御三家に生まれたので生存戦略を遂行する   作:超甘味

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妄想と捏造の産物とご理解ください〜
ではいってらっしゃいませ。






俺、結婚式楽しみだったのに。

 

 

 やぁどうも、禪院征哉だよ。モブクンって呼んでくれ。

 さて、今日も我が弟ちゃんは可愛い。そして相も変わらず禪院家での俺の立場は相伝(かす)った出来損ないで固定。

 はぁ、ジジイ共も見る目ねぇな!ま、そのおかげで(嫌がらせ以外だと)動きやすいのでOKです。

 

 

 話は変わるがゴリラは無事に高専を卒業し、ヤガ先の推薦の元で高専の術師として活躍中だ。

 京都校だったらそんな配慮はしないだろうし、何よりヤバいゴリラを野に放っていたと思うと無理やりでも東京校にぶち込んだ当時の判断は正しかったわけだ。ナイス俺!

 

 

「……は?今なんて言った」

「だからァ、何度言わせんだよ。……俺、結婚する」

「?ケッコン……?え、結婚?クソゴリラが?」

「おい」

 

 

 前にも話したように定期的に俺の体術を見てくれる甚爾。

 今日もそのつもりで本家に帰省してきたわけだが、一段落した休憩中に衝撃的事実を零しやがった。

 

 

 ゴリラが嫁さんを射止めただと???いや、違うな。嫁さんの方が甚爾を落としたのか。

 それでも結婚ってマジ?えっ、じゃあ、あと数年で恵が爆誕する……ってコト!?わお、もうそんな時期か……。

 

 

「……ハッ!式は挙げる?籍はいれた??お相手は???子供は何人欲しい!?祝いにオーダーメイドで複製した特級呪具【黒縄】あげるね!!!」

「待て待て、早ぇよ!!式は挙げねぇし、籍はまだだ!何より俺は禪院だから色々問題があるだろ。つか【黒縄】って言ったか?それは欲しいからくれ」

「あ、そっか。で?呪具より子供は何人欲しい!?!?」

 

 

 うーん、面倒だな。ゴリラの結婚報告で本家が邪魔してくるのはほぼ確実だ。高専在学中の甚爾の活躍は目を見張るもので、家のジジイ共と上層のジジイ共(いずれも俺情報)は目を光らせてる。

 

 

 入学当初の不慮の一級(絶対不慮じゃない)を祓った件が決定打になり、あわよくば言いくるめて手元に置いておきたいデュフフとか思ってんだろ。

 散々猿扱いした癖に今更手のひら返しとか笑える。上層部は言わずもがなクズ!

 

 

 あ、あと今サラッと言ったけど武倶さんに頼んだ黒縄は既に完成してる。意外と仕組みが楽らしい。天逆鉾と比べて。

 ……いや、そりゃそうだろ。あんなのと比べちゃったらその他の呪具なんて全部簡単な作りでしょ。頭おかしいよ武倶さん。

 ミゲルの国の術師が数十年かけて作り上げたのを1年くらいで完成させるとかさぁ……。頭おかしいよ武倶さん。

 

 

 そんなキチガイな武倶さんでも天逆鉾はぜーんぜん出来てないから年単位で待ってろだってさ。

 結構頑張ってるらしいんだけどなかなか上手くいかないみたい。別に大丈夫っすよ。数年くらい余裕で待ってるんで。ほら、ゴリラもそう思うってさ。

 

 

「じゃあ提案なんだけどさ、禪院との縁は残しておいてお前が婿に行けば?」

「はぁ?縁なんか残してどうすんだよ」

 

 

 はぁ?逆に縁を残さないでどうするんだよ。甚爾は嫁さんとそれから未来の子供たちが危機に陥った時どうすんの?当てはあるのかよ。

 

 

 多分東京校の人たちは率先してくれるしだろうし、この数年の甚爾の人脈たちも動いてくれると思うけどさぁ。

 酷い事を言えば俺は原作を知ってるわけで…、だからツンデレなウニちゃん(伏黒恵)が『十種影法術』を発現するのも当然ながら知っているわけで……。

 

