転生したら白狐だった件   作:仮面大佐

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第76話 両翼会議

 俺たちが色々と会議をしている中、西方聖教会がある神聖法皇国ルベリオス。

 ヒナタがある建物に入ると、柱に寄りかかっていた1人の少年が口を開く。

 

???「やぁ、ヒナタ。もう皆揃ってるよ。随分のんびりじゃないか」

ヒナタ「…………そ。じゃあ、突っ立ってないであなたも早く席に着いたらどう?サーレ」

サーレ「ちっ!」

 

 そのサーレという名の少年が皮肉混じりにヒナタにそう話しかけると、ヒナタはそう答える。

 サーレは舌打ちをしつつ、席に戻る。

 ヒナタがコの字に配置されているテーブルのうち、二つのグループが座っていない場所の方に向かうと、口を開く。

 

ヒナタ「…………待たせたわね。それでは、法皇両翼合同会議を始めましょう。議題は暴風竜の復活……………そして、新たな2人の魔王の誕生について」

 

 ヒナタはそんな風に言う。

 


 

 ヒナタがルミナスと出会ったそのすぐ後。

 ヒナタは七曜の試練を受けた。

 

七曜『フッフフフ…………よくぞ、我らの試練を乗り越えたな。ヒナタよ。簒奪者(コエルモノ)による複写…………見事であった』

ヒナタ『………………』

 

 七曜の1人がそう言う中、ヒナタは無言でいた。

 西方聖教会最高顧問と言われる七曜。

 彼らの役目は、組織の監視と部下の育成。

 彼らの課す試練は、英雄や勇者を選別する物だった。

 すると、七曜の1人はヒナタに話しかける。

 

七曜『だが、図に乗るなよ?貴様如きがルミナス様の寵愛を受けられるなどと、思い上がらぬ事だ』

ヒナタ『……………くだらない』

 

 七曜の1人が忠告混じりにそう言う中、ヒナタはそう思っていた。

 7人の老師達の試練を乗り越えたヒナタは、彼らの技を簒奪者(コエルモノ)で自分のものにすると同時に、彼ら自身の腐敗を知った。

 かつては偉人だったのかもしれないが、彼らが教え導くはずの聖騎士団(クルセイダーズ)は、ヒナタが着任するまで、名ばかりの集団でしかなかった。

 


 

 ヒナタが会議の開始を宣言して座ろうとすると、サーレが口を開く。

 

サーレ「おいおい。遅れて来たのに偉そうだね。ヴェルドラの復活を阻止出来なかったばかりか……………新たな2人の魔王の誕生を許した……………そんな無能がよくもまあ…………」

 

 サーレはそんな風に言う。

 サーレは法皇直属近衛師団(ルークジーニアス)に所属しており、サーレ以外には巨岩のグレゴリーと、荒海のグレンダが居る。

 サーレの発言に、聖騎士団(クルセイダーズ)が騒めく中、金髪の青年…………”光”のレナードが口を開く。

 

レナード「不敬ですよ、サーレ殿」

アルノー「おう、小僧。団長に文句があるのなら、俺が相手になってやるぜ?」

バッカス「うむ」

 

 レナードがそう言うのと同時に、”空”のアルノーがそう言い、”地”のバッカスが頷く。

 それを聞いたグレゴリーは。

 

グレゴリー「けっ。お上品な騎士様方が俺たちと喧嘩しようってのか?粋がっているじゃねーか!」

アルノー「何だと?」

レナード「死にたいようですね…………!」

 

 グレゴリーは聖騎士団(クルセイダーズ)を見下すようにそう言う。

 それを聞いたアルノーとレナードは、言葉に怒りの気配を滲ませる。

 西方聖教会所属の聖騎士団(クルセイダーズ)

 神聖法皇国ルベリオスの法皇庁に所属している法皇直属近衛師団(ルークジーニアス)

 この二つの組織は、共にルミナス教を信奉しながらも、関係は良好ではなかった。

 サーレ達が互いに睨み合う中、ヒナタが口を開く。

 

ヒナタ「いい加減にしてくれるかしら。今は仲間内で争っている場合ではないのよ。それに、帷の向こうには法皇猊下もおられるのよ」

レナード「申し訳ありません」

フリッツ『おっかな!殺気がマジすぎですよ、ヒナタ様……………』

 

 ヒナタはそう言うと、レナード達は引き下がった。

 殺気がダダ漏れな事には、”風”のフリッツはそんな風に思っていた。

 すると、ヒナタはサーレに話しかける。

 

ヒナタ「…………サーレ。変わりたいのなら、いつでもこの地位を譲ってあげるわ。………ただし、実力を試させてもらうけど」

サーレ「ちっ!」

 

 ヒナタはそんな風に言う。

 サーレがヒナタの地位に就きたいのなら、実力を試すのだと。

 それを聞いたサーレは、舌打ちをしながら引き下がった。

 聖騎士団(クルセイダーズ)法皇直属近衛師団(ルークジーニアス)という良好とは言えない関係なる二つの組織を取りまとめているのが、聖騎士団(クルセイダーズ)の団長と法皇直属近衛師団(ルークジーニアス)筆頭騎士を兼任するヒナタだった。

 すると、聖騎士団(クルセイダーズ)の方に座っている聖騎士のうちの1人、”水”のリティスが口を開く。

 

リティス「報告します。ジュラの大森林は、平和そのもので、魔物の国に出入りするブルムンドの商人も多く見られました」

フリッツ「魔王を相手に商売だと?」

ギャルド「それよりも、ヴェルドラだ。今のところ、暴れ出す気配は無いようだが…………」

 

 リティスはそう報告する。

 それを聞いたフリッツがそう言う中、”炎”のギャルドはそんな風に呟いた。

 すると。

 

