第一話『カラッと参上!ニューヒーロー!?』
古来より石には特別な力が宿るとしてパワーストーンや占い、物語のキーアイテム等に使われる。
そんな宝石達にほんとに不思議な力が宿っているとしたら………
精霊の宿りし
***
「まっ、待って!」
『キュピ!』
一人の少女が紅い光の玉を追いかけるも、光の玉は少女を翻弄するかのように跳び回る。
そして、光の玉は地下横断歩道へと入っていき、少女もそれを追って飛び込んだのだが………
「おわっ!?」
「きゃ!?」
中から出てきた青年とぶつかり、少女は尻餅をついてしまう。
「大丈夫か?………って、同じクラスの春川?」
「えっ?珠井くん?」
その青年は少女こと
「そんなに慌ててどうしたんだ?」
「あっ!?そうやった!」
空斗に助け起こされた麗は自身が追っていた光の玉の事を思い出し、慌てて地下横断歩道へと入っていく。
「ん?あの光の玉を追っかけてんのか?」
おちょくられている麗の様子を見て手助けしてやるかと、空斗は持っていたスケボーを地面に置き、それに乗って地下横断歩道へと戻り、麗と並走する。
「春川、あれを捕まえりゃいいんだな?」
「えっ!?珠井くん、アレが視えるん!?」
「あの紅いやつだろ?」
「う、うん」
「なら、よっと!」
空斗は勢いよくプッシュでボードを加速すると地下横断歩道の壁をウォールライド*1で駆け上がり、光の玉の前に回り込むと止まり切れなかった光の玉を掴む。
「捕まえたっと………って、これ宝石?」
掴んだ手を開くと、そこにあったのはルビーと思われる紅い宝石の玉だった。
「とりあえず、これ春川のなんだろ?」
「あ、ありがとな、珠井くん」
すると、そこに黒く濁った石が身体中に貼り付いたような人影が現れる。
「なんだあれ?」
「ら、ガラビッシュ*2!?ルビーに惹かれて出てきおったんか!?」
「がらんびっしゅ?」
「く、詳しくは後で説明するから兎に角逃げんと!」
「要はあいつ等もこの宝石が狙いって訳ね………なら、ちょいと失礼」
「えっ?」
「舌噛むなよ?」
「うえええええ!?」
すると、空斗は麗を抱え上げ*3、スケボーで一気にその場を離脱した。
***
ガラビッシュから逃げ延びた二人が向かったのは麗の家兼宝石やパワーストーン等を取り扱う
「へぇ〜、宝石とかパワーストーンってあまり興味無かったんだが、色々あるんだなぁ」
「中には石やのうて鼈甲*4や象牙、岩塩
なんかもパワーストーンに分類されるんや」
「岩塩!?マジか」
「うちも初めて知った時は驚いたわ。パワーストーン以外にも彫刻の素材や工業原料としても使われとるんやで」
そうして店の奥にある通常のお客は立ち入りが出来ないエリアへと空斗を迎え入れた麗は色々と巻き込まれてしまった空斗へと事情を説明し始めた。
「珠井くんに捕まえてもらったその宝珠なんやけど、それは
「そういや何か中に動物っぽい模様があったな」
照明にルビーの宝珠を翳してみると、中にリスやウサギっぽい生き物が見える。
「このルビーにはカーバンクルって精霊が宿っとるんやけど、うちが目を離した隙に精霊化して逃げてしもうてな」
「それで追っかけてたのか」
『キュピ!』
名前を呼ばれたからか、宝珠がポンと音を立てたかと思うと、緑と白の体毛にリスのような尻尾とウサギのような耳と額に紅い宝石を持つ生き物が現れ、空斗の肩の上によじ登り身体を空斗に擦り始める。
「何か出てきた!?」
「めっちゃ懐かれとるし………うちでもそこまで懐かれた事あらへんのに………」
「さっきも思いっきりおちょくられてたもんな………」
どうもさっき捕まえた事でカーバンクルは本来の持ち主である麗ではなく、空斗を主と認めてしまったようだ。
「でもこうなってしもたら事情の説明だけやのうて本格的に手伝ってもらった方がええかもしれへんな」
「手伝う?」
「実はな、そのルビー以外にも精霊宝珠は存在しとってな。それを全部保護するんがうちらの目的なんや」
聞けば麗の家は代々この精霊宝珠を守護していた家系らしく、大昔に各地に散ってしまった宝珠を探索し保護する目的の為にこの店を始めたのだという。
