憑依in実験体のアビドス生徒   作:改名

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遂に原作に入りましたねェ。

まずは言い訳をさせて下さい。
主人公の一人称視点でいこうと思ったのですが、いずれ来る曇らせの観点から限界を感じ、三人称視点を採用させて頂きました。申し訳ございません。


しかしこれではアンケートを取った意味がない……。


そんなわけで、一人称は斑目(偽)の回想といった小話にて採用させて頂きます。そっちはシリアスな展開にならないと思いますし。いずれ出すので、その時はよろしくお願い致します!


アビドス対策委員会編
1.先生が来た日


 

 

 今日は特別な日だった。

 外の世界から『先生』がキヴォトスに訪れたのだ。連邦生徒会長の呼び出しで訪れた彼女は、連邦捜査部S.C.H.A.L.Eこと「シャーレ」の顧問として任命された。

 

 彼女は任命初日でありながら、拠点の建物で暴動が起こるという緊急事態に即面するが、ユウカ・ハスミ・スズミ・チナツといった即席のメンバーを指揮して、不良たちを鎮圧することに成功する。

 

 そんな偉業を成し遂げた彼女は。

 

 

「おかしいよ! 遠慮なく撃ってきたよあの子達!!」

 

 

 子供のように怒っていた。プンプンという擬音が聞こえてくると、その場にいる全員が思う程だ。

 だが彼女以上に怒っている者達がいる。

 

 

「おかしいのは先生です! 先生は私達と違って、弾一つで生命の危機になるんですよ!?」

 

「なのに丸腰で飛び出すなんて、一体何を考えているのですか」

 

「もう二度とあんな真似しないでください」

 

「本当に……! 私達がどれだけ肝を冷やしたか!!」

 

「うっ……ご、ごめんなさい」

 

 

 それぞれ、所属する学校が違う生徒の集まりであるユウカ達だ。

 その勢いと彼女達に囲まれることで、先生の身体はみるみる縮こまっていった。

 

 数分前のことである。

 

 キヴォトスの外から来た者の身体は脆いこと。このキヴォトスでも、殺人は大罪という認識があること。これらを知った先生は、丸腰で不良達に歩み寄った。

 

 

『撃たないで! 私はキヴォトスの外から来た先生! 銃弾が当たれば死んじゃうの!!!』

 

「「「嘘つけェ!!!!」」」

 

『えーーー!? 本当なのにーーー!!!』

 

 

 発砲される中、きゃー! と叫びながら物陰に華麗なダイブを決め、すかさずユウカ達が前に出る。そこで戦闘の指揮を取り、今に至ったというわけだ。

 自分より年下の生徒達に囲われ、説教を受ける先生は謝罪と弁解を行う。

 

 

「……戦わないに越したことはないと思ったの。ここの人達より身体が脆い私が出れば、殺さないために不良の子達は撃たない。話し合い出来ると思ったんだ。皆も傷付かないで済むし……」

 

「……あー。私のせいですね、これは」

 

 

 自分達の身を案じてのことだと知り、ユウカは気恥ずかしさを抱いた。

 それと同時に反省する。彼女は戦闘前、自分達と違い先生の身体は脆いことを指摘し、後ろに隠れているように伝えた。

 次に先生が、『殺人はキヴォトスでも罪になるのか』と聞いてきた時に彼女の行動を予測して、止めることも出来た筈だった。

 

 

「先生。まずは私達の身を案じて頂き、ありがとうございます。それでも、私達は貴女より強いので心配なさらないでください」

 

 

 そして、とユウカは続ける。

 そう、彼女は大事なことを伝え損ねていた。

 

 

「ごめんなさい。先生に伝え忘れていたことがあります」

 

「?」

 

「何事にも存在するんですよ……

 

 

 

 

                『例外』が」

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、先生は奪還した「シャーレ」の部室にて、昨日ユウカから話された人物について考えていた。

 

 

「便利屋『ノーネーム』かぁ……」

 

 

 便利屋『顔無し(ノーネーム)』。

 性別不明。出自不明。所属不明。身元不明。

 故に姓名不明。故にノーネーム。

 全てが不明の正体不明(アンノウン)。隠された顔は誰も見たことがないと言われる。

 