ヒナタ「最後まで報告を聞くように」

リティス「はい。続けます。魔物の国は、予想以上の発展ぶりを見せておりました。街道は美しく整備され、安全も守られていました。流石に魔素の濃度は若干高めでしたが……………人体に影響の出るほどではなく、魔獣が出没する気配もありませんでした。魔王リムルと魔王エースが人との友好を望んでいるというのは、嘘ではなさそうです」

ヒナタ「…………そう。それで、ヴェルドラは?」

 

 ヒナタは、フリッツとギャルドの2人を抑えつつ、リティスに報告を続けさせる。

 リティスは、魔国連邦(テンペスト)に潜入調査をしており、そう報告する。

 ヒナタは、ヴェルドラについてを聞くと。

 

リティス「それなのですが…………封印の洞窟へは、立ち入りが禁止されており、その存在を確認できませんでした」

ヒナタ「……………うん」

リティス「報告は以上です」

ヒナタ「ありがとう、リティス」

 

 リティスはヒナタの問いに対して、そう答える。

 封印の洞窟へは、立ち入りが禁止されているのだ。

 ヒナタはそう答えると、リティスは着席する。

 すると、フリッツが口を開く。

 

フリッツ「となると…………ヴェルドラが復活したというのは、やはり間違い……………」

ヒナタ「神託は絶対よ」

フリッツ「ひっ⁉︎も………申し訳…………」

ヒナタ「次の報告を」

 

 フリッツは、ヴェルドラが復活した事自体がデマだと言おうとした。

 だが、ヒナタの圧に耐えきれず、視線を逸らしてそう呟く。

 ヒナタはそう言うと、バッカス、レナード、アルノーが報告をしていく。

 報告は、ギャルドの方へと移った。

 

ギャルド「…………という感じで、イングラシア王国内は平穏そのものでした。ライバル関係にある大国ファルムスが傾くと、今後はますますイングラシアの勢力が力を持ちそうです」

ヒナタ「……………ありがとう」

 

 ギャルドはそう報告する。

 イングラシア王国は平穏そのものであり、ファルムスが傾いた以上、勢力を増すと。

 ヒナタがそう労うと、サーレに話しかける。

 

ヒナタ「サーレ。次はあなたからの報告を待っているのだけど……………ファルムスの内情を見てきたのでしょう?」

サーレ「ああ。…………これが本命なんだろ?」

ヒナタ「ええ、そうよ。だからあなたに任せたの」

サーレ「なるほどね」

 

 ヒナタはサーレにそう話しかける。

 それを聞いたサーレがそう聞くと、ヒナタはその意図を明かす。

 それを聞いたサーレは納得すると、口を開く。

 

サーレ「ファルムス王国の現状。ファルムス王国のエドマリス王は退位して、新王エドワルドは戦力の増強に腐心してるよ」

リティス「譲位は平和裏に完了したと聞きましたけど……………」

サーレ「一見ね。さっきも言った通り、腕利きの傭兵をかき集めている様だね。徴兵も始まっているみたいだし…………貴族達の動きも慌ただしい。僕としては、内乱が起きる前兆じゃないかと睨んでいる」

 

 サーレはそんな風に報告する。

 エドワルドが戦力をかき集めているのだと。

 リティスの質問に対して、サーレはそう答えながら報告を続ける。

 

サーレ「でも…………そこに魔王リムルと魔王エースの意思が介在しているか判断するには…………情報が足りない」

ヒナタ「そうね。それで?」

サーレ「新王エドワルドが接触した相手を洗い出した。評議会の重鎮に、自由組合の幹部。それに東の商人達。果ては…………僕の部下にも接触を図ろうとした様だね」

 

 サーレは、この出来事が俺たちの意思が介在しているのかは分からないと伝えた。

 実際には、介入しまくっているのだが。

 ヒナタはそう言うと、サーレはエドワルドが接触した相手を言う。

 それを聞いたヒナタは口を開く。

 

ヒナタ「なら、確定ね。新王エドワルドには、戦争賠償を支払う意思はない。…………そして、それを許す魔王など居ないでしょうし………。リムルとエースがそれを想定していないのほどのバカだとは思えない」

サーレ「…………つまり、全ては魔王リムルと魔王エースの計画の内…………」

ヒナタ「そうね。」

 

 ヒナタはエドワルドに戦争賠償を払う意思がない事、それらの全ては俺とリムルの計画の内である事を悟った。

 サーレがそう言う中、ヒナタは。

 

ヒナタ『…………あの時、話を聞いておけば少しは……………いえ。今はそれよりも…………』

 

 ヒナタはそんな風に考えていた。

 俺の話をちゃんと聞いておくべきだったと。

 すると、意識を切り替えて、サーレに話しかける。

 

ヒナタ「エドワルド王は東の商人に接触していたのよね?商人が何か不審な動きをしていなかった?」

サーレ「なんで商人?今は魔王リムルと魔王エースの思惑について……………」

ヒナタ「いいから答えなさい。…………気になるのよ。『私にあの情報を寄越したあの男…………』」

 

 ヒナタはサーレにそう問いかける。

 サーレは困惑した様子でそう聞くが、ヒナタはそう言う。

 ヒナタは、自分に接触してきた東の商人の事が気になっていたのだ。

 すると。

 

サーレ「グレンダ。商業都市で東の商人について何か聞けなかったか?」

グレンダ「…………さあ。アタイの知る限り、怪しい動きはなかったさね。でも、筆頭がそんなに気になるってなら、もう一度きっちりと調べてみるさね」

ヒナタ「そう。…………それじゃあ、お願いするわ。決して油断しない様に。商人の言葉に耳を貸してはダメよ」

グレンダ「任せな。詳しい話を聞いてくるさね」

 

