憑依in実験体のアビドス生徒   作:改名

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今回は閑話です。小休止です。
前回がアレだからね、仕方ないね……今回は微笑ましい話の筈ですよ!

本当はリクエストがあった、少し大人な雰囲気になる便利屋68と『顔無し』、もう一つの閑話を加える予定だったのですが、6000文字超えたので、それはまたの機会ということで……。




最後に今回の話ですが。
本編時空かそうじゃないかは、皆さんの解釈に任せます。

ホシノが『顔無し』の仮面の中を見たということは共通しておりますがね。haha。


〈閑話〉手料理と『顔無し』(挿絵あり)

 

 

 

 

 

 

 アビドス対策委員会の部室での雑談。

 それが全ての始まりだった。

 

 発端は先生である。

 好奇心が赴くままに、『顔無し(ノーネーム)』に対して質問したのだ。

 

 唯一の男子である彼に。

 保護者的な立場の大人として、単純な女性として、気になる問いを。

 

 すなわち。

 

 

 

「『顔無し』はさ。この中だったら、誰の手料理が一番食べたい?」

 

 

 

 ここにいる女子の中で、誰の手料理が一番食べたいか。

 

 それは対策委員会の面々も気になったようだ。

 動きを止めた全員の視線が、『顔無し』に集中する。

 

 ニコニコしている者、緊張している者、興味深い目を向ける者。種類は様々だ。

 

 

「……ハァ」

 

 

 『顔無し』は周囲を見渡し、溜息を吐いてから言った。

 

 

「……言わなきゃダメか?」

 

「別に深い意味なんてないよ。変に揶揄ったりしないから、安心して?」

 

「それなら、まあ」

 

 

 ヒュー! ヒュー!

 これは未来の夫婦確定かな〜?

 

 今挙げたような揶揄いは起きないらしい。それなら良いのだ。

 大きな問題が立ち塞がる今、揶揄いをきっかけに気まずい関係になるのは困る。

 

 ……まあ、それは対策委員会の面々も分かっている筈だ。

 杞憂だったと、『顔無し』はしばし考えた後に口を開いた。

 

 

「……書記ちゃんかな」

 

「わ、私ですか!?」

 

「ほぉ〜」

 

 

 アヤネが驚く。その頰は少し紅い。

 

 先生は興味深げな声を上げた。それだけだ。

 他の対策委員会も同様、揶揄うような真似はしなかった。

 

 シロコが感想を漏らす。

 

 

「ん。意外。長い付き合いだから、先生を選ぶかと思った」

 

「その分、大体お互いのことは分かる。その上で言わせてもらうと……先生は恐らく、料理が出来ない」

 

「あ、あはは……正解。全くしないし、料理は苦手かな……」

 

 

 先生は苦笑いを浮かべた。

 まあこれは立場上、仕方ないとも言える。

 

 先生としての仕事は激務であり、シャーレでの食事はコンビニ弁当が一番手っ取り早い。

 例え帰れたとしても、料理をする気力はなく。

 

 元々上手いわけではない彼女の料理の腕が伸びるわけがなかった。

 

 

「それに……いや、いい」

 

「? 何よ。途中で切られたら、気になるじゃない」

 

 

 何か言い掛けるが、『顔無し』が口を閉ざす。

 セリカが追及すると、彼は後頭部を掻いた。その仮面の中は少し歪んでいる。

 

 これは言っていいのか。

 そんな迷いがあったが、セリカだけでなく他の者達から向けられる視線は、沈黙を許さないだろう。

 

 

「あー……その、な?」

 

 

 なので、『顔無し』は口を開いた。

 言いづらそうにしながら。

 

 

「偏見で悪いが、書紀ちゃん以外まともに料理できなさそうだなと」

 

 

 

 ビシッと、部室の空気がヒビ割れる音がした気がした。

 幻聴かと思ったが、そうではないらしい。

 

 

「あんた、いい度胸してるじゃない……!」

 

 

 セリカは青筋を立て、口角を震わせている。

 

