憑依in実験体のアビドス生徒   作:改名

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ちょっと悩んでいることがありまして、アドバイスも頂ければ幸いです。ストーリーのテンポについてです。


それでは本編どうぞ!


8.終戦。ヘルメット団襲撃戦

 

 

 

 

 まだ敵の姿は見えないが、『顔無し(ノーネーム)』を含めたアビドスの面々と先生は辺りを警戒しながら進んでいた。

 

 

「ホシノは前衛。シロコとセリカは中衛で、ノノミは後衛。アヤネはドローンで皆を支援して!!」

 

「「「「『了解!』」」」」

 

 

 早速、『顔無し』を除いた全員が先生の指示通りに動き、隊列が出来上がった。

 それに対し『顔無し』は、仮面の中で目を少し見開いて驚く。そして先生に視線を向け、称賛の笑みを浮かべた。

 

 

「凄いな」

 

 

 ヘルメット団によるアビドス高等学校への襲撃。途中から合流したため、『顔無し』は先生の指揮を見ていなかった。

 それでも、その能力の高さは分かる。でなければ、出会って数日の生徒達がここまで忠実に、信頼した様子で指示を受けるわけがない。

 

 『顔無し』は首を鳴らす。

 ここまで着いてきて、仲間外れは勘弁だ。

 

 

「さて、俺にも指示をくれ、先生。どう動けばいい? 先生を護衛すればいいか?」

 

「ううん。私は大丈夫。……『顔無し』は自由に動いて。それが一番やりやすいでしょ?」

 

 

 『顔無し』は素直に頷いた。

 

 

「ん。ずっとそうだったからな。俺はそれでいいし、寧ろ有り難いが……」

 

 

 先生の身は誰が守るのか。

 そう問われるのを予測していたのだろう。タブレット端末を得意げに見せて笑った。

 

 

「私は大丈夫。優秀な子が守ってくれるから!」

 

『はい! アロナが先生を守ります!』

 

 

 『シッテムの箱』。それが先生が手に持つ端末の名称である。

 これを用いて戦闘を指揮している他、端末の起動中に限り、自分に銃弾が当たることはないと先生は説明した。

 

 見せられた画面には、青いセーラー服とスカートを着用した少女が、ビシッと敬礼をしている。何を言ってるか聞こえなかったが、ジェスチャーで何となく分かった。

 

 

「了解。んじゃ、こっちも好きにやらせてもらいますか」

 

 

 先生にそう言ってから、アロナにも画面に軽く敬礼を返す。そして『顔無し』は先生に背を向けて、戦場に向かった。

 アロナは敬礼を返されたからか、嬉しそうに微笑んでいる。それに先生は頷いた後、手をメガホンのようにして、『顔無し』に呼び掛ける。

 

 

「あっ! 自由に動いてもいいけど、その代わりあまり無茶しちゃ駄目だよ!? 危ないと思ったら、皆を頼ること! 分かった?」

 

「分かってるよ。流石にいつもとは状況が違うからな」

 

 

 『顔無し』の戦い方は、決して正々堂々とは言えない。

 不意打ち。砂埃での目眩し。今迄の手法を見ればそれは明らかだ。

 

 今回はそれらは使えない。

 

 前者に関しては、既にアビドス高等学校で戦ってる以上、『顔無し』に対して警戒が生じている。この手法は初対面であることが最低条件だ。

 

 後者に関しては、そもそも砂がない。

 煙等で代用したとして、ホシノ達に影響が及ぶことは明らかである。アビドス高等学校前での戦闘と違い、敵の数が未知数な以上、彼女達のパフォーマンスは下げるべきではない。

 

 

 つまり求められるのは、シンプルな近接格闘。

 

 

 『顔無し』は近くにあった、金網で出来た箱型のゴミ置き場の蓋を取り、駆け出す。

 やはり敵の数は多いらしい。前方に見える気絶したヘルメット団の数から、アビドスの面々も善戦をしていることが分かる。

 

 しかし、それでもまだ大量の敵が残っているようだ。

 彼女達から放たれる弾丸の嵐を、盾を持つホシノの後ろで凌ぎ、アビドスの面々は反撃の機会を窺っていた。

 

 

「そのまま隠れてろ。あいつらをどうにかする」

 

「ちょ、バカ! 状況分からないの!?」

 

 

 その横を通り過ぎる『顔無し』を、セリカが止めようとするが抜き去られてしまった。

 ヘルメット団は向かってくる彼を指差す。

 

 

「あいつ、さっきのやつだ! 攻め込んできやがって、あたしらに言ってたアレは何なんだよ!?」

 

「悪いな。それに関しては何も言えない」

 

「くそ! 舐めやがって!! リベンジだぞお前ら、撃て撃て撃て!!!」

 

 

 ヘイトが『顔無し』一人に集中した。

 ホシノの盾に放たれていた弾丸は、彼に向けて放たれる。

 

 

「『顔無し』!!!!!」

 

 

 先生が声を張り上げた。ホシノ達に助けを求めても、間に合う距離ではないだろう。

 だから先生は悲痛な表情を浮かべながら、『顔無し』に視線を向けることしか出来なかった。

 

 

 ヂッ! キィンッ!

