御三家に生まれたので生存戦略を遂行する   作:超甘味

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妄想と捏造の産物とご理解ください〜
では行ってらっしゃいませ。


俺、術式の名前が決まった。

 

 

 はい、前回術式ガチャ爆死して人生絶望だけど生存戦略で生き残ろうとしてるどうもモブです。

 名前は禪院征哉。モブクンって呼んでくれていいよ。

 

 

 さて、俺は今何をしてるかと言うと虚無を見ながらブツブツ言葉を発しています。

 傍から見たら奇行だね。でも安心してくれ、直哉と術式について思考していただけだから。

 あ、あと俺7歳になった!ハハッ、結局子供時代ってこんなもんだよね……。

 

 

「で、どう思う?甚爾」

「……話が見えねぇな」

 

 

 今、俺の隣にはフィジカルギフテッドゴリラが居る。なんか知らんけど随分前に拾った。

 

 

 ご存知の通り、禪院家には呪霊を生かして投獄している場所がある。

 ある日術式を学ぶ一環で呪霊共の呪力を吸い取ってやろうとしたら先客がいて驚いたものだ。

 それがなんと就職先がヒモ男予定の筋肉ゴリラ禪院甚爾だった。

 

 

 ボロボロになって素手で呪霊と戦っている割には攻撃が通っていないように感じて、あれ?おかしいな……って思って見てみれば呪力が全く無い。

 俺は焦った。そりゃ盛大に焦った。そこにいた呪霊共の呪力を吸って1匹も逃さず祓っちゃったくらいには焦ってた。

 

 

 だって呪力無しだよ?拳が当たったとしても祓えないんだよ?しかも2級レベルとかのヤツもザラにいるし、本人はボロボロだし。

 口の端とか血を流して怪我してる。そんなん助けるしかないじゃん。

 

 

 多分見えなくても気配は感じていたんだろうね。ついさっきまで自分を襲っていた忌々しい呪いが消え失せたことに目を見開いて驚いていた。

 意外とアホ面で笑ったら、目と目が逢う〜しゅ〜んかんすぅ〜きだ〜ときづぅ〜くぅ〜、になった。一体どんな出会いだよ。

 

 

 そっからは檻から出してやって、話して、餌付けして、体術教えて貰って、兄貴的存在になってもらった。

 たまーに殴り合いの喧嘩したり、………まぁ色々あったんだよ。結論、コイツはまじで野生のゴリラだった。頭かち割れるかと思った!

 

 

「で、お前は何が言いてぇんだよ」

「直哉が、……………構ってくれない」

「ブハッ!!しょうもねぇな」

「あ"ぁ"ん??」

 

 

 こちとら死活問題だぞ?舐めてんのか。

 実はつい最近まで俺の後ろを着いてきた可愛い弟ちゃんは自立しようと兄離れを始めた。全俺が泣いたね。

 

 

 俺と一緒に居るより使用人や家の者と居る時間の方が多いのが悲しい!っていう愚痴を甚爾に話していたら知らんと一蹴りされた。

 いいのか甚爾、泣くぞ?俺泣いちゃうぞ?

 

 

「そりゃあお前の弟も今は6歳だろ。術式の制御だってあんだから忙しいに決まってる」

「歳とったなぁ」

「ガキが何言ってんだお前」

 

 

 いいかい?甚爾くん、7歳って世間一般で言うと立派な小学生なんだよ。

 つまりワクワクとイヤイヤを兼ね備えてクソガキに進化する時期って訳。ま、俺たち学校行ってないけど。

 

 

「お前もお前の弟も相伝とか遺伝子大丈夫か?俺に分けてくれもイイんだぜ?」

「だから俺は相伝じゃないって。それと甚爾のフィジカルは羨ましいぞ。素だと人間ゴリラで無敵だし」

「はっ倒すぞクソガキ!!!」

 

 

 ははっ、と笑っていれば頬っぺを抓られた。流石フィジカルゴリラ。めっちゃ痛い。

 

 