 

「……ん。心外」

 

 

 シロコは腕を組み、不満げな視線を『顔無し』に向けた。

 

 

「ふふっ」

 

 

 ノノミは口に手を当てて笑っている。が、その目には影が差さり、純粋な笑みではないことが分かった。

 

 

「ありゃりゃ……『顔無し』くん、その発言はマズいよ〜?」

 

 

 うつ伏せから顔を上げるホシノ。

 だがいつもの眠たげな表情ではなく。色の違う両目が薄らと開かれていた。

 彼女も女子として、『顔無し』の発言に思うところがあるようだ。

 

 『顔無し』は後頭部を掻いた。

 だから途中で口を閉ざしたのに……。いや、聞こえる声量で言い掛けた自分も悪いか。

 

 反省しつつ、取り敢えず『顔無し』は謝罪する。

 

 

 

「偏見って言ってるだろ……料理できるなら悪かったよ」

 

「そもそもあんた、私が飲食店で働いてるって知ってるでしょ? なら」

 

「お前はキッチンじゃなくてホールだろ」

 

「うぐっ」

 

 

 

 セリカは言葉を詰まらせた。

 飲食店で働いてることは、料理が出来る言い分としては不十分である。

 

 別に料理が出来ないわけではないが、簡単に言葉で組み伏せられ、セリカは微妙な悔しさを抱いた。

 

 

 

「ちなみに、私は何で料理出来なさそうって?」

 

「いや、何か全て塩胡椒と加熱で解決しそうだなって」

 

「野生児って感じだね……。シロコの苗字が引きずってるのかも」

 

 

 

 砂狼。つまり狼。野生って感じが確かにする。

 実際、先生の推測は正解に近い。

 

 その証拠に『顔無し』は黙った。それを横目で見るシロコ。

 

 

 

「……」

 

「ん。何となく、図星って感じがする」

 

 

 

 『顔無し』は口を閉ざしたままだ。

 正解は、『シロコの苗字と獣耳、そして彼女自身が道具を使って料理している姿を想像できなかったため』なのだが、正直に言うわけがない。

 

 有難いことに、シロコはこれ以上突っ込んでこなかった。

 だが追及が終わったわけではない。まだ二人いる。

 

 

 

「私は何でですか〜?」

 

「おじさんも気になるな〜」

 

「……偏見だぞ。いいか、偏見だからな?」

 

 

 

 『顔無し』はそう前置きした。

 そしてノノミに顔を向ける。

 

 

 

「まず、ゆるふわちゃん」

 

「はい☆」

 

「勢い余って卵の殻を入れたり、フライパンで焼いてるのを飛ばしたりしそう」

 

「つまり馬鹿力だって言いたいんですね☆」

 

 

 

 ノノミが立ち上がり、『顔無し』に迫ってきた。

 迫ってくる白い両手に、両手で握り返す。女と男の力比べが始まった。

 

 

 

「偏見だって言ってるだろ……っ。悪かったって……!」

 

 

 

 ノノミが若干優勢だ。要因は二つある。

 

 一つ目の要因は、『顔無し』が座っていること。それによる出力不足だ。

 二つ目の要因は、ノノミの力。普段ミニガンを装備したり、沢山のダンベルを運んだりとその力は計り知れない。

 

 『顔無し』でなければ、秒で押し倒されていただろう。

 

 

 

「〜〜♪」

 

(助かった……)

 

 

 彼の苦悶に満ちた反応が満足のいくものだったようだ。

 しばらく力比べをした後、ノノミは鼻歌を歌いながら席に着いた。

 安心する『顔無し』だったが、まだその時ではないことに気付く。

 

 

 

(いや、まだ委員長がいる……か)

 

 

 

 ゆっくりと、ホシノの方に顔を向けた。

 彼女は笑顔で頷く。

 

 

 言ってみて。

 

 

 口に出さずとも、そう言っているのが分かった。

 『顔無し』は後頭部を掻きながら、口を開く。

 

