えっ!?ヒロアカで剣一本ですか!? 作:要は、ブレオンって訳
轟く轟音。弾け飛ぶ建造物。赤く染まった服。
ヒーロー以外には鬼畜過ぎるこの世界。行く先々で不幸に巻き込まれるのも全て個性。
強さも弱さも、生も死も、全てが生まれ持ったそれらに蹂躙される。
まだヒーローによる治安維持が完璧ではないこのフランスに置いて、生まれ持った才能こそが正義で、それ以外は悪であった。
回りには死体。目の前にはそれを生んだ、フランケンシュタインを彷彿とさせるような異形の
奮戦したヒーローも全滅。今ここに残ったのは俺だけ。
そして、エネルギーを充填し終えたであろう災厄の右腕。
どうしようもない死。世界の真相を暴こうとジャーナリストになった日から覚悟はしていたが、それでも胸に来るものがある。
こんなことならもっと家族に尽くしてやればよかったな、とか。誕生日プレゼントは届いたかな、なんて事を考えながら眼前の死を待つ。
けれど、奴の右腕から放たれたレーザーは俺を貫くことはなかった。何事か、と目を開けると、そこにいたのは
「…無事か?」
白衣の天使だった。
◆◆◆◆
転生して苦節18年。ヒロアカ世界に転生したと知ってからはヴィランと戦い続ける日々。今日もまた一人救ってしまったな…。やっぱ俺ってヒーローなんよな。ま、無免許なんだけど。
と言うか、あっぶな。間に合ったわ、マジでギリだよ青年クン。
ここ、魔境フランスで戦闘能力の無いやつが生き残るのはかなり難しいと思うからさっさと帰ったほうが身のためやで!ホンマに。
とまあ、そんな事は置いておくとしよう。
今回の相手はクソデカヴィラン。雑に戦って勝てるとは思えん。怖いし。俺一般人。相手は覚悟ガンギマリ。火事場の馬鹿力が働かれるとものすごく危ない。なんせ個性だからね。しょうがないね。
右手の剣を握りしめ、突貫──する振りをして全力で跳躍し上空へと離脱。
案の定、コンマ1秒前まで居たところは吹き飛ばされているが、生きているので問題なし。
そのまま重力に身を任せながら落下。ダン、という音が響き地面を砕きながら着地する。
そして一閃。そのまま旋回し右足で蹴り飛ばす。若干のノックバックを確認した後、刺突。内臓を抉るようにして貫き、脊椎へとダメージを与える。肉体を変質させる類いの個性といえど、脊椎をやられれば多少動きは鈍ることはこれまでの経験から把握済み。
そして動きの鈍いヴィランの右腕を剣で切り落とす。
痛みをを書き消すように咆哮するヴィラン。そのまま残った腕を振り上げる。
だが、こちらも多少の衝撃はあれど、鼓膜が破れたわけでもない。ならば、このまま畳み掛けるまで。
右膝を貫き、そのまま振り上げるようにして太腿部を縦に切り裂く。
振り上げた剣を逆手に持ち替え、股間の辺りを刺し潰す。そのまま大腸、胃の辺りを刺した所で剣を両手で握り、バットを振るような要領で迫るエネルギーを纏った左手を剣で迎撃。二つに分ける。
この間、一秒。加速した意識の中、正確に動作を行う。剣一本しか持てない俺の個性では、こうでもしなければやっていられない。
飛び散った血が相手の視界を塞いだことを隅で捉え、剣を心臓部へと突き刺す──が、手応えなし。やはりこの世界では心臓を狙っても意味がない。剣を引き抜きながらヴィランを蹴り飛ばす。
血筋由来の増幅された身体能力により、ヴィランを50メートルほど吹き飛ばす。
そして、吹き飛ばされたヴィランに再度突撃し首もとに剣を押し当てる。
くぅ~疲れました。これにて工事完了です。
「ここまで、か。…クソ。」
だるん、と手を下ろしたヴィラン。可哀想。ま、容赦したらこっちが死ぬからね、しょうがないね。
「届ける言葉は、あるか?」(言い残すことはないー?)
