東方無貌神〜Find love and enjoy the journey〜   作:文才の無い本の虫

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第零章「無貌神」
0「旅人」


 

 

この世界線で (情報が欠損している)3355万336年。

 

天気は曇り、太陽は覗かず、地上は暗い。

 

数万年前の戦争で巻き上げられた塵によりこの星が晴れたことは無い。

 

そんな星のもう名前すら忘れ去られた草木一つ無い荒野を銀髪の旅人が歩いていた。

 

 

「ふむ・・・・・ここも駄目だったか」

 

 

俺はため息を付き、見渡す限りの荒野を歩く。

 

此れ迄様々な世界を渡り歩いてきた事でざっくりと傾向・・・・・基盤があるのに気付いた。

 

まぁ、エディ姉さんなら知っているんだろうが。

 

俺が見てきた中で基盤は二種類しかない。

 

神秘と科学。

 

何方かだけの場合もあれば神秘2割科学8割の様な混ざった場合もある。

 

ただ一つ言えるのはどの世界にも終わりがあると言うことだ。

 

今歩いているこの荒野は少し前に起きた戦争に用いられたとある兵器により齎されたものだ。

 

科学基盤が強いとこうやって戦争等で環境が先に死滅する。

 

極稀にあの愛すべきバカ共が起こした奇跡や極稀に産まれる天才によって先に人の限界が来る場合もあるが。

 

後は世界樹だな。

 

世界樹は世界の基盤であり、世界の分岐だ。

 

エディ姉さんによるとそれが崩れかける事態があったらしいが、俺の前任者・・・・・ニャルラトホテプが解決したらしい。

 

エディ姉さん曰く「愛する女と幸せに寝ている」とのことなので一度会ってみたいものだ。

 

閑話休題。

 

それで俺達『観測者』は世界樹間を移動できる存在のことを言う。

 

『世渡り上手』は最初の頃は平行世界間・・・・・要するに世界樹の中だけが移動範囲だったらしいが、「ノリと勢いだね☆」と『観測者』に成ったらしい。

 

俺は奴から押し付けられた原理血戒【■■■()】によって目覚めた因子が原因で『観測者』に成った。

 

 

 

 

あの夜が、俺の原点。

 

俺は奴の紅玉の様な瞳を見て――――――

 

 

 

 

 

『――綺麗だ』

 

 

『・・・・・くくっ、あはははは!!我の無い人形だと思っていたが面白い!!』

 

 

『面白い、とは?』

 

 

『くくっ・・・・・今まさに胸を貫いている女に聞くことではないだろうに。貴様、名は?』

 

 

『生憎だが、俺は俺を示す符号なぞ持ち合わせていない』

 

 

『そうか、ならばワタシを下した褒美に付けてやろう!!ワタシに破滅を齎した銀よ、貴様にはルイン(破滅)という(符号)が相応しい!!』

 

 

『ルイン、か』

 

 

『くくっ。貴様にやるつもりは無かったが、気が変わった!!ワタシの全てをくれてやろう!!』

 

 

『・・・・・ぐっ?!あァァァa!!』

 

 

『原理血戒・・・・・貴様は果たして継げるかな?』

 

 

 

 

 

久し振りにこんなことを思い出したな。

 

まぁ良い、そろそろこの世界から発つか。

 

この世界樹の平行は何個か見たし、久し振りにあの世界樹に行ってみるとするか。

 

 

「・・・・・原理血戒【■■■()】」

 

 

止めていた血を廻す。

 

それによって紅い雷が発生し、俺に適応されていたこの世界の法則が塗替えられる。

 

それと共に血の中で寝ていた『■■■』が目を覚ます。

 

 

『――――ふむ、刻限か・・・・・ルイン、次は何処に行くつもりだ?』

 

 

「三番目の世界樹だ」

 

 

『ほぅ・・・・・それはそれは愉しい旅になりそうだな』

 

 

「・・・・・お前が愉しいと言うと面倒事の予感しかしないんだが」

 

 

『失礼な奴だな。ワタシにとっては貴様が苦しむのが何よりの愉しみだと言うのに』

 

 

