次回から原作入りなので、また長くなりそうですが……。
あと前話に告知した通り、アンケートを取らせて頂きます。
ズバリ、今後どのように話を進めていくかということですね。
最後にお気に入り登録と高評価と感想、ありがとうございます。励みになっておりますので、今後もよろしくお願い致します!!
俺は日記を閉じた。そして、ふぅ……と息を吐く。
「おっっっっっもい」
重い。感想はこれに尽きる。
斑目ユウという人間の境遇も、彼のアビドス高等学校とその在校生に対する思いも、読み終えた後にずっしりと乗っかってきた。
「母校大好き過ぎるだろ斑目。年齢16か17だよな? 普通ここまでしねェよ……」
この日記で読み取れたことを振り返ってみる。
まず斑目は、黒服の男に実験台になることと引き換えに、借金を減らす提案を受けた。その内容は、斑目の先輩そして同級生と同位の存在になれるかどうか。
揺れる斑目だったが、結局、実験台になる道を選んだ。この時、日記には血の跡と、自分を許さず恨み続けるよう誰かに向けた記述があった。
「……ま、十中八九この誰かはユメ先輩と小鳥遊だな」
文脈から大体察せられる。とすると、斑目を負傷させたのも小鳥遊だろう。顔を殴ったか何かしたか、具体的には分からない。
では何故、そんなことが起こったのか。
喧嘩? いや違う。これはそんな生ぬるい話では無い。
ユメ先輩が死んだからだろう。
それは日記を読み進んでいけば推測出来た。恐らく研究をされている時に書いたのであろう、斑目が思い出を忘れかけていた自分を奮い立たせた後のページに、根拠はある。
「小鳥遊。シロコ。ノノミ。アヤネ。セリカ。書かれているのはこの5人で、ユメ先輩の名前がないんだよなぁ」
「それに小鳥遊がユメ先輩を思い起こさせる恰好をしていることに対する、斑目の『まだ引き摺っているんだ。ごめんなさい、小鳥遊さん』とその後の文字を消した線」
これは確実に死んでいる。その要因が斑目にあり、本人も自覚していた。だから大人しく、小鳥遊による攻撃を受けた。俺はそう考えている。
何故、小鳥遊から受けた傷の処置を施さなかったのかという疑問は残るが、まあ、それはいい。
俺は真実を見ていない。この日記から出来事を推測することしか出来ないし、それが正しいかも分からない。
大まかに流れを掴むだけで良しとしよう。
「……でも、最後のこれが分からねェんだよなぁ」
日記が終わっている、『もう僕には、小鳥遊さんに顔を合わせる資格がない。このまま、消えてしまいたい……。あの傷のように……』という文章。
傷が消えて、小鳥遊さんに顔を合わせる資格がないとは何なのか。小鳥遊に負傷させられたってのは間違ってないのか?
……なら、寧ろ消えてた方がお互いにとって良いと思うんだけどな。会うたびに苦い記憶と罪悪感を抱くだろ。
「……いけないいけない。大まかに流れを掴む、これが目的だ。俺は探偵じゃないからな」
というわけで纏めよう。
時系列で並べていくと、
①斑目、黒服と遭遇。
②ユメ先輩死亡。要因に斑目が関係してる? 小鳥遊との関係に亀裂?
③斑目、研究に参加。これにより不死身になった?
④斑目、この部屋で自殺。俺、憑依。
こんな感じか。それらを加味した上で、今後の行動方針を考えてみる。
「①アビドス高等学校に戻る……はないな」
普段の斑目を知らない俺が、ちゃんと成り切れるわけがない。そもそも小鳥遊と関係拗れてんだろ? 自ら地雷に踏み込んでたまるかっての。
「②黒服……いや、こいつは駄目だな」
途中で棄却した。研究者だし、こういう現象にも詳しそうと思ったが、元凶はこいつだ。斑目が、解放されたか脱走したのか分からないが、自由な身から敢えて実験体になりに行くことはないだろう。
となると。
「③正体を隠して生きる……うん。これが一番無難だ」
小鳥遊とはユメ先輩の死亡で、恐らく仲が拗れている。
黒服とは、どういう経緯で斑目がこの部屋で自殺したのか分からないが、これが仮に脱走した場合なら正体を知られるわけにはいかない。
正式に解放されたのだとしても、中身が別人だと分かればどのような対応をされるか分からないため、やはり正体を隠した方がいいだろう。
「……」
これで本当にいいのか?
俺は日記を読み返し、そう自問する。
斑目は懸命に生きたのだ。アビドスを救うために、全てを捨ててでも。
それを、俺が自分の保身で止める???
「あー、やっぱ駄目だな。こりゃカッコ悪い」
後頭部を掻く。勿論、今の状況は決して良くはない。身を隠すことは大事だ。
だが、非力な少年が漢を見せたのだ。そして、その身体の持ち主となった俺はただ平穏のために隠れる。
比較すれば分かるように、そのダサさが顕著になった。
「……④正体を隠して、アビドスの力になる。これだな」
アビドスに対する脅威が既に終えていたら、その時はその時だ。また方針は考える。
斑目が書いた最後の日記の下に、『ご苦労様』と書いた。
「同じ男として、お前のことは尊敬するよ」
日記を閉じて、俺は斑目の部屋を出ていく。彼の私物品は全てここに置いていくつもりだ。
何故なら俺は斑目じゃない。斑目の身体を借りた誰かだ。
斑目ユウはこの部屋で死んだ。此処は彼の墓とも言える。そこにある私物を持っていくことは、墓泥棒と同じだと思った。
「死体泥棒なんて言われたら何も言えないけどな。それ以外の物は、全部自分で用意するから、勘弁してくれ」
部屋のドアを閉め、俺は前へ進む。
これからすべきことは沢山あるのだ。自分の実力を知ること、金集め、住処探し。
考えれば考える程、山積みになっていく。このまま、斑目の部屋にいた方が楽かと思う程に。
だが振り返ることはなかった。帰ることもなかった。
俺は
次回からは主人公交代!!!
斑目(偽)は一体、どのような物語を紡いでくれるんですかね……。