 先の会話で気付いた者もいるだろう、あれ?お前ってダ〇ソン掃除機術式じゃ無かったけ?って思った奴。

 大丈夫、お前は正しいよ。俺だってちゃんと否定してるし、俺の術式を相伝って言ってるのは今のところこのゴリラ1匹だから頭悪いで済ませといて……。

 

 

 けれどダイソン術式でも別に、(モブ)とてこの3年間を無駄に過ごしてきた訳じゃない。

 すり抜け術式に研究に研究を重ね、解釈を広げ、実技をしてみて失敗を恐れず挑戦を繰り返してきた。

 

 

 全ては俺(と直哉)の命の為!!!出し惜しみなんてしてる暇ねぇんだよ!!!!地獄を生きる為に挑戦あるのみ!!!!!(ドン!)

 

 

 俺が何をやって、何が出来るようになったか、何故ダイ〇ン掃除機術式だった俺がゴリラ1匹に相伝と呼ばれてるのかはまた後程。

 それより今は直哉だ。俺は弟不足でストレスゲージが爆発しそう。頼む、直哉を吸わせてくれ!

 

 

「お前の弟も稽古で忙しんだろうよ。ほら、体術付き合ってやるからストレス発散しろ」

「いいの?じゃあ、遠慮なく」

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

「ゼェゼェ……ゴホッッ…ヴ、ェ……ゴホッゲホッ………」

「……お前、大丈夫か?」

「だ、だいじょ………ゔぇ…オェ…」

「すまねぇ、やりすぎた……」

 

 

 ストレス発散で体術稽古をしていたのは良かった。

 最初の方こそ脇が甘い!とかもっと重心を下げろ!とか指導してくれたんだけど、途中から熱中しちゃって気づけばガチバトルのゴングが鳴っていた。

 

 

 何回も稽古を組んでいくうちに俺もメキメキと体術が伸びてしまって2人とも調子に乗っちゃったんだよね。

 でもやっぱゴリラには勝てなくて徐々に押されていった。

 それで俺は鳩尾(きゅうび)を打たれ 一瞬呼吸が止まったと思ったら次の瞬間には甚爾の鈍い拳が腹に入っていた。くっっそ痛かった。昼飯出るかと思った。

 

 

「い、いよ。やっ、ぱ……とーじつよい」

「ま、天与呪縛なんてそれだけが取り柄なんでな」

「ははっ、……あ''ー、負けてられないね。次は勝つ」

「へっ!次も勝つ。てか、そろそろ術式の稽古時間だろ?早く行け」

「あいあいさー兄貴」

 

 

 くにゃくにゃな手で敬礼したら頭ぶっ叩かれた。いてぇって怪力ゴリラ!!

 

 

 頭で僅かに主張するたんこぶを擦りながら稽古場へ向かう。

 うちの稽古場でっかいんだよね。数百人は入れるくらいだから術式乱用しても大丈夫なのがすごいと思う。お金どれくらい掛かったんだろう……。って思ったらおい野郎共!!俺の弟ちゃんレーダーが反応したぞ!!!!

 

 

「直哉〜!稽古お疲れ」

「!兄ちゃん…!兄ちゃんは体術やっとったん?」

 

 

 あら〜お目目キラキラさせちゃって流石俺の弟。まだクズの鱗片は見せていない。ただただ純粋。

 

 

「まぁね。直哉は術式の方どんな感じ?」

「ええ感じやで。最近は上手う扱えるようになってきたんや!」

「おぉ!いいね。パパみたいになりたいんだろ?」

「そらもちろん!」

 

 

 うーん。可愛い。兄離れとは言うけど、会う回数が減っただけで俺を嫌ってる訳じゃ無かったのが嬉しい。

 直哉に嫌われたら……、俺は怒りで禪院家ぶっ潰して呪術界もめちゃくちゃに出来るかもしれない。いや、さすがに無理か。俺モブだもん☆

 

 