「それが原因だぞ?」

 

 

まぁ良い、行くか。

 

未来のことは未来で考えれば良い。

 

俺は今を生きる旅人なのだから。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

紅い雷を身に纏い、蒼く暗い星空の様な海を裂き進みながらルインは零す。

 

 

「さて、次は"愛"とやらに出会えるのだろうか」

 

 

『次は高みの見物を辞めてみればどうだ?貴様らしく無い』

 

 

「くくっ・・・・・確かにな。お前に指摘されるとはな」

 

 

『はははは!!それだけ貴様が人間的になったということだ!!』

 

 

「そうか?自分でそういうのは気付きづらいからな。助かる」

 

 

『・・・・・貴様が素直だと調子が狂うな』

 

 

「ははははは!!」

 

 

『昔は可愛げが有ったものを』

 

 

「?・・・・・何を言っている?俺の性格はお前の性格が大部分を占めているが?自分の性格に難癖をつけているようなものだぞ?」

 

 

『・・・・・貴様、次、安眠出来ると思うなよ?』

 

 

「八つ当たりの規模がみみっちいな・・・・・む、見えてきたな」

 

 

ルインの視界に黄緑の様な黄金に輝く大樹――世界樹が映る。

 

世界樹は一つにつき大体10個の始点と22個の繋がりを幹に、その幹から無限に分岐していく枝によって構成されている。

 

この始点の割合によって世界樹の基盤が決まる。

 

今、ルインが向かっている世界樹は神秘4科学6の科学が強めの基盤だ。

 

世界樹自体は無数に、それこそ星の数程存在する。

 

ルインの言った「3番目」というのは『観測者第一位』が観測した順番である。

 

 

「・・・・・懐かしいな」

 

 

『そんなにか?』

 

 

「ああ、何せ俺の原点と言っても良いお前と出逢った世界樹だからな」

 

 

『・・・・・助言だ、高みの見物を辞めるのなら顔は隠せ』

 

 

「どうしたいきなり?」

 

 

『貴様の隠者のルーンで顔を認識出来ないようにすれば貴様は自由に動けるだろう・・・・・唯の気紛れだ。貴様が要らん面倒で時間を浪費するとワタシの愉しみが減るからな』

 

 

「ははっ・・・・・ありがとう」

 

 

『ふんっ・・・・・貴様の為ではない』

 

 

「・・・・・(これが俗に言う「つんでれ」というやつか)」

 

 

正解。

 

そうして暫く進んでいるとルインの進行方向に誰かが転移してきた。

 

その銀髪の魔女はルインに向かってピクリとも表情を動かさず手を振る。

 

 

「ルイン、久し振り」

 

 

「エディ姉さん。一体どうしたんだ?」

 

 

「第一位と協力してある物を創ったから知らせに来たんだ」

 

 

「あるものとは?」

 

 

「座・・・・・強いていうなら私達『観測者』のセーフハウスみたいなものかな」

 

 

「ああ、要するに終わりが来ない(分岐しない)世界樹を創ったのか」

 

 

「その通り。『観測者』も流石に拠点が無いと記憶媒体の置き場が無くてね。座標を固定しておいたから異空間収納代わりとしても使えるわ・・・・・コレが第六界の座標よ」

 

 

「・・・・・覚えた。ありがとう、気が向いたら使わせてもらう」

 

 

「ええ、それで良いわ・・・・・じゃあ、見つかると良いわね。貴方の捜し物」

 

 

「ああ」

 

 

ルインはエディから離れ、再び「3番目」の世界樹へと向かい始めた。

 

因みにルインが転移を使わないのは唯単純に「演算が面倒くさいから」というしょうもない理由によるものである。

 

 

「さて、今回はどんな世界線に辿り着くやら」

 

 

『相変わらず貴様は運任せが好きだな』

 

 

「いや、運任せでは無いさ。こういうのは必然に委ねるって言うんだ」

 

 

『それは偶然の産物とも言うな』

 

 

「ははっ。確かにな・・・・・さあ、行こうか」

 

 

そう言ってルインは世界樹の枝の一つに突っ込んだ。

 

 

 

 

 

 

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