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今後もよろしくお願い致します!
せめて、せめて週一投稿だけは外させん……!
そして、そろそろ物語が動き出す手筈となっています。私自身、書きたかったシーンが書ける時が近付いていて、胸が高鳴りますぞッ!
あとまた挿絵をねじ込みたい。そして成長を感じたい(願望)
ヒフミとの出会いを話し終えると、『
「……というわけで、ヒフミはただの友人だ。委員長が思ってるような仲じゃない」
それに、と『顔無し』は続ける。
「今の俺は記憶を無くしてるんだぞ。自分のことで手一杯なのに、恋人なんて作る余裕ねェよ。それに記憶戻った俺も、いきなり身に覚えのない恋人がいたら驚くし、そんな勝手な真似できるか」
あー。と何人かが頷いた。
目が覚めたら、時間が経っていてさらに初対面の恋人を名乗る異性がいる。その立場を想像すれば、勝手な真似という言い分も理解出来た。
これから好きになっていけばいい。
果たしてどれ程の人間が、そんなことを自信に満ちて言えるだろうか。
「……本当?」
(……あと一歩。そんなところだな)
今の『顔無し』の説明で、ホシノの瞳が揺れた。光が灯り、希望が生まれたようにも見える。
ホシノの状態を分析し、『顔無し』は迷うことなく頷いた。
「ああ。本当だ」
「そっか。……そっかぁ」
ホシノは安心したように息を吐く。
緊張に包まれていた空気が霧散していくのを感じ、ヒフミは息をゆっくり吐いた。
「えーと。誤解は解けた、と思っていいんでしょうか……」
「……うん。ごめんね〜、ヒフミちゃん。それに『顔無し』くんも。おじさん、もう年だからか少し感情的になっちゃった」
「「そんな歳に大差ないだろ(でしょ)」」
『顔無し』とセリカの突っ込みによって、小さな笑いが発生しそれを機に、いつもの賑やかな空気に戻っていく。
ホシノの謝罪を受け、ヒフミは両手を前に伸ばして振った。
「いえいえっ。寧ろ謝るのは、私の方です。皆さんがいなかったら、学園に迷惑を掛けちゃうところでした」
そして気まずそうに、顔を逸らす。
「それにこっそり抜け出してきたので、何か問題を起こしたら……あうう……想像しただけでも」
「何気に凄いこと言ったな、お前今」
「どうしてそこまでして、こんな所に……?」
こっそり学校を抜け出してきたと言うのだ。目の前のヒフミは。
純粋な性格で、真面目な彼女の口から出た言葉とは思えず、『顔無し』は少し驚いた。
先生と対策委員会の面々も、彼と同様の反応を取る。大人として先生の口から出た疑問に、ヒフミは一度『顔無し』を見て、気まずそうに視線を外した。
(……ああ。そういうこと)
それに気付いた『顔無し』は、呆れたように額を押さえた。
ヒフミは普段は常識があり、心の優しい少女である。
だが『とある物』が関わると、予想外の行動を取ることもあった。それを前回、『顔無し』は実感していた。
『顔無し』は確信を抱きながらも、問い掛ける。
「ペロロ様だな?」
「うっ……」
ヒフミが呻いた。冷や汗も流れている。
「……となると限定グッズか。通常品なんかのために、学校を抜け出してここにくるわけないよな、お前が」
「あ、あはは……仰る通りです」
言い逃れ出来ないと思ったのか、ヒフミは肩を丸めた。
だが、二人が何を言ってるのかこの場の殆どの人間は分からない。
声に出して、首を傾げたのはセリカとシロコだった。
