御三家に生まれたので生存戦略を遂行する   作:超甘味

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妄想と捏造の産物とご理解ください〜
では行ってらっしゃいませ。


僕、全力で登場する。

 

 

 Noside

 

 

「【裏】?」

「初耳だね」

「裏門ってこと?」

「そうなるね」

 

 

 あまり知られていない【獄門疆・裏】の存在は御三家の文献にも載っているか載っていないかである。

 少なくとも禪院家にはそのような書物は無いと後の直哉は語るし、多分征哉に聞いても「何それー」と首を傾げることだろう。

 

 

「この裏門の中にも禪院征哉は封印されている」

「え、じゃあこれを開ければ!」

「いや、あくまで開門の権限は表の所有者、羂索のものだ。これを抉じ開けるにはあらゆる術式を強制解除する【天逆鉾】。あらゆる術式効果を乱し相殺する【黒縄】。そのどちらかが必要だ」

 

 

 征哉はこの地獄オンリーワンな世界線に生まれ落ちた当初から獄門疆を警戒していた。

 原作のように最強が封じられる事を危惧し、【天逆鉾】と【黒縄】の何れかを手元に置けるようにとベテラン呪具師に頼みレプリカを造らせた。それが約十数年前の事である。

 

 

「だが【天逆鉾】は禪院甚爾が所有し破壊」

「何してんだ親父!?」

「【黒縄】は去年五条悟が全て消してしまった」

「何してんの先生!?」

「黒縄の残りは僕がアフリカでミゲルさんと探してたんだけど、それに関しては無駄足だったね」

「あぁ、それで海外行ってたんですね」

「僕が行かせたんだよ。歴代呪具師の逸材と言われる人に新しく作ってもらおうと思ったんだけど、既に亡くなってたからね」

 

 

 術師御用達の呪具師、武倶(ぶぐ)さんが誰に殺されたか。まぁ、記憶力がいい者は覚えていることだろう。

 そう!あの脳汁ブッシャークソメロンパンである。わざわざ撮った自撮り写真〜武倶さんの死体を添えて〜を征哉に送り付けたあのストーカー野郎だ。実にキモくて鳥肌モノである。

 

 

「じゃあダメじゃん……」

「いいや。その呪具師の事だが、その昔に禪院征哉が【天逆鉾】と【黒縄】のレプリカを依頼している。どちらも破壊、使い切ってしまったが幸いな事に本物はまだ存在しているようだ。そしてそれ等は過去に、禪院征哉が祝い物として禪院甚爾に寄贈している」

「おっと……恵、今すぐ親父さんに連絡してくれ」

「ッはい!」

 

 

 ここに来てなんとびっくりな新情報か。征哉は本物が無い世界線=原作を知っているためレプリカ造りには気分ノリノリだった。

 

 

 これぞ原作知識を持っている故のチート行為である。しかし違反では無いので征哉は有効活用していた。

 世界の知識導入ありがとう、単眼猫。しかしこの地獄具合は許すまじ、単眼猫。

 

 

「かくかくしかじかなんだが、親父今持ってるか?」

『黒縄はなぁ、オリジナルも使い切った。人手不足で個人依頼入るし、1級以上もボチボチだからな』

「鉾は?」

『ある。そう簡単にぶっ壊れるモンじゃねぇしな。レプリカは脆すぎたけどよ』

 

 

 ここで少し過去の記憶をほじくり出しておさらいをしよう。

 黒縄のレプリカは盤星教の依頼で対五条悟の時に使い切り、本物も個人依頼でちょこちょこ使う内にすり減ってミリも残っていない。

 

 

 そして天逆鉾のレプリカも「便利だなぁコレ」とゴリラが振り回して多用しすぎた結果、まぁまぁ長持ちしたようなしてないような期間でぶっ壊れた。

 そりゃぁもう、刀身がパックリ逝ってしまった。

 

 

 よって残るチートアイテムは国宝級、オリジナルの天逆鉾のみ。

 禪院征哉が封印された状態ではそのチートアイテムに縋るしか方法は無さそうである。

 