 

『「顔無し」は先生と同じように、ヘイローがありません。奴はそれを利用しています』

 

『代表的な手口として、丸腰のまま相手に近付き、自分にヘイローがないことを相手に確認させます。そして簡単に死ぬと言うことで警戒を解かせて、その隙に仕留めるんです』

 

『私達のように銃器は使いません。使うのは拳や足、そこら辺に落ちている鉄パイプや小石など、使える物は何でも使う。そんな奴です』

 

『フードを被っていて顔も見えず、仮面をしている時もあります。なので背丈から私達と同年代ということ以外、奴について何も分かりません。ヘイローを持たない者でも容赦なく発砲するようになったのは、そういう背景があるんです』

 

 

 その話を聞いて、姑息と大胆を兼ね合わせた厄介な子だな、と先生は思った。

 それと同時に、シャーレに部員として招き入れたい気持ちもある。話を聞く限り、相当な実力者と見て間違い無いだろう。

 だが今の『顔無し』はその強さを間違った方向に使っているように感じる。

 

 

「大人として、放っておくわけにはいかないよね……」

 

 

 何事も終わりは訪れる。

 いつかその正体がバレた時、『顔無し』は多大な被害を被ることになる。それは周囲の人間にも及ぶだろう。

 それ程敵を作ってしまっていたのだ。

 

 あと文句も言ってやりたかった。君のせいで、私みたいな人間が簡単に死ぬような状況になっている。どうしてくれるんだ。と。

 

 

「……よし。私は大人。子供をしっかりと叱る役目がある!」

 

 

 先生が何度か深呼吸をして、メモにある番号に電話をかける。

 それは便利屋『顔無し』に繋がる番号だ。正気を問うような顔をしながらも、ユウカは渋々と用意してくれた。いつかお礼をしたいと先生は思う。

 

 コール音が鳴り止み、繋がる音がした。

 

 

「……もしもし?」

 

『便利屋『顔無し』。ヤバい仕事も大歓迎だ。その分報酬も貰うけどな』

 

 

 恐らく合成音声を使っているのだろう。機械のように無機質で、男か女か分からない声のため、性別を判別することは出来ない。

 流石に用意周到だな、と先生は感心した。

 

 

「私は連邦生徒会所属の特例部活動、シャーレの顧問をしている先生です」

 

『先生? ……あー。キヴォトスの外から来たって人ね……。報道でもバンバンやってんな。それで? そんな有名人は俺に何をしてほしいんだ?』

 

 

 面白がるように言う『顔無し』。それはこちらを測っているようにも感じられた。

 何を、してほしいか……。

 ここは思考を巡らせ、どうにか会合の場を設けることが目的だった。

 

 

「書類仕事を手伝って欲しいです……あ!?」

 

 

 しかし、目の前に伸びる書類の山を見て、先生は無意識に素直に答えてしまい、後悔する。何とか続く言葉を考えるが、テンパって何も言えなかった。

 

 ああ、終わった。さよなら。正体不明の便利屋更生への道……。

 

 自分の無力さを嘆き、先生の頬に透明な雫が垂れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……は? 書類仕事??』

 

 

 舐めてるのかと罵倒するわけでもなく、電話を切るわけでもなく、戸惑う様子を見せた電話の先にある相手に先生は思った。

 

 

 

 あれ? この子意外と良い子なのでは?? と。






この世界での先生は女性です。これは完全に私の趣味です。
男先生と将来的には友人のような距離感になるのも良いと思ったのですが、お姉ちゃんと弟的なやり取りを先生とノーネーム君にやってほしかったんですよ……。





皆さんお察しの通り、ノーネーム=斑目(偽)です。

感想、お気に入り登録、高評価。大変励みになりますので、是非ともよろしくお願い致します!!




曇らせはね。平和な日常が続いてる最中に、点々と現れるから良さ味を感じるのだと個人的には思っています。なので皆さんも、暫し平和な日常にお付き合いくださいませ。

その時は必ず来ますからねェ。
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