 サーレはグレンダにそう聞くと、グレンダはそんな風に答える。

 それに対して、ヒナタがそう言うと、グレンダはそう答える。

 ヒナタはグレンダを見ると、ある事を思う。

 

ヒナタ『……………舐められた物だわ。少し綱紀が乱れている様ね。…………まぁ、無理もないのかも。彼らは神ルミナスが実在すると知らないのだから』

 

 ヒナタはグレンダがちゃんと調べていない事を見抜いていた。

 そんな態度のグレンダに思う所があるのか、そんな風に思っていた。

 すると、ヒナタは口を開く。

 

ヒナタ「…………さて、報告は出揃ったわね。これで、諸君にも現状が理解出来たと思う。意見は?」

レナード「はい。暴風竜ヴェルドラが復活した影響は予想よりも小さく…………被害は作戦行動中だったファルムスの軍勢のみ。ただしそれも、魔王リムルと魔王エースが流した情報であろうと思われ、実質ゼロ…………という事ですね」

サーレ「こうなると…………生存者だったレイヒム大司教から話を聞きたいな。戦場で何が起きたのか…………気になるね」

ヒナタ「そう思って呼んでいるわ。もうそろそろ来る頃だと思うのだけど…………」

 

 ヒナタがそう言うと、レナードとサーレはそう言う。

 情報の真偽を確かめる為に。

 ヒナタがレイヒムを呼んでいると言うと、アルノーが口を開く。

 

アルノー「ヴェルドラを魔王リムルと魔王エースが交渉して宥めた…………という噂もありますが…………これの判断も難しいですね。復活が事実で、今もヴェルドラが大人しくしている…………これが正しい以上、その信憑性も増すって物です」

 

 アルノーは、俺たちが流した噂についてはそんな風に言う。

 それを聞いて、他のメンツが頷く中、ヒナタが口を開く。

 

ヒナタ「そうね。それについては本当よ。あなた達には話しておくけど…………神ルミナスより、神託が降りた」

一同『っ!』

 

 ヒナタはそんな風に言う。

 ルミナスからの神託と聞いて、十大聖人達は反応をする。

 そして、ヒナタは口を開く。

 

ヒナタ「”暴風竜ヴェルドラを御せるのが魔王リムルと魔王エースである。故に、魔王リムルと魔王エースに手出しするのは罷りならぬ”…………だそうよ。皆も心する様に」

 

 ヒナタはそう伝える。

 つまり、ルミナス直々に、俺とリムルに手を出すなと伝えたのだ。

 それを聞いて、十大聖人の面々が唖然となる中、アルノーが口を開く。

 

アルノー「そ、それはつまり…………⁉︎」

ヒナタ「はっきりと告げておくわ。今回の件、我々は魔王と事を構えない物とします」

『っ⁉︎』

 

 アルノーがそう聞くと、ヒナタは立ち上がりながらそう言う。

 それを聞いて、驚愕の表情を浮かべる中、グレゴリーが口を開く。

 

グレゴリー「まさか⁉︎ファルムスでの魔王リムルと魔王エースの暗躍を放置せよと⁉︎」

サーレ「確かに、魔王は不可侵存在(アンタッチャブル)だけど、それは表向きの話だろう?十大聖人の僕らなら、魔王にも後れは取らない!」

レナード「しかし!今回は魔王だけでなく、暴風竜まで居ます!」

グレゴリー「かと言って、我ら人類の領域までも、魔王に好き勝手させるわけにはいかん!」

 

 グレゴリーがそう叫ぶと、サーレも同意する様にそう言う。

 レナードが、ヴェルドラも関与しており、冷静に動いた方が良いと指摘する中、グレゴリーはそう反論する。

 一度、場が静まりかえると、ヒナタは口を開く。

 

ヒナタ「神託は絶対よ。逆らう事は許さない」

リティス「ですが…………魔王リムルと魔王エースがファルムス王国を操っているのなら…………民を見捨てる事になります」

ヒナタ「それは違うわよ、リティス。ファルムスを放置するというのも的外れ。あの国で起こるのはあくまでも内乱なの。国の頭が変わる事になるかもしれないけど、それに口を出すのは内政干渉になるわ」

 

 ヒナタは神託を守る様に言う。

 それに対して、リティスがそう言うと、ヒナタはそう言う。

 ファルムスで起ころうとしているのは内乱であり、下手に口出しすれば、内政干渉と見做されるのだ。

 すると。

 

ヒナタ「それに、守るべきは王侯貴族ではなく民。ファルムス国民や他の国に飛び火しない様に、細心の注意を払いなさい」

グレゴリー「それでは…………魔王リムルと魔王エースの行動を黙認するのですかい?」

ヒナタ「その通りよ。魔王リムルと魔王エースは人類の敵対を望まぬと宣言した以上、敵対行動をとる意味はない。レイヒム大司教が討伐軍に参加していた上、私はリムルとエースの粛清に失敗。既に敵と見做されている可能性が高い今、彼らの行動は黙認するしかないでしょうね」

グレゴリー「それは西方聖教会の…………ひいてはあなたの失敗であって、我がルベリオスの失敗ではない!

