょっと力を削ぐつもりが、ほとんど削げちゃった。」

ラプラス「は……………はあ!?ファルムスの連中は、そないに魔国(テンペスト)を舐めとったんか!?」

ユウキ「いや、そんな事ないよ。四万の軍勢でもって、ノリノリで侵攻したみたいだし。いや本当、あの人たち何なんだろうね。僕としては、たった2人で軍勢を滅ぼした事より、ヒナタと戦って生き延びた事が驚き…………って言いたいけど、ヒナタと戦ったのはエースさんで、彼は仮面ライダーだしね。無理もないか。」

 

 ユウキが肩をすくめながら言った事にラプラスは驚くが、ユウキはある種の納得と驚愕を含んだ言葉で言う。

 そんな中、ラプラスが聞く。

 

ラプラス「あ、ほな、人間の魂は集まったんちゃうんか?」

カガリ「いや、魂は一つたりとも残留していなかった。どうやら、先を越されたらしいわ。」

ユウキ「というわけで、クレイマンの覚醒に必要な魂の回収は失敗。」

カガリ「獣王国(ユーラザニア)の方も、魔王ミリムの暴走で住民が事前に退避したせいで、魂の回収は出来なかったものね。」

ラプラス「あらら。(ワイもてんやわんやしとったけど、アイツも大変やったんやな。あとで慰めに行ったろ。)」

カガリ「私の好物で遊ぶな。」

 

 ラプラスがそう聞くと、カガリとユウキはそう答える。

 それを聞いたラプラスは、シュークリームでジャグリングをしながらそう思い、カガリに咎められる。

 そんな中、ユウキが口を開く。

 

ユウキ「まあでも、結果的にファルムスが負けてくれて、好都合かな。」

ラプラス「どういう事でっか?」

カガリ「四万もの軍勢をたった2人で屠った魔人達だぞ?御大層な教義を掲げている西方聖教会が野放しにする訳には行かないだろう。」

ユウキ「そして、それほどの魔人を2人も相手にするのなら、ヒナタが出ない訳にはいかない。」

 

 ユウキの呟きに、ラプラスが首を傾げると、カガリとユウキが答える。

 それを聞いたラプラスは、シュークリームを食べながら言う。

 

ラプラス「なるほど。西側諸国を掌握する上で、最も邪魔なんはルミナス教。西方聖教会の目を引き付けてくれる魔物の国の存在は……………。」

ユウキ「そう。むしろ都合が良いって事。想定外な事は起こったけど、僕らの計画自体は狂っていない。ただ……………。」

カガリ「1番の想定外は、貴様の報告だよ、ラプラス。」

ラプラス「ひょ?」

 

 ラプラスの言葉に、ユウキは頷く。

 そんな中、カガリがそう言って、ラプラスは反応する。

 

ユウキ「西方聖教会をもっと調査したい所だけど…………魔王ヴァレンタインが居るとなると、迂闊な事は出来ない。もう一度潜入してもらうつもりだったのに………………。」

ラプラス(なんや、ワイが悪いみたいになっとる………。理不尽……………。)

 

 ユウキの言葉に、ラプラスは傷つく。

 だが、すぐに妙案を思いつき、口にする。

 

ラプラス「……………まあ、魔王を誘き出すだけやったら、何とかなるんちゃいます?クレイマン、魔王ミリム、魔王フレイ。魔王達は三人の連名で色々出来るんやろ?開けばええやん。魔王達の宴(ワルプルギス)を。」

 

 ラプラスはそう提案する。

 それを聞いたユウキとカガリは、顔を見合わせて、カガリが口を開く。

 

カガリ「……………ラプラスにしては、冴えてるじゃない。」

ラプラス「せやろ?(さて……………どう動くんかな、あのぷにぷにと狐は。)」

 

 カガリの言葉にそう返しながら、そう思う。

 道化達は、暗躍を続ける。

 復活祭を終えた後、酔い潰れた人たちが倒れる中、主要な面子は会議室に集まっていた。

 