「兄ちゃんの術式は相伝とちがうけど、それ以上に凄いのは知ってんで」

「一時期はハズレの術式だって思ってたけど、解釈次第だったもんね」

「そや!兄ちゃんは賢いさかいきっとパパも認めてくれんで!」

「はっ、……嬉しいこと言ってくれるねぇ〜」

 

 

 おーよしよし〜と照れ隠しで頭を撫でてやれば嬉しそうに、もっと!と強請(ねだ)ってきた。

 ……はぁーーー(クソデカ溜息)、直哉まじ最高。皆にもこの可愛さを共有したい。

 

 

「童共!はよ稽古に行かんかい!」

「げ、パパ。わざわざ呼びに来たわけ?」

「なんじゃその嫌そうな顔。まぁ、いいわい。ほれ直哉、さっさと体術にいけ。征哉は俺と術式稽古だ」

「はーい。また後でな兄ちゃん」

「ん、直哉も頑張れよ」

 

 

 兄弟水入らずの空間はクソ親父によって破壊された。

 稽古場に着いたら待ちに待った俺の術式説明会。俺のパクリ(努力)の賜物でできることが増えたから、今日はそれを親父にプレゼンするのだ。

 

 

 考案・立案は直哉と俺と甚爾でやった。あと原作知識。

 もちろん俺独自の解釈が基礎とはなっているが、個々独特の感性やらも参考程度に欲しかったので意見を求めた。

 

 

 でもやっぱりゴリラはゴリラだった。脳筋思考で殴る蹴る、とか術式云々(うんぬん)の話じゃねぇんだよなぁ……。

 統計的にほぼ直哉と俺で頭を捻った訳だが、試作結果としては殆どが成功。時代なんかに囚われない広い解釈がいい方向に向いてくれた。さすが俺の弟、それから脳筋フィジカルゴリラ。

 

 

「何を聞かされるのか皆目検討も付かんなぁ?」

「嘘こけ、嗅ぎ回ってるのは気付いてるぞ」

 

 

 3年間の成果、それを今日ここで一気にばらす。親父が俺たちの考えている事、している事に目をつぶっているのは知っている。

 禪院には珍しく寛容だが、そこがありがたい。こうして俺が言うまで待っててくれてるし。

 

 

 ただ報告するのは親父だけだ。家の奴らにはまず無い。

 あいつらは俺が相伝じゃないってだけで態度がガラリと悪くなったクズ共だからな!

 弟の直哉は『投射呪法(相伝)』だったからか蝶よ花よ状態だった。嫌な事はされてないみたいでちょっと安心。

 

 

 スゥ……、だって聞いてよ俺の愚痴!?直哉の術式発現当時は兄であるはずの俺に面会権が無かったんだよ?出来損ないには近づく権利が無いとか何とか!

 ……ふっざけんじゃねぇぞ!!!陰口・嫌味などなど、無反応で受け流していた俺が柄にもなくブチ切れた件だ。

 

 

 そもそも俺から直哉を奪うとか1億年早いんだよ!その薄くなった頭ツルペカになるまで磨いたろか?俺は殺るぞ、問答無用でな。

 って事で当時の俺は拡張術式の『呪力を吸い取る影』を操って屋敷中暴れ回り、無力化させながらタワシを片手にハゲかけてるジジイ共の頭を磨いて完璧ハゲにさせた。武勇伝ですね。いや、黒歴史か?

 

 

 ハイ、話が逸れたから本題に移ろう。

 

 

「3年前、パパが俺の影には『呪力を吸収する性質がある』って言ったよね」

「あぁ、記憶にあるぞ」

「パパも俺も、ソレが術式なんじゃないかって考察だったけど、まず俺が最初に発現したのは『純粋な影』を操る能力だった。なんの効果も付与されてないただの影。だから俺は呪力を吸収ナンタラ〜は生得術式じゃなくて拡張術式なんじゃないかなって考えた」

 

 

 つまり以前考えていた「もしかして拡張術式の類い?」って仮説を信じて解釈した。

 思えば意味わかんないよね、呪力を吸収する影の術式って。

 いや、別に強そうだし(ちょっと器用貧乏だけど)結論としてはアリなんだろう。でも俺には少し違和感があった。なんかがちょっとズレてね?って感じ

 