 

 ヒナタは、王侯貴族よりも民を守る様に伝える。

 それを聞いて、グレゴリーがそう聞くと、ヒナタは淡々とそう言う。

 それを聞いたグレゴリーは、そんな風に叫んだ。

 その失敗はヒナタのせいであると。

 それに対して、ヒナタは。

 

ヒナタ「そう。だから全ては私の独断だったと言い張るつもりよ」

サーレ「なっ⁉︎」

リティス「ヒナタ様…………⁉︎」

 

 ヒナタはグレゴリーの責任転嫁については否定する事なくそう言い切った。

 サーレとリティスがそう反応する中、他のメンツは騒ついていた。

 すると、ヒナタが口を開く。

 

ヒナタ「安心しなさい。恐らく彼らは、こちらとの戦いまでは望まないでしょう」

サーレ「そこまで信用出来る相手なのかい?」

ヒナタ「私が言うのも何だけど…………彼らは信用出来ると思うわ。争いを避けたがっている様子だったもの。それに…………元は私と同じく異世界人だったそうよ」

サーレ「異世界人だっただって⁉︎冗談だろ⁉︎」

 

 ヒナタはそんな風に言うと、サーレはそう問いかける。

 すると、ヒナタは俺たちが異世界人である事を明かした。

 それを聞いて、サーレがそんな風に言うと。

 

ヒナタ「本当よ。向こうで死んでこっちでリムルはスライムに、エースは狐…………仮面ライダーギーツとやらに生まれ変わったそうよ。多分あれは本当の話だったのね」

 

 ヒナタはそう語る。

 実はヒナタは、優樹と接触して、俺やリムルの事を聞いていたのだ。

 

ヒナタ「今となっては少しだけ彼らに悪い事をしたと思うわ」

リティス「どういうことですか?」

 

 ヒナタがそう呟くと、意図を理解できていなかったのか、リティスはそんな風に聞く。

 すると、ヒナタは口を開く。

 

ヒナタ「私も利用されたのよ。東の商人にね。彼らから魔物が人に化け周辺の国を誑かしていると聞いたわ。そしてその魔物リムルとエースこそが私の恩師の仇だってね。だから私は迷わずに断罪を決行したのよ」

サーレ「それで逃げられたのかい?」

ヒナタ「そうね。そして今は魔王になっている彼らと事を構えるのは得策ではないということ」

 

 ヒナタは、東の商人に利用された事を伝えて、サーレの問いにそう答える。

 そして、俺たちと敵対するのは得策ではないと。

 

レナード「とはいえ、ヒナタ様を敵視しているとしたら…………」

グレンダ「仕返しを考えても不思議じゃないさね」

ヒナタ「兎も角、一度話し合いに出向こうと思っているわ。必要なら謝罪も辞さないつもり」

 

 それを聞いて、レナードとグレンダはそんな風に言う。

 仕返しを考えていても不思議ではないと。

 レナードとグレンダの言葉に、ヒナタがそう答えると。

 

アルノー「無茶だ!」

レナード「危険ですよ!罠に嵌められて殺されるかも知れません!」

リティス「そうでなくても配下の魔物共に襲われでもしたら…………!」

ヒナタ「落ち着きない。魔王リムルと魔王エースの考えを理解するのが先よ」

 

 アルノー、レナード、リティスはヒナタを心配したのか、そんな風に言う。

 ヒナタがアルノー達を落ち着かせている中。

 

ヒナタ『皆が思っているほど深刻な事にはならない筈。報告ではリムルはかなりのお人好しで、エースは必死に真実を伝えようとしていた。虫のいい話でしょうけど、こちらも本音で話せば分かり合えるかもしれない』

 

 ヒナタはそんな風に考えていた。

 実際、俺と最初に戦った際、俺は必死に元日本人である事を伝えていた。

 それが功を奏したのだ。

 ヒナタがそう考える中、会議室の扉をノックする音が聞こえてきた。

 

ヒナタ「やっと来たわね。入りなさい。」

 

 ヒナタがそう言うと、扉が開かれる。

 扉が開いて、会議室に入ってきたのは、レイヒム大司教と彼を此処まで案内したニコラウス枢機卿だった。

 

レイヒム「ファルムスの大司教レイヒム。招集に応じまかり越しました」

ヒナタ「早速ですが大司教。暴風竜復活の経緯(いきさつ)を…………」

 

 レイヒムがそう言う中、ヒナタが話を聞こうとする。

 すると、会議室の天井付近に光が収束していく。

 光が消えると、白基調の司祭服を着用し白いヴェールで顔を覆い隠した人物が三人出現した。

 

ヒナタ「くっ…………」

???「久しいなヒナタ」

???「息災か?」

???「どうした?何を驚いている?」

 

 ヒナタがそんな風に反応する中、その人物達はそんな風に話しかける。

 それを聞いたヒナタは。

 

ヒナタ「なぜここにあなた方が?」

サーレ「ヒナタ。あの人達は誰だい?」

ニコラウス「失礼ですよサーレ!こちらは七曜の御方々です」

 

 ヒナタがそう言う中、サーレは三人の事を知らないのか、その3人を指を指しながらヒナタに問い掛ける。

 それを聞いたニコラウスはそんな風に言う。

 

サーレ「しちよ…………七曜だって⁉︎あの伝説の⁉︎勇者を育てた事もあるっていう⁉︎」

ヒナタ「ええ。その通りよ」

 

 それを聞いたサーレは驚いた様にそう言う。

 それに対して、ヒナタが肯定すると、レナード達聖騎士団(クルセイダーズ)とサーレ達法皇直属近衛師団(ルークジーニアス)は起立する。

 一方、ヒナタの心境は。

 

ヒナタ『そう。私に七曜の試練を与えた連中。もっとも彼らの技術なんて私のユニークスキル簒奪者(コエルモノ)複写(コピー)出来てしまった』

 

 ヒナタは敬意を払うのではなく、面倒な事になりそうと内心頭を抱えていた。

 実際、七曜はヒナタの事を快く思っていないのか、度々邪魔をしてくるのだ。

 

『腐ってもルベリオスを長く支えてきた重鎮。奴らの発言権は大きい。厄介ね…………。今回は大人しく話をまとめなければならないのに』

 

