無職転生二次SS集   作:カンピロバクター

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時系列はアスラ王国編以降を想定。
アニメ1期2クールEDの映像をベースにしています。



ランタン祭り

 俺は今、オルステッドの指令で中央大陸南部のある街を訪れている。護衛のエリスも一緒だ。

 街中を二人で歩いていると、エリスが口を開いた。

「この街、昔にも来たことがあるわ。懐かしいわね」

「そうだね」

 ここはたしか、魔大陸から帰還する旅の途中に立ち寄った街の一つだったな。

「お祭りを見に行った時にルーデウスが花火を上げてたの、覚えてるわ」

 あの時は、ランタンが夜空を埋め尽くす光景にテンションが上がって、魔術で花火を打ち上げたんだ。俺も覚えている。

「夜空をランタンが沢山飛んでたの、綺麗だったね」

「そうね」

 

 俺たちが歩きながら話していると、通りの出店のおじさんが話しかけてきた。

「そこのお二人さん、ランタンは買わないかい」

 店先を見ると、お祭りで空に飛んでいたランタンが店先に並んでいる。

「あ、あれよ!空に飛んでたの!」

 エリスが指を差す。おじさんはにこにこしながら、更に商売トークをする。

「ちょうど今夜、ランタン祭りがあるんでさ。買っていかないかい?」

 エリスが食いついた。

「ほんとう!?」

「そうともよ。各々が願いを込めてランタンを空に飛ばすのよ。お姉さん、綺麗だからお安くしときますぜ」

 エリスが目を輝かせてこちらを見る。この街には一泊する予定だったし、参加しても良いか……

「わかりました。二つください」

「毎度あり」

 空飛ぶランタン、天灯と呼ばれる物を俺たちは購入した。

 

 ――その夜。

 宿屋を出て、祭りの会場に向かった。街の近郊の草原で行うらしい。参加者たちがその手にランタンを持ち、続々と集まってくる。会場に着いた参加者たちは、ランタンに火を灯し、次々に空へ飛ばした。

 夜空をランタンが埋め尽くし、地上を優しく照らしている。

 

 会場に着いた俺たちもランタンを飛ばそうと準備する。

 魔術で俺の分のランタンに火を灯し、エリスの分にも点けようとすると、エリスがランタンを俺の手から奪った。

「これくらい私でも点けられるわ」

 エリスが詠唱を始める。大丈夫かな。ランタンを焼き尽くしてしまわないかしら。

 

「火球弾(ファイアーボール)」

 

 エリスがランタンへ無事に火を灯した。どうよ!これくらい私にだってできるんだから!という顔をしている。

 俺はそんなエリスの様子を見て、微笑ましく思いながら言った。

「俺たちもランタンを空に飛ばそうか」

「そうね!」

 俺たちがランタンを手から離すと、ふわふわと飛んで行き、やがて夜空に数多く浮かぶランタンの中に溶け込んでいった。

 

 たしか、願いを込めてランタンを飛ばすんだったっけ。何を願おうかな。

「エリスは何をお願いする?」

「……わ、私はルーデウスのそばにずっと居られれば、それでいいわ」

 ランタンの灯りかどうかは分からないが、エリスの顔に朱が差して見える。その時、エリスの手の甲が俺の手の甲に触れた。エリスは手を引っ込めようとしたが、俺がその手を握ると、しっかりと握り返してくれた。

「ルーデウスは何を願うの?」

 エリスが聞き返してきた。

 家ではシルフィ、ロキシーと子供たちが帰りを待っている。今は隣りにエリスが居て、一緒に仕事をしている。充実した毎日だ。これ以上に願うことがあるだろうか?

「ずっとこんな幸せが続けばいい、かな」

「そうね」 とエリスも頷く。

 

 俺たち二人は手を繋ぎ、ランタンの舞う夜空を見上げ続けた――。

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