御三家に生まれたので生存戦略を遂行する   作:超甘味

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妄想と捏造の産物とご理解ください〜
では行ってらっしゃいませ。

主人公の今の気持ちを代弁するなら「家のジジイ共から離れられてハッピー!でも上層部入りは鬼畜!」だと思う。


俺、高専編!
俺、黄金世代の1人になった。


 

 

 どうも、予期せぬ事に上層部にお仲間入りを果たしちゃった禪院征哉、16歳です。

 上層部の1人になっちゃった☆ってパパ達に話したら直哉にガチギレされて、パパには呆れられてゲンコツ食らった。痛かったです。

 

 

 ゴリラにはこの間、奥さんと恵に会いに行った時に言っておいた。

 上層による盗聴とかはしっかり対策したので大丈夫。伏黒家にすぐ瞬間移動できるようしたので、ゴリラとその一家の場所割れとかも心配なさそうである。

 ちなみに、パパっと瞬間移動をするために新たにマーキング機能を開発したがそれは次回話そう。

 

 

 悟にはごめんだけど報告してない。どこで上層部と禪院のジジイ共の耳が働いてるか分からないので下手な動きはしない方がいいって判断だ。

 お互い、禪院(上層部の末席)と五条(次期当主)の立場だから如何せん()が多すぎる。言いたくても全然言えないので諦めた。

 

 

 しかも既に上層部内では五条悟は問題児って認識で固定されてたし、悟にバラした事を上にチクられたら俺の築き上げた信用が崩れるのでお口はチャックだ。

 

 

 ま、そんなことは置いておいて、ご覧の通り今年は俺が高専にぶち込まれる年である。

 いや、正確に言えばまだ15だけど数え年が16って事ね。俺は悟より生まれたのが1ヶ月くらい遅いので。

 

 

「ねー、お願い〜?俺京都校がいいな〜?」

「残念だが、手続きは済ませてある。お前は東京校だ」

「なんで!?俺ってば禪院本家の出なのに東京校っておかしくない!?」

「そうは言ってものう、家の爺さん共が東京校にしろというもんだから……。それに五条の坊は京都でお前までそっちとなるとバランスが心配なんじゃよ」

 

 

 パパと進学先について話していた。「パパ〜、俺京都校ね〜」「あ、すまんのう。お前は東京校だ」「……は?」が会話の発端。

 パパ上殿。悟は京都校って認知されてるみたいだけどあいつは東京校ですよ。手紙にも《俺東京校に行くつもりだから》って書いてあったし。

 

 

 それに俺としては上層のお爺様方(笑)から京都校においで〜ってお誘いを受けてたから、しぶしぶ行くかぁって思ってたのに知らないうちに進学先決まってるし……。クソ!家のジジイ共め!余計なことしやがって!!!

 

 

「それにほら、爺さん共はお前が気に食わんらしいし東京に投げ捨てたいんだろう」

「いや、それが本音だろ……。バランス云々(うんぬん)はパパの意見でしょ。ジジイ共には俺の実力も術式も何も言ってないんだからさぁ」

「あ、そういえばそうじゃったな」

「ほら、やっぱり!!!」

 

 

 どうしてくれんの?このままじゃ俺は東京校、悟も東京校、まだ見ぬ前髪とダウナーも東京校。

 対して京都校は(多分)有力な奴がゼロ、とかいうやばい力量バランスの差が生まれるけど?本当にどうしてくれんの??

 

 

「仕方ない。決定事項なんじゃ、諦めろ」

「嘘だと言って!!!!」

「本当じゃ」

「あーーーーー!!!!!」

 

 

 俺の絶叫が屋敷に響き渡ったのは想像に容易い。直哉に怒られましたね。こんな兄ちゃんでごめんなさい。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 結果としては叫んでも駄々こねても東京行きは変わらなかった。

 もう入学シーズンなので割り切って前を見据えるしかない。ジメジメしながらも荷物をまとめて直哉に抱えられた。………直哉に抱えられた???

