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ようやく俺が書きたかった、ホシノを書けたかもしれない……!
その場に立ち尽くすホシノと『
そして今、『顔無し』は先生の仲間ということでアビドスの面々に連れられ、アビドス廃校対策委員会の部室に来ていた。
「……なんか新鮮だね。武装した『顔無し』」
「使わないけどな。俺の場合、銃より殴る蹴るの方が早い」
声を掛けてきた先生に、『顔無し』はそう言いながら部室に入る。彼はいくつもの銃器を首や腕にぶら下げていた。
気絶したヘルメット団が起きた時に再び攻め込めないように、念のため奪っておいたのだ。
彼を物色するように、シロコが彼を囲うように歩く。
「全部売れば結構なお金になりそう。助かる」
「ああ。金にするのはいいんだが……うーん。自衛のために先生に一つぐらい持たせてやるべきか?」
「……ん。確かにそうだね。先生、いる?」
シロコと『顔無し』に顔を向けられ、先生は一度窓から外を見て、首を振った。
「私より、それはあの子達に渡して欲しいかな?」
手招きをされ、窓に近付く『顔無し』。
そこから見えたのは、武器を失い、肩を落としてトボトボとアビドス高等学校から離れていく、ヘルメット団の姿だった。
「……あー」
仮面の下で、『顔無し』は眉尻を下げた。
やった張本人が思うことではないが、庇護欲が生ずる程、今のヘルメット団が可哀想に思えたのだ。
コテンパンにやられただけでなく、自分の武器さえ奪われた。
『顔無し』の元にある銃器には、女子らしいストラップや装飾もされている。
彼女達が、大事に扱ってきた証拠だ。
「流石に、これはやり過ぎだな……」
「うん。反省できて偉いね。『顔無し』」
「うるせぇやい」
微笑む先生にそう言い、『顔無し』は攻撃されても困らない量の弾薬を詰めた銃器を抱え、校庭へ飛び降りた。そして、ヘルメット団の後を追いかける。
「おい」
「「「ひっ」」」
「攻め込んできた奴等がする反応かよ、それ……」
追いついた『顔無し』が後ろから声を掛けると、短い悲鳴を上げてヘルメット団は身を寄せ合う。異性に生理的に無理という反応をされたように感じ、『顔無し』の声が少し小さくなった。
彼は咳払いをし、ヘルメット団に下投げで銃器を渡す。
「ほら、持って帰りな。そして
「い、いいの……?」
「……言い出しっぺはシャーレの先生だ。あの人がいなきゃ、今頃そいつらは金に変わってたよ。だから感謝するなら、先生にするんだな。俺はただの使い走りだ」
そう言って、ヘルメット団に背を向けて来た道を戻る『顔無し』。
「それと……二度目はないからな」
「っ」
銃器を向けていた一人が息を呑んでから、ゆっくりと銃口を降ろす。
目の前の男に勝てるビジョンが見つからない。ヘルメット団全員の胸中が一致した。
彼女達は勝機がないことを悟ると、『顔無し』に背中を向けアビドスから去っていくのだった。
「おかえり、『顔無し』」
「……その顔やめてくれないか、先生。そんな顔向けられる歳じゃないし」
先生は、銃器を向けられたにも関わらず見逃した『顔無し』を見て、嬉しく思っていた。それが笑顔という形で現れている。
その顔で迎えられた『顔無し』は、合成音声だが少し気恥ずかしさを抱いているのか、ふいっと顔を背けた。
「あっ、皆。この素直じゃない子は『顔無し』。こんな見た目だけど、実は優しいし腕も立つから、警戒しなくて良いからね!」
「……よろしく」
座ったまま、『顔無し』の腕を抱き寄せてくる先生。
グイグイとされるたび腕に心地よい感触の胸が当たるが、『顔無し』は指摘せず、されるがままにした。
指摘したら揶揄われる光景が簡単に思い浮かんだからだ。