「お前、処刑人か。…なら、家族へ。《ごめんな、出来の悪い息子で》…って、頼むわ。」
「…了解した。──では、刑を執行する。」(あいよー、ほな首切りますねー。)
ザン、と言う音が響き、首が落ちる。そして天へと彼の魂は昇る。彼の魂は肉体と言う器から解き放たれた。
それを見届けるまでが俺の仕事。殺して、看取り、祝福することこそが俺の使命。こんな世界に生まれた俺のなすべき事だから。
あ、そうだ。
「そこの男。問題はないか?案ずるな、私は君の味方だ。」(おーい、君ー。元気かーい?オッスおらヒーロー。嘘だけどね。)
「…あんたが、まさか、白衣の処刑人…?」
なにそれ(困惑)
何かそんな風に呼ばれてた気もするけど、そんなあのオールマイトガチ恋系ジャパニーズニンジャ擬きと一緒にしないでもろて。
「我が真名はノヴァ。ノヴァ・サンソン。処刑人たるサンソン家の血を引くもの。再誕せし名は
◆◆◆◆
おーおー、号外が出てるじゃーん。この前助けた青年クンはなんとジャーナリストでした。
そしてバッチリ俺の姿が写ってるわ。腰辺りまで伸ばした銀髪、空色の目。改造を施した白衣と、その隙間から覗く死刑執行人らしい黒の服。うーん、今の俺カワイー!
このままでは俺の姿がどんどん広まってしまう。いやーwwこまっちゃうなーwww。美人ってのはww。四方八方から色んな敵意とか殺意とか飛んできちゃったらどうしようかなーwww
さて、マジでどうしよう。
活動上、色んな所から恨みを買ってるこちらとしてはかなーり面倒なことになる。敵意殺意云々も割と冗談では済まない。マジで死ぬ可能性すらある。
身バレは困る。俺の剣は代々家に伝わってるものだから、サンソン家の本家の方まで飛び火する可能性もある。うーん、困るな!まっずいな!どうしよ!
…まあ、こんだけ動き回ってて本家が何のアクションもとってこないってことは、ヴィランに墜ちたか?
いやまさか、そんな事はない。外部の魂が宿ってる俺以外はサンソン家は皆高潔なるものでなければならない。なんかそんな呪いがかかってるから皆精神的に高潔な者ばかりなんだと。そんな事をマイマザーが口走っていたので、そうであっていただかないと困る。色々と。
しかも、俺の個性は剣一本と、かなり貧弱。
その代わり剣は強力なのだが、だから何?ってお話なんだよなぁ。
うーん、まあ良いや!きっと明日の俺が何とかするわ!
よし寝よ。
◆◆◆◆
プルルルル。プルルルル。プルルルル。
「…なんだ。」(おいなんだ!テメーこのクソ野郎!今何時だと思ってんだカス!午前11時だぞ!?俺寝たの午前9時なんだけど!2時間しか寝てねーんだけど!)
全く、人様が寝てたって言うのに、いったいどこのどいつだよ…。美人じゃなかったらぶっとばすからなマジで。
そんな事を思いながらスマホを耳に当てる。
『その声からして、今起きたね?まあいいや、おはよう。』
「…ナガンか。」(ナガンお姉さまじゃん!なんですかー!ご用時ですかー!必要とあれば駆けつけますよー!!!)
ナガンお姉さまでしたやったー!!ここに居ないけどなんかいい匂いがしてきたなぁ!やったぜ!!今日の運勢は大吉だぁ!きっと良いことしか起きねぇぞ!
『元気?…まあ、聞くまでもないか。あんたなら何とかしてそうだ。取り敢えず、ニュースでも見てみれば?丁度、面白い感じだぞ。』
「…?了解した。」(なんか知らんがOK!!任せときなお姉様!)
ウッキウキでテレビを付ける。ニュースへと番組を切り替え、CMが終わり、そしてアナウンサーが内容を告げる。
『速報です!ここ、フランスで活動するヴィジランテ、《白衣の処刑人》への対応に日本から多数のヒーローが来てくれました!』
「………む、不味いか。」(はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?何してくれやがったんだあのジャーナリストの野郎ォォォォォォォォォォ!)