憑依in実験体のアビドス生徒   作:改名

36 / 94
皆様!
感想、お気に入り登録、高評価ありがとうございます!
大変励みになっております! 誤字報告も助かります!!
今後もよろしくお願い致します!


最近、ホシノを模写してみました。中々の出来だと思います。
それにしても可愛いなぁ、ホシノは。気の抜けた笑顔も可愛いし、欠伸しているような表情も可愛い。

だからこそ。



その顔を曇らせたい!!!!(原点回帰)
じゃけん、まずは喜びを与えましょねー。


20.恩知らずの決戦(挿絵あり)

 

 

 

 

 戦闘開始から数刻が経つ。

 向かってくる傭兵達を無力化していきながら、『顔無し(ノーネーム)』は訝しげに便利屋68を見た。

 

 

(妙だな……)

 

 

 それはこちらに攻撃がこないことだ。正しく言えば、『顔無し』にだけ攻撃がこないのである。

 その証拠に、アビドス対策委員会にはしっかりと便利屋68からの攻撃が与えられている。

 

 

「ッ……皆。盾だよ、背後に隠れて!」

 

 

 様子を見るに、アビドスの面々は苦戦しているようだ。

 無理もない。

 

 自分が半分引き受けてはいるが、それでも彼女達は多数の傭兵を相手にしている。それに加えてだ。

 

 

「……よし! いい調子ね!」

 

「固まったねっ。それじゃ爆弾、いっくよー!」

 

「……うん。そのまま待機。そっちは回り込んで、そこ爆弾いくから避けて」

 

「あ、あわわ、でも、どんどん迫ってきてませんかぁ……!?」

 

 

(アルの的確な狙撃にムツキの爆発物、カヨコの指揮能力に……ハルカは今は何もしてないけど、接近またはアルに攻撃が与えられれば、頑丈な狂戦士の完成か)

 

 

 あらゆる事態に臨機応変に対応できる、便利屋68の確かなチームワークとその実力。

 

 本当に厄介だ。一緒にいる時は賑やかで楽しい集団だったが、敵に回すことでその恐ろしさを再確認した。

 『顔無し』は自分が取るべき行動を決める。

 

 

「あっ! 逃げた!」

 

「いやでも固まったよ! これで一網打尽出来る!」

 

 

 引き受けていた傭兵達から距離を取り、固まるアビドスの面々の傍へと駆け寄った。

 

 

「! 『顔無し』が!」

 

「……! おっと、危ない危ない」

 

 

 アルとムツキは持っていた狙撃銃と爆弾を下げる。

 やはり、とそれを横目で見た『顔無し』は、アル達が自分に攻撃が出来ないことを悟った。

 

 なので落ち着いて、ホシノの後ろで固まるアビドスの面々に声を掛ける。

 

 

「よお。ちょっと話が」

 

 

 それを見たセリカは驚いたように目を開くと、素早く『顔無し』を掴む。

 

 

「バカ! 早くこっち来て!!」

 

 

 そして、自分達の輪の中に入れた。

 こちらを向く『顔無し』は武器を持っておらず、背後から銃を構える傭兵を見ていなかったためだ。

 

 それでは身体が脆い『顔無し』に、簡単に穴が空いてしまう。

 

 

「ん。『顔無し』は世話が焼ける」

 

「本当っ。仕方ない人ですね〜!」

 

 

 シロコとノノミもセリカと同様に、『顔無し』を隠すように動いて、傭兵と撃ち合った。

 

 

「それで!? 何の用!?」

 

 

 セリカが大声で問いかける。銃撃音が鳴り響いているため、そのくらいの声量がちょうど良かった。『顔無し』も同じく、声を張り上げる。

 

 

「悪い! 傭兵全員頼んだ! 俺はあいつらを相手してる!!」

 

「はぁ!? ちょっ、待」

 

 

 セリカの制止の声を最後まで聞くことなく、『顔無し』はアビドスの輪から抜け出す。

 