話が始まりそうだったので、優しく先生による腕の拘束を振り解き、『顔無し』は立ったまま壁に背をつけて、話を聞くことにした。
「あはは……少し遅れちゃいましたけど、あらためてご挨拶します」
「私達は、アビドス対策委員会です。私は委員会で書記とオペレーターを担当している一年のアヤネ……。こちらは同じく一年のセリカ」
「どうも」
アヤネに片手で示されたセリカが軽く挨拶する。
「二年のノノミ先輩とシロコ先輩」
「よろしくお願いします、先生〜。それと『顔無し』君も、よろしくお願いしますね〜」
「さっき、道端で最初に会ったのが、私……あ、別にマウントを取ってるわけじゃない」
「うちの先生が大変お世話になりました」
「ん、気にしなくていい。『顔無し』」
シロコに拾われていなければ、先生はどうなっていたか分からない。
大恩人であるシロコに自然と敬語になり、『顔無し』は頭を下げる。彼女は両手を前にして首を振るだけだった。
それを見て微笑むと、アヤネは視線を移す。
「そして、こちらは委員長の三年のホシノ先輩です」
「いやぁ〜よろしく、先生〜。あと『顔無し』君も、よろしくね〜」
眠そうな様子で挨拶をしてくるホシノに、内心『顔無し』は驚いていた。
斑目の日記を経由して、以前から彼女達の名前を『顔無し』は把握している。その中で唯一、ホシノは容姿も書かれていた。過去の姿は写真で確認済みだ。
(にしても、変わり過ぎだろ……)
髪の毛が伸びている。
ユメ先輩を思い起こさせるような恰好。
自堕落な姿を見せる。
正にその通りだ。記述に間違いはない。だが斑目の部屋で見た写真にあった、刺々しい目も雰囲気も感じられず、『顔無し』は目の前の人物が写真にあった少女と同一人物だとは、今でも思えなかった。
実は姉妹です、と言われた方がまだ信じられる。
驚く彼を時間は待たない。
アビドス対策委員会全員の紹介を終えたアヤネは、現状の説明を始めた。
「ご覧になった通り、我が校は現在危機に晒されています……そのため『シャーレ』に支援を要請し、先生がいらしてくれたことで、その危機を乗り越えることができました」
「あはは……それに至っては、私より『顔無し』が貢献してくれたよ」
「最初は敵かと思ったけどね……」
セリカのジトっとした目に、『顔無し』は頭を掻く。
「悪かったよ。ここが襲われてるのが見えたからな。先生がいるかもと思ったら、居ても立っても居られなかった」
「……え? まさか『顔無し』、私が遭難してシロコ達に救助されることを予測してたの!?」
「……やっぱり遭難してたのか。いやまあ、事前知識なし且つ先生の身体じゃ仕方ないか」
『顔無し』は持ち前の身体能力と体力で何とかなった。だが先生の体力と身体能力では出来る行動は限られている。
さらに地図が更新されてないことも、砂漠化していることも知らなかったようなので、遭難するのは仕方ないだろう。
「俺はユウカからアビドス地区の話は聞いてたし、先生のメモも見たからな。ちょこちょこビルは建ってたし、その屋上から辺りを見回して、学校を探しただけだ」
先生の捜索に手を貸してくれると思ったし、運良ければ先生が辿り着いてると思ってな、と『顔無し』は続けた。
先生が目をパチクリとする。
「あ、じゃあ救助されるのを予測していたわけじゃないんだ」
「そこまで予測できるか。大体、俺はそういうキャラじゃないっての」
うんっ、と咳払いをするアヤネ。そういえば話の途中だったと、先生と『顔無し』は黙った。
「何はともあれ。お二人がいなかったら、さっきの人達に学校を乗っ取られてしまったかもしれませんし、感謝してもしきれません……」
先生は弾薬の補給と戦闘の指揮。『顔無し』はその戦闘能力。
そのお陰で対策委員会の負担は、普段より大幅に軽減された。そのことに対し、アヤネが再度礼を告げた。