 ヒナタはそんな風に思う。

 ヒナタにとって、今の七曜は老害でしかなく、話が変な方向に進まないかと警戒していた。

 すると、ヒナタは口を開く。

 

ヒナタ「それで、本日は何の御用なのでしょう?」

アーズ「フッフッフッ。そう警戒するでない」

ディナ「そこな大司教レイヒムが魔王リムルと魔王エースの情報を持ち帰ったのであろう?」

ヴィナ「我らも興味があるのだよ」

 

 ヒナタがそう聞くと、火曜師アーズ、月曜師ディナ、金曜師ヴィナはそんな風に言う。

 俺とリムルに関する情報が気になるのだと。

 それを聞いて、レイヒムは口を開く。

 

レイヒム「わ…………私は愚かでした。降り注ぐ光に、突如として、体の一部や急所が破壊されていく兵士達……………!」

 

 レイヒムはそう語る中、あの戦場での惨状を思い出したのか、頭を抱えて震え出していく。

 

レイヒム「恐ろしい………あまりにも恐ろしい者達を相手にしてしまった。あれは正真正銘の魔王です。我らの手で新たなる魔王達を誕生させてしまったのです」

 

 レイヒムはあの戦場での惨状を語り終えると、そんな風に話を締めくくる。

 それを聞いて、周りの者達がざわめいていると。

 

アーズ「ふむ。日曜師グラン様が得意とする陽光魔法に似ておるな」

ディナ「光を屈折させる魔法か。しかし、それならば対魔結界で封じられるであろう?」

ヴィナ「それにそこまでの威力はないはずじゃ」

アーズ「ならば、体の一部や急所が突如として破壊されたのはどうだ?」

ディナ「その様な魔法が存在するのか?」

ヴィナ「にわかには信じられぬ話じゃ」

 

 七曜の3人はそんな風に話す。

 だが、決定的な答えは出ずにいた。

 そんな中、ヒナタは答えが出ていた。

 

ヒナタ『魔法ではなく物理ね。陽光を反射させて収束させたのでしょう。でなければ容易に結界で防げる筈だもの。向こうの世界の科学知識も利用しているのね。それならばこちらの世界の人間には理解も対処も難しい………。エースの方は恐らく、仮面ライダーギーツの力でしょうね。優樹の話によると、仮面ライダーギーツには、破壊の力を使えるフォーム(ブーストフォームマークIII)があるらしいから。どの道、対処は不可能ね』

 

 ヒナタは、その現象の理由が物理魔法と破壊の力にあると見抜いていた。

 そして、現代科学と現代の生み出した創作物の力を使った俺たちに内心、戦慄していた。

 すると、レイヒムは口を開く。

 

レイヒム「お待ちください。あの光と現象も凄まじかったですが、恐ろしいのはその後でした。次の瞬間、戦場が静寂に包まれたのです」

ヒナタ「どういう意味?」

 

 レイヒムはそんな風に言う。

 レイヒムの口ぶりに違和感を持ったのか、ヒナタはそう聞く。

 すると、次の言葉にヒナタを含めた全員が唖然となった。

 

レイヒム「言葉の通りです、ヒナタ様。戦場にいた四万の軍勢…………その生き残った者達がその瞬間に死んだのです。助かったのは私とラーゼン殿とエドマリス王のみ」

 

 レイヒムはそう語る。

 心無者(ムジヒナルモノ)と破壊の力で死んだのを聞いて、文字通りの地獄に唖然となっていた。

 それを聞いていたヒナタは。

 

ヒナタ『天災級(カタストロフ)…………』

 

 ヒナタはそんな風に考えると、脳裏にルミナスとのやり取りが浮かんでくる。

 

ルミナス『忌々しい邪竜め!妾が考えた仕組みもあやつ1人に潰されたわ。上質な食糧である人類が滅ぼされてはかなわんから、仕方なく保護する事にしたのよ』

 

 ルミナスは苦々しげにそんな風に語る。

 ヴェルドラに対する苛立ちと、保護する事になった経緯を聞いていたのだ。

 それを思い出したヒナタは。

 

ヒナタ『ルミナス様でも手に負えない存在。それに該当するのは…………ヴェルドラと2人の覚醒魔王。”暗黒帝王(ロード・オブ・ダークネス)”ギィ・クリムゾンと、”破壊の暴君(デストロイ)”ミリム・ナーヴァ…………』

 

 ヒナタはそんな風に考えていた。

 天災級(カタストロフ)に該当するのは、ヴェルドラとギィとミリムのみ。

 そして、戦場で起こった惨状を聞いて、ヒナタはある結論に辿り着いた。

 

ヒナタ「そうか。魔王リムルと魔王エースは、覚醒しているとみるべきか」

サーレ「その通りだろうね。伝承にある2人の大魔王と同じ様に大量の魂を得た可能性が高い。どうする?ここで放置すると手が付けられない脅威になるんじゃないか?」

 

 ヒナタはそう結論づける。

 俺とリムルが、既に覚醒しているのだと。

 それを聞いたサーレは同意しつつ、そんな風に聞く。

 

アルノー「落ち着け!魔王リムルと魔王エースが元人間で人類との共存を願っているなら無理に戦う必要はない筈だ!」

リティス「そうね。向こうの出方を見るべきよ」

レナード「だが、4万もの騎士達を躊躇わずに屠ったのが事実なら紛れもない脅威。このまま魔王リムルと魔王エースを信じてもいいものか…………」

 

 アルノーは落ち着く様にそう言い、リティスがそう言う中、レナードはそんな風に考えていた。

 共存を望んでいる以上、戦う理由はないが、四万もの命を何の躊躇いもなく屠った事を理由に、信じていいのかと葛藤していた。

 

ヒナタ「その件については私に考えがあるから皆、予定通り情報収集に…………」

 