リムル「諸君。もう知っていると思うが、改めて紹介しておこう。」

エース「今回、俺達の窮地を救ったディアブロとウルティマだ。」

リムル「新人だが、かなり強くて頼もしいから、俺の第二秘書として頑張ってもらうつもりだ。皆も仲良くするように。」

ディアブロ「皆様。ご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願いします。」

リムル「色々仕事を教えてやってくれ。」

紫苑「畏まりました。」

 

 

 俺とリムルは、まずはディアブロを紹介する。

 ディアブロは丁寧にそう言い、皆も頷く。

 リムルが紫苑に話しかける中、俺も口を開く。

 

エース「それで、ウルティマは俺の第二秘書を勤めてもらう。真眼、指導の方は頼んだぞ。」

真眼「はい。ウルティマ殿、よろしくお願いします。」

ウルティマ「うん。よろしくね。」

 

 俺はそう言うと、真眼とウルティマはお互いにそう話す。

 俺とリムルは、ガビルに話しかける。

 

リムル「それとガビル。」

ガビル「ハッ!」

エース「今日からお前に、開発部門を任せる。役職は暫定的だが、お前達も幹部になる。」

ガビル「えっ!?」

リムル「期待しているぞ。」

 

 俺とリムルはガビルにそう話しかける。

 ガビルも頑張っているからな。

 ガビルは目を輝かせて叫ぼうとしたが、堪えて口を開く。

 

ガビル「拝命します!このガビル、身を粉にして働きまする。」

 

 ガビルはそう言う。

 それを聞いていたスケロウ達も喜んでいた。

 まあ、頑張ってくれよ。

 そして、俺たちは本題に入る。

 

エース「では、今後の方針について伝えたいと思う。ヨウムや三獣士の皆さんにも関係あるから一緒に聞いてもらいたい。」

ヨウム「なんでも聞きますよ旦那。」

アルビス「それはカリオン様の救出に関係あるのですね。」

 

 俺がそう言うと、ヨウムとアルビスはそう言う。

 俺が頷くと、リムルが口を開く。

 

リムル「うん。俺達、魔王になることにしたよ。」

朱菜「はい。」

 

 リムルの宣言に朱菜が笑顔で答える。

 ちょっと、言葉が足りなく無いか?

 

エース「…………リムル、言葉が足りない。ガゼル王にも注意されただろ。」

 

 俺は呆れながらため息を吐き、口を開く。

 

エース「厳密に言えば、俺とリムルは、名実共に魔王になる事を宣言する事にした。」

白老「ほほう。他の魔王に喧嘩を売る。そう言うことですかな?」

エース「ああ。その通りだ。」

リムル「他の魔王にと言うか、相手は…………クレイマンだ。」

 

 俺がそう言うと、白老はそう聞いてくる。

 俺とリムルがそう言うと、ヨウム達と三獣士も頷く。

 

紅丸「なるほどな。自分から魔王の席を奪うってわけですね。面白い!」

真眼「それで……………念の為に理由を伺っても?」

エース「ああ。奴はファルムスと西方聖教会の連合軍の襲撃の際、ミュウランを操って、被害の拡大を目論んだ。それに、ミリムを利用して、友好国ユーラザニアを滅亡させている。」

リムル「何が目的で暗躍しているのか知らないが、こいつを許す事は出来ない。ここから先、翻弄されてやるつもりもない。」

エース「俺たちは、魔王クレイマンを叩く。」

 

 紅丸がそう言う中、真眼はそう聞いて来る。

 俺とリムルはそう言う。

 俺たちにとって、クレイマンは敵だ。

 そこから、俺たちは語っていった。

 ファルムス王国の後始末、西方聖教会の動きへの牽制の必要性、獣王国の皆との約束である魔王カリオンの救出についてを。

 俺とリムルは口を開く。

 