 

 事実、相伝が関わる問題に部外者は立ち入ることが出来ない。

 しかも禪院家(御三家)の相伝。絶対起こるだう強制執行拉致にどう抗えって言うんだよ。相手が悪すぎてどうにもならないね。

 ん?じゃあ、原作通りに悟を頼ればって?バカ言え、俺と悟で家同士の関係修復頑張ってるのにそんな事したら水の泡だろ。って事で悟に頼るのも無しだ。

 

 

「完全に縁を切った場合、禪院とは他人となる訳だから後ろ盾が無い状態になるって事だ。いい意味でも悪い意味でもお前は目立ちすぎた。上層部や禪院家はお前を逃さないぞ」

「危険分子は摘むべしってか?保身と野望も程々にして欲しいぜ」

「そうとは言うがお前は大丈夫だろ、なんたってゴリラだし」

「おい」

「でもね、甚爾の周りはどうするんだ?お前みたいに自分で自分の身を守ることはできないし、多分お相手さんは非術師でしょ。なら縁を切るのは愚策だ」

 

 

 人質とか全然有り得るからね。原作だって甚爾の嫁さんは死んだ。病死か事故死、はたまた他殺かは分からないが最悪を考えなければいけない。

 実際ジジイ共がやること成すこと考えることは真っ黒くろすけなのである。そういう界隈なんだよ、この呪術界は。

 

 

「将来子供が生まれた時、禪院の血で術師になる可能性が高い。その子がもし相伝とかだったらどうする?お前だけで守れるかよ」

「……」

「婿に行くって俺からパパに言っておくからさ。嫁さん大事にしろよ」

「………おう」

 

 

 はぁ〜……、口元緩んじゃって!幸せそうで何よりですよ。

 おい、甚爾よ。嫁さんほっといて遊びまくったら俺がお前を殺してやるからな?嫁さんの分まで痛めつけてあの世に送ってやるからな?

 

 

「当たり前だ、アイツ以外要らねぇよ」

「あれ、声に出してた?」

「バッチリな」

 

 

 おっと、失敬…。まぁ、俺vsゴリラで勝てる気しないけど浮気は絶許なんでね!嫁さんの代わりに俺が殴る。黒閃だったら流石のゴリラも(ひる)むでしょ、きっと!

 

 

「あ、そうだ。これも持っていきなよ」

「あ?ンだこれ」

 

 

 狙われるどうこうの話をしていたら思い出した。影から取り出したのは『持ってるだけで安心安全1000%の呪具(完成版)』である!!!

 ゴリラには必要ないかもしれないけど嫁さんには必修だからね。

 

 

「俺が作った呪具だよ。呪術関係はある程度跳ね返せるし、致命傷レベルの物理攻撃も吸収する優れ物。ただし1回きりの使い捨てだし病気とかには通用しないから気をつけて。あと軽く転んだくらいじゃ物理攻撃無効は発動しないからね」

「は?なんてモン作ってんだよ……。バレたら封印待った無しで即没収じゃねぇか」

「………バレなきゃいいんだよ。(やべ、考えてなかった……)」

 

 

 この呪具、()()()()で言えば1ヶ月で完成した。

 最初は鈴だけを影に入れて術式効果を付与しようと思ったんだけど、これがなかなかできなくてね。第1軍の50個全部爆発しちゃった。テヘッ☆

 

 

 器が脆い上に、ただの鈴と術式効果を結びつけるのにとても苦労した。

 上手く効果を付与できたと思ったら次の瞬間には鈴が耐えきれずに爆散。細かい鉄の塊が飛び散るのは凶器だった………。失明しかけたね!