 

 だが幸運なことにそれをドロップするのは伏黒恵のパパゴリラだ。

 前世で徳を積んだのは一体どこの誰だろうか。少なくとも賭け事がマジで向いてないゴリラでは無い。

 

 

「おっ?つまりこれって……総監助けられるってこと?」

「そうなるね」

「うおぉー!伏黒の父ちゃんナイス!マジナイス!!ってか今の東京潰れてるけどどうやって電話してんの?」

「上層部会議とかで老獪共が使ってる術の劣化版だよ。九十九さんなら知ってるでしょ?」

「あぁ、あの障子のヤツか。あれってどういうメカニズムなんだろうね」

 

 

 ワンチャンというかほぼ100%の確率で征哉の封印を解除できそうな雰囲気で悠仁はガッツポーズした。

 短い付き合い且つそこまで顔を合わせることは無かったが、征哉が最強で良い人なのは悠仁の中で決定的な信頼と尊敬を生み出していたのだ。

 

 

 一方の悟も飛び跳ねて地味に喜んでいる。

 実に大人気ないが、囚われのピーチ姫こと征哉が解放されるのに1番ヤル気になっているのはマリオ()だ。因みにここでのクッパはメロンパンの事である。

 

 

「最優先は【天逆鉾】の回収と封印解除ですね。伏黒一家は禪院家に避難してるんだっけ?」

「はい。って事はもう1回宗家に戻らないといけませんね。蔵の呪具も直哉さんに頼んで借りてこようかと思うんで、真希さんと真依さんでいいですか?」

「うん。じゃあ一先ず禪院家への使徒は真希、真依で決定。九十九さんと脹相は天元様の護衛。後は呪霊狩りと死滅回游内外の情報集めだけど、ここら辺の人選は人を集めて話し合おう」

「あ、先生。僕は早速結界(コロニー)に入って参加します。一足先に情報を集めたいので」

「OK!憂太なら大丈夫そうだけど、結界で電波が絶たれるだろうからそこん所注意ね」

「はい」

 

 

 そんな感じて話は纏まった。後は行動に移すのみである。

 いや〜伏黒甚爾がモノホンの呪具を持っていてよかった。征哉が封印から出た暁には過去の自分の行動を絶賛することだろう。

 

 

 レプリカ代やらなんやらは高値だったが、やはり命には替えられなかった。命を建前にして死ぬ気で頑張れば、人間案外どうとでもなるらしい。

 禪院家の懐事情が広くて助かったが、どうにも上手く行きすぎている違和感は拭えない。

 

 

「あと 私から人探しも頼みたい。死滅回游に参加しているプレイヤーの中に『天使』を名乗る1000年前の術師がいる。彼女の術式はあらゆる術式を消滅させる。封印解除後の禪院征哉と前世の因果が億が一を引いた時のために彼女は我々にとって必修だ」

「わかりました」

「じゃあ、恵と悠仁は3年生の秤金次の所に。ちょっと気性が荒いけど、強いし人手が足りないから駆り出さないと」

「うっす!先生は?」

「上層部に。征哉の引き継ぎ云々かな〜。学長が大変そうにしてるから手伝ってくる」

 

 

 ぞろぞろと話しながら天元に背を向けて歩き出す。

 死滅回游とかいうクソゲーで生き残れるのは廃課金勢のみだ。強い奴ら、それこそ特級や1級レベルに相当する術師である。

 

 

 覚醒した真希や既に多くの宿儺の指を取り込んでいる悠仁、心優しく強い憂太や征哉が手塩にかけて育てた恵。それとギャンブラーな金次も。

 これからの時代、特級で量ることができなくなる次世代に皆が大きな期待を抱いている。

 

 

「脹相!」

「!」

「ありがとう、助かった」

「……死ぬなよ」

 

 

 兄、脹相も悠仁に期待を寄せる1人だった。愛しい弟の逞しい背中に涙が滲む。

 

 