 

 

「ねぇ、なんで兄ちゃんを横抱きにしてるの?」

「パパが高速移動の練習にちょうどええって」

「え、俺で?」

「そや」

 

 

 嘘じゃん。てっきり交通機関かパパの超高速移動で東京に行くと思ってたのに。

 直哉よ、稽古を頑張るのはいいけど兄ちゃんの命も心配して欲しいな?センスも才能もあるって言ったけどまだ未熟でしょ?

 流石に初っ端からパパみたいな超高速移動とかできないでしょ。兄ちゃん殺す気ですか??

 

 

「ほな行くで。ちゃーんと掴まっといて」

「え、待っ……ああああああああぁぁぁ!!!!」

 

 

 直哉の首に腕を回して耐えた。何を耐えたかって言ったら逆流する朝食を。パパの時は吐き気はあったけど揺れとか全くなかったのに……!やっぱりパパってすごいんだな、見直した。

 

 

「オェ……、ゴホッ」

「ん〜、やっぱ俺はいけたけど兄ちゃんは負荷がかかってるっぽいなぁ」

「冷静だな……ケホッ」

「まぁしばらく会えへんやろうけど呪術師頑張ってな〜」

「兄ちゃんの話聞け」

「ほな、さいなら!」

 

 

 そう言い残して直哉は帰っていった。えぇ……、校門の前まで送ってくれるんならせめて内部までお願いしたかった。

 吐き気で(うずくま)ったまま動けないし、この状態から目の前の長い階段登れって?本格的に吐かせる気かよ。

 

 

「おっ!お前が新入生か」

「ウプ……、誰?」

「夜蛾正道と言う。お前らの担任だ」

「へー、………よろしく」

 

 

 わー。すっげぇ、顔がカタギじゃねぇよ。ヤが付く職業の人みたい。とちょっと関心していたら口が酸っぱくなってきた。

 やべ、吐きそう。我慢してたブツが、出る……う、ぅぇ………。

 

 

 ベチャベチャ………と俺の口から汚物が出た。ナニとは聞くな。

 

 

「……あー、大丈夫か?」

「そう、み、えます……?」

「……見えないな」

 

 

 嗚咽(おえつ)を零しながらブツを吐き出す。見た目の厳つさとは裏腹に夜蛾先生は俺の背中を摩ってくれた。うぅ〜、優しいぃ!

 

 

「落ち着いたか?」

「まぁ、少し」

「よし、なら背中に乗れ。その状態じゃまともに歩けんだろ」

「……あざす。(うわぁー、ヤガ先いい人だ)」

 

 

 揺れる心地〜、ヤガ先の背中〜。ちょっと(大分)筋肉質で硬いけど文句は言ってられない。善意に感謝して黙っておぶられます。

 和の建物を幾つも通りすぎて校舎らしき建物に入った。はっきり言ってボロい。ボロすぎる。

 

 

「ここからは自分で歩け、俺は出席簿を取ってくる」

「はーい、ありがとうございました」

 

 

 春の日差しが廊下の窓から差し込む。目的地の1年教室の扉を前にして深呼吸をした。気配的にみんな揃っているらしい。うん、俺がビリだね。

 扉を開けて入室。2対の目が3つ、俺を見る。

 

 

「お前らが俺のクラスメイト?ま、末永くよろしくね」

「「…………」」

「あれ、無言?」

「は!?征哉じゃん!お前って京都校じゃねぇの?」

 

 

 あれ?なんか空気重くない?って思ったけど俺を視界に入れた悟が顔を明るくさせて俺の傍に駆け寄って来た。

 駆け寄るって言うか大股3歩くらいだったけど。ちっ、高身長め!