 

 

「こりゃ自力でか?」

「いや、呪具師にもアドバイスをもらったよ。おかげで完成した」

 

 

 ほぼ毎日挑戦して1ヶ月経った頃(全部失敗)。追加の第2軍・第3軍の50スタックも使い切ったので、さらに注文しに武倶さんの元へ向かった。その時に武倶さんが悩んでる俺を見兼ねてアドバイスをくれたんだよね。

 

 

 「お前は目が悪い。メガネをかけずに針に糸を通そうとしてるからちゃんとメガネをかけろ」だって。

 ……ん?武倶さん、何言ってんの?例えが絶望的なんだけど?

 

 

 ってな訳で翻訳すると、メガネが影、針が鈴、糸が術式だね。

 メガネをかけてないってのは多分、俺が影の外で作業してることを表している。要は「影の中で作ってみ?」って言いたかったんだな。うん。

 

 

 結果は微妙に成功。影の外でやるより術式効果の定着率が良かった。

 でもやっぱり器が耐えきれなくて爆散したし、運良く生き残ったやつも術式効果が不発でぶっ壊れた。細かい作業がニガテなのである。

 

 

 何がいけなかったか、現実時間換算での一週間を影の中で考えた。ほら、影の中って法則が通用しないから時間も流れないんだよ。俺の感覚的に1週間って話。

 

 

 で、鈴と影に相関関係が無いから?って結論を出した。

 確かに全く関係ないものに術式効果を付与するのは無理だよな。武惧さんの術式でもあるまいしそりゃ爆散もするわ。けど失明しかけたのは許すまじ!!!

 

 

「5つも?大丈夫なんかよこれ」

「お前と嫁さんの分。いくつあっても困らないでしょ?とりあえず1人2、3個ずつね」

 

 

 相関関係が無い以上どうにかしなきゃいけない。

 そこで思いついたのが核と媒体を使う方法。ちっせぇ鈴に核は無理だから、消去法で媒体を使うことが決まった。

 

 

 影を媒体にするのもいいけど、式神と同じような感じだったら更なる負荷がかかるので却下。

 だから術式と馴染み深い俺自身を媒体にすることにした。あ、寿命とかじゃなくてただの血なんで心配しないでね。

 

 

「まぁ、ありがたく貰っとくわ。…って、説明書まで付いてんのかよ……」

「奥さん用にもっと詳しく書いたの」

「はぁ、お前も無理すんなよ」

 

 

 嬉しさからなのか頭をぐしゃぐしゃに撫でられた。

 俺が汗水垂らして作ったんだから大事に扱えよ?無くしたとか抜かしやがったら許さねぇぞ。ジジイどもびっくりな特級呪具認定レベルの性能してるんだからな?

 

 

「暇があったらアイツを紹介させてくれ」

「うん、俺も甚爾を落とした人に会ってみたい」

 

 

 ま、この呪具のことがバレたらその時だ。今考えても仕方ない。

 それにしても甚爾の嫁さんね……、きっと優しくて寛容なんだろうな。実際に会うのが楽しみである。で、子供は何人欲しい!?!?

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 甚爾に鈴を5個渡し、残る在庫は11個(まだまだ作る予定ではある)。

 1個1個確実に術式効果が発動するように作ってるので集中力と技術力をフル稼働にしても1個作るのに現実時間換算で2週間かかる。

 

 

 影の中で作業してるので傍から見たら一瞬で出来上がる訳だが、睡眠なし・食事なし・休み無しの俺の精神的疲労感はハンパない。

 時間経過は存在しないので睡眠欲も食欲も感じないが気分(精神)は変わるってモンなのだ。

 俺の顔色を見た直哉が動揺しまくって鬼ビビるくらい最悪だったって言ったらわかる?あ、分からない。そうっすか。

 

 

「……つ、疲れたぁ…………」

「おつかれ兄ちゃん」

「ウグッ……イイコ……、ありがとね」

 

 

 パパと直哉にもあげるついでに「こうやって作ったんだよ〜、俺凄くね?」って話したらパパに大笑いされたので腹に1発入れといた。

 素手だったのでダメージは皆無だろうけど、殴っとかなきゃ俺の気が済まない!