 

「っ! ダメだ。素早い」

 

 

 シロコが咄嗟にその腕を掴もうとするが、『顔無し』の速度にはついていけなかった。

 

 だが考えなしに、『顔無し』は飛び出したわけではない。

 彼は気付いていた。何らかの理由で、自分だけがアル達に攻撃されていないことを。

 

 なのでアル達に近付き、無力化する。それがベスト。

 そう考えたのだ。

 

 アル達のところに向かう『顔無し』の背中に、悲痛な叫び声が刺さる。

 

 

 

「行かないで! 『斑目』!!!」

 

「……ッ」

 

 

 

 ホシノの叫び声に、『顔無し』の足が一瞬止まった。

 まるで『身体がホシノの呼び声に反応したように』。

 

 だがすぐに動いた身体に、『顔無し』は溜息を吐く。仮面の中では、少し残念そうに眉根を下げていた。

 

 

(……気のせいか)

 

 

 自分の意思で、再度アル達の元に走る。

 所詮フィクションはフィクション。大切な者の声で、彼が目覚めることはなかったようだ。

 

 思考を切り替える。『顔無し』は戦闘と一緒に、この後どのような対応をホシノ達にするかを考えることにした。

 

 ホシノの声に反応したのは、『顔無し』だけではない。

 

 

「まさか……っ」

 

 

 最初に反応したのはカヨコだった。他の便利屋68達も、聞き覚えのある名前に冷や汗を浮かべる。

 

 

「ム、ムツキ……今あの人、『顔無し』のこと『斑目』って言わなかった……?」

 

 

 アルは震えながら幼馴染に問い。

 

 

「言ったね。いやいや……これ、マジか〜」

 

 

 ムツキは苦虫を噛んだように、その整った顔を歪ませ。

 

 

「じゃ、じゃあ『顔無し』さんを私達、捕縛しないといけないんですか……っ」

 

 

 ハルカは狼狽えるように、自分以外の便利屋68を見渡す。

 その言葉に誰も答えることが出来なかった。初対面の時と違い、彼女達は『顔無し』に恩があり、付き合いも長い。

 

 

「……別人って可能性は?」

 

「多分、ないと思う」

 

 

 アルの問いに、カヨコはすぐに首を振った。

 

 アル達の元に行かせまいと立ち塞がる傭兵を、速度を落とさぬまま『顔無し』は弾き飛ばしている。

 話せる時間は有限だと考え、カヨコは話す速度を上げた。

 

 

「人間型の男子なんてそうそう聞かないし、アビドスの人間が呼んだんだ。なら、『顔無し』が斑目(標的)だよ。それ以外にあの人が『顔無し』を斑目って呼ぶ理由は考えられないし」

 

「……そうだね」

 

 

 ムツキはそう言って、アルを見る。

 

 

「アルちゃん。どうする? 私は、アルちゃんの判断に従うよ」

 

「わ、私も……!」

 

「……社長が言うなら、いつもみたいに公私は区別して、しっかり仕事をこなす。社長が嫌なら、この件から手を引く。後で文句は言わない。私も社長の判断に従うから……」

 

「……!!!」

 

 

 仲間達の視線が自分に向けられ、アルは判断に迷う。

 『顔無し』に対し恩を仇で返したくない気持ちと、アウトローになりたい自分がせめぎ合う。

 

 

(ど、どうしよう……! 出来ることなら私も、『顔無し』と敵対したくないわよ! 恩人だし、良い人だし、何よりこの前は無事だったけど、『顔無し』は私達と違って、人間! 今度はこ、殺しちゃうかもしれないし……!)

 

(でも、標的が恩人だからって見逃したり手を抜くのは、アウトローって言えないんじゃないの……!? 『公私を区別して、しっかり仕事をこなす』『金さえもらえれば何でもする』……それが私達(便利屋68)なんじゃないの!?)