 呪術師はヒーローでは無い。世界を救ったり人々に安らぎを与えるような善人では無い。必ず頭のネジが何本かトんでるし、命を見捨てることだってある。つまりクズの集まり。

 しかし仲間の為になら闇を進むヒーローにだってなれるのだ。その覚悟を、若き呪術師達は持っていた。

 

 

「泣いてんの?」

「……」

 

 

 それはそうとして、泣いたことを揶揄われる脹相である。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 ???side

 

 

『感じるか』

『──灤捩レ─』

『感じる』

『わかる、分かる、解る』

『漣─ィ餡──』

『分割』

『集結』

『亞ェ溜……殷』

『再来』

『……そう』

 

 

 沢山のナニカが小声で話していた。低級のナニカ故にその大半は人間が耳にして理解できるものでは無いが、それはヒトには関係の無い事だろう。

 彼等は理解していたのだ。勘とは違う本能らしき物が彼の再生を告げて警告を鳴らしていた。

 

 

『魂』

『核、集結』

『まだ、まだ足りない』

『漣ウ煉』

 

 

 『月詠』の魂を分けた器となる10の呪具、後の呪物内4つは呪物としての機能が失われてガラクタに。

 1つは破壊。残りの3つは封印、2つは行方不明と書いてメロンパンが持っているのが現状である。

 

 

 そして呪物が破壊、機能停止、若しくは使用された場合は封印された魂が転生体に集結するような手筈だ。

 この事から現在、禪院征哉の体にある前世、月詠の魂は10分の6であることが分かる。

 

 

『どれほど』

『わわ、わ、分からぬ』

『滾躅ァ亞』

『肆つほど……では?嶽赫ト』

『そうか、そうだな、そうなのか』

『嘉雹漣、ェ廽灘……』

『探すか?』

『吾に聞くな』

 

 

 渋谷事変の際、メロンパンによって記憶が蘇った禪院征哉は暫くの間前世の記憶に呑まれていたのを覚えているだろうか。

 それは膨大な記憶が押し込まれたことによる人格の圧迫であった。

 

 

 しかし記憶は記憶に過ぎなく、禪院征哉が月詠に成り変わることにはならなかった。あくまでもその範疇を出ずに終えたのだ。

 

 

 されどもそれで済んだのは、偏に禪院征哉の中にある月詠の魂が完全体でなかった故である。

 もしも月詠の魂が完全な状態で禪院征哉の中にあったのなら、あの時点で月詠は再降臨を果たした。禪院征哉という人格を押し殺し、神の魂が人の魂を侵食する。

 

 

 だが、神々にとって人格がどうとかはどうだっていい。無論、目を背けたくなる過去を持つ【影月】にも愛と同情はあるのだが、彼等にとって一等重要なのは夜の神【月詠】である。

 半人半神(影月)でもなく、人間(征哉)としてでもなく、(月詠)としての彼だ。

 

 

『助けるか』

『転生体、魂、彼の──否、異界の者。然し彼、確信』

『……蚕昑タ蓮、救いなど笑止。奴は禁忌を犯した』

『冷笑、は、彼に無礼──餡眞惡』

『禁忌故、理に反す』

『どうする』

『どうする』

『理解不能、我辞退』

『どうする』

 

 

 彼の者について話し合う彼等は呪霊のようで、曖昧な精霊のようであった。

 しかし低級とは言え、遥か上位の存在であるのは誰もが認めよう事柄である。それと同時に同族の中にも優劣は存在していた。

 

 

 そんな数多い優劣の中、一際自我と権威が強いモノがいる。

 その名は太陽の神【天照】及び海と嵐の神【須佐之男】。本来ならば生粋の神として誕生した月詠の姉弟だったモノ達だ。

 

 

『我が兄上、心痛し。迎えに行かん』

『須佐之男殿、気を確かに。今の彼は人間だ』

『彼は月詠、本来ならば我が兄としての神座がある。憎き人間共め、兄上に代わって罰を下そう』

『止せ、我が弟』

 

 

