転生したら白狐だった件   作:仮面大佐

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第73話 紅蓮の絆

 ウルティマによって、ラキュアの処遇が決まり、隣国の軍勢も引き始めた頃、ヒイロと紅丸と真眼は、橋の上で激闘を繰り広げていた。

 その様子を、橋の下に居た朱菜、シズさん、トワさんが見ていた。

 ヒイロと鍔迫り合いをする中、橋の下をチラリと見た紅丸と真眼が口を開く。

 

紅丸「ヒイロ…………!これ以上、アンタの大切な主を心配させたくはないだろう?」

真眼「ヒイロは強い!だからこそ、自分を取り戻してくれ!トワ様の為にも!」

 

 紅丸と真眼はそう言う。

 2人はヒイロから少し離れる。

 

紅丸「…………悪いが、ここからは手加減なしだ。」

 

 紅丸はそう言うと、紅蓮とゾンビブレイカーに黒炎を纏わせる。

 真眼も、ニンジャデュアラーに風を纏わせた。

 それを見ていた朱菜達の方では。

 

トワ「ヒイロ…………!」

 

 トワさんがヒイロの身を案じてそう言う。

 すると、ヒイロが近づいてくる中、真眼は呟く。

 

真眼「……………頼むから、死なないでくれよ。」

ヒイロ「うううぅ………!うぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 真眼がそう呟くと、ヒイロは大きくジャンプして、攻撃しようとする。

 それに対して、紅丸と真眼は。

 

紅丸「朧……………黒炎斬!!」

真眼「朧……………烈風斬!!」

 

 2人はそう叫ぶと、斬撃をヒイロに放つ。

 一瞬の静寂の直後、ヒイロが黒炎と烈風に包まれると、橋が耐えきれなくなったのか、崩落する。

 

ヒイロ「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 ヒイロがそう絶叫する。

 橋が崩落する中、紅丸と真眼は着地する。

 

朱菜「お兄様!真眼!」

シズ「大丈夫?」

真眼「なんとか……………。」

トワ「っ!」

 

 朱菜とシズさんがそう話しかけ、真眼がそう答えると、トワさんは何かに気づく。

 すると、背後の瓦礫が吹き飛び、そこからヒイロが現れる。

 

ヒイロ「うぉぉぉぉぉ!!」

トワ「ヒイロ!」

紅丸「まだ動けるのか…………!?」

 

 ヒイロがそう叫び、トワさんがそう言うと、紅丸はそう呟く。

 2人の攻撃を受けて、まだ無事だった事に。

 

ヒイロ「うううっ…………!うぉぉぉぉぉ!!」

 

 ヒイロは大きくジャンプすると、紅丸と真眼に攻撃しようとする。

 2人が迎撃しようとすると、2人とヒイロの間に人影が入る。

 その人影とは……………。

 

朱菜「トワ様!」

 

 トワさんだった。

 トワさんが紅丸と真眼を守る様に立ちはだかったのだ。

 朱菜がそう叫び、シズさんが驚愕する中、ヒイロの脳裏には、ある光景が映っていた。

 それは、トワさんに助けられた時の感覚に似ていた。

 

ヒイロ「っ!」

 

 それを思い出したヒイロは、トワさんに当たる直前に攻撃を止めた。

 

ヒイロ「ううっ…………!うぉぉぉ…………!あぁぁぁぁ…………っ!ううううっ…………!うぉぉぉぉぉっ!!」

 

 ヒイロはそんな呻き声を出すと、手に持っていた炎の刀を突き立てて、自らに突き刺した。

 

一同「っ!?」

ヒイロ「うううっ…………!?うぉぉぉぉっ!!」

 

 それを見たトワさん達が驚く中、ヒイロは刀を抜くと、今度は己の右手を傷口に突っ込んで、何かを取り出す。

 取り出したのは、紫縛の宝珠(カースオーブ)だった。

 紫縛の宝珠(カースオーブ)を握り潰すと、ヒイロから炎が消えて、徐々に元に戻りながら倒れていく。

 

紅丸「ヒイロ…………!ヒイロ…………!」

「「兄者ぁぁぁぁぁぁっ!!」」

 

 トワさんが唖然となる中、紅丸と真眼はヒイロに駆け寄りながらそう叫ぶ。

 紅丸と真眼は駆け寄ると、ヒイロを起き上がらせる。

 

