かなり駆け足ですが、3話にまとめたかったのでこんな形となりました。
とあるインタビュー(五反田泰志)
「早熟二号………スピネルについてか?兄共々使い勝手の良い役者ではあったな。兄の方はこっちの意図を読んだ演技、弟の方はスタント無しでもある程度動ける運動神経………そのせいか今ではアクション系まで守備範囲になっちまってなぁ」
ーースピネル君のたっての希望だったとか
「『どうせ撮ってもらうなら監督がいい』なんて監督殺しな言葉を真顔で言われて断れるかっての………そのおかげでこうして有名作品の監督やれてんだから人生ってのはどう転がるかわかんねぇもんだな」
ーー今回の映画は監督にとってこれまでの集大成とお聞きしましたが?
「ああ、これまで培ってきたコネクションと技術を全部盛り込んだ集大成………有名シリーズの劇場版の総監督なんて大役だからな。持てるものは全部突っ込んだつもりだ」
ーーあのキャスティングにはそのような意図が………
「ネットではシリーズの乗っ取りだのなんだの叫ばれてるが、これが俺のやり方だ。文句があるなら俺をここに引き摺り込んだスピネルに言え」
***
陽東高校………都内で芸能科がある高校で偏差値は40そこそこと仕事などで学業に専念出来ない生徒でも問題無いレベルの学校だ。
二度の人生で初の高校進学を果たしたルビーはともかく、二度目の高校生である俺とアクア*1はもう少し上の学校も狙えたが、別々の学校になると母さん達の負担も増えるし、ルビーを一人にするのもあれだし………それと、ここにしないと五月蝿そうなのが一人いるのだ。
「来たわね!三人共!」
「あっ、重曹先輩だ」
「誰が重曹よ!アンタね、私は芸歴も歳も上で、
「は〜い、かな先輩」
御馴染みになったルビーの重曹弄りに有馬かながお小言を発するも、ルビーには反省の色が見えない。
そう、さっき言った五月蝿そうなのとはこの有馬かなである。
子役時代に色々やらかしまくってとうとう元の事務所から切られてしまった彼女を俺は将来的にルビーとユニットを組む事になるのを知っていたので社長に拾っておいてもらったのだ。
もう一人のメンバーもミヤコさんがネットタレントに注目し始めた頃に声をかけてもらい、事前にこっちの事務所に所属するタレントとなってもらっている。
そのおかげか“彼女”も今ではもう一人のネットタレントで子供達や筋トレマニアから絶大な支持のある“筋トレ系配信者ぴえヨン”と共に苺プロの稼ぎ頭の一人となっている。
ぴえヨン師匠とは身体作りの関係でトレーニングメニューを組んでもらったり何かと世話になっており、偶に弟子のぺんヨン*2としてチャンネルにもお邪魔させてもらったりしている。
「ルビー、事務所ならともかく学校ではやめてやれ」
「いや、事務所でもやめてやれよ。有馬パイセンは今はもう子役じゃなくて立派はドラマの主演女優だぞ?」
「あの酷評Webドラマの、だけどね」
「あれは他のキャストに問題があったのよ!」
“今日あま”の撮影はほぼ原作通りに進行した。
違う点としてはアクアが演技の参考にしたのが我らが星野家担当の同志リョースケに聞いた当時の事で、そのせいか原作よりもリアルなストーカーが完成してその演技に多くの視聴者が呑まれたことだ。
………オマケとしてその演技に呑まれた共演者が一人原作よりフライングして覚醒し始めているのだが、それを語るのは別の機会にしよう。
尚、その後も原作通り鏑木Pに気に入られたアクアが“あの番組”に出演するのが決まって家族会議にもなった。
「と・も・か・く!入学おめでとう、三人共」
「ありがとうごぜぇやす」
「お前は有馬の舎弟か」
「いや、なんとなく」
「あっ、ミヤコさんから帰りはリョーさんが皆まとめて送迎してくれるって。社長が入学祝いに食べに連れてってくれるらしいよ!ザギンでシースーかな?」
「ルビー、
「バレた?」