 天照や須佐之男の下にも言葉巧みに口を動かす幾万の神々がいるが、今は割愛しよう。

 兎に角、ソレらと月詠の縁は深いわけである。マリアナ海溝なんて屁でもないくらいに激深なのである。そして、逃れられないのだ。

 

 

『しかし姉上、兄上を見捨てる気ではあるまい』

『愛しく幼い彼の為、妾らが手を差し伸べてやらねばと思う。幼稚で愚かしくも、禁忌を犯したのは彼の生来故であろう?責める所以では無かろう』

『……あぁ』

『妾は間違えておらぬ。あの子に最高神の座を強請られ、よく思うたのは妾だ。しかし、人に降る事を許可した覚えは無い』

『我が姉上ながら傲慢である。が、兄上を奴らには渡さぬ』

 

 

 月詠が支配者になり、その後に人に堕ちる事を渋った神々代表は【天照】と【須佐之男】であった。

 【月詠】としてのマジモンの兄弟ここにあり。月詠を想い、純粋で無垢で傲慢な心で呪い、引き止めた。

 

 

 人に成りきれずに神として存在を縛った張本人筆頭であり、影月が200年間耐えた地獄の日々の元凶である。

 影月が狂乱発狂SAN値マイナスぶっちぎりで、耐えて耐えてボロッボロでも、音を上げて神に戻ってこさせるために存在を縛ったのだ。純愛が辛口過ぎる。一途すぎて重い。

 

 

 そんな月詠から一時も目を離さずに天から見下ろしては、「嗚呼、我等の愛に溺れておる。愛い♡」などと呪いが渦巻く光の無い目でニタリと嗤うのだ。

 

 

 結果、月詠が再び神に戻ってきたことで喜びのあまり呪い過ぎる(愛が溢れる)のだが。

 終わり良ければ全てよしの大骨頂。月詠の姉弟は彼を愛している。その愛し方が人間に測れないだけだ。

 

 

『彼は旧支配者。それは我らが認めた事』

『人間を望む?馬鹿馬鹿しい。断固としてある筈が無い。彼は人間に堕とされたのだ』

『されど400年。歴代の最高神として最も浅く愚かであり、そして絶対的であった。酷く愛おしい我らが君主』

『欻沵漣ェ掻ィ』

『黙れ、土地神風情が』

『痴れ者が紛れ込んだか!!!月詠()に喰われてしまえ』

 

 

 もう一度言おう、彼等は理解していた。月詠の魂が集い始めたこと、月詠の再来を感じていた。

 そして望む。また彼が神として力を行使し神座にて下界を見下ろすことを。

 

 

 だがしかし問題もある。今の彼、並びに転生体は人間、そして中身は異界の魂である。

 

 

 月詠として復活するには前世の魂が足りないし、月詠は世界を越えて己の魂を此方に呼び寄せて転生しやがった。

 異世界旅行じゃない。転生である。これ乃ち禁忌。神として最も忌避される世界の理にバリッバリ反しているのである。

 

 

『話し合おう。過去の事を』

『話し合おう。月詠の事を』

『話し合おう。未来の事を』

 

 

 月詠の処遇をどうするべきかは偉大なる神々も頭を抱えた。

 自分たちが総出で可愛がっている子がとんでもない事をやらかしたのだ。保護者兼取り巻きとしてどう責任を取ればいいことやら。

 

 

 はっきりと意見が割れているのである。転生体を神にさせるか、月詠を追放するか、はたまた逆罪の判決を課すか……。

 

 

 して、ここまで苦悩した所で結局の最終的な決定は現支配者、つまり今の最高神である【天照】が担っている。

 集う一同は彼女の顔を見上げた。彼女の表情には薄らと恍惚が浮かんでいる。その弟の【須佐之男】にも同じモノが見られた。やべー姉弟は単にやべーだけでなく激重感情持ちだった。

 

 

『話し合おうぞ。彼と、神々について』

 

 

 どこかで歯車が回る。それはいつの世でも彼に纏わる何かが起こる予兆であった。

 ガコン、と耳に馴染む音がした。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 禪院征哉side

 

 

