感想、お気に入り登録、高評価ありがとうございます!
大変励みになっております! 今後もよろしくお願い致します!
誤字報告も助かっております!!
ごめんなさい。
アヤネとセリカの可愛さに身体の昂りが止まらない。
アニメの余韻がまだ続いている……やっぱりさ、美少女を動かされると耐えられねェよ……!
発散させてくれェ!!!
〈アヤネとの小話〉
ある日の放課後のことだった。
先生は割り当てられたアビドス高等学校の空き部屋で、残った業務を片付けている。
「ひぃ〜ん! 出張中なのに、シャーレの仕事もやらないといけないなんて〜〜!!」
「……デジャヴを感じるな」
半泣きで仕事をする先生を見て、『
部屋が違うだけで、シャーレの執務室で見た光景と同じだ。
何故こうなったのか。時間はほんの少し前に巻き戻る。
きっかけは『顔無し』の一言だった。
「そういえば先生。アビドスに出張したお前を迎えに行く時に、執務室で書類の山を見たけど……あれ片付けてるか?」
「? ……ッ!!!?」
心配と疑問を含めた一言に、先生が固まる。
先生がアビドスにいる間にも、シャーレに振られる仕事は積もるばかりだ。
実際、遭難していた先生を迎えに行く前に『顔無し』は執務室でその書類の山を見ている。
何もしなければ、シャーレの執務室が紙のプールと化すのは容易にあり得た。そこには当然、期限のある仕事もあるだろう。
「あ、あば、あばばば……!!!」
「先生? おい、しっかりしろ先生っ」
彼女は顔を真っ青にした。顎がカチカチと音を鳴らし、冷や汗も出ている。
アビドスでの激動の日々ですっかり抜けていたようだ。先生は飛びつくように、『顔無し』の肩に手を置いた。
「ど、どうしよう! これからシャーレとアビドス行き来した方がいいよね!? でも私の身体、耐え切れるかな!?」
「耐え切れないと思うが……」
肩を揺すっている相手から端的に答えられ、先生は脱力した。
膝が着きそうになる彼女の腕を掴み、『顔無し』は溜息を吐く。
「あのな先生。普通に、この場でやればいいだろ」
「……そうだね、『顔無し』。というわけでアロナ、シャーレにある書類を何とかしてこっちに送ってもらえる!?」
『ふええええ!!?』
「無茶言うな。その子も驚いてるぞ」
鬼気迫る表情でタブレットに話しかける先生。
そこに映るアロナは目と口を大きく開け、あわあわとする。
ドローンをハッキングする等、手段がないことはない。
しかし目撃者は出るだろう。騒ぎになる確率の方が高いし、私用のためとなると悪い目で見られることの方が想像できた。
『え、ええと……。っ、そうだ!』
先生を助けたい気持ちはあるが、鬼気迫る先生を前にノーとも言いづらい。
故にアロナは、冷静に先生を嗜めてくれた『顔無し』に託すことにした。
『『顔無し』さんに聞いてみてはいかがでしょうか!? 先生!』
「『顔無し』! 何か案ある!?」
「うおっと……結局俺かい。全く」
凄い勢いで顔を向ける先生に面食らいつつ、『顔無し』は後頭部を掻く。
「案も何も、ユウカを頼ればいいんじゃないか? 先生よりは執務室に来れる頻度はあるだろうし、連絡も兼ねてさ。あいつ、お前がアビドスに出張するって知って心配してたんだからな」
「それだ!!!!」
『顔無し』が提案したのは、ユウカの手を借りることだった。
書類をスキャンしてデータ化したものを送ってもらえば、今アビドスにいる先生でもシャーレの仕事が出来る筈だと。
先生はすぐにユウカに連絡をした。自分が無事であること、手を貸してほしいことを。
返信は数十秒後にきた。
『遅い!! どれだけ心配したと思ってるんですか!!』
『『顔無し』からも連絡が来ないし、もうどうしようかと思ったんですからね!?』
先生はそれに対し、謝罪のメッセージを送る。
また数十秒後にその返信が来た。
『ご、ごめんねユウカ。色々バタバタしてて……』
『ハァ……今後はちゃんと出張に行く際は、行き先を調べておいてくださいね。トラブルがあったら、落ち着いた後にその連絡も早くお願いします』
『書類の件についても分かりました。シャーレの執務室が紙のプールになるまで放置するのもあれなので、私も手伝います』
というやり取りがあり、ユウカの協力を取り付けられ、今に至るわけだ。