「ペロロ?」
「限定グッズ?」
ヒフミは嬉しそうにバッグの中に、手を入れる。布教するチャンス、と思っているのかもしれない。
そして出してきたのは、口にアイスクリームを突っ込まれたペロロ様だった。
「……何だ、これは」
「ペロロ様とアイス屋さんがコラボした、限定のぬいぐるみ! 限定生産で100体しか作られていないグッズなんですよ」
『顔無し』はしばらく出された物を眺め、指を差してヒフミに言う。
「……確認だけど、アンチに転じたわけじゃないよな?」
「? 当たり前じゃないですか。私は生涯、ペロロ様が大好きだって誓えます! ほら、可愛いでしょう?」
満面の笑みを浮かべるヒフミ。
それに対し、シロコは沈黙で返し、『顔無し』は小さく呟いた。
「……」
「好きにも色々、種類があるんだな」
再度、『顔無し』が視線を元の位置に戻す。
そこではノノミとヒフミが会話に花を咲かせていた。どうやら彼女も、モモフレンズが大好きなようだ。
ある程度話すと、ヒフミがホシノに顔を向けた。
「そういえば、アビドスの皆さんはなぜこちらへ?」
「私達もヒフミちゃんと似たようなもんだよ。探し物があるんだー」
「そう。今は生産されていなくて手に入れにくい物なんだけど、ここにあるって話を聞いて」
ホシノとシロコから目的を聞き、ヒフミが相槌を打つ。
「そうなんですか、似たような感じなんですね」
(モノが物騒だけどな、こっちの場合)
『顔無し』がそう心の中で呟いたと同時に、通信機越しにアヤネが声を上げた。そこには焦りが見える。
『皆さん、大変です! 四方から武装した人達が向かってきています!』
「何っ!?」
報告を受け、セリカが辺りを見回した。
確かに、武装した者達が向かってきている。しかも彼女達には見覚えがあった。
「あいつらだ!」
「よくもやってくれたな! 痛い目に遭わせてやるぜ!」
『先ほど撃退したチンピラの仲間のようです! 完全に敵対モードです!』
そう。先程、ヒフミを助けた時に撃退したチンピラの仲間達だ。
数では明らかに敵が優位。しかし、比較的好戦的なシロコとセリカがいち早く戦闘態勢に入る。
「望むところ」
「まったく、なんでこんなのばっかり絡んでくるんだろうね? 私達、何か悪いことした?」
『愚痴は後にして……応戦しましょう、皆さん!』
対策委員会の面々とヒフミが応戦を開始した。
『顔無し』は彼女達と前進……せずに、先生の隣に歩いてくる。
先生はきょとん、とした顔だ。
「あれ。『顔無し』が前に出ないなんて、珍しいね?」
「頼みたいことがあってな。下がってきた。それに、あいつ等は委員長達だけで十分だろ」
「! そうなんだ! ふ〜〜んっ……ふ〜〜ん!」
先生は瞳を輝かせ、頰を緩めた。そして『顔無し』の頭を、甘やかすようにひたすら撫でる。
『顔無し』は首を捻りながら、さりげなくその手を掴んで、下ろさせる。
「……何でそんな嬉しそうなんだ?」
「いや、『顔無し』の成長が見れて嬉しいな〜って!」
「?」
そうやって首を傾げる仕草も可愛いな、と先生は思った。
彼女が喜んでいるのは、『顔無し』の言動にある。
頼みたいことがあると言って、下がってきたこと。敵達に対し、対策委員会達で十分だという発言である。
(『顔無し』も遂に、人に頼ることを知ったんだっ。一人でやろうとしないで、ちゃんと他人に任せられるようにもなった。こうした子供の成長を間近で見れるのが、先生の醍醐味だなぁ……!)