 

 

「えっ!!?」

 

 

 次の瞬間、悲痛な表情は驚きに変わる。

 

 

「……」

 

 

 『顔無し』は速度を落とさぬまま、両手の指を蓋の金網にかけ、∞を描くように回していた。

 速過ぎてよく見えないが、金属の掠る音が聞こえてくることから、ギリギリあれで弾を流していることが理解できる。

 

 

「いやいや……えぇ?」

 

 

 そのあり得ない光景に先程の感情が霧散した。ただ先生は困惑を露わにするだけである。

 そんな目を向けられてることに気が付かない『顔無し』は、発せられる音や蓋の大きさから、その状態を分析した。

 

 

(そろそろ壊れるな。これ以上は無理か……)

 

 

 判断してからの行動は早かった。

 

 

「ほら」

 

「んぎゃ!?」

 

 

 蓋を地面に向けて投げる。バウンドし、凄い速度で迫り来るそれを避けられず、ヘルメット団の一人は仰け反った。

 その隙に銃器を強奪し、零距離から彼女の腹に銃弾を連射する。

 

 

「ッこのぉ!!」

 

 

 仲間をやられた団員の怒声が背後から聞こえた『顔無し』は、持っている銃の持ち場所を、銃口に持ち直す。

 そのまま力一杯振り上げることで、ヘルメット団員が持つ銃の銃身ごと射線をずらした。

 

 

「いっ……!!」

 

 

 ビリビリと両手が痺れるように痛み、両手を上げたまま銃を落としてしまう団員を、『顔無し』は見逃さない。

 

 一閃。彼女の腹に『顔無し』の拳が突き刺さる。そのまま気絶する団員を抱え、姿勢を低くし特攻する。

 

 

「う、うわあああああ!!!!」

 

 

 その対象は勿論、残ったヘルメット団員だ。仲間が盾にされているため悲鳴を上げることしか出来ない。

 『顔無し』は放物線を描くように、抱えていた団員を離すことで、残っている者の視界を塞いだ。そしてその内に懐に潜り込み、地面に転ばせる。

 

 

「ご苦労様」

 

 

 ヘルメットを片足で踏んで固定する。ダダダダッ!!! と連射音と共に、腹に何発もの銃弾を受けた団員は意識を失った。

 

 

「これが、『顔無し』の戦い……!!!!」

 

 

 何事にも縛られない、自由な戦い。先生はそう評価した。それと同時に畏怖を抱く。

 勿論強さは理解している。だが自分と同じような身体であるにも関わらず、その身一つで特攻する精神性は危うい。

 

 すっ……と顔を上げた『顔無し』。いつもと変わらない筈なのに、その仮面はロボットのように無機質だと思えた。

 

 

「『顔無し』……?」

 

「何だよ先生。そんなだらしない顔すんな、まだ終わってないんだぞ?」

 

「……よく分かってんじゃん!!!」

 

 

 気絶したフリをしていたのだろう。うつ伏せの状態で、銃口を『顔無し』に向けるヘルメット団員。

 先生はそれに気付き、声を上げた。

 

 

「『顔無し』! 左下!!!」

 

「っ」

 

 

 先生に言われた方角を見る『顔無し』。団員の指は既に引き金にかかっていて、照準も合わさっていた。

 撃たれる前に撃つと、『顔無し』が先にヘルメット団員に向けて引き金を引いた。

 

 

「何そのクソエイム!?」

 

「ダメだ先生。当たらん」

 

 

 しかし、連射した弾は全てあらぬ方向に飛んでいってしまう。

 『顔無し』は反撃を諦めるのと同時に、避けるのは難しいと判断し、頭と心臓を守る体勢に入る。

 この二箇所を破壊されたら、どうなるか『顔無し』自身分からないからだ。

 

 

「はい。残念」

 

「お、委員長」

 

 

 だがホシノが駆けつけ、団員の持つ銃を蹴り飛ばす。

 

 

「おーしまい」

 

 

 そのまま倒れ伏す団員の後頭部に、自身のショットガンで2〜3発、発砲した。

 気絶したのを確認し、ホシノは『顔無し』を見上げる。

 