真眼「兄者!」

ヒイロ「若……………真眼……………強く…………なったな…………。」

紅丸「……………兄者ほどじゃないさ。必ず、自力で正気に戻れるって信じてたぜ。」

ヒイロ「…………俺1人の…………魂ではないからな……………。」

 

 真眼がそう叫ぶ中、ヒイロがそう言うと、紅丸はそう答える。

 すると、ヒイロの腕が灰の様になっていく。

 

ヒイロ「力の……………代償か…………。」

トワ「ヒイロ!」

朱菜「兄様!」

 

 ヒイロがそう呟くと、トワさんと朱菜も駆け寄る。

 そこに、俺たちも駆けつける。

 

リムル「紅丸!フルポーションを使え!」

エース「……………無理だ。紫縛の宝珠(カースオーブ)の代償で、フルポーションは効かない。」

リムル「っ!?」

 

 リムルは紅丸にフルポーションを渡そうとするが、俺は止める。

 紫縛の宝珠(カースオーブ)の代償で、フルポーションが効かないと分かっていたから。

 紅丸と真眼が橋の瓦礫にヒイロをもたれかかせると、ヒイロは口を開く。

 

ヒイロ「もう……………十分だ……………。」

紅丸「兄者……………!」

真眼「……………っ!」

ヒイロ「朱菜……………お前を本当の妹の様に思っていた…………。」

朱菜「兄様……………!」

 

 ヒイロがそう言うと、紅丸はそう呟き、真眼は目を逸らし、朱菜は涙を流す。

 

ヒイロ「ひと足先に…………あいつら………待ってる…………からな。トワ様……………最後に…………心から…………仕えるべき…………主が見つかって……………俺は…………幸せ…………。」

 

 ヒイロはそう言う。

 最後の力を振り絞って、トワさんに手を向けて、トワさんは握ろうとするが、崩れてしまった。

 そして、ヒイロは灰となってしまった。

 朱菜が涙を流す中、トワさんは口を開く。

 

トワ「……………許しません。」

朱菜「えっ?」

トワ「私のそばを離れることなど……………!」

 

 トワさんはそう呟くと、俺たちはトワさんに視線を向ける。

 すると。

 

トワ「アグリンティアラよ!奇跡を!女神よ!お力を私に!!」

 

 トワさんがそう叫ぶと、ティアラが光りだす。

 ティアラの中の魔力を使っているのだ。

 トワさんの体に紫色のあざが浮かび上がる中、灰になっていたヒイロが元に戻っていく。

 目を閉じていたヒイロが目を開くと、そこには安堵の笑みを浮かべていたトワさんがいた。

 

ヒイロ「……………トワ様…………?」

 

 ヒイロがそう言うと、トワさんは安堵の笑みを浮かべる。

 すると、ティアラは魔力を使い果たしたのか、そのまま砕け散った。

 その直後、トワさんは攻撃を受けた様に仰け反る。

 

トワ「うっ!?ううっ!?」

ヒイロ「トワ様……………トワ様!!トワ様ぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 トワさんがそう呻くと、ヒイロはトワさんを抱きしめる。

 すると、トワさんは光となって消えていく。

 光の粒子が漂う中、ヒイロは崩れ落ちる。

 紅丸が俺たちを見てくる。

 

真眼「エース様…………どうにか出来ませんか?」

エース「……………願いの代償だ。だけど、手は打ってある。」

 

 真眼がそう聞くと、俺はそう答える。

 願いの代償の為、本来は何も出来ない筈だった。

 だが、手は打ってある。

 すると、ヒイロが呟く。

 

ヒイロ「二度も命を救われて……………俺は…………また……………何も出来ないのか…………!?」

 

 ヒイロはそんな風に悔しそうに呟く。

 トワさんだった光が空に浮かび上がる中、ある1箇所が強く光る。

 トワさんの魂が消えゆく中、接触する人物がいた。

 それは、トワさんの視点からは光が強くてよく分からなかったが、ウルティマだった。

 

ウルティマ『……………契約破棄はこちらの落ち度だから。今まで楽しませてもらったお礼も込めて、少しばかりお詫びを奮発しておくね。』

 