 

 

「俺もそう思ってたけど家のジジイ共に東京に投げられた」

「うぇ、相変わらずのジジイだな」

「同感だわー。悟はどうやってこっちに?みんな五条の子は京都だって言ってたぞ」

「フッ、京都で上層部の手中とか嫌だったからな。家の連中にお願いしたら1発だぜ」

「なるほど、ぶりっ子ね」

 

 

 まぁ、そんな世間話より悟くんよ、他2人が喋らないのってもしかしてお前のせいか?え、なにした?

 

 

「で、なんでそこの2人は無言なんだ?」

「あ?あぁ、あんな奴ら気にすんなよ。反転術式は使えそうだけど呪霊操術とかしょぼすぎて萎えた。呪霊を取り込むとかキッショ〜」

「……悟、もしかしてそれを本人に言ってないよな?」

「は?言ったけど」

「ハハッ、まじかよ!!!(そりゃ無言にもなるわ)」

 

 

 ほらほら、キッショとか言うから前髪が変なやつがこっち睨んでるよ。ガン飛ばしてるよ。こっわ。いや、笑った俺も悪いのか?

 

 

「あー、自己紹介終わってる?」

「いや、まだだな」

 

 

 控えめに訪ねたら涙ボクロが特徴的な女の子が答えてくれた。

 

 

「へー、じゃあ俺からね。俺は禪院征哉。御三家出身だけど気楽によろしく。こっちの白髪(はくはつ)は五条悟。こいつも御三家出身で次期当主」

「雑魚と仲良くするつもりねーから」

「って言ってるけど根は良い奴だ。お前らは?」

「私は家入硝子。一般家庭出身だ」

「私も一般家庭出身だよ。夏油傑だ、よろしくね禪院君」

「ん、よろしく〜」

「夏油って言ったか?変な前髪だな、だせぇぞ?」

「おや、君の方こそ早めの白髪(しらが)かい?ストレスを溜めるのは良くないよ」

「あ''??」

 

 

 わーお、自己紹介したばっかりなのにもう喧嘩してるよコイツら。飛び火しそうなのでこっそりと家入の方に逃げた。

 

 

「アンタあの派手頭と仲いいの?」

「悟のこと?まぁ、家の付き合いで成り行きだな」

「あぁ、御三家?だっけ。なんか凄そー」

「そうでも無いぜ、頭の硬ぇ老害ばっかだし」

「あはは!なんか想像出来る」

 

 

 おー、家入って話しやすい。「ここ危なそうだから隅行って話さない?」って言われたので教室の隅に移動した。

 数メートル先で繰り広げられる未来の最強コンビの喧嘩は収まるどころがヒートアップしてる。あ、机ぶっ壊れた。

 

 

「禪院って言ったよね。長いから征哉でいい?」

「いいよ、じゃあ俺も硝子って呼ぶわ」

「おっけー。あ、タバコいる?」

「それはいらない」

 

 

 さて、同期の1人と仲良くなりながらも悟達を見る。口論すげぇな。悟って箱入り息子だったのにどこからそんなボキャブラリー出てくるんだ?

 

 

「結局さァ、俺に勝てねぇヤツが喚いたって意味ねーんだよ。雑魚の話とか聞いてるだけムダ」

「私が君に劣るとでも?」

「だからそう言ってんじゃん。耳悪ぃの?あ、丁度反転術式できるヤツいんじゃん。あの女に治してもらえば?」

「……君ってクズな俺様系だよね。そんなんじゃ人付き合いに苦労するよ?」

「ハッ、カスは俺に頭下げてヘコヘコしてればいーんだよ」

「はぁ、人格障害者に付き合ってる禪院君が可哀想だね」

「なに、お前俺のこと好きなの?対応の差で悲しんでんじゃねぇよダサ前髪」

 

 

 ワオ、両者血管浮き出てるよ。夏油くんガチギレだよ。悟もそこまでにしとけって。

 

 