「え、右の骸骨君って藤原の人?あ、僕は禪院征哉ね。因みに前世は月詠って名前。藤原なら前世の僕と関わりあったよね?」

『ガガ』

「そうそう!菅原と競ってたの笑ったわ。にしても前世の僕が大変ご迷惑をおかけしたようで」

『カラカラ』

「いやー実は色々ありまして……。ん、その左は蘆屋貞綱の弟子?確か簡易領域作った人だよね。すげー奴らが骸骨になってんのウケる」

『カタカタ!』

 

 

 って事でどうも、まだまだ封印されてる禪院征哉だよ。なんか久しぶりの気がしてならないね。

 皆元気にしてるー?僕は獄門疆内が暇すぎて骸骨達と友好関係を築き始めちゃったよ。封印されただけあって凄い人達の亡骸ばっかりだわ。僕びっくり。

 

 

『カカ、ガラガラ』

「体は平気かって?まぁ、今の所はね。けどココから出たらわかんないかな。人格変わって暴走とかは無いと思うけど、記憶を思い出す時に脳が死にかけたから幾分か寿命は縮んでるかも」

 

 

 ま、前世がやってた肉体改造でどうにかなりそうな気もするからあんまり心配してないけどね。

 ってか他にも結界を使わないで生得領域を具現化とかできたんだね、()って。

 

 

 神業じゃん。しかも小僧(宿儺)にそれ教えたの()じゃん。

 何やってんのバカ。1000年後の敵に塩送ってんじゃんねーよ。最悪か?冗談で済ませられねぇよ。

 

 

「……落とし前はつけなきゃね」

 

 

 うん、もう前向きに捉えよう。宿儺の事は無理だ。俺が拾った時点でスパルタ教育は免れないしモリモリ強くなるのは確定だった。

 預け先も友達のいる安倍家だしそりゃ猛者になる。嘆いてもね、うん。

 

 

 僕としてのメリットは断然経験値の引き継ぎだ。

 今の状態でも勿論最強だけど、これから起こる人外魔境新宿戦(vs宿儺(育て子))は不安だからな。子の罪は親も責任とらないと。それから前世で犯した俺の罪も。

 

 

「紳士淑女の皆々様、並びに骸骨諸君。僕は宣言しよう。鬼神・両面宿儺は僕が殺す。盛り上がって行こーぜぇ!!」

『『……』』

「つれないなー。大丈夫、僕最強だし、もしもの時は切り札を使うよ」

 

 

 確か、前世の弟君の生まれ変わりは一族を鏖殺したんだっけ?でもそれは本家と分家の人間だけだった気がする。

 死んだ人達の中には義姉の子孫とかもいたんだろうな。あの世で怒ってそう。

 

 

 で、なんだっけ。支配者になって最愛の弟は自分で殺して、そっから狂った日を過ごして……。あぁ、そうだ。その前に、神だった時に色々してた気がする。

 

 

 支配者として聖人君子と暴君の反する二面性で存在してた。

 中でも1番覚えているのは血と戦場だ。弟は本家と分家を鏖殺、末裔の処理は()がした。

 

 

「メロンパンが僕に記憶をぶち込んだのが今で良かった。もし高専時代だったら迷わず離反してるね……」

『カタカタ』

「ん?あぁ、高専っていうのはね……」

 

 

 勘当された者、逃げ出した者、その子孫達は自分達が月夜見の血を引くのだと知らぬのが殆どだった。

 己が罪も無い人を大勢殺した。

 

 

 親の罪は子の罪では無いとよく言うけれど、そんなのが通用しないほど呪いとは永遠に続く柵だった。

 1度始まったら最後まで止まる事ができない。

 

 

 正しく呪い合い。弟が始めた呪いを俺が終わらせるしか無かった。多くの命を奪って、俺の心が凍っても、俺だけが終わらせることが出来た。

 

 

 1000年前のあの日、俺が俺の魂を封印して僕の魂を世界に呼んだ日、あと時に最後の月夜見(影月)は死んだ。

 あれで忌々しく哀しい一族の歴史は絶たれたんだ。あれで良かったかと問われたら決して頷け無いけど、それ以外の方法は無かったし。

 