 

 直哉からは「兄ちゃん頑張りすぎやで、休まんと持たへん!せやけどおおきに!」とのお言葉を頂きました。

 弟ちゃんがめっちゃいい子だし可愛いすぎて鼻血出た。いや、これ疲労のせいか……?

 

 

 パパに2個と直哉に3個あげたので現時点での残りは6個。悟にも何個かあげる予定ではある。いくら現代最強や天才と謳われようがまだ子供だし守るべき対象なので。

 

 

 ってことで文通してる悟と久しぶりに会うことになった。年に1、2回会えるか会えないかだけどちゃんと友達(マブ)やってます。

 大きな会合くらいでしか顔合わせができないのが辛いね……。まぁ、俺の友達って言ったら悟くらいしかいないので!別に悲しくなんてないヨ!!

 

 

「よっ!征哉、元気だった?半年振りじゃん」

「久しぶり、鈴作りで精神的に弱ってるけど元気だよ。はいこれ、例のやつ」

「あぁ、手紙で書いてあったやつね。スゲェ、視てみても完成度高ぇな」

「(悟のお墨付きあざす!)結構まじで頑張ったから肌身離さず持っててね」

「おう、ありがとな!俺からもこれやるよ」

「ん?これは……」

 

 

 物々交換で渡されたのは五条家が所有する3級呪具【赤光(しゃっこう)(はこ)】、【赤光】もしくは【函】と呼ばれる呪具だ。

 

 

 一般的には呪霊を生け捕りにする際に使用される正方形型の呪具である。

 等級は低いが、場合によって特級レベルの呪霊も封印できるらしい。……何それ有能やん。そんなのくれるの?ありがと……。

 

 

 ちなみに呪霊限定ではなくて呪力を持ったナニカならいいって定義なんで生きてる人間を封印するのも可能ではある。でも対呪霊用に作られてるのでオススメはしないらしい。

 

 

「思ったんだけどお前無理してんだろ?」

「そりゃ呪具作りは初めてだし無理もするよ」

「いや、それじゃなくてさ。式神の方な」

「…………あー」

 

 ………ねぇ、その話やめない?ゴリラに1から確信を突かれて論破されながら怒られて、直哉に泣きながら「やめてや!そのうち脳が焼き切れて死ぬで!?」って怒られて、パパにはお前はとんだ問題児だって呆れられながら怒られた俺を想ってその話やめよ?ね?

 

 

「視るからに脳の方に呪力回してんじゃん。保護のためなんだろうけど補いきれてないぜ」

「うん、反転術式があればよかったんだけどね。今の俺にはこれが限界なんだよ」

「保護しなかったらとっくに死んでるレベルで焦ったわ。ダメージ軽減はされてるけど脳に蓄積されてるでしょ。だいぶ体にキてんじゃねぇの?」

「……頭痛と鼻血が、少し。あと視力が落ちた」

「少しどころじゃねぇだろ。俺に嘘つくなよ」

 

 

 嘘をつかれたのが嫌だったのかめちゃくちゃ睨まれた。怖っ、と同時に六眼スゴすぎー!と思った。

 ま、悟は元々頭の回転がいいしこのくらいはお手の物か。

 本当のところ、頭痛は常時まぁまぁ、鼻血は4日に1回レベル、新しい式神を作った際の吐血が2、3回ってとこだ。嘘ついたのはごめん。悟を心配させたくなくて……。

 

 

 このままいけば俺は長くても20代後半までに死ぬ、と思う。現在進行形で悪化してるのでね。

 初期のタスクに『アラサーまで兄弟イチャコラ』とか『死亡理由は老死』ってあったけど、残念ながら叶えられそうにない。

 

 

 式神を作ったのは間違いだったかもしれないが後悔はしてない。

 なんたって俺の術式効果を付与した貴重すぎる式神は俺の生涯にわたる自慢なのだ。

 俺の考えだと影法術師同士ならちゃんと過程を踏めば式神を引き継ぐことが出来るかもしれないので未来の恵に継承させるのもいいかもとも思っている。

 

 