 ヒナタが皆を落ち着かせる為に指示を出していく。

 すると、アーズがレイヒムに問い掛ける。

 

アーズ「おぉ、レイヒムよ。他に伝言はないのか?」

レイヒム「そ………そういえばこれを………」

 

 アーズがそう問いかけると、レイヒムはそう言って、懐から水晶球を取り出す。

 

レイヒム「魔王リムルと魔王エースより、ヒナタ様への伝言だとか」

ヒナタ「私に?」

 

 レイヒムがそう言うと、ヒナタはそう首を傾げる。

 ヒナタは水晶を受け取ると、メッセージを見る為に起動する。

 そこには、俺とリムルが映し出されていた。

 

ヒナタ『……驚いた。数ヶ月前とはまるで雰囲気が………』

 

 ヒナタはそんな風に反応していた。

 すると。

 

リムル『相手してやるよ』

エース『ああ。俺とお前の一騎打ちでな』

 

 俺とリムルの映像はそう言うと、消えていった。

 他の人たちは、俺たちが一騎打ちを望んでいると聞いて、唖然となっていた。

 それを聞いて、ニコラウスは口を開く。

 

ニコラウス「ど………どうしますか?ヒナタ様」

アルノー「ヒナタ様!俺が行きます!魔王の野望を打ち砕いてご覧に入れましょう!」

サーレ「おいおい。君は剣の腕は確かだが、頭の方に問題があるようだね」

アルノー「何だと!」

サーレ「さっき手出し無用とヒナタが言っただろう。手を出せばそれこそ他の魔王まで黙っていない。しかも覚醒しているとなれば、ここは穏便に申し出を受ける方がいいと思うな」

リティス「そうよ、アルノー。それに向こうには暴風竜がいます。隊を率いて討伐となれば、西側諸国を巻き込んだ大戦となるかもしれません」

 

 ニコラウスがそう問いかける中、アルノーはそう叫ぶ。

 それに対して、サーレとリティスの二人はそう言う。

 一方、ヒナタはというと。

 

ヒナタ『どうしたものかしら………邪魔なクレイマンを消したから次は私の番ということ?不自然ね。わざわざこのタイミングで復讐を?それにどうしてアーズはレイヒムが伝言を預かってるって知ってたのかしらね…………』

 

 ヒナタはそんな風に考えていた。

 違和感を感じたのだ。

 あまりにも不自然すぎるが故に。

 すると。

 

レイヒム「あっ…………うわっ⁉︎」

 

 レイヒムがそんな声を出すと、レイヒムの懐から何かが出てくる。

 レイヒムから出てきたのは、スパイダーモードとなったスパイダーフォンだった。

 

ヒナタ「これは?」

レイヒム「そ、それは…………魔王エース様から渡されていた魔道具です」

 

 ヒナタがそう聞くと、レイヒムはそう答える。

 なぜ、レイヒムがスパイダーフォンを持っているのか。

 それは、メッセージを録音したところまで遡る。

 


 

 俺たちがメッセージを水晶に録音し終えると。

 

リムル『…………さて、こんなもんかな』

エース『ああ。…………一応、念には念を入れるか』

 

 リムルがそんな風に言う中、俺はそう呟くと、スパイダーフォンを取り出す。

 

リムル『エース?何するつもりだよ?』

エース『念の為、さっきのメッセージをスパイダーフォンにも録画して、レイヒムに渡す』

リムル『えっ?何でだよ?』

エース『念には念をって言っただろ?あの水晶じゃ、メッセージの書き換えは容易だろうからな。これなら、そう簡単にはメッセージの書き換えは不可能なはずだ。それに…………シズさんもちゃんと伝えたいだろ?』

 

 リムルがそう聞くと、俺はそう答える。

 あの水晶では、後からメッセージを書き換えるなんて芸当は容易だろうからな。

 悪意ある第三者の手によって。

 俺はそう言って、シズさんの方を見る。

 

シズ『うん。ヒナタにはちゃんと分かって欲しいから』

リムル『シズさん………エース、頼む』

エース『ああ』

 

 シズさんがそんな風に言うと、リムルは俺に向かってそう言い、俺はスパイダーフォンに先程のメッセージの録画をして、シズさんのメッセージを入れる。

 こんなやり取りがあったのだ。

 


 

 そうして、現在に至る。

 スパイダーフォンは天井に向けて糸を発射すると、空中にぶら下がり、映像が映し出される。

 

エース『よう。俺は九星魔王(ノナグラム)の魔王が一人、”創世九尾(クリエイトナイン)”エース=テンペストだ』

 

 その映像に映る俺がそう言うと、他の人たちは驚いて、ヒナタは無言で見つめていた。

 

エース『スパイダーフォンが起動したってことは、メッセージは正しく再生されなかったみたいだな。本当のメッセージはこんな感じだ』

 

 俺がそんな風に言うと、正しいメッセージが再生されていく。

 

リムル『ようヒナタ。あの日以来だな。魔国連邦(テンペスト)盟主リムル=テンペストだ』

エース『同じく、魔国連邦(テンペスト)盟主、エース=テンペストだ』

 

 俺とリムルは狐とスライムの状態でそんな風に言う。

 すると、リムルが口を開く。

 

リムル『あの時はこっちの言い分も聞かずよくもやってくれたな。お陰で大変だったんだぞ』

エース『まあ、俺もリムルも、そっちの立場は理解している。魔物は悪というのが、西方聖教会の教義なんだからな』

 

 リムルがわざとらしくそんな風に言うと、俺はそう言う。

 俺たちが人間態になると。

 

リムル『だからこういう形で提案することにした。お前にはシズさんと会ってもらいたいし、ルベリオスと魔国連邦(テンペスト)の関係についても、お互いの意見を取り入れたうえで構築もしていきたい。その為にも、話し合いの場を設けたいと思ってる』