「社長に聞いたら焼肉だってさ。しかも宴会部屋貸し切り」
「私の時は事務所でピザとかだったわよね!?」
「安心しろパイセン、事務所のメンバー全員参加らしいから」
「そういう問題じゃなーい!」
その後、入学式を経て教室に入れば*3芸能科とあってTVや雑誌で見る顔がチラホラと見受けられる。
その中にはエキストラや小さな役で一緒だったメンバーもいた。
「スーじゃん!お前も陽東だったのか!」
「勇吾に勝か、久しぶりだな」
渋谷勇吾と天城勝、それがこいつらの名前だ。
「アクアもいるな、それと………あれが前に言ってた妹ちゃんか?」
「ああ、妹のルビーだ。それにしてもホビバト*4以来か」
「ホビバトってお兄ちゃん達が盛大に暴れまわって主人公チームが使ってた主役モデルよりお兄ちゃん達が使ってたライバルモデルがバカ売れしたってアレ?」
「そそ、アクアなんか初めは非カスタムやスターター構築とかやろうとしてたもんだから監督が『主役が負けたらいかんなんてルールはこの番組にはねぇ!だから本気でやってみろ!』って一喝したら今度はガチカスタムや構築の持ってきてビビったわ」
「ベースとなるやつやテーマは決められてたがそれ以外は自由だったもんなぁ、あの番組」
「それを即販番組でやるってかなりチャレンジャーな番組だよね………」
「逆にそこがウケたんだがな………メンバーのカスタムしたセットとか構築デッキとかまで販売してたし」
主人公チームのメンバーは勿論、俺やアクアのモデルも人気で専用カラーバージョンやコラボイラストバージョンとかもあったんだよなぁ。
それからルビーはルビーで原作と同様に寿みなみと知り合ったようだ。
「寿さんね、よろしく」
「こんな妹だが、仲良くしてやってくれ」
「あんたらは私の親か!」
「保護者という意味では合ってるだろ?」
「あははは………仲良しなんやね」
ここで知り合った寿みなみとは後に様々な縁が出来るのだが、当時の俺は“原作キャラの知り合いが増えた”程度にしか考えていなかった。
***
とあるインタビュー(寿みなみ)
「スピくんについて!?」
ーーみなみ、落ち着こう。
「●●●も素が出とるで!?」
ーーおっといけない。話は戻してスピネル君についてお聞きしたいのですが。
「戻すの早っ………流石ーーやわ。で、スピくんについてやな?最初は高校で出来た初めての友達のお兄さんって感じやったんやけど、まさかあんな形で共演するとは思わへんかったんよ」
ーーしかも、二人とも初出演でしたもんね………運命感じちゃった?
「●〜●〜●〜!」
ーー………今度の劇場版も揃って出演ですけども撮影は順調ですか?
「………現場は大体が知り合いか知り合いの知り合いやから緊張はせーへんし、御馴染みのメンバーも一年近く一緒に撮影してきとるからアットホームな現場やからな、完成を楽しみにしとって」
***
入学式を終えて同志リョースケの運転で焼肉屋にやってきた俺達苺プロ学生組は先に来ていた大人組と合流し、それぞれのグループでワイワイと騒いでいた。
「それにしても三人ももう高校生かぁ………」
「母さん、さっきからその話ばっかりじゃん」
「だって!仕事で三人の晴れの入学式に行けなかったんだよ!?ブーブー!」
「仕方ないだろ?先方の都合が今日しか合わなかったんだからよ………」
「ちゃんとビデオと写真は撮ってあるから」
「ありがとう!リョースケくん!」
やはり母親としては入学式に出席したかったようなのだが、予定が合わずに泣く泣く欠席する事となり、代わりに同志リョースケが撮影係兼店までの送迎係として派遣されたという訳である。
「弟子のスピネルももう高校生か………早いものだな」
「ソウダネ〜、スピたんももう高校生か………高校生………」
「“MEM”パイセン、一応休学中だったんだから高校生で通りますって」
「そういうフォローは逆に傷付くんだヨ!」
そう、現在の苺プロには“MEMちょ”も所属しているのだ。