 

 

「委員長は、つまみ食いで完成した時の料理の量が少なくなってそうだな。あと時間がかかる料理だと、昼寝を挟んで最終的に焦げた物が出来上がってそう」

 

「ありゃりゃ。怠け者ってイメージがついてる〜。おじさん悲しいよー! おーいおいおい」

 

 

 

 そう言って、ホシノは机の上に伏せた。

 顔面を、敷いた両腕にぐりぐりと押し付け、泣く動作を見せる。

 

 その周囲に、ノノミとセリカとシロコが集まり、抗議するように『顔無し』を見た。

 

 

 

「あー! 『顔無し』さん、ホシノ先輩を泣かせちゃ、めっ! ですよ?」

 

「サイテーね!」

 

「女の敵」

 

「原因が俺とはいえ、クるものがあるな……」

 

 

 

 集中砲火である。『顔無し』は仮面の中で苦笑した。

 先生とアヤネは、あはは、と苦笑いをしながら見守っている。

 

 すると、ホシノがのっそりと起き上がった。

 

 

 

「なんて言うのは冗談で。皆、これは由々しき事態だよ〜」

 

「そうですね☆」

 

「ん」

 

「納得いかないわ……!」

 

 

 

 ホシノがアヤネ以外の皆に顔を向けた。それに応えるように、料理が出来ないと思われた彼女達は頷く。

 

 確かに自分達は銃火器を持ち、弾丸をばら撒いている。

 だが職業はなんだ。花の女子高生だ。

 

 つまり、異性から不名誉な認識を受け、そのままでいられるわけがなかった。

 

 

 

「こうなったら皆で、『顔無し』君に手料理を振る舞おうじゃないか〜!」

 

「「「「おーー!!!」」」」

 

 

 そんなわけで。

 女子としての誇りを取り戻す戦いが、幕を開けた。

 

 アヤネは仲間外れが嫌なのだろう。彼女達の料理に参加することになった。

 先生は不参加である。彼女は自分の料理の腕に自信はないし、女子高生といえる年齢ではないためだ。

 

 そんなわけで、『顔無し』と共に試食係となった。

 

 

 

 

 場所は移り、家庭科室。

 エプロンに身を包み、アビドスの生徒が和気藹々と料理をする姿を見ながら、先生は笑顔を浮かべている。

 

 

「エプロン。そして制服から覗く白い肌。可愛い少女達の弾ける笑顔と声。いやぁ、眼福だねぇ……」

 

「発言がおっさん臭いぞ。先生」

 

 

 だが、まあ。気持ちは分かる。

 『顔無し』は料理をしている、アビドス対策委員会に視線を向けた。

 

 普段見る彼女達の姿は、日常生活を送る姿と銃器を握って戦う姿だ。

 それ故、今の家庭的な姿はギャップも伴い、惹かれるものがある。

 

 

 

「ん……少し冷たい」

 

「でも、気持ちいいですね? シロコちゃん」

 

「うん」

 

 

 

 例えば、水道ではシロコとノノミが学校の敷地内で収穫した野菜を洗っていた。

 白い手が透明な水を纏い、野菜を撫でている。優しい手つきで、野菜に意識があったら、きっと心地よく感じているだろう。

 

 

 

「うわぁ。ホシノ先輩、綺麗に切れてます!」

 

「本当だ。全部が均一、凄いじゃない!」

 

「うへ。おじさんもやるもんでしょ〜?」

 

 

 

 ホシノも一年生組と料理に参加していた。

 包丁を握り、もう片方の手はしっかり握って、洗われた野菜を押さえている。

 そのままゆっくり、一定の間隔を保ち、食材を切っていった。穏やかな表情で、その顔を見ると安心したことを『顔無し』は自覚する。

 

 同時に、複雑な気持ちになった。

 

 

 

(これを初めて見るのは、俺じゃダメだろ……斑目よ)

 

 

 

 少し胸が苦しく感じ、服の上から握る。

 