 

「今から人を助けたって無駄だな。僕の性分も原作虎杖悠仁みたいな善人じゃないし」

『カカラ、カラカラ』

「こっちの話。気しないで」

 

 

 原作の悠仁はさ、渋谷事変でスっくんが暴れ回って沢山殺したことに責任を感じてたでしょ。『助けなきゃ俺はただの人殺しだ』って言ってさ。

 うん、悠仁は一般的で素晴らしい感性の持ち主だね。僕は微塵もそう思わない。だって圧倒的に手遅れだから。

 

 

 考えてもみろよ。俺は原作虎杖悠仁の比にならないくらい殺したし、世界のルールを破ったし、命を見捨ててきた。救いようもない旧支配者。

 

 

 そんな俺と僕がどの面下げて『僕は人殺しです。どうしようもない事を沢山やりました。なので償うために人を助けます』なんて言える?言えるわけないでしょ。無理だ無理。俺と僕の最期は決まってんだよ。

 

 

「ってな訳でさっさとここから出たいんだけど」

 

 

 簡単に許される域を出てるんだからごちゃごちゃ考えても意味無いよね。やる事やって、死んだ後に無間地獄とか魂の破壊とか、神様たちに囲われてもどうにでもなればいい。別に逃げてる訳じゃないんだから。

 

 

 だからさっさと出してくれ。天逆鉾でも天使でもどっちでもいいからココから出て、クソメロンパンを殴りたい。

 よくもこんな記憶をありがとう、死ねって胴体チョン斬りたい。

 

 

「ねぇ、封印から出た時にかっこつけたいんだけど何かいい台詞ない?今際の際だぞ、は絶対言いたい。カッコイイもん」

『天上天下唯我独尊』

「うっわ、骨なのにどうやって喋ってんの?え、これ幻聴???」

 

 

 とりま今後の予定は決まったぞ!カッコよく出て、宿儺とメロンパンを殺して、前世の魂集めて、ちょっと世界を弄って潔く死ぬ!

 僕としてはもっと生きて老衰で死ぬ予定だけど、これは俺の最期だ。俺らしく散って門を潜る。

 

 

『兄様は私の自慢です』

 

 

 それが僕の、あの子にしてやれるお別れ()だからね。

 

 

「月が照らす天上天下。されど驕るな唯我独尊」

「……ッは、マジかよ!!」

 

 

 だからよォ……、僕を見て驚いてるそこのメロンパンは覚悟しな?

 僕の仲間は優秀なんだよ。ゴリラから天逆鉾を借りて【獄門疆・裏】にぶっ刺せは僕がパッカーンなんだよ。

 

 

 お前知らなかったろ、獄門疆に裏がある事。

 僕も知らなかったけどさ。時代は平安じゃないんだよ。

 

 

「世の人々が映すは僕の美貌。ただし中を知れば幻滅直行」

 

 

 何故なら最高にイケててクレイジーだから、と続ける。

 ついさっき骸骨達と考えたセリフを思い出せばペラペラと僕の口が動いた。ちゃらんぽらんは僕と相性いいみたい。

 

 

「これはお前に送る鎮魂歌(レクイエム)。君の瞳にグラシアス!!!」

 

 

 とびきりの笑顔とウィンクで瞬間移動した僕は目の前にある僕と同じ面を思いっきり殴った。

 うん、思いのほかいいのが入ったな。自分の面だけど中身が違うだけで大分イラッとしてたからボコせてスッキリ!

 

 

「ガハッ……!!」

「あぁ、ごめん。癖になってんだ。音殺して歩くの(瞬間移動)

 

 

 最高だろ?と言って怯んだメロンパンの鳩尾に黒閃(【比礼・燈】付与の打撃)を追加でお見舞した。

 とりま世界一カッチョイイ登場はできたと思う。そうだろ?マブタチ共!!!

 

 

 

 





キルアの台詞は1回使ってみたかった。
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