 ウルティマはトワさんに対してそう言う。

 すると、周囲を漂っていた光は1箇所に集まっていく。

 紅丸たちが目を覆う中。

 

リムル「何だ?何が起きているんだ?」

エース「…………ちゃんと、お詫びは出来たみたいだな。」

 

 リムルがそう聞く中、俺はそう呟く。

 ウルティマから、話は聞いていたのだ。

 集まった光は人の形になり、弾けた。

 その中から、トワさんが出てくる。

 

ヒイロ「トワ様…………?トワ様!」

トワ「ヒイロ……………?」

 

 ヒイロはトワさんに駆け寄ると、抱きしめる。

 ヒイロが涙を流す中、夜が明けていく。

 すると、創世之神(ギーツ)が報告する。

 

創世之神『告。呪毒は完全に消滅しました。』

エース『…………そうか。』

 

 創世之神はそう報告する。

 まあ、呪毒を解除出来るのはウルティマ本人だからな。

 この出来事を引き起こしたラキュアの上司であるウルティマが解決すべきだから。

 俺の創世の力で解除は出来ただろうが、ウルティマの為に、何もしなかったのだ。

 すると、リムルが話しかけてくる。

 

リムル「エース。どういう事か、しっかりと話してもらうぞ。」

エース「……………ああ。」

 

 リムルがそう言うと、俺はそう答える。

 その日の夜、トワさんが完治して、ラージャ小亜国の危機が去った事へのお祝いの宴が始まった。

 花火がたくさん上がる中、広場では。

 

住人達「乾杯〜!」

ゴブタ「ありがとうっす!」

ガビル「あ、そ〜れ!」

 

 住人達は花火を見たり、食べ物を食べたり踊ったり。

 お祝いムードに包まれていた。

 俺、リムル、シズさん、紅丸、真眼、朱菜、紫苑、蒼影、白老、ディアブロは城からその光景を見ていた。

 ちなみに、ウルティマはラキュアへの折檻を行う為か、欠席した。

 すると、モブジさんが話しかけてくる。

 

モブジ「リムル殿、エース殿。」

「「ん?」」

モブジ「この度は、リムル殿とエース殿のお力添え、ありがとうございました。このお礼は一体どの様にしたらいいか…………。」

大臣「お礼をしたくても、ご存知の通り、ろくな資源もない有様でして……………。」

エース「それなんだがな…………。」

リムル「蒼影。」

 

 モブジさんと大臣は、申し訳なさそうにそう言う。

 それについては、問題ないと思うがな。

 俺とリムルがそう言うと、蒼影が口を開く。

 

蒼影「紅丸と真眼とヒイロの戦闘で崩れた洞窟に、鉄鉱石の鉱脈が発見されました。」

モブジ「おおっ…………!?」

大臣「なっ…………!?」

モブジ「ですが、鉄鉱石は需要が…………。」

大臣「他国でも供給されてますし…………。」

 

 蒼影はそう言う。

 そう。

 紅丸、真眼、ヒイロの戦闘で崩れた洞窟から、鉄鉱石の鉱脈が発見されたのだ。

 だが、2人の言い分もごもっともだ。

 すると、リムルが口を開く。

 

リムル「鉄鉱石はいくらあっても困らないし、我が国が買い上げるよ。」

エース「鉄鉱石は、色々と使う予定があるからな。」

「「なっ…………!?」」

モブジ「この国の再建に、力を貸していただけると…………!?」

大臣「そうなると、周辺諸国もこの国へ簡単には手出し出来なくなる!」

モブジ「願ってもない事です…………。しかし、よろしいのですか?」

 

 俺とリムルはそう言う。

 リムルから、ラージャから買い取った鉄鉱石に関しての使い道を色々と聞いているのだ。

 モブジさんと大臣がそう話すと、そう聞いてくる。

 

リムル「勿論、ギブアンドテイクだよ。それにさ……………俺は自分の命をかけてまで誰かを助け様とする…………そんなトワさんが好きだからな。」

エース「皆もそうだろう?」

紅丸「ええ。」

真眼「はい。」

白老「そうですな。」

朱菜「はい!」

蒼影「異存はありません。」

紫苑「勿論です!リムル様と同じくらい、トワ様と兄者が大好きですから!」

リムル「ありがとう!」

 

 リムルがそう言い、俺がそう聞くと、他の人たちはそう答える。

 すると、ディアブロが口を開く。

 

