東方無貌神〜Find love and enjoy the journey〜 作:文才の無い本の虫
作者「思ったよりネタが無くなってきたのでサクッと終わらせるかも」
作者「最終章は時間がすっ飛ぶ可能性大」
1「再会」
「では、また会いましょう。稗田阿礼・・・・・いえ、稗田
「はい、また会いましょう閻魔様」
「稗田の。当分会わない事を祈ってるよ」
「ええ。小町さんもお元気で」
「・・・・・銀さん、待ってて下さい。今、逢いに行きます」
◇◇◇◇
「・・・・・ん?」
誰かに呼ばれた気がしたんだが・・・・・気の所為か。
「どうしたよ、客さん」
「ああ、唯の気の所為だ。店主、団子を三つ」
「あいよ」
店主に銭を渡し、
あれからもう百年か。
「此処も変わらねえな・・・・・」
独り言に店主が反応した。
「客さんは此処来たことあったか?」
「店主が未だお前さんじゃねえ時にな」
「ほー、そりゃあ親父も喜ぶな」
「ああ。相変わらず良い店だ」
店主と少し話す。
ああ、店主と確かに似ている。
団子の味も変わらん。
・・・・・美味かった。
「ごちそうさん・・・・・店主、また来る」
「あいよ」
立つときについ、日傘を探す。
俺はもう稗田の羽織は羽織っていない。
・・・・・阿礼が死んでから百年と少し、か。
まぁ、良い。
墓参りも済ませたし、次は何処に行こうかね。
「――礼の子が!!」
「なに?!」
向こうが騒がしいな・・・・・あれは、稗田の家紋?
少し近くに行ってみるか。
うん?
「御阿礼の子が!!阿一様がお倒れに!!」
「阿礼・・・・・?」
どういうこった?
◆◆◆◆
私は焦っていた。
「御阿礼の子が!!阿一様がお倒れに!!」
稗田の至宝、阿一様がお倒れになったからだ。
くそっ。
こういう時こそ『守り人』の出番ではないのか?!
取り敢えず医者を呼ばなければ!!
そして、私が走り出そうとした時・・・・・
「おい、一体どうした?」
「稗田阿一様がお倒れになったのだ!!医者を呼ばなければ!!」
「・・・・・」
私のその言葉を聞き、その男は少し考える素振りを見せ、こちらを向いた。
「おい、その阿一とかいう奴の所まで案内しろ」
「は?貴様、何を言っている?!」
「俺は医者だ」
「な?!本当か!!」
「ああ、さっさとしろ。一刻を争う」
私はその男を連れ、急いで稗田の門を潜る。
走りながら医者に問いかける。
「医者よ、名は?」
「俺は神式銀だ。症状は?」
「いきなりお倒れになり、酷い熱と汗が止まらず苦しんでおられる」
「成程、判った。案内が終わったら――と―――を急いて用意しろ。手持ちじゃ不安が残る」
「わ、わかった」
私は神式殿に言われた薬草などの名称を記憶し先を急ぐ。
「此処だ!!皆の者、医者を連れてきたぞ!」
「なんと!」
「よくやった!」
「神式殿、阿一様を頼む・・・・・っ!!」
「ああ、任せろ」
神式殿は阿一様の隣に座り、巾着から慣れた手付きで道具を並べていく。
その道具は使い込まれており、何故か神式殿に任せれば上手くいくと思った。
「おい、さっさとしろ」
「――と―――だな?」
「ああ」
私は薬草を取りに倉庫に走った。
・・・・・この時、実は神式殿が『守り人』なのだと、思ってもよらなかった。
◇◇◇◇
・・・・・ったく、酷い熱と汗か。
阿礼と同じ症状じゃねえか。
血筋――稗田の持病みたいなものなのか?
薬草は少し心許無い。
これじゃ精々が解熱剤位だ。
「う、うぅ・・・・・」
まぁ、良い。
さっさと調合してしまおう。
「おい、阿一とやら、飲めるか?」
「は、い・・・・・」
少女を起こし、口元に薬を運ぶ。
水を渡し、飲んだのを確認する。
すると先程の稗田の家の侍従?が入ってきた。
「神式殿、言われたものを持ってきた」
渡された薬草を確認し、大体の必要な分量を弾き出す。
「よし、これでどうにかできる」
「本当か?!」
「ああ、数日も安静にすれば治るだろうよ」
その薬草で何回も作ったことのある薬を調合する。
・・・・・それにしても此奴、阿礼にそっくりだな。
「ほれ、飲め」
少女に出来立ての薬を飲ませ、寝かせる。
暫くして、意識がはっきりとしてきたのか少女がこちらを向く。
「あ・・・・・え?」
「どうした?」
「ぎ、ん・・・・・さん?」
そう言って、少女は気を失った。
薬が効いてきたからだろうが・・・・・何で俺の、その呼び方を知っている?
「神式殿、阿一様とお知り合いだったのですか?!」
「・・・・・おい、此奴は何者だ」
「阿一様は、初代様・・・・・稗田阿礼様の生まれ変わりだ」
「あ?」
有り得なくは無い、有り得なくは無いが・・・・・現実は小説より奇なり、か。
◇◇◇◇
「銀さん、本当に銀さんなんですね?!本物ですよね?!夢幻の類じゃありませんよね?!ああ、夢みたいだけどどうか現実でお願いします!!」
「わかった、わかったから少し落ち着け」
「・・・・・済まない、神式殿。阿一様と神式殿はどの様なご関係で?」
抱き着いてくる阿礼を宥めていると稗田の侍従――稗田儀礼と言うらしい――が問いかけてきた。
「儀礼、銀さんは私の『守り人』です。銀さん、羽織、まだ持ってますか?」
「ああ、持ってる・・・・・これで良いか?」
稗田の家紋が入った羽織を取り出して見せる。
「おお・・・・・確かに、言い伝え通りの見た目です。まさか神式殿が『守り人』だったとは」
「阿礼・・・・・いや、今は阿一と呼んだほうがいいか?」
「はい。今の私の名前は稗田阿一ですから」
阿礼・・・・・いや、阿一が昔の様に微笑む。
俺は昔の――あの時の阿礼との会話を思い出す。
「おう、じゃあ阿一、俺は当分暇でな・・・・・もし良かったら用心棒を雇わないか?お前、絶対要らんことに首を突っ込むだろう?」
「ふふ・・・・・良いんですか?」
「ああ」
「じゃあ、雇います。終身雇用ですよ?」
「おう、契約期間はお前が生きてる間だ」
「対価は?」
ニコニコと阿一が聞く。
俺はあの時の様に短く答えた。
「清潔な寝床」
「相変わらず凄くお手軽ですね」
「悪りいかよ」
「序に私も付けますよ?」
「もちっと背ぇ伸びてから言え」
「ふふっ・・・・・そうします♪」
此処に契約は成り、再会は成った。
「喜ぶのは良いが取り敢えず、寝ろ」
「はい・・・・・手を、握ってて貰えますか?」
「はいはい、仰せのままに」
『神式銀』
通称『銀さん』。稗田の家紋が入った羽織に再び袖を通すことになった。実は・・・・・というかかなり阿礼の事を気に入っている。ルーミアはぐーすか寝てる。
『稗田阿一』
ヒロイン。ウチの御阿礼の子は絶対に女性。阿礼が『銀への思い』という女の要素を継承しているので男性だと齟齬が出やすくなるため閻魔が調整した。
『稗田儀礼』
今話のMVP。銀を連れてこなかったら再会は九代目まで後になっていた。侍基準でかなり上位の剣の腕をもつ。最後は空気と化していた。