今回一巻末の辺りの例の話の部分をまとめた話となります。
尚、某父親は本編には一切登場しません。
とあるインタビュー(斎藤壱護)
「スピネルについて?他の二人同様赤ん坊らしくないガキだったが、変身ベルトを買ってやった時は年相応にはしゃいでやがったなぁ………」
ーー今でも『大切な宝物の一つだ』って大事にしているそうですよ?*1
「………全く」
ーーその頃から“仮面ライダー”になるのは彼の夢だったんですか?
「ああ、正確には“仮面ライダー俳優”だな。スピネルはアクアと違って元から役者志望だったよ………俺からしたらアイツは“ヒーロー”だけどな」
***
運命の日の前日。
「アイ、くれぐれも注意するのよ!」
「はーい」
ミヤコさんへの説得はルビーに再度演技をしてもらい、神託としてドームライブ前にアイが殺されそうになり、万が一アイが殺された場合は苺プロが甚大な被害を被ってその立て直しに翻弄される未来(原作の内容)を語り、アイが死ななければ苺プロは飛躍を遂げ、男性タレント部門も作られるだろうと吹き込んだ。
結果は原作以上にセキュリティには気を使い、アイにドアチェーン等の重要性も叩き込んでくれたので大成功と言える。
「ここまですればとりあえずは玄関開けて即ブサッはないだろ」
「というか、本当に“ソレ”使うのか?」
“ソレ”とはミヤコさんに用意してもらった幼児用の光線銃型水鉄砲の事で、中身は水と1:1で薄めたタバスコ水である。
「これはあくまでアイを止められなかった際の切札だ。撃退もしくは一時的にでも無力化出来ればそれでいいんだよ。出来れば使わずに無力化してこっちに引き込みたいがな」
「でも、相手はセンセを殺してママを殺そうとするストーカーだよ!」
「それ以前にアイのファンだ。クソ親父のせいで冷静な判断能力を失ってるだけの、な………だからこそこっちに引き込む価値がある」
「どういうことだ?」
「リョー何某が暴走するキッカケはアイの妊娠だ。その一番の原因たるクソ親父に利用されてたと知ればその怒りの矛先は何処へ向かう?」
「お前、本当に容赦無いな………だが、確かに有効な手ではあるか」
「勿論罪は償ってもらうが、直接動けない俺達にはミヤコさん以外に自由に動かせる手駒が必要だ。なら俺達に協力的な方が良いだろ?」
「スピ兄って、やっぱり性格悪いよね………」
「何とでも言え………最終的には俺達とアイの関係も暴露しつつ、その全責任をクソ親父に擦り付けて社会的に死んでもらう」
今に見てろよ、クソ親父………怨むなら俺達を孕ませてアイを標的にした自分を怨むんだな。
***
そして運命の日。
早朝にチャイムが鳴り、アイが様子を見に行こうとするところで俺はアイに声を掛ける。
「母さん、絶対にいきなりドア開けちゃ駄目だからね?まずは開けずに相手が誰かチェックしなきゃ」
「は〜い、スピネルは心配性だなぁ」
「母さんが無警戒過ぎるんだよ。そもそもここを訪ねてくるのなんて社長達だけなんだからこんな時間に連絡も無しに誰か訪ねてくるなんておかしいでしょ?」
「………確かに」
「もしかして、父さんに連絡取ってここの事話したりしてないよね?」
「えっ?」
まさか俺からその話題を出されるとは思ってなかったのか、アイは得意の嘘を付かずに硬直する。
そんな中、中々出て来ない事に痺れを切らしたのか予定外の訪問者は再びチャイムを鳴らす。
「社長やミヤコさんならこの時点で電話してくるよね?つまり訪問者は二人以外………母さん、俺達の事がもし外部に、ファンに漏れたらどうなると思う?」
俺が追い打ちをかける中、訪問者はチャイムを何度も鳴らし出す。
ここでアイは漸くその可能性に至ったのか顔色を悪くする。
「まずは社長達に連絡しよっか、相手も近所迷惑になって不審者として通報されたくないだろうからこれ以上チャイム鳴らしたりはしないと思うけど」
「………うん」
その後、アイは直ぐに社長に連絡を取り、社長が警察に通報したようでリョー何某は駆けつけた警官に取り押さえられた。
「クソッ!?何で何だよアイ!?何で子供なんか!俺達を騙して!この嘘つきが!」
その際、リョー何某は最後の抵抗とアイに罵声を放ってアクアとルビーが殺気を放ち出し、アイも自分の熱心なファンだったリョー何某からの罵声に悲しい顔をしていたが、それを無視して俺は連行されるリョー何某へと近付く。
「スピネル!?」
「大丈夫、ちょっとお兄さんに訊きたいことがあるだけだから」
「ちょっと君!?」
警官が俺の行動に驚いている隙に俺は某少年探偵の様にリョー何某へと問いかける。
「ねぇ、お兄さん。どうしてこの住所が判ったの?」
「………何?」
「だってこの住所知ってるの社長達だけで他のB小町のメンバーすら知らないんだよ?なのにどうしてここに母さんがいるって知ったの?」
「そ、それは………」
「匿名の情報提供者でもいたの?でも、ここを知ってるなんて怪しいよね?社長達じゃないとしたら………可能性があるのは
「!?」
その言葉にリョー何某は曇っていた両眼を見開く。