「お前さぁ、……もっと体大事にしろよ。術師の資本だぜ?」

「わかってるよ。(少なくとも原作が終わるまでは生きる)」

「はぁ……、そう言うと思ったわ。俺、お前に死んで欲しくないんだからな……」

 

 

 目を伏せて耳がほんのり赤くなった悟を見る。それに俺は居心地の悪さを感じて、それでいて悟がそう思ってくれてる嬉しさに顔が熱くなった。

 悟は俺が早死するレベルの負荷を負ってるって知らないから、まだ軽く捉えて死んで欲しくないなんて言ってくる。

 それでふと、直哉とか悟を残して逝くのは辛いなって思った。パパは長生きしそうだから息子が先に逝っちゃうわけだし、ちょっとごめんって感じ。

 

 

 ……ま、話を続けると、俺的に自業自得で死ぬのはいいが殺されるのは絶対ヤダって持ち前である。

 だから原作の地獄を超えたいわけ。今から『死亡理由は自死』にタスク変更しようか。予測成功率は9割くらいだし達成しやすそう。

 

 

 それから、俺が死んだ後(原作後)にも地獄が続くか否かが問題だ。

 さっき言ったけど1000年前の呪術全盛期を除く原作時が地獄のピークだと思っているので、後世までクソ沼な地獄とかは俺が許さない。

 

 

 残す人達のことを考えるといたたまれないし、もし俺が死んだ後に弟ちゃんがヤバいことにでも巻き込まれたら俺がリアル地獄から()いずり上がってでも邪魔するつもりだ。

 俺の命も大事だが弟ちゃんも大事!愛してるから!今まで目覚めもしなかった死に戻りをする根性……、なるほどこれが愛か。

 

 

「ってことで死に急ぎのお前の為に、式神維持についての対策をいくつか練ってみた」

「え、俺の為に?」

「あ?そうに決まってんだろ」

 

 

 は?俺の為に……そっか。そうなんだ。何それ、めっちゃ嬉しいんだけど。

 他人のことはミリも気にしないタチだと思ってたからビビったわ。自分のために何かしてくれるってめっちゃ気分いいね。

 

 

「照れてんの?」

「……お前のせいだよ、バカ」

「へー、珍し。……可愛いとこあるじゃん」

「もういいから!で!?もしかしてこの呪具が関係してる?」

 

 

 【函】は封印用途の呪具だから、もしかして俺が維持してる式神を封印するってこと?封印状態ってことは中の時間が止まるわけだから………あ、つまりこれで術式切っても、ワンチャン影に戻らないで式神状態を維持できる……?

 うわ、この内容を悟は考えたのか。すごいな悟。一か八かではあるが俺は思い付かなかった。

 

 

「【函】って内側が頑丈な代わりに外側がちょーーー脆いんだよ。ちょっとした衝撃ですぐ破壊されんの。けどそれなりに容量はある」

 

 

 悟の説明によると、容量豊富で中が頑丈だから特級レベルも封印できるけど、ポケ○ンボールみたいに投げたらすぐぶっ壊れるとの事だ。封印したいなら戦闘不能状態が前提だよ!ってなると扱いづらいな。

 戦闘中に「オラ、出てこいピ○チュウ!」とか「ポ〇モンゲットだぜ!」みたいに投げることも出来ないしなぁ……。こりゃ3級判定になるわけだ。

 

 

「俺が考えてること、征哉なら分かるだろ?」

「うん、理解した。式神を封印して、使う時だけ取り出す。そんで使い終わったらまた封印。呪具本体は脆いけど影の中に入れておけば問題なしってことでしょ?」

「そーいうこと!これが1番可能性があるって思ってな。【函】があって良かったわ!!」

 

 

 こんなやり方全然考えてなかった。そもそもこういう呪具があったことが奇跡だ。

 説明を聞くに呪具所有者以外は開けることが出来ない獄門疆の下位互換モドキらしいし、めちゃくちゃ俺にピッタリじゃん。

 

 

 ……あれ、という事は?俺を蝕む維持問題を意識しなくてよくて?脳のダメージを(式神関係で)今後一切受けなくていいわけで?結果的に寿命が伸びる?……ってことあります?