「てか、あれだな。今気づいたけどお前の名前サマーオイルじゃん」

「ブフォ……!!!!」

「ブハッ……!!!!」

「……………」ニコニコニコ

「あ、ナツアブラケツとも読めんじゃん?」

 

 

 いや、追い討ちウケる。爆笑。腹痛い。隣の硝子も吹いてるし完全にツボった。

 悟が最後の言葉を発した瞬間、ブチッ!!!!!と何かが切れた幻聴が聞こえた気がした。

 そして瞬きの一瞬、グラウンドに教室の半分と悟が吹き飛ぶ。吹き飛ばしたのはサマーオイルご本人。

 後を追いかけるようにサマーオイルもグラウンドへ飛び降りた。

 

 

「ッぶね。俺たちまで吹き飛ぶところだったじゃねぇかよ」

「吹き飛んだアイツ死んでない?」

「ヘーキでしょ。そんなにヤワじゃないし」

「ま、術式の練習台になってくれるんならいいや」

 

 

 アハハっ、アイツら練習台にしか見られてなくてウケる。硝子は「センセー来たら教えて」と言ってガラケーを弄りはじめた。

 そんな硝子を置いて俺もグラウンドへ飛び降りる。2人の喧嘩を見れば前世のオタク心が(くすぐ)られた。リアルタイムあざす。なかなかいい景色だ。

 

 

「あ''ー、最っ悪!制服汚れたじゃん、どーしてくれんの?」

「御三家出身なら金くらいあるんだろう?1枚くらいいいじゃないか」

「そういう問題じゃねぇよ」

 

 

 そっからはバチボコの殴り合い。お互いキレてても術式を使わないのは賞賛しよう。最低限の理性はあるらしい。

 

 

 バコォ!!!バゴン!!!!

 

 

「おい避けんな」

「なら君も避けないでくれ」

 

 

 術式を使わないって理性はあるけど呪力強化は惜しまないらしい。あぁグラウンドが穴だらけに……、と遠い目をした。

 いや、これはあいつらのせいだ。決して俺のせいじゃない。怒るなら俺じゃなくてあいつらを怒れ。

 

 

「彼はいいのかい?禪院君……、彼の方こそ弱そうじゃないか。君の言う雑魚は彼も当てはまるんじゃないのか?」

「あ''?アイツのこと知らねぇくせにでしゃばんなクソ前髪」

 

 

 夏油傑……、一般家庭出身にしては腕がいい。体術に少し遅れはあるけど悟とやりあえてるしセンスいいね。

 術式だってキッショとか言われてたけど手数は誰にも負けないし、呪力操作は下手だけど初心者にしてはできてる方だ。いい人材じゃん。

 

 

「へぇ……。君の地雷は彼かい?」

「うるせぇな、黙れよ」

「そうかそうか、いい事を聞いた。じゃあ私も狙おうかな?」

 

 

 ゴッ……!と骨と骨がぶつかる音がした。うわ、痛そ……。

 

 

「失せろ、外野はお断りだ」

「ッ……はは、痛いなぁ。そんなに大事かい?」

「おめぇには分からねぇよ」

 

 

 ん〜、どうやらひと段落したっぽい?残念だけど俺に2人の会話は聞こえないから雰囲気で判断するしかない。

 

 

「ゴラァ!!!!お前らァ!!!!!」

「(あ、ヤガ先)」

「なに!!やってんだァー!!!!!」

「「いっっっだぁ!!!」」

「うわ……。あれは痛い」

 

 

 呪力は篭ってないけど痛そうなゲンコツが2人のバカに直撃した。まぁ、そりゃそうか。こんなに破壊し尽くして暴れてんだし先生も怒るわ。

 

 

「禪院!お前も見てないで止めろ!!」

「センセーひどーい。俺は喧嘩に関係ないですよ〜。しょーこ!!センセー来た!!!!」

「はーーい。ナイス報告ーー!!」

「おい!ガラケーは没収だぞ!!」

「えー?なんのことですか〜?」

 

 