リムル「リグルド。」

リグルド「はっ!」

リムル「西側諸国との交渉を任せる。」

リグルド「御意。お任せくださいリムル様。」

エース「紅丸。全員の進化結果をまとめろ。全戦力を持ってクレイマンを叩きのめす為に、自分達の力と能力を把握する必要がある。」

紅丸「了解ですリムル様。エース様。」

 

 俺とリムルはそう言う。

 それに対して、リグルドと紅丸はそう言う。

 次に、紫苑とウルティマにも話しかける。

 

リムル「紫苑。」

紫苑「はい!」

リムル「捕虜の尋問を任せる。」

紫苑「お任せをリムル様。」

エース「ウルティマも参加してくれ。死なない程度には痛めつける事を許可する。色んな情報を洗いざらい吐かせろ。」

ウルティマ「任せてよ!」

 

 俺とリムルがそう言うと、紫苑とウルティマはそう答える。

 まあ、ウルティマの性格を考えれば、尋問とかには向いているだろうからな。

 次に、ヨウム達と三獣士に話しかける。

 

リムル「ヨウム、ミュウラン。」

ヨウム「おう。」

リムル「紫苑とウルティマの様子を見てくれないか?情報を聞き出すのはいいが、やり過ぎて王に死なれると困るからな。」

ヨウム「任せてくれ旦那。…………俺の国になるんだからな。」

エース「三獣士の諸君、あなた方にも協力をお願いしたい。」

アルビス「願ってもない事ですわ。ジュラの森の盟主様方。」

スフィア「避難民を受け入れてくれた恩は忘れねぇ。俺たちはアンタ達を信頼している。」

フォビオ「獣人は信頼には信頼で、恩には命を以って報いる。獣人全体としても、俺個人としても、リムル様とエース様には、返しきれぬ恩を得た。好きなように使ってください。俺たちはこの命を以って、貴方様方に報いましょう。」

 

 リムルはヨウムに話しかけると、ヨウムはそう言う。

 俺が三獣士達にそう言うと、アルビス達はそう言う。

 それを聞いた俺たちは頷くと。

 

エース「ああ。お前達の命、カリオンに返すその時まで、預からせてもらう。」

リムル「今は休んで、来るべき決戦に向けて、英気を養ってくれ。」

三獣士「ははっ!」

 

 俺とリムルはそう言うと、三獣士達はそう言う。

 すると、この街に近づく存在に気がつく。

 

リムル「…………っと、少し待ってくれ。誰か来る。」

エース「知り合いだ。」

 

 俺たちは、その知り合いの元に向かう。

 そこに居たのは、フューズだった。

 

フューズ「お久しぶりです、リムル殿、エース殿。間に合ってよかった。」

 

 俺たちを見つけたフューズは、そう言う。

 間に合う?

 何が?

 

フューズ「本隊の到着には、今しばらくかかる。微力だが、先に動ける者だけ連れてきた。」

リムル「ええと、フューズ君?」

エース「今日はどういった要件だ?」

フューズ「ふ……………ブルムンド王国と魔国連邦(テンペスト)の安全保障条約に従い、馳せ参じた。俺たちも、対ファルムス軍の末席に加えてくれ。」

 

 あ……………そういう事か。

 という事は、行き違いになってしまったみたいだな。

 俺たちは、すでにファルムスとの戦闘が終わった事を伝えた。

 

フューズ「は?終わった?どういう事ですか!?ミョルマイル達の話では、ファルムスの宣戦布告からまだ2週間も経ってないのでしょう!?」

 

 それを聞いたフューズは、そう叫ぶ。

 すると、リグルドが耳打ちしてくる。

 

リグルド「使者を送ったのですが………行き違いになってしまったようですな。」

 

 なるほどな。

 まあ、無理も無いか。

 

リムル「ええと、聞いてくれ、フューズ君。」

エース「その前に、またお客さんだ。」

 

 そう。

 万能感知に反応があった。

 すると、創世之神が報告する。

 

創世之神『告。30騎の接近を確認。先頭は、武装国家ドワルゴン国王、個体名ガゼル・ドワルゴです。』

 

 来たのはガゼル王か。

 会うのは、テンペストとドワルゴンの国交樹立宣言以来か?