 

「……続けろ」

「俺の術式は純粋な影を操る『影法術』かなって思ってる。十種はそれにプラス……って言っても俺のやつと違って自分の影に限定されるけど、式神を操る能力もある。俺の術式は自他関係なく影を操るだけ。一見、下位互換な術式でやれることは少ないな〜とは思うけど、とりあえず影で再現出来そうなものとやってみたいものを思い浮かべてみた」

 

 

 まず俺が最初に考えたのが、影=十種だった。

 十種影法術は十種の式神を使役する術式だ。影法術ということで無論影も操れる。強力単純チートの三冠を果たす最高峰の術式だと思う。

 流石、数百年前の御前試合で五条の抱き合わせの当主と殺り合っただけはある。

 

 

「ほぅ、呪力を吸収する特殊な性質に目を奪われすぎたか。根本的に間違っていたとはなぁ。……それで?何を試した?」

「例えば、相伝の十種は影を媒体とした式神を操るでしょ?俺の場合は影を使って1から自分で式神を作ればいいんじゃねって感じ」

 

 

 上記のセリフで何が言いたいのかというと、それは術式の在り方についてだ。俺は思った、十種の式神ってどっから来てんの……?と。

 

 

 ここで原作の伏黒恵を思い出して欲しい。

 初めて玉犬(式神)を顕現した時、自身の影からそのまま(玉犬)の姿で出てきた。だが彼に、影で式神を作った様子は無かった。

 ましてや術式発現前に式神を作る事なんて無理なはずなのに初顕現の時点で完成系の玉犬が出てきている。

 

 

 つ・ま・り!!!

 影を媒体とした式神ではあるが、自分で作った式神では無くて術式による性能で元から備わっている式神ってこと!!!!!

 

 

 だから1回破壊されたら修復不可能なんだろうね。元から与えられている十種が上限で、それがデフォルト設定で変えられない(式神を作れない)んだろう。

 

 

 でも俺の術式はそんな式神なんぞ持ち合わせていない。なぜならただの『影法術』だから。

 でもそれがなんだ?無いなら作ればいいじゃない〜!ってどっかのマリーなアントワネットも言ってる。

 影を媒体とした式神だって所詮は『影』だ。俺に出来ないわけない。そこに自立や意思の有無は後づけで押し込めばいい訳だ。はい、これで式神完成。

 

 

 うんうん、これを思いついた俺すごいよね。この考えを導き出すのに半年、実行に1年掛かった。成功はしたけど式神作りが頭おかしくなるくらいに難しかった。

 実体がない影から実体のある式神だよ???難易度鬼ムズじゃん。完成させたい俺凄いよ。神様名乗れるわ。

 

 

「なるほど、悪くない解釈だ。それで?」

「神話とか文献を漁って出した結論なんだけど、影って実在する万物じゃなくて虚構とか概念の類いだと思うんだよね。実際光がないと影も無い、表裏一体なモノだし。だから現実味を帯びていなくて法則を無視したこともできるんじゃないかなって思った。影を現実に 、現実を影に『追従させる 』。本質は十種影法術と同じだ」

「ほう……術式は違えど本質を同等に落とし込んだのか」

 

 

 思考って大事。脳死で生きてたら人生損する事を学びました。

 少なくとも羽虫程度の俺の命が幾年か保証されたよね。

 

 

「この解釈であれば影に物を入れるとかが出来るんだよ。俺が普通に影を触る時、触るのは影じゃなくて地面だ。それが当たり前なんだけど、今の解釈で行うと触るのは()()、つまり影になる。俺は影を現実に持ってこれるから、概念()に触って、認知できるって訳だ。そうしたらその概念に万物(現実)を押し込めるんじゃないかなって」

「……これはたまげたな。すごい解釈をしたもんだ」

 

 

 親父は目を見開いて、感心したように俺の話を聞いていた。

 俺自身もこの解釈をするのに3ヶ月掛かったので、すごーーーく大変だった。主に文献漁り。

 

 原作の伏黒恵がどんな解釈をして影に呪具を入れていたのか理解できなかったからそれはそれは頑張った。あとこの解釈を導き出したから式神作りが成功したってのもある。

 

 

 『十種影法術』についての書物を読み漁ったが、文字は繋げ字だわ〜、紙は古いわ〜で、解読に時間がかかった。書き写しとかもされてない様なので長年十種が産まれていないことを察した。乙です!