しかし、過去に袂を断った分家や宝珠の力を狙う勢力が複数いるらしく、現当主の麗では唯一残っているカーバンクルにすらおちょくられる程自他認めるへっぽこで、先程のようにガラビッシュにも対抗出来ないでいるそうだ。
「対抗って、あんなバケモンに?」
「その為にコレがあるんよ!」
そう言って麗が取り出したのは中央に宝珠を嵌め込めそうな窪みのある器具であった。
「これは?」
「オーブドライバー言うてな、宝珠の力を引き出せる道具なんやけど………」
「カーバンクルが力を貸してくれないから使えなかった、と」
「やから珠井くんにも宝珠集めを手伝って欲しいんよ!」
そう言って瞳をウルウルとさせる麗と、何故か同じように懇願するカーバンクル。
「わーったよ!ここまできたら乗りかかった船だ!それにさっきのガラビッシュとかいうのにも目付けられてそうだし」
「ありがとう!」
『キュピ!』
空斗が承諾すると、麗は勢いよく抱き着いてきて、カーバンクルも同じようにしがみついてくる。
「(こいつら、ホントは仲良くない?)というか、そろそろ離れてくれると助かるんだが………」
麗はスタイルが良いので、抱き着かれているとアレコレ柔らかいものが当たって大変なのである!何処がとは言わないが!
「あっ!」
麗もその事に気付いたのか慌てて空斗から離れる。
そこへ一人の男性が飛び込んでくる。
「麗ちゃん!ガラビッシュが街で………あら?お客さん?」
「重文伯父さん!」
この男性は
未成年の麗に代わって運玉堂の店主をしている麗の伯父である。
「ってか、カーバンクルちゃんめっちゃ懐いてるし………ってことは彼が………兎に角、今はガラビッシュだ!」
「珠井くん、お願い!」
「任された!………ところで、コレ、どうやって使うんだ?」
「「ズコッ」」
『キュピ〜………』
その後、ドライバーの使い方を聞いた。*5
***
その頃街ではガラビッシュが街の人々から宝石やパワーストーンを剥ぎ取りながらあれでもないこれでもないと宝珠を探していた。
「こいつら、ひょっとしてあんまし賢くない?」
「下位のガラビッシュはな………上位種になると厄介なんやけど………」
「あっ、宝石喰った!?」
「あかん!上位種になるで」
奇しくもルビーの指輪を呑み込んだガラビッシュの身体が変化し、ルビーガラビッシュへと進化する。
『キュピッ!』
それを見てカーバンクルもルビーガラビッシュへ敵意を向ける。
「お前からしたら同胞みたいなもんだもんな………ならカラッと退治して取り戻そうぜ!」
『キュピ!』
カーバンクルが変化した精霊宝珠を左の人差し指と中指の間に挟むように持ち!右手で腰にオーブドライバーをセットすると、ベルトが伸びて空斗に装着される。
『オーブドライバー!』
「カラッと行くぜ!」
そのまま宝珠をドライバーの窪みにセットすると、宝珠が爪のようなものでホールドされる。
『ルビー!コンタクト!バーンアップ!』
「変身!」
そして、ドライバー上部のスイッチを押すと、宝珠の部分にカバーが被さり眩い輝きと共に空斗の全身を黒いスーツが覆い、光った宝珠からルビーのようなプロテクターが現れスーツの上に装着されていく。
『カラット〜!ギラット〜!カラッド〜!カ〜メ〜ンライダ〜!カラッド〜!!』
陽気な歌と共に空斗は宝石のような装甲を纏った仮面ライダーカラッド:カーバンクルビーへと変身を遂げる。
「お、お〜!ほんとに変身した!」
「くるで!」
ルビーガラビッシュがカラッドに向かってくるのに対し、カラッドはその力を確かめるように拳を握ると、向かってくる勢いに合わせてルビーガラビッシュの顔面を殴りつける。
そのパワーはカラッドの思った以上のものだったようで、ルビーガラビッシュはド派手に吹っ飛び、後方にいたガラビッシュ達をボーリングのストライクのように薙ぎ倒していった。
それによって雑魚ガラビッシュ達は倒され屑石のようなものになってしまう。
「これが宝珠の力か………」
少し驚いたものの、カラッドは直ぐにルビーガラビッシュへと追撃を開始。