「いいよ! 先生が、何でも言うこと聞いてあげる」
「そこまで求めてねェよ」
『顔無し』は何故、先生がここまで喜んでいるのか分からなかった。
別に自分がしている行動は不思議なことではない。この頼み事は、人望があり一番周りが見えている人間にすべきだと思ったから。
先生の側に来たのは、対策委員会の足を引っ張る可能性を最小限にするため。再生しない法則が見つからない以上、多勢を相手取るのは自殺行為だ。
(あー。まどろっこしい。そして申し訳ない。再生不能な事態が起きなければ、突っ切って委員長達の負担を少しでも減らせたのに)
まあ、つまり『顔無し』の在り方は全く変わっていない。
もしこれを口に出していたら、ハイライトを消した先生が詰め寄っていただろう。
心の中で言った正解を選んだ彼は、早速本題に入る。
「頼みたいことは一つ……いや、二つ」
「ふんふん」
「一つ。敵が引く姿勢を見せたら、撤退するように指揮をしてくれ。追撃じゃない、撤退な。俺達がだ」
先生は目を瞬いた。そして、ニマニマと笑みを浮かべる。
「なーに? 『顔無し』も随分優しくなっちゃって。このこのー!」
「……そんなんじゃねェよ」
胸板に押し付けられる肘を気にする様子もなく、『顔無し』が続けた。
「ここを管理している治安機関は厄介でな。見つかるのは避けたい。大事になる前に立ち去る。それがセオリーってこった」
「あ、そういう……」
まあでも、私達を気にしてくれているし。
肘を『顔無し』の胸から退け、肩を落としたもののそう先生は切り替える。
「それで二つ目は?」
「俺はこの後、単独行動を取る。その許可「却下」……早ェよ」
一瞬だけ、スンッと表情を無くした先生に頼みを一蹴された『顔無し』。
先生は諭すように、彼に語りかけた。
「あのね。『顔無し』はここで、家を燃やされたんだよ? そんな場所を一人で歩かせるなんて、私には出来ないよ」
「このままだと、俺があいつ等の足を引っ張る可能性が高くなる。だから力が必要なんだ。武器がな」
「そんなことない。『顔無し』は十分やってる、皆だってきっと……」
「確かに『今は』そうだ。でもこの先は分からない。想像を遥かに超えた奴等が、俺達の敵になるかもしれないだろ? ……持てるモンは全部持っときたい」
先生は少し息が乱れていて、対照的に『顔無し』の様子に変わりはない。お互いに譲れない、意思のぶつけ合いだ。
それに終止符を打ったのは、『顔無し』だった。
先生、と呼び掛ける。
「頼む」
「……っ」
そしてただ、頭を下げた。
雑なものじゃない。大人に対して、意思を伝える本気の礼だった。
そして先生は、大人としてそれを無碍には出来ない。溜息を吐きながら、頭を振る。
「……ずるいよ、『顔無し』。そんなことされたらさ……許可出すしかなくなっちゃうじゃん」
「悪い……ありがとう、先生」
「……まだ完全には納得してないけど、許してあげる。『顔無し』には助けられてばっかりだし、我儘の一つくらい聞いてあげなきゃ」
ふふ、と女性らしい微笑みを先生は『顔無し』に向けた。
もう一度、ありがとう。と彼は言う。
『先生! 敵が引き返していきます!』
すると、タブレットから先生の耳にだけ届く声がした。
アロナである。先生が戦場に視線を向けると、確かにチンピラ達が引き返していた。
シロコ達は追撃をしようとしているようだ。それは避けたい。『顔無し』からの頼み事①を果たすのは、今だろう。
「ま、待ってください! それ以上戦っちゃダメです!」
「ん? どうして?」
「だ、だって……ブラックマーケットで騒ぎを起こしたら、ここを管理している治安機関に見つかってしまうかもしれません! あうう……そうなったら本当に大ごとです……まずはこの場から離れ……」
だが、ヒフミの説明を受け、対策委員会は追撃の姿勢を止めた。
そしてホシノの一声で、ヒフミの指示に従うこととなる。彼女を先頭に、対策委員会は地面を蹴った。
取り残された先生と『顔無し』。
出そうとした声を無理やり引っ込め、少し顔を赤く染めて、先生が『顔無し』を見た。
「……ヒフミにも教えていたなら、私に頼まなくて良かったんじゃ……。ちょっと恥ずかしいんだけど今」
「……教えてねェよ。多分、何回か既に通ってんなありゃ……」
『顔無し』は仮面の中で、遠い目をする。
「先生。俺、少し先生の気持ちが分かったかもしれねェ」
「心配するでしょ? ……因みに」
「完全に行動を改めるとは言えないな」
「だと思った」
なら。
(せめて、今だけはこの子の手を離さないでおきたい)
そう思い、先生は『顔無し』の手を握る。
彼は一度、その握られた手を見て、顔の向きを前に戻した。
(迷子かっての……いや、的を得てはいるか)
『顔無し』はホシノ達と合流する直前まで、その手を解くことはなかった。