 それにこれから手料理も食べるのだ。斑目はホシノの手料理を食べたことがあるのだろうか。

 

 もし無かったとしたら……俺は、最低だ。余計なことを言わなければよかった。

 

 罪悪感に胸を握る力が強まっていく。

 が、隣に先生がいることを思い出し、『顔無し』は胸を掴む手を離した。

 

 

 

「? どうかした、『顔無し』?」

 

「いや、腹が減ったなって」

 

「ふふっ。確かにね。いい匂いもしてきたし」

 

 

 

 サラダがすでに出来上がり、皿に盛り付けられている。

 だが匂いを放つのは違う。まだ作られている途中の、メインであるトマトスパゲッティだ。

 

 フライパンでトマトと炒められているからか、食欲を唆る匂いが家庭科室に充満する。

 それから間もなくして、完成したそれが皿に盛り付けられ、机に並べられた。

 

 

 

「うわぁ〜!!!」

 

「……美味しそうだな」

 

 

 

 先生は目を輝かせ、『顔無し』もそう溢した。

 見た感じ、おかしいところは見られない。

 

 いただきます、と手を合わせて、スパゲティを口に含む。

 意外にも、『顔無し』に感想を求めたのはホシノだった。

 

 

 

「ど、どう……?」

 

「美味い……ああ、すごく美味いよ。数時間前の俺は馬鹿だった」

 

「そ、そっか……!」

 

 

 

 『顔無し』の感想に対して、嬉しそうにホシノが微笑んだ。

 彼女だけじゃない。

 

 対策委員会で料理できないという偏見を持たれた全員が、女子としてのプライドを取り戻したことに、安心して笑った。

 

 ホシノは胸に手を当てる。そして呼吸を数回繰り返した。

 まるで緊張しているようだ。

 

 その後。意を決したように口を開く。

 

 

「よかった……ねぇ、『顔無し』くん」

 

「うん?」

 

「料理をしている私、どうだった?」

 

 

 

 思わず、喉に食べ物が詰まりそうになった。

 もしや、料理する彼女に目が奪われていたことに気が付かれたのか。

 

 動揺を悟られないように、『顔無し』は返す。

 

 

 

「……突然どうした」

 

「単純に気になっただけだよ。昔、言われたんだよね」

 

 

 

 ホシノが目を閉じる。

 

 目の前にいる『顔無し』。

 瞼によって暗闇になったことで、それが斑目へと姿を変える。場所もいつの間にか、いつもの部室になっていた。

 

 そこで行われた当時のやり取りが、鮮明に想起される。

 

 

 

『小鳥遊さん。また栄養食? もっと沢山食べて、栄養摂ったほうがいいんじゃ……』

 

『心配いりません。栄養は足りてます』

 

『……でも、毎回栄養食は飽きるでしょ? しかもその度に出費しないといけないし……。自炊なら出費も抑えられるし、色んな味を楽しめるよ!』

 

『別に……栄養食にも種類はあるので、飽きませんよ。自前で何とか出来るくらい、小さい出費ですし』

 

 

 

 斑目自身、自炊をしているようだ。

 その経験から得たメリットを挙げるも、ホシノには響かなかった。

 

 彼女の様子を見て説得を諦めたのか、斑目は残念そうに肩を落とす。

 

 

 

『そっか……小鳥遊さんが料理作る姿、絶対綺麗だと思うのに』

 

『は……はぁ!?』

 

 

 ポツリと溢したそれを、近距離にいるホシノが聞き逃すわけがない。

 驚きからか、目と口を大きく開けて斑目に顔を向ける。

 

 

 

『あっ……いや! ごめん、嘘! じゃないけど、これは違くて!!』

 

 

 

 その反応は斑目を慌てさせるには十分だった。あわわ、と両手を動かしながら弁明を始めるが、それは余計にホシノの羞恥を高めるだけとなる。

 

 

 

『いつもは鋭い目付きをしてるけどさ、僕に優しい目を向けてくれる時もあるんだよ、小鳥遊さんは……!』

 