 読解のために直哉と甚爾を巻き込んだのはいい思い出だ。ヒィヒィ言いながら作業してた懐かしの日々……。もうやりたくない。

 

 

「あとはさっきの話の延長だけど、影と影を使った移動とかかな」

万物(現実)を概念に押し込める、か。それを使って影に潜って任意の場所への移動か?」

「うん、ここでさっきのヤツ、概念だから法則が無効ってのが便利でね。物理的距離も時間も気にしなくていいから実質瞬間移動的なの使えるんじゃないかなって」

「なるほどな、いい考えだ。他にあるか?」

「えーっと、あ!五条家無下限呪術についての記載で思いついたやつだけど……」

 

 

 ここで、皆も思ったことはあるだろう。何あれ!サトル・ゴジョーの無限バリア強すぎ!チートやん!!!ってやつである。俺も例外なく思った。

 攻撃当たらないのってヌルゲーやん。これあったら俺の生存戦略完走では???と歓喜したが術式違うから無理じゃん!!!と、細枝のように俺TUEEEE人生はぽっくり折れた。

 

 

 心の中で折れた細枝がまるで俺の命を表しているようで泣けてくる。……とか、しくしくやってたら。パッと(ひらめ)いた。

 今まで色んなことを影で再現してきたんだ。ワンチャンやればできる!!!ってな。ポジティブに行こう。

 

 

「ハッハッ、さてはまだ試してないな?まぁ、言うだけ言ってみろ」

「ゔっ、他のやつはやってみたけど、これだけは異常に難しいんだよ。あー、五条家の無限バリアってあるじゃん?」

「おう」

「あれを真似することは不可能だけど、バリアって部分をパクってみたんだよね。ほら、目に見えないくらい薄ーーーく伸ばした影を体の周りに纏わせるの」

「………これもまたさっきの延長線上だな?呪具のような物体がある()()は影に取り込まれ、衝撃や呪力、術式効果と言った()()は影の概念と相殺(そうさい)しあう」

「えっ、なんでわかったの!?」

 

 

 すぐに理解出来る内容じゃ無いはずなんだけど!?

 こういう時の頭の回転の速さとか、稽古を通して感じる呪術的センスとかは腐ってもこの人が禪院の当主で皆を率いてるのを証明している。

 クソ親父なくせにそういう所は尊敬するよ。直哉が憧れるのも無理は無い。

 

 

「あ、そうそう!それで最初の『呪力を吸収する性質』、またの名を拡張術式についてだけど、パパが今言った相殺が関係してると思うんだ」

「……ふむ、理解した。当初はそういう術式かと思っていたが……拡張術式か、扱きがいがありそうじゃなぁ!」

「お手柔らかにね???」

 

 

 術式解釈で行き詰まってた初めの頃、この拡張術式でどうやって戦うかを模索してた。

 何せ昔パパが言った「使い所が難しい」って言葉で心を抉られたので。

 

 

 中・遠距離からの無力化(親父や直哉考案)。もしくは影を相手に追尾させて無力化(対呪霊)or相手自身の影を通して無力化(対人)させながら俺が近距離で戦う、通称ゴリラ戦法(フィジカルゴリラ考案)。

 

 

 如何せん影に触れないと呪力吸収は発動しない。

 条件付き故に強力な一手なので後者は余程の猛者が選択する戦法だ。ゴリラらしい案だね。

 

 

 でも今思えば後者もいいなって思ってる。

 バリアの話で出てきた『視覚不可能な影を纏う』の逆の『視覚不可能の影を纏わせる』で相手に気づかれずに無力化できそう。最高やん。習得したろ。

 

 

 それに忘れていたけど術式効果範囲が縛られないから、相手に実体()がある限り、相手の影に呪力吸収を付与したら近接をするまでも無く無力化できる。

 ………すごい。解釈ってすごい。ダイソ○掃除機術式が化けやがった!!!