「もし、自分で孕ませておいてお兄さんを利用して母さんを始末しようとしたのなら………お兄さんは許せる?」
「………すわけねぇだろ」
「お、おい!?」
「許すわけがねぇ!そんな奴がいるなら俺はソイツを絶対に許さねぇ!」
「なら償ってからまた会いに来てよ………今度は一ファンとしてさ。母さん、お兄さんから貰った星の砂、大事にしてるからさ」
その言葉がトドメとなったのかリョー何某………リョースケは大人しく警官に連行されていった。
「スピネル!」
すると、それとは入れ違いにアイが俺を抱き締めてくる。
「大丈夫、お兄さんは誑かされただけだからきっと直ぐに出所してくるよ。そしたらさ、また一ファンとして受け入れてあげてよ」
「う、うん………だけど、さっきの話って………」
「間違いないと思うよ………あのお兄さんに
まさかの人物の裏切りにアイはショックを受けていたが、この機を逃すつもりはなかった。
「それはさておき………母さん、俺達と父さん、どっちが大事?」
「え?」
「俺は社長達や母さんがいたから別に父さんがいない事なんて気にしてなかったし、何よりも母さんとアクアとルビーが大事」
この機会にアイからクソ親父への情を断ち切る。
「俺もアイやルビー達が大事だ」
「私も!」
「アクア………ルビー………」
そこへ俺の考えを察しているアクアとルビーも駆けつけ三人でアイを抱き締める。
「だから、その大事を傷付けるのならば父さん………いや、クソ親父でも許さない」
「く、クソ親父………」
クソ親父発言にはアイも驚いているが、アイもクソ親父しか今回の黒幕はありえないとわかってはいるようであえて訂正はしてこなかった。
「で、母さんは?」
無論、アイも俺達だと答えたい。愛してると告げたい。でも、嘘つきである自分がそう答えた際にそれが嘘だとなってしまうのが怖くて口に出来ずにいた………今日この日までは。
「………私は駄目な母親だなぁ」
「アイ?」
「スピネルにここまで言わせるなんて母親失格かもしれないね」
そう自虐的に言うが、アイの表情は何故か晴々としていた。
「私もあなた達が大事………あなた達を“愛してる”………ああ、やっと言えた。これは絶対に“嘘”じゃない!」
そう言って俺達三人を抱き直すアイ。
その瞳には神々しい程の“真紅の星”が瞬いている。
ここで俺の予想外な事が発生する。
「でも、そっか。“彼”は私からこの“愛”を奪おうとしたんだ………」
元々家族からの“愛”に飢えていたアイは、自分の“愛”を自覚し妙な方向へ振り切ってしまったらしい。
「ルビーのお遊戯会の踊り、凄く良かったから将来はアイドルになって親子共演とかも出来たいいなぁ………アクアは役者さんかなぁ………スピネルは仮面ライダーの俳優さんになりたいっていっつも言ってたし………そんな姿も見届けられなくなるところだったんだ………しかも、私のファンまで利用して………」
ここに駆けつけた斎藤夫妻は後に「アイはこの時に愛と共に鬼子母神に覚醒めちまったんだ」と語る事になる。
「ねぇ、スピネル」
「な、何、母さん」
「“彼”にとびっきりのオシオキをしたいんだけど、何か良い方法ないかなぁ?」
「とびっきりの策を考えるよ!母さん」
あとで聞いたのだが、この時の俺の瞳もアイと同じく真っ赤に輝いてたらしい。
***
その後、事件は未遂な上にドームライブを決行すると決めた母さんによってライブが終わるまで公表はしないのと同志リョースケも名前を伏せる事となった。
ライブは当然大成功で終わり、後に
で、クソ親父ことカミキヒカルはというと………
『先日逮捕されたカミキヒカル容疑者ですが、余罪が多数発覚しこれらの件でも起訴されるとの事です』
『まさか売れっ子舞台俳優の起こした悍ましい事件に世間は騒然となりました』
母さんの情報提供と同志リョースケの証言から雨宮吾郎殺害等の事件への関与が発覚してあっさり逮捕された。
あと、母さんの要望から隠し子問題もついでに解決した。
と言っても隠し子問題を先に公表してから
B小町はその一年後に人気絶頂の内に二度目のドームライブを最後に解散し、メンバーは芸能界を引退する者もいたが、母さんを含めて数名は苺プロのタレントとして今も活躍している。
ちなみに、ルビーはアイが最推しではあるが、他のメンバーについても詳しく、暴露後に他のメンバーと引き合わせられた際に漏れなくメロメロにしており、そのおかげか仲の良くなかったメンバーとも打ち解けられるようになったそうな。
お勤めを終えた同志リョースケは社長を俺達が説得し雑用係として苺プロで雇う事となった。
今では立派に苺プロに欠かせない人材として重宝されており、星野一家担当みたいな扱いになっている。
これによりミヤコさんがフリーになって社長の右腕として大分楽になったと聞く。
まあ、そんなこんなあって俺達はこの春、高校生になる。
後編は高校入学してからの部分を軽く書いておしまいになると思います。
感想や反響とかあればちゃんとした連載版の執筆も検討するつもりです。