ディアブロ「私もです。」

リムル「お前、いつの間に来てたの?」

ディアブロ「くっ……………!」

 

 ディアブロはワインをお盆に乗せながら頷くと、リムルにそう言われ、ディアブロは涙を流していた。

 相変わらずだな。

 

エース「それじゃあ、ラージャ小亜国と魔国連邦(テンペスト)の未来を祝して!」

リムル「乾杯!」

 

 俺とリムルがそう言うと、特大の花火が上がる。

 それをヒイロと共に見ていたトワさんは。

 

トワ『今までこの国を…………私達を見守ってくださり、ありがとうございました。これからは自立して、皆と一緒に未来を作ってまいります。ティアラを授けてくださった…………女神様。』

 

 トワさんはそんな風に思っていた。

 そんな中、ウルティマは。

 

ウルティマ「……………ふん。」

 

 照れ臭そうに鼻を鳴らしたのだった。

 ちなみに、その近くにはボロボロのラキュアが倒れていた。

 その後、俺たちは魔国連邦(テンペスト)に戻ったのだが……………。

 

エース「な…………な…………っ!?」

リムル「何だこれ!?」

 

 俺たちはそう叫ぶ。

 その理由は、街の周りに巨大なクレーターが出来上がっていたのだ。

 街の人たちも色々と怪我をする中、リグルドとリグル、ギロリさん、ニラム、ジーンが申し訳なさそうにする中、目の前で正座している2人の元凶に話しかける。

 

エース「おい、ヴェルドラ、ミリム。これはどういう事なんだ?」

リムル「俺たちは確かに、君に留守番を任せたよね!?」

ヴェルドラ「我は悪くない。ミリムが来たから、ちょっと…………遊んでやっただけだ。」

ミリム「そうなのだ。せっかく遊びに来てやったのに、リムルとエースが居なくてつまらなかったから、ヴェルドラと遊んでやっただけなのだ…………。」

 

 俺とリムルがそう聞くと、元凶であるヴェルドラとミリムはそう言い訳する。

 つまり、俺たちがラージャ小亜国へと向かっている中、ミリムがやってきてしまい、戦闘になってしまったのだ。

 

リグルド「り、リムル様、エース様、すみません!」

ギロリ「止めようとはしたんだが…………。」

リグル「力及ばず…………。」

ニラム「この様というわけだ。」

ジーン「本当にごめん…………。」

エース「そりゃ、止められないわな。むしろ、止めようとしただけで十分だろ。」

 

 リグルド達はそんな風に申し訳なさそうに謝る。

 そりゃあ、ミリムとヴェルドラを止めるなんて、相当の実力者でなければ無理だ。

 すると、リムルが口を開く。

 

リムル「ったく…………!当分、漫画の新作は出さないからな!」

エース「仮面ライダーの更新も停止だ。」

ヴェルドラ「なんだと…………!?そんな殺生な…………あがっ!?」

 

 俺とリムルがそう言うと、ヴェルドラは腰を少し上げる。

 すると、正座していて足が痺れたのか、その場に蹲る。

 

エース「自業自得だ。反省しろ!」

リムル「で?ミリムは?」

ミリム「わ、私は……………うっ!?」

 

 俺がそうヴェルドラに吐き捨てると、リムルはミリムの方を見る。

 すると、ミリムの頭が誰かに鷲掴みにされた。

 そこに居たのは……………。

 

フレイ「ゆっくり話しましょうか………ね?」

ミリム「ううっ…………ううっ……………!」

 

 フレイだった。

 フレイがそう言うと、ミリムは連行されて行ったのだった。

 それを見送った俺たちは。

 

リムル「俺たちをここまで怒らせるとは…………。」

エース「本当に困った奴らだな。」

 

 俺とリムルはそう呟く。

 こうして、ラージャ小亜国での一件は解決したのだった。

 だが、この時の俺たちは気づいていなかった。

 西方聖教会との戦いが近づいている事を。




今回はここまでです。
今回で、紅蓮の絆編のエピソードは終わります。
エースは、ウルティマに尻拭いをさせる為に、何もしませんでした。
自分の部下の後始末を、自分でさせる為に。
エースの創世の力なら、解決出来たでしょうし。
次回は、どうするのかは考えていきます。
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