 魔力感知の上位スキル、万能感知は、検知できる範囲と精度が大幅に上昇した。

 次から次へと来るな。

 そう思っていると、ガゼル王がペガサスから降りて、声をかける。

 

ガゼル「久しいな、リムル、エース。なんでも、魔王になったらしいな。」

リムル「まぁね。色々あってさ。」

フューズ「…………………っ!?」

 

 ガゼル王がそう言って、リムルがそう言うと、フューズが驚いた表情を浮かべる。

 

エース「今後については、これから会議をしようと思ってな。」

ガゼル「ほう。ならば、俺も参加しよう。何かやらかすと思っていたが……………。まさか、魔王とはな。」

リムル「色々あったんだって。」

 

 俺とリムル、ガゼル王がそう話す中、フューズが震えた声で話しかける。

 

フューズ「魔王…………!?一体、どういう事です……………!?聞き捨てなりませんよ!?」

リムル「小便なら、そこを曲がって…………。」

フューズ「俺が知りたいのは、便所の場所じゃないですよ!!」

エース「ですよね………………。」

 

 まあ、無理もないか。

 すると、フューズは真面目な表情で俺たちを見て、聞いてくる。

 

フューズ「リムル殿、エース殿。真面目に答えて頂きたい。魔王になったとはどういう事ですか?ファルムス軍との戦争が既に終わった事と、何か関係があるのですか?」

 

 フューズはそう聞いてくる。

 俺とリムルは、顔を見合わせて、答える。

 

リムル「……………ガゼル王の言う通りだよ。必要があったから、魔王になった。」

エース「ファルムス王国軍には、その為に生贄に……………。」

 

 俺とリムルがそう言う中、ガゼル王が食い気味に言う。

 

ガゼル「待て、リムル、エースよ。知っているのなら、俺にも聞かせてほしい。ファルムス王国軍が進軍中、なぜか行方不明(・・・・)になった、その理由をな。」

 

 ガゼル王は、そう言ってくる。

 それを聞いた瞬間、ガゼル王の意図を察した。

 

リムル「え……………?いや、待ってくれ。そうじゃなくて、俺たちが………………。」

バーン「俺もベスターからの報告でそう聞いたぞ。”進軍中のファルムス王国軍が、突然観測出来なくなった。現在、その原因を調査中である”とな。」

 

 リムルが否定しようとする中、ガゼル王の配下の1人であるバーンさんが口を開く。

 やはりな。

 ベスターは何があったのかを、正確に伝えたはずだ。

 気分次第で万の軍勢を滅ぼせる個人は、発射までに複数の手順を要する核兵器以上の脅威だ。

 ガゼル王達は、俺とリムルがファルムス王国軍を虐殺した事実を有耶無耶にしようとしているのだ。

 まあ、真実を告げたら、混乱を煽りかねない。

 俺とリムルは頷き、フューズに答える。

 

リムル「あ、あー……………フューズ君。」

エース「という訳で、ファルムス王国軍は行方不明になった。」

フューズ「………………………。」

 

 それを聞いたフューズは、とんでもない顔を浮かべていた。

 まあ、無理もないか。

 しばらくすると、フューズはため息をつく。

 

フューズ「はぁ……………強行軍で疲れているせいか、幻聴が聞こえた様だ。ファルムス軍は行方不明。なるほど、了解しました。だが、対策会議には、俺も出席させてもらいますよ。リムル殿とエース殿を信じていますが、だからと言って、傍観は出来ない。」

エース「分かった。」

 

 フューズはそう言うと、ため息を吐いて、何かを呟く。

 苦労してるんだな。

 まあ、フューズ達のブルムンド側や、ガゼル王達のドワルゴン側は、これで良いだろう。

 問題は、現在、近づいている存在だ。

 リムルとガゼル王が話す中、俺は口を開く。

 