半泣きで仕事をしていた先生だが、時間の経過と共に集中してきたようだ。真剣な表情で動かす手を止めない。
(俺は俺で出来ることをしようか)
物音を立てないよう部屋を出る『顔無し』。
彼は放課後の校舎を見回ることにした。廊下に積もっている砂や穴の空いた天井など、欠陥した箇所はある。
アヤネ達も修繕に力を尽くしてはいるが、現状人手が足りないのは事実だった。
「……んっ。あと、少しっ……!」
「? この声、書記ちゃんか……?」
ふと、教室から声が聞こえる。アヤネの声だ。
『顔無し』がそちらに向かうと、机の上に椅子を置き、その上に立ち天井に手を伸ばしているアヤネの姿があった。
つま先立ちをしていることもあり、見ている側は落ちるのではと安心できない。
声を掛けるより先に、人の気配を感じたのかアヤネは天井から視線を外すと、こちらを見た。
「先輩!? あっ……あの、今は見ないでください……!」
そしてスカートの上から、自分の尻に手を当てる。
まだ見えてはいないものの、つま先立ちと下からのアングルは確かにマズい。
『顔無し』は視線を逸らそうとしたが、天井のヒビから砂が漏れていることに気付いた。心なしか、ピシピシと物音が聞こえる。
「書記ちゃん、椅子から降りろっ」
「え? きゃあ!!?」
目の前で天井が壊れた。音も大きく響き、驚いたアヤネはバランスを崩してしまう。
その結果、宙に投げ出されたアヤネは不快な浮遊感に目を瞑り、いずれくるであろう後頭部の衝撃に備えた。
だが、ここにはそれを許さない第三者がいる。
「よっと」
アヤネの身体は固い床に激突するのではなく、掬われるように空中で静止された後、優しく固い床に寝かせられた。
『顔無し』がアヤネを受け止め、流れるように床に寝かせたのだ。そしてそのまま覆い被さった。
降り注ぐ筈の砂がこないことに気が付き、自分の状態が分からないアヤネは状況の把握を試みる。
「ひゃ……!」
ゆっくり瞼を開いた。
拳3つ分の間隔を空けた先には、衣服から覗く男性の鎖骨と小さな喉仏が映る。
間近で見るそれに、アヤネの顔が紅潮した。
彼女を砂から守るために、『顔無し』が自分の身体を屋根代わりにしたのだ。
その結果、された側と傍から見れば男子が少女を押し倒している現場である。
『顔無し』は自分の背中に降り注ぐ砂の感触が終わったのを確認し、覗き込むようにアヤネを見る。
「……砂は、降りかかってないみたいだな。よかった」
そう言って、背中に乗った砂を落とした。
立ち上がり、アヤネに手を伸ばす。『顔無し』の全身が視界に入ったことで、真っ白になっていたアヤネの頭が活動を再開させた。
「あ、ありがとうございました。先輩……っ」
「どういたしまして。それにしても、随分デカい穴が空いたもんだ」
『顔無し』は天井に目を向ける。流石に見て見ぬふりは出来ない。
それはアヤネも同じなようだ。
「そうですね、先輩。あの、良ければなんですが……ちょっとお時間、頂けませんか?」
「勿論。最初からそのつもりだけど、本当に書記ちゃんはいいのか?」
アヤネが首を捻る。
「? 何がですか?」
「いや、帰らなくて。放課後だし、俺に任せて帰ってもいいんだぞ?」
「いいんです。私、結構こういう作業好きですし」
「それは心強いな」
笑顔を向けるアヤネに、『顔無し』も仮面の中で口角を上げた。
それから二人はしばらくの間、校内の修繕を行う。
アヤネがスカートの下を見られぬよう、ジャージの下を履いたこともあり、その日はスムーズに修繕が進むのだった。
〈セリカとの小話〉
柴関ラーメンにて。
何故か『顔無し』は、そのユニフォームを着てホールに立たされている。その仮面はしっかりと被ったままだ。
正直、この平和な店とは不釣り合いでしかない。
無論、本人もそれを承知している。
「明らかな人選ミスだろこれ」
溢された呟きにセリカが答えた。
「仕方ないじゃない。今日は人手が欲しいの」
「悪いな坊主。割引日なんだ、頼りにしてるぞ」
厨房から大将の声が響く。
今日は週に一度の割引日らしい。そのため、客の入りが普段と比にならず人手が欲しいのだとか。
男であり、体力もあり、気軽に誘える『顔無し』の存在はセリカにとって嬉しいものだった。
それにいつも彼は、一人で何かを成そうとする。