 

 

 そんな時だった。

 アルにとって、今だけは救いとなる音が鳴り響く。

 

 

 キーンコーンカーンコーン

 

 

「あ、定時だ」

 

「今日の日当だとここまでね。あとは自分達で何とかして。みんな、帰るわよ」

 

「(ラ、ラッキー! ナイスタイミングよ、チャイム!)は、はぁ!? ちょっと待ってよ!!」

 

 

 アルは内心喜びながら、しかし面子を保つために傭兵を引き留める。

 ……どちらにしろ、面子を保てているかは微妙ではあるのだが。

 

 

「終わったってさ」

 

「帰りにそば屋でも寄ってく?」

 

「こ、こらー! ちょっ、どういうことよ!? ちょっと! 帰っちゃダメ!」

 

 

 ぞろぞろと帰路に着く傭兵達。『顔無し』やアビドスによって倒された傭兵も、ゆっくりとではあるが立ち上がり、同様に歩いて帰っていく。

 先生は傭兵達に苦笑いだ。

 

 

「何てお金への執着心……」

 

「……闘争の空気じゃねぇな」

 

 

 『顔無し』は人の密度が殆どなくなった大地を見回して、身体の力を抜き便利屋68達を見る。

 

 

「どうする? まだやるか?」

 

「……いーや、やーらないっ! この時間まで決着がつかない相手と一緒に、ネムネムと戦ったらヤバいだろうし」

 

 

 ムツキの言葉に、アルは頷く。

 

 

「そ、そうね! だからといって、逃げるわけじゃないけどっ。これで終わったと思わないことね! アビドス!」

 

「あはは、アルちゃん、完全に三流悪役のセリフじゃん!」

 

 

 そう言って、撤退していく便利屋68。

 

 

「待って! ……あ、行っちゃいましたね」

 

『……詳しいことはわかりませんが、敵兵力の退勤……いえ、退却を確認。それで、ええと……』

 

 

 アヤネが戸惑うように、次に発する言葉を探る。

 それはホシノ、『顔無し』、先生を除く全員がそうであった。

 先生はゆっくりとホシノに歩み寄る。

 

 

「ホシノ……『そういうこと』なの?」

 

「……うん。皆に、聞いてほしいことがあるんだ」

 

 

 静かな声なのに、全員の耳にホシノの言葉が染み込んだ。

 彼女は『顔無し』に向けて、歩を進めた。

 

 

「昔ね。おじさんには同期がいたんだ。弱い癖に優しくて、一生懸命アビドスを助けるために足掻いた仲間がね」

 

「つまり皆の先輩。その人は今まで、退学届を出して行方不明だった……。私もっ、もう二度と会えないと思ってた……!!!」

 

 

 そして駆け出し、『顔無し』の胴体に腕を回し、ホシノはその腹に顔を埋める。

 

 

「うへへ。固い……! 昔とは大違いだぁ……ッ。身体は変わったけど、心の中は変わってない。ずっと見守ってて、くれたんだね……!!!」

 

 

 涙を流しながら、その腹に擦り付けるように自分の顔を埋めるホシノ。その泣き声の中に混じった喜びに、アビドスの生徒達は息を呑む。

 

 

「まさか……」

 

『『顔無し』さんが……!』

 

「わぁ〜……!!!」

 

「えっ、あんたそうだったの!?」

 

 

 小さく、うん、とホシノは頷いた。

 そして『顔無し』の手を引いて、晴れやかな笑顔で言う。

 

 

 

 

 

 

「斑目ユウ。私の同期で、皆の先輩だよ……!!!」

 

 

 




な、なんだってーーー(棒)

それと、絶対匿名さんが素晴らしい絵を恵んで下さったので、皆様に共有いたします。本当にお世話になりっぱなしで、感謝しても仕切れない……!



【挿絵表示】



どうです……。いい眺めでしょう……?(ワイン片手に)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。