エース「さて、と。それで、そこのアンタらは何の用だよ?」

リムル「うん?」

ガゼル「何者だ、貴様達は。」

 

 俺とガゼル王がそう言うと、フードを目深に被った集団が現れる。

 リムルは、気づいていなかったみたいだが。

 すると、先頭の人が口を開く。

 

???「これは、これは。地底に隠れ住むのがお好きな……………帝王ではありませんか。意外ですな。臆病なあなたが、魔王2人に肩入れなさるとは。」

ガゼル「ふん。貴様か。馬鹿みたいに高い所が好きなエルフの末裔よ。神樹に抱かれた都市より下りてきたのか。いや、その体は恐らくは……………。」

???「ああ、人造人間……………ホムンクルスを利用した物だ。魔王を名乗る者達の前に出るには、用心せねばね。」

 

 ガゼル王とそのエルフの代表的な人は、そう話す。

 人間と区別がつかないほどに精巧な人造人間(ホムンクルス)ね。

 少し興味があるな。

 すると、蒼華と蒼海が駆け寄る。

 

蒼華「リムル様、エース様。」

リムル「蒼華、蒼海。」

蒼海「彼らは、魔導王朝サリオンの使者で、代表はエラルドという者で、なんでも、公爵家の当主様だとか。」

エース「公爵家の当主?何でそんなお偉方が来てるんだよ?」

蒼海「それが………どうやら、エレ…………。」

 

 俺がそう聞いて、蒼海が答えようとした瞬間、そのエラルドという人物が叫ぶ。

 

エラルド「ぐぬぬぬぬ……………!貴様らか!」

エース「え?」

エラルド「貴様らが、私の娘を誑かした、魔王ですか!」

リムル「あっ、へ…………え?」

エラルド「覚悟は出来ているんでしょうね!?」

 

 エラルドがそう叫ぶと、俺たちから離れて、魔法を発動させようとする。

 

エラルド「炎よ!燃えよ、爆ぜよ、荒れ狂え!集いて弾け、暴威を撒き散らせ!我が敵を爆散せすべよ!一欠片の肉片すらも残さず、塵となるまで焼き尽くせ!」

 

 そう詠唱すると、周囲に魔法陣が展開される。

 この人、何やってんだ!?

 すると、創世之神が言う。

 

創世之神『告。あれは超高等爆炎術式です。』

エース『みたいだな………………ん?』

 

 それを見て、俺は気づいた。

 ハリボテなのだと。

 つまり、俺たちは試されている。

 まあ、私情も混じっているだろうが。

 どうしたもんかな。

 

エラルド「炎よ!燃えよ、爆ぜよ、荒れ狂え!集いて弾け、暴威を撒き散らせ!」

エレン「この…………アホタレがァァァァ!!」

エラルド「我が敵を爆散せすべ………ああっ!」

 

 エラルドが詠唱する中、エレンがそう叫びながらやってきて、杖でエラルドをぶっ叩く。

 エラルドは、ぶっ叩かれた事で、魔法は中断された。

 それをシズさん、カバル、ギドが見ていると、エレンはエラルドの方に向かう。

 

エラルド「ぐっ…………イッタ………!」

エレン「ちょっと、パパ!何しに来たのよ!」

エラルド「え?あっ、エレンちゃん!無事だったのか!」

エレン「無事も何も、私は自分の意思でここに来たのよ!」

シズ「パパ………………!?」

 

 エラルドがそう言って、エレンがそう言いながら叩くのを見て、シズさんは驚いていた。

 無論、俺たちも。

 魔導王朝サリオンの王家に連なる家系の出身だとは聞いていたが、まさか、公爵家の当主の娘さんだったとは。

 

エラルド「いや〜ハハッ!すまんなぁ。娘が魔王に攫われたと報告を受けたもので、つい慌ててしまったのですよ。」

エース(何がついだよ。)

 

 ハッタリとはいえ、そんな物をやるなよ。

 私怨が混ざってなかったか?