エース『少しでも聞く耳を持ってくれるなら、応じて欲しいとは思っているが、それが無理なのなら、誰にも迷惑がかからない様に決着をつけよう』

 

 俺とリムルはそんな風に言う。

 そして、先程の様な真面目な表情になると。

 

リムル『相手してやるよ』

エース『ああ。俺とお前の一騎打ちでな』

 

 先程のメッセージの様にそう言う。

 すると、そんな気配はすぐに消えた。

 

エース『…………とは言ったが、可能ならば話し合いで平和に解決したい。これ以上の戦いは無益だろうからな』

リムル『…………そんなわけで、良い返事を待ってるからよく考えてみてくれ。それじゃあまたな』

 

 俺とリムルはそんな風に言うとメッセージを締め括り、メッセージが終わった。

 それを聞いて、俺たちが話し合いを求めている事を察したのか、レナード達は安堵の表情を浮かべる。

 すると。

 

エース『…………とまぁ、これが俺とリムルの総意だ。ここから先は、俺個人として伝えたい事がある』

ヒナタ「あなた個人の?」

エース『レイヒムから話は聞いたはずだ。ファルムスとの戦闘で起こった本当のことを。ルベリオスの者達からしたら、俺たちは四万もの命を奪った存在に見えるだろう。だが、それが俺たちの覚悟だ。仲間を救う為の…………な。アンタらには分かって欲しいんだ。俺たちはただ、平和に過ごせればいいんだってな』

 

 メッセージはまだ続き、俺はそんな風に言う。

 そこから、魔国連邦(テンペスト)の発展に関する映像が流れていく。

 最初は小さなゴブリンの村から始まり、様々な出来事を経て、街が発展していく。

 その中には、俺とリムルがイフリートからシズさんをどの様に救ったのかも含まれていた。

 だが、途中からある光景が映る。

 それは、ファルムスによる蹂躙劇だった。

 逃げ惑う者や、家族を守ろうとする者達に対して、ファルムスの兵士は容赦なく命を奪った。

 笑いながら斬り殺していく様には、その場にいる全員が唖然となり、リティスは手で口を覆った。

 そして、場面はある光景が映る。

 

フォルゲン『この街は、魔物に汚染されておる!我らは人類の法を守る者として、魔物の国など、断じて認めぬ!故に、西方聖教会とも協議し、この国への対応を考えるものなり!時は今日より1週間の後!指揮官は、英傑の誉れ高いエドマリス王、その人である!降伏して、恭順の意を示すならばよし!さもなくば…………神の名の下に、貴様達を根絶やしにしてくれようぞ!』

 

 それは、俺が目撃したフォルゲンの発言だった。

 それを聞いて、ヒナタは拳を握りしめた。

 西方聖教会の教義を、自分たちの私利私欲の為に利用していたファルムス王国に怒りが湧いていた。

 侵略の為の大義名分に利用されていたのだから。

 

エース『……………ファルムスによって、多くの命が奪われた。だが、俺とリムルはミリムから教えてもらった真なる魔王に進化する事への奇跡に賭け、覚悟を決めたんだ』

 

 俺はそう語る。

 本来はエレンから教えてもらったのだが、流石にエレンの名前を出すのはまずいので、ミリムに承諾を貰った上で、ミリムから教えてもらった事にしたのだ。

 そして、場面はファルムスの兵士達の光景に移った。

 

兵士『けっ。そんなケチな装飾品を売らなくても、俺らはこれからたんまり稼ぐんだぞ。噂じゃテンペストだか言う国は偉い豊かなんだろ?』

兵士『この遠征の功労者には、そこの統治権が与えられるって聞いたぞ』

兵士『え⁉︎俺らが⁉︎』

兵士『バーカ。そりゃお偉方の話だ。まあ、俺達もそのおこぼれに与るけどな』

兵士『それに聞いたか?先遣隊の話じゃ、魔物と言っても美女が多いらしいぞ』

兵士『うわ、本当か⁉︎って事は、現地で発散もあり⁉︎』

兵士『お前にはゴブリンがお似合いだよ』

兵士『んだとてめぇ⁉︎』

 

 映し出された兵士達は、そんな下衆な話をしていた。

 ヒナタ達がペンダントを持っていた男と同様に顔を顰める中、一人の兵士が話しかける。

 

兵士『ちょっと……………いくら何でも、民間人に手を出すのは…………』

兵士『『人』じゃねぇだろ。奴らは魔物だぞ。西方聖教会のお墨付きがある。魔物には何をしたって良いんだよ』

 

 その兵士がそう言う中、他の兵士たちは、そんな風に言う。

 そのあまりにも欲望に染まった目を見て、サーレ達は不機嫌そうにしていた。

 西方聖教会のお墨付きという言葉に。

 自分たちの存在を、侵略した先で何でもしていいという免罪符に捉えていたのだから。

 そして。

 

フォルゲン『心を殺したか。予定より早いのでは無いか?』

ラーゼン『仕方あるまいて。こやつは最早、使い物にならなかった。しかし、残念じゃったな。恭弥の切断者(キリサクモノ)は失われ、希星の狂言師(マドワスモノ)は魔物共の方に渡ってしまった』

フォルゲン『構わんさ。次に期待するとしよう』

ヒナタ『なんてことを……………!』

 

 場面は、ラーゼンが省吾の精神を破壊して、フォルゲンと会話をする場面に移った。

 それを聞いて、ヒナタは憤慨していた。

 ファルムスが裏で異世界人を召喚し、更に利用するだけ利用してその身体を奪い取るという所業をしていたと知ったのだから。

 