 センセー来たら教えてって言われたんで有言実行です。フッ、約束は守る男なんで。

 初っ端から喧嘩とかすんげぇ初日だなぁと思っていたらヤガ先が問題児2人を引きずって俺の方へ向かってきた。おぉ、どちらも立派なたんこぶをお持ちで。痛そうですね。

 

 

「チッ、クッソ痛ェ。親にも殴られたことねぇのに!」

「五条。ここでは御三家だからといって贔屓はしないぞ」

「………ふん、余計なお世話だ」

「禪院。お前もだ」

「分かってますよ。(ふーん?悟のやつ、自分を五条悟個人で見てくれて嬉しいんだ)」

 

 

 暴れすぎだとお叱りを受け、先生からグラウンドの修復命令が下された。え、俺もやれって?異議ありセンセー!俺なんにもしてないじゃん。

 

 

「禪院と家入は傍観した罰だ」

「…………チッ」

「聞こえてるぞ」

「チッ!!!!」

「開き直るな」

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 入学式なんてモノは存在しない高専初日から数ヶ月後。順調に勉学に励みつつ呪霊と命を懸けた殺し合い(ゲーム)の日々を過ごしていた。

 悟とサマーオイルはたまにぶつかり合いながらも切磋琢磨し合ってるのでいいコンビだと思う。俺としては悟の隣を取られた感じでちょっと悔しいけど。

 

 

 それにしても夏っていい天気ですよね。俺たち呪術師にとっては多忙な時期だから毎日睡眠不足だけど。

 

 

 で、今は悟・サマーオイル・俺で(任務)です。

 3人行動のはずが呪霊の捜索範囲が広すぎて手分けをして探していたら迷子になった。

 

 

 んで今nowで俺のケツを追っかけてるのは全長10mはあるムカデ型の呪霊。呪力の気配的にもまぁまぁ等級は高めで、見積もり準1級くらい。

 あれ?補助監督には3級・2級の雑魚だって聞いたんだけど???

 

 

「いやあぁぁぁぁぁぁ!!!!デカすぎ!!キモすぎ!!!!」

 

 

 何を言おう。俺は昆虫類が大の苦手なのだ、あと両生類。ムカデとか絶対無理。キモすぎる生物トップ10には入る。

 あまりのキモさに気絶して現実逃避しそう。なので俺が意識をぶっ飛ばす前に祓いたい。意を決して術式を発動しながら振り返った。

 

 

「虫の分際で!!!俺に盛んなよ!!!!!」

「キィィェェエ」カサカサカサカサ

「…………やっぱ無理ぃぃいいい!!!!!キモイィィイイ!!!」

 

 

 どんなにグロい呪霊でも平気だった。1級レベルの強いやつもでも無傷で祓えた。

 でもこれは無理。いくらこれが4級の雑魚ですよ〜って言われたとしても無理。コイツ準1級レベルだけど。

 

 

「さとる!!!サマー!!!!助けてーー!!!!」

 

 

 と、叫んだらパクッと(だいぶ可愛らしい表現で代用)ムカデ呪霊が背後から現れた巨大呪霊に喰われた。あれはサマーが使役してるやつだな。あ、サマーはサマーオイルの約ね。

 

 

「ヒーローは遅れて登場ってか?せーや、漏らした?」

「漏らすかボケナス悟。泣きそうではある」

「お、案外いい呪霊じゃないか。囮役ありがとう、平気かい?」

「おい、サマー。お前は1回正面からムカデとラブラブしてみろ」

「はは、遠慮しておくよ」

 

 

 ハッ!俺の囮役に感謝するんだね!そのまま戦ってたら取り込むのも苦労しただろうさ!いっそサマーなんてボコされちゃえば良いんだ!!