 そんなエラルドに、ガゼル王が話しかける。

 

ガゼル「親バカは治らんな、エラルドよ。」

エラルド「親バカなのではない。エレンちゃんが可愛いから、仕方ないのだ。」

ガゼル「それを世間一般では……………いや、何を言っても無駄よな。」

 

 ガゼル王がそう言うと、エラルドさんは途中から顔をデレデレさせる。

 それを見たガゼル王は、諦めたようだ。

 まじで親バカだな……………。

 

エレン「リムルさん、エースさん。パパを紹介しても良い?」

リムル「あ、ああ頼む。」

エレン「こちら、魔導王朝サリオンの大公爵、エラルド・グリムワルトです。」

エラルド「どうぞ、お見知りおきを。ジュラの大森林の盟主にして、魔物を統べる者達よ。」

リムル「リムル=テンペストです。で、こっちが……………。」

エース「エース=テンペストです。それで、用件は、エレンさん絡みですか?」

エラルド「当然……………そんなわけは無い。」

 

 だろうな。

 もし、エレン絡みだけで来たとしたなら、本当に何しに来たんだって突っ込みたいが。

 

エラルド「今後、貴国との付き合い方を考える上でも、自分の目で見ておきたかったのだよ。娘が気に入った、貴殿らという人物を。」

エース「なるほど。それで、判定はどうなんですか?あんなハッタリの魔法を使って。」

エラルド「お見通しですか。そうですね。貴方達がハッタリが通じない相手だというのは、理解しました。試させてもらった非礼を詫びます。」

リムル「やっぱりか。」

 

 だろうな。

 見た目ほどの魔素量(エネルギー)が無かったからな。

 すると、エレンがガゼル王に話しかける。

 

エレン「ご無沙汰しております。ガゼル王。」

ガゼル「エリューンか?見違えたぞ。」

エラルド「エレンちゃんに手を出す事は許さんぞ、ガゼル!!」

 

 出来る男なのか、ポンコツなのか、いまいち判断しづらいな。

 ちなみに、エラルドは、エレンの平手打ちを食らった。

 平手打ちを喰らって、頬に手形が浮かぶ中、エラルドは俺たちに話しかける。

 

エラルド「そうでした。失礼ついでと言っては何ですが、先ほど言っておられた会議に、私も参加させて頂けませんかな?」

 

 エラルドはそう言ってくる。

 どうやら、俺たちの出方次第という事か。

 まあ、俺たちも、この人が信頼に足るのかどうかを判断するべきか。

 

リムル「分かりました。席を用意します。」

エラルド「ありがとうございます。」

 

 と言うわけで、エラルドも参加する事になった。

 とはいえ、いつもの会議室では手狭か。

 俺たちは、中庭で会議をする事になった。

 こうして、ブルムンド、ドワルゴン、サリオン、ユーラザニア、今後のファルムス王国と言った国家の代表が集まり、後に人魔会談と呼ばれる出来事が起ころうとしていた。




今回はここまでです。
今回は、人魔会談が始まる直前までです。
ラプラスの前に姿を現す神楽坂優樹。
果たして、優樹の目的とは。
そして、エースたちは、話し合いをする。
そこに、ブルムンド、ドワルゴン、サリオンからお客さんがやって来る。
後に人魔会談と呼ばれる会談が幕を開けようとする。
その前に、暴風竜の復活を話さねばなりませんが。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
転スラのアニメ3期では軽くしか触れられていなかった最初の宴会に関しては、やる予定です。
今後の展開でリクエストがあれば、活動報告から承っております。
ウルティマのクロスギーツに関しては、アルティメットスキルではなく、ユニークスキルにしようかなと思います。
パワーバランスの調整の都合上。
その為、クロスギーツにはなりますが、あくまでブーストフォームマークIIIの状態になる感じです。
本当の意味でクロスギーツになるのは、帝国との戦争の頃ですね。
あと、エースのヒロインにエレンを加えて欲しいという意見が来ましたが、どうしましょうか?
エースの胃が痛みそうですね。
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