「気にしないで! 先生として当然のことをしただけだから! それで皆が所属している、アビドス対策委員会って一体……?」
「そうですよね、ご説明いたします。対策委員会とは……このアビドスを甦らせるために、有志が集った部活です」
「へぇ……」
仮面の中で、斑目の口角が吊り上がる。
元のアビドスは分からないが、砂漠と化した今でも建物の跡があるため、近代的な街ではあったのだろう。
窓から見えるこの砂だらけの風景。これをまた近代的な姿に戻すというのか。
そんな不可能に近い目標を、強い意志を持って発言するアヤネ。対策委員会の全員も同様に、諦める様子はない。
その事実に『顔無し』は感心した。
(直接見たわけじゃないけどさ。お前もこんな目をしてたんだろうな……斑目よ)
胸が高鳴っている。
『顔無し』は自身がアビドスを思う者達に心を打たれたのか、
「……ぇ。『顔無し』!」
「っ……先生か。どうした、そんな声張り上げて」
「はぁ……下見て下」
溜息を溢しながら、下を見るよう指で促す先生に、『顔無し』は首を傾げながら言われた通りにする。
「うわっ」
「うへ〜」
そこにはホシノが立っていた。
『顔無し』を見上げるように立ち、にへらと笑みを浮かべている。
「『顔無し』くん。私の話、ちゃんと聞いてた〜? さっきから静かだなと思ってたけど、まさか寝てたわけじゃないよね?」
いや、笑みを浮かべているけどこれは怒っている。
ホシノからの威圧を感じ、『顔無し』はそう直感した。
アビドス対策委員会とは何か、という話題から結構時間は経っているようだが、『顔無し』は今の話題が何なのか全く分かっていない。
つまるところ、自分の世界に入って話を聞いていなかったのだ。
「……寝てない。それだけは言える」
「成程ねー。話を聞いてないっていうのは、否定しないんだ?」
「あー、それはな」
頭を掻いて、『顔無し』はこの窮地を脱する方法を考える。
つまるところ言い訳だ。しかし何を言っても、火に油を注ぐ結果になりそうだと感じ、先生に視線を寄越すも首を振られるのみだった。
「……悪い委員長。聞いてなかった」
「……うへ。最初からそう言ってくれれば良かったんだよ〜」
「っ?」
ホシノは『顔無し』に背を向けて、自分の席に戻る。その背中を、『顔無し』は見つめる。緊張に身を包みながら。
『観察』されていた……?
その額には冷や汗が流れる。
先程の光景を思い出す。相変わらずホシノの目は緩んでいた。
だがその開かれた黄色と青の瞳に、『顔無し』は全てを筒抜けにされているように感じたのだ。
「じゃあ、もう一度言うよー」
「今度はこっちから仕掛けよう。奴らの前哨基地を襲撃して損害を与えるよ。今こそ奴らが一番消耗しているだろうからさー」
(変わり過ぎ? 違うだろ)
はっ、と『顔無し』は鼻で笑う。その対象は、見当違いも甚だしい評価を下した自分にだ。
先程の観察然りこの発言然り、ホシノに関して『顔無し』は新たに分かったことがあった。
(本質は変わってないだろうが)
今も現れている、斑目の部屋で見た過去の写真のような、攻撃的な性格が垣間見えるホシノの瞳を見て、『顔無し』はそう結論付けるのだった。
俺はホシノに怒られてェんだよ……!!!
過去ホシとホシおじ、それぞれの良さがある説教をされて、最終的には甘やかされてェんだ……ッ!!!
一つのイベントにつき、話数を使い過ぎ? 文字数とか内容を削った方がいい?
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使い過ぎ
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丁度良い
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寧ろ少ない!!