エース『…………とまあ、これがファルムス王国がどういう意図を持って動いたのかだ。確かに、俺たちは四万もの命を奪った。それは紛れもない事実だ。だからこそ、俺とリムルはその罪を背負い続ける。そして、無益な殺生を俺たちは望まない。いい答えを待ってる。あとは、シズさんからのメッセージを伝える』

 

 俺はそう言って、メッセージを締め括る。

 そして、シズさんが映し出される。

 

ヒナタ『シズ先生…………!』

シズ『ヒナタ、久しぶり。元気にしてるかな?エース君から聞いたよ。私が二人に殺されたって。それで、メッセージを送る事にしたの。私はこうして生きてるから大丈夫だよ。むしろ、私はリムルさんとエース君に救われたの。リムルさんとエース君はヒナタの思う様な悪い魔物じゃないよ。その事を直接伝えたいから、ヒナタが来るのを待ってるよ』

 

 ヒナタがそんな風に思う中、シズさんはそう語っていく。

 それを伝え終えると、メッセージは消えて、スパイダーフォンはフォンモードになる。

 静寂に包まれる中、ヒナタはレイヒムに問いかける。

 

ヒナタ「…………レイヒム大司教。ファルムスの行いは本当なのかしら?」

レイヒム「…………はい。全てはエース様のメッセージ通りでございます」

 

 ヒナタがレイヒムに問いかけると、レイヒムは肯定する。

 つまりは、西方聖教会の教義を大義名分に好き勝手やっていたのだと。

 それを聞いた他の人たちは。

 

アルノー「それでは、ファルムスの行いは自作自演という事ではないか!」

サーレ「確かに、僕たちは魔物を敵視しているけど、あれはファルムスの自業自得だね」

リティス「あの映像を見る限り、魔国連邦(テンペスト)に落ち度はありませんね」

フリッツ「むしろ、ファルムスの行動のせいで覚醒魔王を二人も誕生させて、暴風竜を復活させてしまった結果になりましたからね」

レナード「ええ」

 

 アルノー達はそんな風に反応する。

 ファルムスがリムルとエースの逆鱗に触れた結果、覚醒魔王を二人も誕生させて、ヴェルドラの復活を許してしまったのだと。

 それを聞いていたヒナタは。

 

ヒナタ『…………エースは、自分達のメッセージが正しく伝わらない可能性を考慮して、このスマホみたいな物をレイヒムに渡したのね』

 

 ヒナタはスパイダーフォンを見つめながら、そんな風に思っていた。

 ヒナタはそんな風に思うと、水晶をテーブルに置く。

 

ヒナタ「落ち着きなさい。とにかく、これでリムルとエースが対話を望んでいる事が分かった以上、私が出向くわ」

ニコラウス「ヒナタ様!」

アーズ「フッフッフッ。その決断や良し!」

 

 ヒナタはそう告げる。

 対話を望んでいると分かってはいるが、ニコラウスは心配になってそう叫ぶと、アーズはそう遮る。

 

ディナ「神ルミナスのご加護がお前を守るだろう」

ヴィナ「魔王リムルと魔王エースは確かに脅威」

ディナ「話し合いが不調に終わっても心配はいらぬ」

ヴィナ「お前ならば倒せるだろうよ」

アーズ「だがヒナタよ。お前は忘れている」

ディナ「左様。あの邪竜の存在をな」

ヴィナ「いかにお前とて、あの邪竜は倒せぬ」

 

 七曜の3人は幽霊の様にヒナタに近寄る中、そんな風に言う。

 実際、ヴェルドラはヒナタでも倒せるかは怪しいのだ。

 すると。

 

アーズ「自惚れるなよ、ヒナタ」

ヴィナ「あの邪竜には、いかなる攻撃も通用しないのだ」

ディナ「しかしヒナタよ、安心するがよい」

ヴィナ「お前にこれを授けよう」

アーズ「この竜破聖剣(ドラゴンバスター)をな」

 

 アーズ達はそんな風に言うと、レイヒムの頭上に魔法陣が現れる。

 すると、魔法陣から七曜が用意した聖剣が現れて、ヒナタの前に浮かぶ。

 その聖剣を見たヒナタは。

 

ヒナタ『……………やれやれ、あからさまね。…………思惑が透けて見えるわね。そうまでして排除したいかしら。ヴェルドラ…………いえ。自分達以外にルミナス様の寵愛を受ける存在()を」

 

 ヒナタはそう思っていた。

 七曜がヒナタがヴェルドラを始末もしくは差し違える事を狙っているのだと。

 ヒナタはその聖剣を両手で受け取る。

 

ヒナタ「謹んでお預かり致します」

ディナ「首尾良く事を運ぶが良い」

ヴィナ「期待しておるぞヒナタよ」

アーズ「もしもの場合は、その剣がお前を守るだろう」

 

 ヒナタがそう言うと、七曜達はそう言い残して、光となって消えていった。

 それを見ていたヒナタは。

 

ヒナタ「留守は頼んだわよ、レナード」

レナード「はっ………」

ヒナタ「これにて合議を終了する。各自、それぞれの役目を全うする様に」

 

 ヒナタはレナードに留守を任せると、そんな風に言う。

 こうして、ルベリオスの両翼会議は終了する。

 一見、割と平和的に終わった様に見える。

 だが、悪意はまだ暗躍を続けていた。




今回はここまでです。
今回は、両翼会議の話です。
神聖法皇国で行われた両翼会議。
リムルやエースに対する対応が話し合われた。
改竄されたメッセージが伝わりそうになる中、エースのスパイダーフォンが届いて、正しいメッセージが伝わりました。
だが、七曜の暗躍は止まらない。
果たして、どうなるのか。
次回も楽しみにしていて下さい。
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