俺は今、エリスに生まれたままの姿をじっくりと観察されている。
乙女の裸をあまり見つめないでほしい。恥ずかしいじゃないの。
そりゃ下心が無かった訳じゃないけどさ、こんなはずじゃなかったんだ。
◆ ◆ ◆
ある日、俺は研究室でいつものように日記をつけていた。少し休もうと思って顔を上げると、視界の隅に人形が目に止まった。ロキシーとシルフィ、二柱の神の姿を模した物だ。書き仕事で疲れた時に心のオアシスになってくれている。
何となく見ていると一つ足りない物があることに気付いた。
エリスの人形だ。
昔、作ろうとしていたことはあったが、その時はまだ勘違いしていた時だった。エリスの姿を思い出すだけで涙が出てきて作れなかったんだ。
今度こそエリスの人形を作ってみよう、そう思い立った。
それから暇を見つけては、エリスの人形作りをしていた。しかし、いまいち満足のいく出来の物を作れなかった。
あまりエリスの体をじっくり見る機会が無いから、イメージ不足なのかもしれない。そこで、文字通りエリスに一肌脱いでもらうことにしたんだ。
◆ ◆ ◆
「エリス、話があるから寝室まで来てもらっていい?」
「いいけど、何の話なのよ」
「それは、後で話すよ」
「わかったわ!」
念のため、エリスの日であることを確認してから、寝室にエリスを呼んだ。
そして、寝室にて。
「エリス、頼みがあるんだけどさ」
「何よ」
「エリスの人形を作りたいんだ。だから、服を脱いでモデルになってくれないかな?」
エリスの髪の毛が逆立ったような気がした。
「嫌よ、恥ずかしいわ」
断られるのも覚悟はしていた。だが、エリスの人形を作る為にはすぐに引く訳にはいかない。
「俺達って人族だしさ、すぐに老けちゃうから若い時の姿を人形で残しておくのもいいと思うんだ。それに、シルフィとロキシーの人形があるのにエリスのだけ無いのは、嫌なんだ」
そう言うと少し困ったような顔をしてから、顔を赤らめてエリスは答えた。
「……仕方ないわね。ルーデウスがそんなに言うなら、モデルになってあげてもいいわ」
内心ガッツポーズをしつつ、期待に胸と股間を膨らませながらお願いした。
「じゃあ、早速だけど服を脱いで裸になってそこに立ってくれ」
「わかったわ……」
エリスは恥ずかしいのか、顔を真っ赤にしている。声もどこか弱弱しい。夜の時や風呂でお互いの裸は見ているはずだが……。そういう時はあまり意識してないから、恥ずかしさを感じないのかもしれない。
エリスが服を脱いでいく。俺はそれを見ながら、ごくりと生唾を飲み込んでいた。
「裸になったわ」
エリスは顔を真っ赤にしながら、左右それぞれの手で胸と股間を隠して立っていた。
「ありがとう、エリス」
俺はエリスに感謝しながらじっくりと脳内に裸体を焼き付けていく。
見られるのが恥ずかしいのか、エリスはたまに体をよじって視線を躱そうとした。
「エリス、あまり動かれるとモデルにならないよ」
「いやらしい目でジロジロ見るからでしょ!触ったらぶん殴るわよ」
「ごめん、気をつけるよ」
しばらく角度を変えて見て回った。大体は観察し終わったが、大事な場所が残っている。エリスが手で隠している部分だった。
「非常に頼みにくいことなんだけどさ……手をどけてもらってもいいかな?その、俺達夫婦なんだし、いいよね?」
「嫌よ。ルーデウス、顔がいやらしくなってるわよ」
努めて真剣な表情を装っていたつもりだったのだが。もっともパンツの中は大変なことになってるけど、これは仕方のないことだ。
俺は表情を引き締め直すと改めてお願いした。
「エリスの人形を良い物にしたいんだ。それに……その、エリスの体は綺麗だから隅々まで見ておきたいんだよ」
エリスは俺のお願いを聞いて、耳まで真っ赤にしていたが折れてくれた。
「仕方ないわね!……ちょっとだけならいいわよ」
俺はエリスの大事な所をありがたく拝見し、記憶に刻み込んだ。エリスは目を逸らしたまま、俯いていて震えていた。
「もう服を着ていいよ。ありがとう、エリス」
イメージを固め終わった。これで良い人形を作れるはずだ、と立ち去ろうとした時だった。
「待ちなさい、ルーデウス」
寝室の扉に向かおうとしたその時だった。背後から殺気を感じる。
「ルーデウスだけ裸を見るのはずるいわよ」
振り返ると全裸の悪鬼がそこに居た。
「いや、これはね、人形作りの為で他意はなくて……」
言葉を遮られた。
「ずるいわよね?」
「はい」
◆ ◆ ◆
こうして俺は全裸にされ、エリスに生まれたままの姿をじっくりと観察されている、という訳だ。
恥ずかしくて股間を手で隠していると、エリスが顔を真っ赤にしながら言った。
「そこもどけなさい」
「はい」
俺は仕方なく手をどかした。エリスが少し口を開けた。表情に驚きの色が見える。彼女の視線はしばらく俺のそそり立つモノに釘付けになっていた。
俺を観察するエリスの様子を見ていてあることに気づいた。俺達、二人とも全裸だなと。
ほどなくしてエリスもそこに気づいたらしく、俺と目が合った。心臓が早鐘を打っている。次に起こることへの期待だろうか。
エリスに肩を掴まれ、ベッドに押し倒された。
いけないわ、まだ日も高いのよ。
この後、何度も蹂躙された。いつもより激しかったけど、満足感も大きかった。
◆ ◆ ◆
後日、研究室に人形が一つ増えた。
その出来栄えに満足して眺めていると、いつの間にか入ってきていたシルフィが聞いてきた。
「エリスの人形も作ったんだね」
「うん」
「ルディの人形も作ってみたらどうかな?」
「俺の人形なんて作っても、誰も欲しがらないよ」
「そんなことはないと思うよ。ボクは欲しいな……。ロキシーもエリスも欲しがるんじゃないかな?」
「シルフィがそんなに言うなら作ってみてもいいけど……」
「楽しみにしてる」
そうはにかんで言われてしまうと作るしかなくなってしまうじゃないか。
俺の人形を作ってみたら、意外にも好評だった。
仕事中、エリスが人形について自慢していたら、オルステッドも興味を持っていたので今度事務所に飾っておこうと思う。オルステッドの人形も作った方がいいのかな? 考えておこう。
こうして、俺の研究室には人形が増えていった。