今回の手伝いを通じて、誰かを頼ることを知ってほしいという思いもあった。それと同時に、お姉さん風を吹かせたい気持ちもある。
そんなわけで、内心セリカはワクワクしていた。初めてのアルバイトで初々しい動きをする『顔無し』の姿に。
だが。
「いらっしゃいませ。お客様何名様でしょうか? お一人様? 『お客様』ご来店でーす」
「え? あれ?」
客が入っても、緊張した様子を見せず『顔無し』は接客し。
「大将。6番テーブル。味噌1、醤油1、餃子『リャン』です」
「よしきた!」
「ちょちょちょ」
きちんと頼まれた商品を大将に伝え。
「お待たせいたしました、こちら味噌ラーメンのお客様。はい、ありがとうございます。醤油ラーメンのお客様、はいこちらですね。それと餃子二皿になります。お熱いのでお気をつけくださいませ」
「よろしければ紙エプロンをお使いになりますか? はい、勿論です。少々お待ちくださいませ」
「あわわ……」
まるで歴戦のバイト戦士のような立ち振る舞いだった。
その手慣れた感じに、セリカはずっと釘付けになる。
『顔無し』というイレギュラーがいながらも、その日は上手く客を回すことができて、中々の売り上げも出せたのだった。
「ぐぬぬぬ……」
「どうしたよツインテちゃん。クレーマーにでも当たったか?」
閉店作業を終え、二人は一緒に帰っていた。
一度誘拐されかけたこともあり、『顔無し』から誘ったのだ。
セリカも素直にその好意に甘えることにした。それに物申したいこともあったし、丁度良い。
そんな彼女の心のうちも知らず、『顔無し』は彼女に話しかけてしまった。
セリカの耳が、ピクッと動く。華奢な身体がわなわなと震え出した。
「違うわよ……色々、納得いかなくてね」
「何が」
「初めてなのに何であんな出来るのよ、あんたはぁ!!!」
シャー! と怒るセリカの姿は猫のよう。
『顔無し』は仮面の中で、瞬きを繰り返す。
自分が初めてバイトした時は、失敗ばっかりだった。緊張で上手く舌も回らなかったことの方が多い。
だが『顔無し』にはそれがなかった。セリカはシンプルに悔しく感じたのだ。
当初の目的であった、彼に人を頼ることを覚えさせることや初々しい姿を見ることは、前提から覆される形となった。
「あ? ……あー」
心当たりがあるのだろう。『顔無し』が後頭部を掻いた。
セリカが続ける。
「客が一人で来店した時、一名様じゃなくて『お客様ご来店です』って言うこと!」
「2は聞き間違い起こす可能性があるから、『リャン』を用いること! その他諸々を、何で一発で出来ちゃうのよもうっ」
頬を膨らませ、こちらを睨むセリカ。全く凄みは感じない。
因みにリャンとは、中国語で2を表す。外の世界に存在するのか、別の形で伝わっているのか分からないが、キヴォトスでも用いられてるようだ。
そんなことはさておき。
『顔無し』は仮面の中で渋い表情を浮かべた。
(経験したことある、とは言えないよなぁ……)
つい流れるようにやってしまった、つい先程までの自分を恨む。
バイト初日かつ記憶喪失の人間が、それらを使えるのは確かに奇妙だろう。
そんなことを言えるはずもなく、『顔無し』はそれっぽい理由を言った。
「先生と二人で飯を食う時もあるからな。その時の店員さんが言ってたことや動きを、何となく使ってみただけだよ」
一回そこで区切る。
「リャン呼びに至っては、ラーメン店によって違いがあるからな。吉と出るか凶と出るかは博打だった。……結果的に上手くいってよかったよ」
「ふーん……」
セリカは歩きながら、懐疑的な目を向けてきた。
『顔無し』は視線を合わせることなく、ただ彼女の隣を歩く。
しばらく静寂が続くが、セリカの溜息でその時間は終わった。
「……ま、いいか。お陰で助かったし。私も真似することがあったな、コンビニの店員さんの言葉遣いとか」
「そこは同じ業態にしとけよ」
ピシャリと『顔無し』が言い放ったことで、笑い声がセリカから溢れる。
追及される流れではなさそうだ。『顔無し』は聞こえぬよう、安堵の息を吐くのだった。
(いつか話しなさいよ……今の関係を崩したくないから、黙ってあげるんだからね)
平和やね……。
いずれホシノ・ノノミ・シロコとの閑話も書きたい。
次回は本編なんすけどね。
haha!!