無職転生二次SS集   作:カンピロバクター

4 / 10
ルーデウスとエリスがデートするお話です。
なお、時間軸はアスラ王国編後を想定しています。


手を繋いで

 ある晴れた日の午後。

 俺は手持ち無沙汰になっていた。

 オルステッドから、今日は帰ってもいいと言われたからだ

 午後は何をしようか、などと考えながら家の門を潜ると、エリスとばったり出くわした。

 外套を身に着けていて、今から外出するところらしい。

 

「おかえりなさい、ルーデウス」

「ただいま、エリス。今からお出かけ?」

「そうよ! 今使ってるのが壊れそうだから、新しい剣帯を買いに行くわ!」

「俺もついて行っていい?」

 そう言うと、エリスは少し心配そうな顔をした。

「いいけど、仕事は大丈夫なの?」

「今日はもうおしまいだってさ。付き合うよ」

「わかったわ!」

 

 弾けるような笑顔で、エリスは同意してくれた。

 

 ◆ ◆ ◆

 

 俺たちは並んでシャリーアの街を歩いていた。

 弾むような調子でエリスは前に歩いて行く。

 俺も負けじと歩調を合わせて歩く。

 歩いていると、俺とエリスの手の甲が触れた。そっとエリスの手を握ると、エリスも指を絡めて握り返してくれた。

 時折、エリスに「早くしなさいよ」という目で見られ、手を引かれるようにしながらも武器屋に着いた。

 

 エリスは武器屋で、ある剣帯を手早く選ぶと購入した。彼女に迷うという言葉は無いらしい。

 あらかじめ購入代金も準備していたのか、お金のやり取りも問題はなかった。

 まだまだ時間はあるし、散策して帰るのも良いだろうな。

 

「エリス、そこの屋台に寄って行こうか」

 行きの道中でエリスの目が釘付けになっていた、串焼きの屋台を指さす。

 エリスは目を輝かせながら頷いてくれた。

 

 俺は屋台の主人に串焼きを二本注文すると、一本をエリスに渡した。

 屋台の横にベンチを置いてくれていたので、そこに座り、串焼きを食べる。

「美味しいわね!」

 エリスは相変わらずだ。

 そんなエリスを見ながら食べた串焼きは、とても旨く感じられた。

 

 串焼きを食べ終わった後、エリスの手の甲にタレがついているのが見えた。

「エリス、ちょっといい?」

 呼びかけて彼女の手を取ると、タレを舐め取る。手は綺麗にしないとね。

「なにしてんのよ!」

 ――突如として視界が明滅した。気が付くと、目の前は青い空だった。

 フン!と鼻を鳴らす音が聞こえる。殴られたのだと気付いた。

「ごめん」

 起き上がった俺は、殴られた顎に治癒魔術のスクロールを使いつつ、エリスへ謝った。

 

 その後、街中を歩いていると、エリスはしきりに舐められた手を気にしている様子だった。

 そんなエリスを見ていたら、少し揶揄いたくなってくる。一体どうかしたのかね? うーん?

「エリス、どうかした?」

 衝動に逆らえなかった。ごめんよ、エリス。

「何でもないわ!」

 そう言い張るエリスの頬には、少し赤みが差している。

 俺は更に彼女の手を取った。

「エリスの手は好きだよ。努力してる人の手だし、何度も俺を元気づけてくれたから」

 そう言って握ると、火の点いたようにエリスの顔が真っ赤になった。可愛いな。

「可愛い」

 おっと。心だけでなく、口にも出てしまった。

 エリスは俺から顔をそらすと、「なに言ってんのよ! 行くわよ!」と言って、歩き出そうとした。

 顔をそむけてはいたが、耳は真っ赤だった。

「エリス」

 俺はエリスの腕を掴んで引き、呼び止める。

「今から休憩しよう」

 俺の誘いに、エリスはきょとんとした後、真っ赤な顔で頷いた。

 

 俺たちは手を繋いで、手近なそういう用途でも部屋を貸してくれる宿屋へ向かう。

 エリナリーゼのおかげもあり、俺はこの街の宿屋には精通しているのだ。

 

 宿屋の主人へ休憩と伝え、チェックインする。

 部屋に入るなり、エリスは俺の唇を奪いにきた。

「まだ服も脱いでないし……落ち着いて、エリス」

「ルーデウス、好きよ。我慢なんてできないわ」

 エリスは俺をベッドに押し倒すと、更に何度も貪るようにキスをしてきた。呼吸ができない。

「ぷはっ! 俺も好きだよ、エリス。息ができないから、ちょっとだけ控えめに、ね?」

「ルーデウスがあんなことを言うから、ずっとしたかったんだもの」

 劣情に染まったエリスはニマニマとしている。釘を刺しておかないと、やり過ぎてしまいそうだ。

「夕方になったら帰るからね。夕飯までには家に帰らないと」

「わかったわ!」

 わかってる時の「わかったわ!」だと思うが、大丈夫だろうか……

 

 その後、俺たちはイチャイチャしながら服を脱がし合って、融け合うんじゃないかってくらい、激しく愛し合った。

 デートで気分を盛り上げてからするのって、良いものだな。

 

 お楽しみで夢中になっていると、エリスのお腹がぐうと鳴った。

 窓を見ると、赤い夕日がカーテン越しに見える。

「そろそろ帰ろうか」 

 上に乗るエリスに笑いかけると、「そうね」 と顔を赤くしつつも笑った。

 

 夕暮れの中、俺たちはまた手を繋いで、家路に就くのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。