『そんな目をして、食材を切ったり、料理する小鳥遊さんの姿を想像すると、凄く綺麗だなって思うんだ……きっと思いを込めて作ってくれてるって、料理を作ってもらえた人は幸せな気持ちになるよ。絶対に』

 

『な、あぁ……!?』

 

 

 

 ホシノは口をパクパクさせた。

 

 何だそれは。目の前の男は、自分がいかに恥ずかしいことを言っているのか気付いていないのか。

 

 どうしてそう簡単に、自分が料理をしている姿を鮮明に想像できるのか。それを綺麗だと思っていることを、本人の前で言えるのか。

 

 ホシノには分からなかった。顔に熱が帯びていくからか、もう何が何だか分からない。

 だが……不思議と悪い気はしなかった。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

『ま、斑目』

 

『ご、ごめんなさい』

 

 

 

 震えた声で名前を呼ばれ、斑目は頭を下げた。

 きっとホシノが怒ってると思ったのだろう。

 

 そんな彼にとって、予想外の言葉が紡がれた。

 

 

 

『私が斑目に料理をすれば……その、あなたは幸せだと、思うんですね?』

 

『え?』

 

 

 

 聞き間違えたと思ったのだろう。

 斑目は驚いたように、ホシノを凝視する。

 

 彼女は腕を組み、顔を逸らした。

 そのまま視線だけ斑目に向ける。ぶっきらぼうな態度は、恥ずかしがっているのを隠すためのようだ。

 

 

 

『どうなんですか』

 

『う、うん……幸せだよ、勿論。小鳥遊さんが僕のために作ってくれるんだから』

 

『……分かりました。それならいつか、作ってあげます。私の手料理』

 

 

 

 そう言うと、目の前の斑目はポカンとすると。

 やがて嬉しそうに、その表情は輝いていった。

 

 

 

「おーい。何を言われたんだよ」

 

「うへっ?」

 

 

 

 斑目の姿は消え、その代わり目の前には仮面の男が現れる。

 あの頃の面影は残しつつ、まるで別人のようになってしまった同級生が。

 

 反射的に、ホシノは作り笑いを浮かべる。

 

 

 

「いや〜、あはは。知り合いの子にね、料理をする君はきっと綺麗だなんて言われちゃってさ〜。おじさん、そんなの柄じゃないし、実際はどうなのかな〜って」

 

「ああ、そういう……」

 

 

 

 知り合いの子。

 これが誰を指すのか、『顔無し』にとって推測するのは簡単だった。

 

 心の中で、溜息を吐く。

 

 

 

(……言い出しっぺが初めに見ないでどうすんだよ。全く)

 

 

 

 ホシノとここにいない斑目に対して、『顔無し』の罪悪感はより強まる。

 今、自分が言えることは何だろうか。そう考えてみる。

 

 ……きっと、これだ。

 初めてを奪ってしまったが、それでもホシノはきっと、意味のない不安を抱いている。

 

 だから、それを解消するのが今の俺に出来ることだ。

 『顔無し』は口を開いた。

 

 

 

「その知り合いもきっと満足するさ。委員長の料理をしている姿を見たらな」

 

「……そっか。うへ、ありがとね。『顔無し』くん」

 

 

 

 遠回しな鼓舞。賞賛。確かに綺麗だったと伝えた。

 それが伝わったのだろう。ホシノは力なく笑った。

 

 彼の発する言葉に、あの頃のような抑揚はない。感情もない。

 褒められはしたものの、やはり少し寂しく感じた。

 

 

 

「あーむ……」

 

 

 

 最後に口に含んだ、トマトスパゲッティ。

 それが妙に酸っぱく感じた。まるで涙のようだ。

 

 

 

「うへ……酸っぱいなぁ」

 

 

 

 ホシノは誰にも聞こえない声量で、そう呟いた。

 

 




OPで料理をするアビドス対策委員会の子達、いるじゃないですか?
凄くいいですよね!!!!!!

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