フリーのVチューバー時代にスカウトする形で苺プロのネットタレントとして活躍してもらっている。
スカウト当初は色々あったものの、ぴえヨン師匠とのコラボ等で偶に一緒に配信したりもしているのでこう言った弄りが出来る程度には信頼関係がある。
「かな、大丈夫か?」
「だいじょばない………」
アクアに介護されるかなはどうしたのかと言うと………
「ピーマン体操恐るべし」
「彼女にとっては黒歴史だから、アレ」
入店時に店員から『あっ、ピーマン体操の有馬かなさんですよね!?』と言われたのが未だにショックなようだ。
そこから何とか立ち直ったかなはヤケ食いを始めたのだが………明日の体重計が楽しみである。
そんなこんなで入学祝いという名の宴会が続いていたのだが、そこで突然壱護社長から重大な発表があると声が掛かる。
「重大な発表?」
「もしかして私のアイドルデビュー!?」
「まだそれは早いわ!」
社長の一蹴で今度はルビーがMEMちょのルイボスティーをがぶ飲みしだす。
「じゃあ重大発表って?」
「スピネルが受けたオーディションの結果が届いた!」
「!?」
ほんとに突然だった。
受けたのは来期の“仮面ライダー”のオーディション。
オーディション自体は去年も受けており、その際は落選となっていたが、この場で発表するという事は何かしらの役が貰えたという事なんだろうか?
「喜べスピネル、出演が決まったぞ!」
「………え」
「スピたんが鳩が豆鉄砲食らったような顔してる」
「珍しい、アイツがあんな顔するなんて」
「スピ兄〜、駄目だ反応が無い」
MEMちょや皆が何か言っているが、それだけ俺には大事だった。
「………マジ?」
「おう、マジだ」
社長は幼い頃から俺の夢が仮面ライダーの主演俳優になる事だと知っているので、冗談でこんな事を言わないのはわかっている。
それでも疑いたくなるくらい俺には実感がなかったのだ。
「良かったな、スピネル」
「し、師匠………」
そして、ぴえヨン師匠が肩に手を置いてそう言ってくれた事で漸くそれが現実だと認識でき、目から涙が流れた。
「ヨッ、シャァァァ!!」
「正式な発表はまだだが、ある程度キャストも決まってるそうだ」
そう言って出演者リストを見せてもらったのだが、そこには意外な名前が書かれていた。
「えっ?これって………」
「ん?えっ!?“みなみ”!?」
そう、そこには今日知り合ったばかりの寿みなみの名前が書かれていたのだ。
***
とあるインタビュー(星野スピネル)
「で、映画に関するインタビューだっけ?これ」
ーーパンフレットやネットの記事なんかに掲載される予定だそうです。
劇場版に関して何かありますか?
「テレビシリーズの撮影も色々あったけど、このメンバーで劇場版やれるってのはほんと嬉しいですね」
ーー今回はサプライズゲストも多く参加されていると聞きましたが?
「それは発表を楽しみにしといてほしいかな。ほんとにサプライズだからさ」
ーーところで、共演者の寿みなみさんとは色々噂があるようですが?
「●●●、お前さぁ………インタビューついでに何訊いてくんだよ!?」
ーーこのインタビューはある程度私の裁量が認められているし、視聴者も気になってる事だから。
「ほんと誰だよ、コイツにインタビュー任せたのは!?」
ーー鏑木Pだけど?
「後で抗議しに行ってやる!」
ーーで、どうなの?
「………黙秘権を行使する」
ーーじゃあ、みなみに聞こっと。
「ほんと自由だな!?」
ーー映画の見所は?
「急に話を戻すなよ!?………見所かぁ、言いたい事はたくさんあるが、まだ言えないとこも多いからなぁ………俺個人で言うなら空斗*5自身のアクションシーンかな?劇場版ならではのアクションシーンとか色々やらせてもらったからそこも見所かな?」
ーーファンの気になっている麗*6との関係は劇場版で進歩するんでしょうか!?