 ……直哉!兄ちゃんと沢山イキャコラできるぞ!!!今なら拡張術式の反転できるかも!いや、無理か。虚言すぎたな。

 

 

「って事でやってみろよ」

「今から?」

「時間あんだろ」

 

 

 ……うす。やります。やればいいんでしょ。

 

 

「じゃあまずは鍵だ。使用者を登録しなきゃいけない」

「どうやるの?」

「あ〜、体液かなんか。血でいいんじゃね?」

 

 

 「ほらよ」と、悟に刃物を渡されたので適当に指先を切って【函】に垂らした。数滴を吸収したのを確認したら登録完了!ちょっとカチカチ鳴ってるのが不気味でウケる。

 

 

 

「次、【函】を開け閉めするのに合言葉がいる。ま、これは無難に『来い』とか『戻れ』でいいんじゃね?」

「それでいいよ。複雑なのは面倒だし」

「ん、じゃあ最後。式神を封印するときに呪印が必要だからその【函】地面におけよ。書くのは俺がやる」

「ありがと、頼んだよ」

 

 

 悟は【赤光の函】と同封されてた古い紙(説明書)を取り出し、地面に函用の呪印とそれと対になる呪霊(式神)用の呪印を模写していく。

 そして俺は書き終わったのを確認したら呪印の中心に【函】と顕現させた式神達を入れる。

 封印された事で式神の気配が極度に薄くはなったが繋がりは残っている。これで式神専用の【函】は出来上がりのはず。

 

 

「………どうだ?」

「多分、いけてる……?やってみるね。来い【幻狼】」

 

 

 俺の呼び掛けに応えるように函のカラクリが動き出た。一瞬のうちに幻狼が飛び出したので成功である。やったね!!

 あ、ちなみに式神を取り出す際は術式を発動してからじゃないと【函】から出てきた瞬間にただの影に戻っちゃうので注意ね。忘れんなよ俺!忘れたら色んな意味で精神崩壊する。

 

 

「後は影の中に入れておいて、必要な時に服の隙間とかから取り出せばいいんじゃね?【函】の存在がバレたら函自体が狙われるし」

「これ拳1.5倍くらいあるけど……服の隙間で足りる?」

「そこはチョイス次第だろ。スラックスとシャツに羽織とかでさ、動きやすさと影の有無を意識した感じで」

「……ファッションセンスあるな?軽装でいいじゃん」

「ふふん、だろ?最近自分の顔の良さを自覚したからな、活かさない手はねぇだろ?って事でべんきょーしてんの」

 

 

 ウン!発言がクソガキだ!でも顔がいいのは認める!俺もそれくらいの美貌が良かった。ってかアレ?そもそも俺ってまともに鏡見たことなくない?

 禪院の中でも俺たち兄弟側の人、通称禪院革命派の人が自ら進んで世話を焼こうとするので単純に鏡を見る機会もないしなぁ。……ま、いっか。どうせモブ顔やろ!割り切ってこ!!

 

 

「悟、ありがとね。俺の為に呪具まで用意してくれて」

「何言ってんだよ、こんくらいすんに決まってんだろ?俺の良心舐めんな」

「……はは、そっか。悟のおかげで長生きできそうだ」

「おう、……ずっと隣にいてくれよ?」

「えー?悟が俺の事を嫌いになるまでならいいよ」

「アハハ、んだよ……それ!」

 

 

 いや、最強の隣ポジはモブにはキツイっす。まぁ、制限時間付きで悟が俺の事を嫌いになるまでなら隣にいるのも悪くないと思う。

 

 

「じゃ!俺の隣はお前の特等席な!」

 

 

 そう言う悟が、すごく輝いて見えた。………流石イケメン。面がいい。

 

 

 

 

 






 悟は人のために本気になってくれそう。……その気があれば。
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