 

 

「たかが3年でコレか。随分と頑張ったのう」

「うん、文字通り生きる為に死ぬ気で頑張った」

 

 

 ほんとこの3年は無駄じゃなかった!!!糖分不足でも死ぬ気で頭を働かせた甲斐があった!!!!

 脳細胞もブチブチ鳴ってたよ。ほぼって言うかゴリラ戦法以外全部パクリだけど、こうでもしないとモブは生きていけない。そこら辺は許せ。

 

 

 でも本当に脱ダイ〇ン掃除機術式おめでとう俺!なんなら俺の解釈次第で『十種影法術』の真似事できるようになったし!!!!

 ここまで来たら皆もわかったろ?これが甚爾が俺の事を相伝だって言った理由だぜ。

 

 

「そういえばお前の術式の名称はどうする?」

「え……無難に『影法術』じゃダメ?」

「はぁーー、分かってないのぅ………それじゃつまらんだろ!!もっとアニメみたいにカッコイイのにせんか!」

 

 

 肩を竦めるクソ親父に白い目を向けるのは仕方なかった。

 最近の日本は娯楽が発展してきている。そのせいで親父がアニメ・漫画にハマって沼ってしまった。酒を飲みながら見る娯楽は最高なんだとさ。

  俺が術式解釈に瀕死になってた時に何やってんだか。羨ましいなぁオイ。

 

 

「『幻影法術(げんのかげほうじゅつ)』とかどうじゃ?概念の域である()の所業が出来るお前にピッタリだと思うんだがな」

「あんま変わってないじゃん」

「小さい事を言うな。俺がいいと思ったならそれでよい」

「えー。まぁ、歴代にも俺みたいな術式の人って居ないし……それでいいや」

「じゃあ正式に決定だ。あーあ、年寄りが頭を使うと疲れるわい。ほれ、夕飯に行くぞ」

「うぃーす」

 

 

 術式を語っていればあっという間に日が暮れていた。

 稽古とか言ってたけど結局稽古じゃなかったな。俺がどれだけ頑張ったかを証明しただけで終わった。

 

 

 とは言っても、今日親父に暴露した諸々はまだ完全に扱える訳じゃない。

 この3年は出来そうなやつと出来ないやつを分別したに過ぎない。ちょっと試したりもしたけどそれで戦えるかって言われたら答えはNo。

 

 

 原作リスペクトでチート技を次々と考案し(パクっ)てはいるけど、俺がそれを使える可能性は絶対じゃない。

 俺のベースはモブだ。どっかの目隠しGLGみたいに生まれながら最強とかじゃないし器用でもない。俺は羽虫(モブ)だ。

 

 

「(疲れた、ほんと疲れた)……はぁ」

 

 

 冷静に考えよう。俺はこれから十種の式神と瞬間移動と無限バリアを俺バージョンで模倣しようとしてる。それからゴリラ戦法。

 ……そんなんモブにどうしろってんだよ!無理難題スギィ!!

 

 

 でも初歩中の初歩レベルがほんのちょっと出来たから、夢見てもいいはず。俺の生命線は張っておかなきゃ。言わばこれは保険だ、保険。

 

 

「命大事。生き残るのが第一」

「ハッハッハ!安心せい、死なんように扱いてやるわい」

「………。(何一つ安心出来ねぇよ)」

 

 

 チート技達を手懐ける為にどうしたらいいか、夕飯に向かう途中もモブの足りない頭で考えた。

 ………とりあえずすっげぇ疲れたから直哉吸いたい。

 

 

 

 

 






直哉を吸いたい。
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