 

 

「へー、コイツ(ムカデ)術式持ちじゃん。毒類噴射とかキモッ。征哉の制服も溶けてんじゃん」

「あ?……ほんとだ。穴空いてんじゃん」

「今更だけど禪院の制服は……コート?ローブ?なんだね」

「まぁ、術式上影が欲しかったからな。羽織もいいけど制服と合わせるとダサいからやめたの」

「真夏なのに暑くねぇの?」

「意外と通気性が良いんだよ」

 

 

 俺の制服カスタムは某忍ばない忍びのカックィ犯罪組織のあのコートみたいなやつだ。ただし真っ黒の柄なし。

 下は密着型の首までのタンクトップとカーゴパンツに鉄板入りのブーツである。これも全部真っ黒。

 

 

 タンクトップ等は動きやすさ重視で、ブカブカで襟が長いコートは式神を呼ぶ際の口元隠しと服内の影生成の面で採用された。案外いい組み合わせだと思う。

 

 

「で、スルーしたけどコレってよォ……」

「うん、明らかに情報と違うね」

「上層部だろうな、釘刺しておこうか?」

「いや、征哉が汚れ役を買う必要ねぇよ」

「このくらい私たち三人がいればどうってことないしね」

 

 

 サマーくんやけに自信があるな。確かにこれくらいじゃ俺たちは死なないけどさ、俺なら上層部への釘刺しなんてすぐできるよ?なんたって上層のオキニだし、仲間入りしちゃった1人なんで。

 

 

 汚れ役を買う必要ないって言ってくれて嬉しいけど、既に立場が汚れてるんだよなぁ。

 幼少期から既に媚び売りとかいうカス戦法取ってるし……、ん?これ悟に言ったら絶対喧嘩になる内容だよね?………うん、黙っとこ。

 

 

「……はぁ、駅前のケーキ食いに行こーぜ」

「あぁ、私はコーヒーでも飲もうかな」

「サマー……、無理してコーヒーとか言わなくていいんだぜ?」

「よし、禪院にはムカデをプレゼントしよう」

「ごめんサマー。コーヒーって美味しいよね!」

 

 

 上層部のジジイによる等級違いは頭を降って忘れることにした。嫌がらせがわかりやす〜。でももっと強いやつが相手じゃないと俺たち怪我しねぇよ?

 

 

 でもあれ?考えてみればこの嫌がらせの対象って俺じゃなくね?

 絶対悟じゃん。クソガキ暴言厨でヘイト買いまくってる五条くんじゃん。ということは俺とサマーって巻き込まれただけでは……。

 

 

「……悟も飲むよね。ブラック」

「は?いらねぇよ」

「よーし、カカオ100%のブラックチョコも追加ね。おっけー」

「いらねーって!」

「じゃ、先に店行ってるね〜」

 

 

 素晴らしい八つ当たりである。でもその気になった俺は止められねぇぜ!

 焦る悟と笑ってるサマーを置いて先に山を下った。ついでに補助監督への知らせと報告書も問題児五条くんに押し付けてやったぜ。

 ポッケの影から抜き取った悟の金でパフェとマカロンとパンケーキとモンブラン食べよーっと!

 

 

 

 






「……五条、何かやったのか?」
「いや、特に……。……あ''、俺の財布がねぇ!」
「あはは、どっちにしろご機嫌取りしなきゃね。……あぁ、もう禪院君の姿が見えないな」
「アイツ走るの早すぎだろ……。てかその五条っての止めね?悟でいーよ」
「!そうか、じゃあ私のことも下の名前で呼んでくれ」
「おう。じゃ傑、店行ったらアイツのことも名前で呼んでやれよ。きっとビビるぜ!」
「ふふ、そうだね。早く行こうか」


◇◇◇


 日差しが照らすある夏の午後3時。駅前のカフェで三人の黒ずくめの青年が談笑していた。
 そのうちのコート姿の青年は変な前髪の青年の一言にキョドって紅茶を零したのが見える。それに対して白髪の青年は手を叩いて大きく笑った。

 そんな輝かしい青春の1ページ。



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