「結局そこかよ!?」
この後もインタビューは続く………
***
それから時は過ぎ………
『劇場版仮面ライダーカラッド〜忘れられた宝珠〜』
『空斗達はある日、謎の仮面ライダーから襲撃を受ける。その仮面ライダーは古文書から抹消された宝珠を使っており………』
『主題歌:新生B小町&元祖B小町』
『元祖B小町、映画の為に期間限定の再結成!?』
『サプライズゲストは星野アクアと新生B小町&元祖B小町の星野一家大集結!?』
とまあ、劇場版が公開となり多方面で大騒ぎとなった。
サプライズゲストとしてアクアや新生B小町を結成したルビーに、劇場版に合わせて復活した元祖B小町を率いる母さん達と苺プロのシリーズ乗っ取りとすら言われる程の身内で固めまくったキャスト陣………まあ、テレビシリーズすら鏑木Pが集めた通称鏑木組から結構な人数が参加しているので割と今更なのだが………
劇場版限定ライダーポジにアクアが着いた事で兄弟変身*7まで達成とほんと色んな記録を作った作品になった。
そのせいか前評判は少し叩かれ気味だったものの、出演者の名演のおかげで公開後の評価は良好となった。
「スピくん、どうかしたん?」
「いや、映画の評判スゲーなって」
「せやな、まさか最初はこんな事になるとは思わへんかったんよ」
「それはみなみに同意する」
その日は学校の中庭でみなみと昼飯を食べていた。
今日は二人っきりだが、普段はアクアやルビー、かなやフリル等その日集まれるメンバーで集まって食べている。
今日は偶々他のメンバーが全員仕事で不在なだけである。
「にしてもフリルのやつ、インタビューでは好き勝手してくれやがって………」
「あははは………フリルには困ったもんや」
今回の映画に合わせて行われたインタビューには別の撮影で映画に参加出来なかったフリルがインタビュアーを務め、色々と好き放題やっていった。
しかも、割とカットされずに掲載された部分もあるので困った友人である。
「そや、今日の卵焼きは自信あるんやけど、どう?」
「ああ、出汁が効いてて美味いわ、これ………みなみは良い嫁さんになれるんじゃね?」
「お、お嫁さんやなんて」
あっ、ちなみに俺こと星野スピネルと寿みなみはお付き合いしてます。
お互いに主演で、撮影で一緒になる事も多く、役柄的にも恋愛が絡む役だった事もあって色々と話す内にお互いに意識するようになり、周りから色々囃し立てられもしたが、ちゃんとデートした上で告白して付き合うようになった。
お互いに恋愛に関しては事務所が制限を設けていなかったのであっさり公認はしてもらっているが、今の仮面ライダーの撮影が終わるまでは公にしないようにしている。
役より先に演者がゴールインしてるのは流石に不味かろうという俺達の判断だ。
なので、学園ではいつもの仲良しグループを隠れ蓑にし、校外では変装デートなど割と気を使っている。
「とはいえ、あのインタビュー掲載されたからあんまし隠しても意味無い気がしてきたな」
「フリルはそこまで計算して?」
「いや、それはない………とも言えないのがフリルなんだよなぁ」
それはさておき、俺の二度目の人生は夢も叶い、可愛い彼女も出来たと順風満帆である。
これもあの死神の姐さんのおかげか………拝んどこ。
「何突然拝んどるん?」
「色んなものに巡り合わせてくれた神様に」
「へぇ〜、スピくんは神様信じとるんや?」
「まあな、とは言っても一柱だけどな」
そんなこんなで“推しの子”の世界に転生した俺の話はとりあえずここまでにしておこう。
これまでの事を詳しく語る日も来るかもしれないが………それはまた別の機会という事で。
三連星の推しの子(完)
とあるインタビューシリーズのインタビュアーはフリルでした。
彼女なら色々やってくれそうなイメージがあるのでこういう形で抜擢しておりました。
他の作品がある程度再開して軌道に乗って余裕が出来て、要望などがあればまたの機会もあるかもしれません。
こんな拙い文章ですが、お読みいただきありがとうございました。