 

「全くもう〜。腕に自信があるのは分かるけど、一人で突っ走っちゃ駄目だよ〜?」

 

「委員長達が反撃の機会を窺っていたから、その隙を作ろうと思ったんだよ。結果的に上手くいったろ?」

 

 

 確かに『顔無し』の言った通り、アビドスの面々は楽を出来た。彼にヘイトを向けているヘルメット団を、片っ端から処理するようなものだったから。

 ホシノから笑みが消える。咎めるように、真剣な顔付きだ。

 

 

「その身体は君だけのものじゃないでしょ?」

 

「……」

 

 

 ……まさか、正体を見抜かれた?

 黙って続く言葉を待つ『顔無し』。ホシノは先生に顔を向けた。

 

 

「心配する人の気持ちも考えなよ。そんなに生き急いで、どうするのさ。今回は助けられたけど……もし間に合わなくて君が死んじゃったら……先生は苦しむよ。助けられなかった私達もね」

 

「……あー。成程」

 

 

 どうやらそうではないらしい。

 単なる説教かと、『顔無し』は心の中で呟く。

 先生とアビドスの面々は、彼の回復力を知らない。故に、今回の行動は生き急いでいると思われても仕方がなかった。

 

 

「……それもそうだ。悪かった」

 

 

 『顔無し』も反省した。死ににくい身体とはいえ、普通に内臓や骨や血が表に出る時もある。そんな光景を異性に見せるのは悪く思えた。

 

 

「いいよー。ちゃんと反省出来る子は、おじさん好きだな〜」

 

「ん。素直なのはいいこと」

 

  

 ホシノが『顔無し』の前に立つ。後ろから走ってきたシロコが、『顔無し』の右側に来た。

 

 

「ええ。聞き分けがある人でよかったわ」

 

「そうですね〜☆」

 

 

 セリカが左側に、ノノミが背後に立つ。『顔無し』からそれぞれ距離が近く、壁のような威圧感を発している。

 仮面の中で渋い表情を浮かべながら、『顔無し』は恐る恐るといった様子で、ホシノに話しかけた。

 

 

「……なぁ。反省したから。一人で突っ走らないから。囲うのをやめてくれないか? ……ほら、まだ敵も残ってるだろ?」

 

「だーめ」

 

 

 間髪入れずに却下される。

 

 

『はい。まだヘルメット団は残っています。しかし、どこかの誰かさんが派手に暴れたお陰で、残存する団員は残り僅かです。この隊列でも十分ですよ』

 

「……」

 

 

 アヤネも怒っていることを察し、『顔無し』は頭を押さえた。

 …… 既に包囲網の中にいる『顔無し』は、歩きながらごく一握りの可能性にかけ、先生の方へ顔を向けようとする。助けを乞うために。

 

 

「先生〜。このままでいいよね?」

 

「勿論! 徹底的に閉じ込めちゃって!! 無茶しないって言ったのに、破った罰!!」

 

「は〜い☆」

 

 

 前後からの声に、溜息を吐く『顔無し』。

 シロコとセリカは白けた目で彼を見た。

 

 

「往生際が悪い。『顔無し』はバカ」

 

「大人しく私達の中にいなさい」

 

「んー……。ねぇねぇ、『顔無し』君ってさ。何歳かな?」

 

 

 急なホシノからの問いかけに、『顔無し』は思考を巡らす。

 正体を勘繰られているように感じた。先程も同様なことが起こったが、それは誤解だったことを思い出す。

 

 しかし、元同級生として何かを感じてる可能性も否定しきれない。

 だからここは、嘘をつくことにした。

 

 

「……16歳。学校に行ってたら、二年生になるな」

 

「ん。私達と同い年」

 

「ですね☆」

 

 

 シロコに腕を組まれ、背後からはノノミに抱きつかれた。距離が近いし歩きづらい、と『顔無し』は顔を顰める。

 

 

「そうか〜。なら、先輩であるおじさんの言うことを聞かないとねー」

 

「……分かったよ。委員長」

 

 

 この日ヘルメット団の補給所、アジト、弾薬庫の破壊に成功した。

 その後、対策委員会の部室に戻るまで『顔無し』がこの包囲網から開放されることはなかったのだった。

 

 

 

 

 

 





Q.狙って撃っても的に当たりません。どうしますか?

A.近距離から撃てばいい by『顔無し』

一つのイベントにつき、話数を使い過ぎ? 文字数とか内容を削った方がいい?

  • 使い過ぎ
  • 丁度良い
  • 寧ろ少ない!!
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