起き上がりと同時にハイ、ミドル、ローの連続蹴りから勢いをつけて炎を纏った回し蹴り、それで怯んだところをベルトの左側に装着されていたオーブラッシャーという銃剣を抜いて銃モードで三連射。
「これ、使い易いな」
続いて剣モードに切り換えて袈裟斬り、逆袈裟、水平斬りと繋いでいく。
「そんじゃ、カラッと締めに参りますか」
『パニッシュメント!』
オーブラッシャーの鍔に当たる部分をオーブドライバーの宝珠の部分に翳して必殺モードを起動させると、刀身に炎が纏う。
「バーンパニッシュメント………なんてな」
そして、カーバンクルの形をした炎を伴い、すれ違いざまにオーブラッシャーを一閃するとルビーガラビッシュは斬撃と炎に焼かれ他のガラビッシュと同じように屑石と呑み込んだルビーの指輪を残して消滅してしまった。
「よし、指輪も無事だな」
こうして空斗の仮面ライダーカラッドとしてのデビュー戦は幕を閉じたのであった。
***
「………そうか、本家は代理を立てたか」
その様子を宝石で出来た鳥のようなものを介して視ていた男はそう呟く。
その手の中には蒼い宝珠が握られていた。
***
「全く!あの役立たずの屑石が!」
別のところではガラビッシュの主であろうフードを被った人物が苛立ちを露わにする。
***
「指輪も無事に持ち主のところに返ったみたいだし、良かった良かった」
「ほんまに良かったわ〜」
運玉堂へと戻った二人がそう話していると、重文が紅茶とケーキをお盆にのせてやってくる。
「とりあえずお疲れさん。改めまして私は麗ちゃんの伯父の夏原重文だ。麗ちゃんに代わってこの運玉堂の店主なんかをやってる」
「珠井空斗です!春川さんとは同じ高校のクラスメイトです!」
「おっ、そうだったのか!よろしく頼むよ」
「はい!」
「あっ、このケーキね、実は私の手作りでね、感想とかもらえると嬉しいかな」
「えっ!?パッと見店のケーキかと思った」
「伯父さんのケーキは絶品やで〜」
『キュピ!』
「はいはい、カーバンクルちゃんの分もちゃんとあるから」
ケーキを見て再び実体化したカーバンクルに重文はカーバンクル用の皿に載せたケーキを差し出す。
「ケーキ食わしても大丈夫なんです?」
「ある意味精霊への御供え物って扱いになるらしくてね、特に問題無いそうだよ」
「へぇ〜………あむ、マジでうまこれ!?」
「でしょ〜?」
〜一話完〜
***
次回、仮面ライダーカラッド!
「ガラビッシュってのは宝珠のなり損ないの屑石が原料なのさ」
「ってことはガラビッシュを操ってるのも宝珠関係者って事?」
「ライダーと言ったらやっぱこれでしょ!」
「テンション上がるわ〜!」
「あの宝石はお祖母ちゃんの形見なの!」
「任せとけ………カラッと取り返してやるからよ!」
『取り戻せ!思い出の宝石!』
「次回もカラッと解決だ!」
***
「麗の〜宝石豆知識〜!」
「わ〜!」
「今回の宝石はもちろんこれ!ルビーです!」
「確か、紅玉とも呼ぶんだっけ?」
「うん、他にもラテン語で『赤』を意味するルベウスともいうや。酸化鉱物に分類され、化学式やとAl2O3で、7月の誕生石でもあるんやで」
「ほ〜」
「意味は情熱、良縁、勝利や」
「実際勝利を呼び込んでくれたしな」
『キュピ!』
「原産地は主にアジアで、ヨーロッパでは出土せ〜へんのやって」
「ヨーロッパでは採れないのか」
「ちなみに硬度はダイヤモンドに次ぐ程硬いんやよ」
「そうなの!?」
「工業用としては研磨剤やレーザー関係なんかに使われとるんやで」
「宝石って奥が深いんだなぁ………」
「今回はこの辺で!」
「次回もお楽しみに!」
CAST
珠井空斗:星野須日煉流
春川麗:寿みなみ
夏原重文:マンゴー西郷*6
カーバンクル:照井春佳
分家の男:姫川大輝
フードの男:???
主題歌『JEWEL☆HART』新生B小町
細かい設定はともかく、こんな感じのオリジナルライダーです。
次回とか書いてますが、今のところこれの続きを書く予定はありません………流石にオリジナルを50話とか無理ですわ。
ちょっとUAやお気に入りの伸びには驚いてますが、また別の場所でお会いしましょう。